総合病院精神医学
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25 巻 , 4 号
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特集:精神科救急・合併症入院算定施設の現状と課題
総説
  • 佐藤 茂樹
    2013 年 25 巻 4 号 p. 346-353
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    平成20年(2008年)に新設された精神科救急・合併症入院料は,総合病院精神科にとって入院収入を大幅に増加させることのできる画期的な入院料となった。精神科救急・合併症入院料は,平成14年(2002年)に新設された精神科救急入院料の総合病院版であるが,この複雑な施設基準をもつ入院料の成立の起源は,昭和33年(1958年)の厚生事務次官通達(いわゆる精神病院特例)に起因する総合病院における一般病棟と精神病棟の別建ての入院料の設定,さらには昭和25年(1950年)に制定された精神衛生法の指定病院制度にまで遡ることができる。算定のための施設基準には種々の条件があり,平成25年9月現在この入院料を取得している病院は全国で9カ所にとどまっている。今後この入院料を超えて,5疾病5事業の時代にふさわしい,総合病院にとって精神科病棟を有することがメリットになるような診療報酬上の改定が行われることが期待される。

原著
  • 嶋津 奈, 石束 嘉和
    2013 年 25 巻 4 号 p. 354-362
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    精神科救急や身体合併症における総合病院精神科の役割は増大しているが,医療経済上の理由により,その病床数は年々減少している。そうしたなか,横浜市では新たに有床の総合病院精神科を確保・整備する中核病院構想を推進し,その一つとして当院は開院した。身体合併症医療は,身体科医師との良好な協力関係,精神科看護師の努力のうえに成り立っている。身体,精神疾患ともに入院が必要な患者は多く,精神科病棟が果たす役割は大きい。当院は,平成22年より精神科救急・合併症入院料を算定した。収益は改善したが,マンパワーが必要な業務に見合う人員を確保するのに十分とはいえず,精神科病棟を維持するには病院の理解が必要である。有床の総合病院精神科の存続には,行政がその役割,意義を適切に評価し,その機能に見合う診療報酬に改定することが重要である。 それにより精神障害の有無に関わらず安心した生活を送ることができる社会の実現が可能になる。

経験
  • 古塚 大介, 甲斐 利弘
    2013 年 25 巻 4 号 p. 363-368
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    当院は大都市にある救命救急センターなどを含む総病床数1,063床の大規模総合病院で,成人・児童青年精神科はともに有床である。平成22年の時点で成人精神科病棟は全閉鎖の33床(保護室2床,個室6床)であった。平成8年4月から大阪市内発生の緊急措置診察・入院の受け入れを行い,平成15年10月より大阪府下精神病院からの身体合併症を伴う患者の受け入れを行っている。しかし,精神科合併症患者の受け入れに苦慮しているという報告があり,当院でも入院の受け入れができない場合が多かった。当院も平成20年度から制定された「精神科救急・合併症入院料」の取得を目指し,病棟改修も含めたハード面,ソフト面での課題を検討した。精神神経科病棟の個室の増床を行い,病床数は28床,うち保護室2床,個室14床(6床は合併症ユニット)となった。その他,すべての要件を満たすことができ,平成24年9月から「精神科救急・合併症入院料」を算定することとなった。

原著
  • 池下 克実, 岸本 年史
    2013 年 25 巻 4 号 p. 369-375
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    奈良県立医科大学精神医療センター(以下当センター)は県内唯一の有床総合病院精神科である。このため身体合併症を抱える精神疾患患者の対応において重要な役割を担っており,2011年4月1日から大学附属病院において,全国で初めて精神科救急・合併症入院料病棟(以下当病棟)の運営を開始した。今回,当センターの概要を述べたうえで,2011年4月1日から2013年3月31日の2年間の精神科救急・合併症入院料病棟入院患者について検討した。2年間の当病棟入院患者は373名,そのうち基準を満たす身体合併症をもつ患者は106名であった。診断では統合失調症圏(35.1%)が最も多く,次いで気分障害圏(25.5%)であった。身体合併症については「手術室での手術を必要とする状態」が最も多く(36%),次いで「重篤な内分泌・代謝性疾患」(12%)であった。身体合併症病棟運営の現状,展望と課題,また大学病院精神科において当病棟を実践する意義について述べる。

原著
  • 嶋路 紀子, 光明寺 寿恵
    2013 年 25 巻 4 号 p. 376-383
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    大阪府立急性期・総合医療センターは,2010年5月に「精神科救急・合併症入院料」の認定を受けた。精神・身体両疾患をもつ患者の治療と看護は,多くの労力を要し,両方の看護の専門性が期待され,看護師の役割は大きい。身体合併症を見つつ,精神科救急を受け入れる看護体制や方法を探りながら,マニュアルの作成・看護業務の現状と分析,院内協力体制など,さまざまな取り組みを行った。身体合併症とともに精神科救急に対応するためには,1)マンパワーの確保,2)身体疾患・精神疾患の両方に対する教育体制の充実,3)看護実践での困難さを少しでも取り除き,看護師間での知識や情報の共有,4)多職種との連携が重要であることがわかった。ここにあげた4項目の課題解決への努力が,「精神科救急・合併症入院料」認定につながったと考える。

一般投稿
総説
  • 羽多野 裕, 福居 顯二
    2013 年 25 巻 4 号 p. 384-390
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    Informed consent(説明と同意)は患者中心の医療を行ううえで重要なプロセスであるが,患者・医療者双方ともにその重要性の認識は未だ不足している。また急速な高齢化による認知症患者の増加により,同意能力が低下し自らの医療の決断に困難を要する患者に対する意思決定支援が今後急務となる。しかし支援体制はまだ充足しているとはいえず,代理意思決定権の問題についても法的整備が追い付いていないのが現状である。認知症をはじめとする精神疾患患者を診断・治療し意思決定を支援することは,これからの精神科医の役割として重要である。

症例
  • 宮田 郁, 浅島 有紀, 久保田 祐子, 木下 真也, 川野 涼, 川端 康雄, 元村 直靖, 米田 博
    2013 年 25 巻 4 号 p. 391-397
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    PTSD症状を呈した複雑性悲嘆の状態にある自死遺族へのグリーフケアをチームで実践した1例を報告し,自然なグリーフワークへのサポートについて考察した。本症例は,長男の自殺という体験により正常な悲嘆過程を辿れず,PTSD症状などの多彩な症状を呈し,多剤による薬物療法を行っていた。夜間の徘徊や自殺企図からの避難目的の入院であったが,長男への自責感をはじめとする感情を整理できずに苦しむ姿を目の当たりにし,心理的介入の必要性を感じた。PTSDや複雑性悲嘆にはそれぞれ有効とされる心理療法があり,心理教育の重要性が示されている。心理教育を中心に準構造化したグリーフケアの実施,薬剤整理,安全な環境の提供を役割分担し,チームで実施したことによって症状の改善がみられた。複雑性悲嘆の状況にある自死遺族には,準構造化したグリーフケアをチームで実践することで,自然なグリーフワークへと進めることができると考えられた。

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