総合病院精神医学
Online ISSN : 2186-4810
Print ISSN : 0915-5872
ISSN-L : 0915-5872
27 巻 , 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集:医療従事者の健康支援と総合病院精神医学
経験
経験
  • 二宮 美香
    2015 年 27 巻 4 号 p. 297-304
    発行日: 2015/10/15
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    今日,労働者の心の健康問題は社会的な問題となり,看護師においても同様である。すなわち,患者の高齢化や併存疾患をもつ割合の増加,医療の高度化・複雑化など医療を取り巻く状況変化に加え,在院日数の短縮などの病床利用率向上が求められる医療現場の現状のなかで,看護師のメンタルヘルスの悪化が危惧されている。対人援助職である看護師のメンタルヘルスは良質な医療サービスを提供するうえでの前提となるため,個人の健康問題にとどまらず組織として取り組むべき課題といえる。リエゾン精神看護専門看護師によるスタッフのメンタルヘルス支援は,事業場内産業保健スタッフ等によるケアに該当する。支援の実際として,院内での周知を行いながら,病棟管理者や精神科医,臨床心理士と連携し,個人面談を中心にメンタルヘルス支援を行っている。看護師自身が不調を早期に自覚し相談できるよう,セルフケア,ラインによるケアを充実させていくことが今後の課題である。

経験
  • 高橋 千佳
    2015 年 27 巻 4 号 p. 305-310
    発行日: 2015/10/15
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,EAPの立場から,医療従事者に対するメンタルヘルスの重要性を論じた。医療従事者におけるメンタルヘルスを含む健康管理の必要性はきわめて高いが,自らが積極的に相談行動を起こすことはなかなか難しい。また,EAPの導入率は,民間企業や公共機関に比べ医療領域は極端に低い。これらの要因の一つに,医療従事者側,病院組織側の双方に,未だ「健康管理は自己責任」という認識が根強く存在していることがあげられる。EAPにメールや電話で寄せられた3つの相談事例を考察すると,それぞれにセルフケアと意識変容の促し,部下に対する適切なマネジメントの促し,組織分析に基づくコンサルティング対応などの必要性が見出された。事業所外資源であり,個人に対してと同時に組織に対して支援を提供するEAPサービスは,本文中に記したその目的から,医療従事者自身の健康維持・改善のみならず,医療エラー防止にも大きく寄与することが期待される。

経験
  • 石川 慎一
    2015 年 27 巻 4 号 p. 311-317
    発行日: 2015/10/15
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    わが国の,職場でのメンタルヘルス支援の必要性は高まっている。近年職場の健康については,休職(absenteeism)から,より深刻である体調不良による職能の低下(presenteeism)にまで幅広く注意が払われるようになっている。筆者が西神戸医療センターで行っている,職場内presenteeism改善へのヘルスプロモーションでは,通常業務のなかで,職員の業務を支持するような活動を行っている。これにより,職場でのコミュニケーションが活性化されたり,雰囲気が和やかになったりする効果が期待された。今後,精神科リエゾンチームにおける多職種による活動を通じて組織的な活動に展開していくと,院内のpresenteeism改善への支援になり,職場の幸福度を上げると考えられた。

一般投稿
総説
  • 中村 純, 井形 亮平
    2015 年 27 巻 4 号 p. 318-326
    発行日: 2015/10/15
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    軽い意識障害とせん妄の診断,その発症要因,病態,治療について概説した。軽い意識障害は,せん妄へと発展し,リエゾン精神医療の最も重要な対象疾患となる。軽い意識障害に対する原田憲一と神田橋條治の診方を紹介した。さらにせん妄の診断基準,せん妄評価尺度DRS-R-98の日本語版の信頼性,妥当性について紹介した。また,われわれの血中ノルアドレナリン代謝産物,血中MHPGの変化を研究した先行研究から,せん妄の発症には不安が関連しており,不安を軽減させる環境調整やインフォームド・コンセントの重要性を強調した。しかし,せん妄がいったん発症した場合には,向精神薬を用いる介入も必要であることに言及した。

経験
  • 中西 翔一郎, 光安 博志, 川嵜 弘詔
    2015 年 27 巻 4 号 p. 327-333
    発行日: 2015/10/15
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    目的:九州大学病院コンサルテーション・リエゾン部門(以下CL部門)におけるステロイド誘発性精神障害(以下ステロイド精神障害)の発症率,副腎皮質ステロイド薬(以下ステロイド)の用量と精神障害発症頻度を調査する。

    方法:2008年4月〜2011年3月にCL部門に受診した1,106例の診療録を調査した。

    1)ステロイド精神障害が多かった5つの診療科(以下,5科)はCL未受診者も含めステロイドの投与方法と用量を解析した。

    2)5科のCL受診患者のステロイド精神障害発症と臨床的因子について多変量解析した。

    結果:CL部門受診患者のステロイド精神障害は2.3%だった。5科において注射剤投与の患者は有意にステロイド投与量が多く,ステロイド精神障害の有無で受診前1カ月のステロイドの1日最大量に有意差はなかった一方,ステロイド総投与量は有意に多かった。

    結論:1カ月のステロイド総投与量がステロイド精神障害の危険因子である可能性が示唆された。

feedback
Top