直腸癌の手術々式はその根治性の点からみて, 腹会陰合併直腸切断術がもつとも, 優れていることはもちろんであるが, 近年, 肛門括約筋保存術の適応が問題になっている.
最近22年間に岐阜大学第1外科で経験した直腸癌244例のうち, Miles法施行例は145例, 前方切除術は38例, 貫通法は22例である.その手術々式別の成績を種々の因子より検討し, 括約筋保存術式の適応には癌が限局性腫瘤で, 長径3cm以内, 壁深達度pmで, 腫瘍の下縁が, 肛門縁より7cm以上, 口側の場合には低位前方切除, 6cm以上口側の場合には貫通法が適応であることをのべたが, 局所再発を考慮して, 手術々式の選択には慎重な配慮が必要と考える.
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