日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
14 巻, 11 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 大津 幸世
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1525-1533
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃全摘術, 近側胃切除術, Fundic patch法を施行した84例を対象に, 各術式別の逆流性食道炎の発生頻度と病態を検討した.その発生頻度は内視鏡上, 胃全摘・B-II吻合例が75%, 同じくRoux-en-Y吻合例が33%, 近側胃切除・食道胃端側吻合例が60%, 同じく食道胃弁形成吻合例が0%, Fundic patch例が0%であった.胃全摘術の場合は諸家の成績と同様にB-II吻合の逆流頻度が高率であり, Rox-en-Y吻合の方が逆流防止に有効である.近側胃切除術の場合は端側吻合の逆流防止効果は不十分であるが, 弁形成吻合ではほヾ満足できる成績であった.Fundic patch法は食道アカラシア症例に対して施行したが, その逆流防止効果は十分に満足できるものであった.
  • 大熊 利忠, 鳥越 義継, 夏山 秀康, 田代 征記, 横山 育三
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1534-1542
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤56症例の食道離断術前後の食道機能につき検討した.術前では下部食道括約筋 (LES) の機能もよく保たれLES圧は29.8±5.7cmH2O (n=16) でわれわれのnormal controle31.3±5.7cmH2O (n=10) と有意差がなかった.術後ではLES機能は低下し33~43%にX線造影で逆流がみられLES圧は19.3±7.9cmH2O (n=20) であったが自覚症状および内視鏡での食道炎は軽微であった.術後早期の嚥下障害の原因には下部食道のアカラシア様変化が関与している.離断物合部の狭窄は42.9%に発生し, 10cm以上の傍食道血行郭清は広すぎると考えられた.自動吻合器EEA使用症例に狭窄発生率が高い傾向であったが統計的に手縫い結節吻合と有意差はなかった.
  • とくに組織学的癌露出程度について
    佐々木 廸郎, 荻田 征美, 及川 隆司
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1543-1548
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃上部癌とりわけ食道へ連続浸潤している例の手術成績は不良であるがその原因は解明しつくされていない.
    われわれは, 食道胃境界領域癌切除例で後壁の無漿膜域における癌の露出程度を顕微鏡的ew (edgewidth) として計測し予後との関係を検討した.ew 0 mmの7例は全例が2年以内に再発死亡し, 従来から考えてきた主要な予後因子である, 肉眼的癌型 (ボルマン分類), リンパ節転移, 胃癌取扱い規約におけるowなどに比して, より強く予後を支配する因子である事が示唆された.従って, 特に癌が後壁に進展している症例では境界領域の後腹膜腔に対する補助療法が同部位の手術に併用される必要があろうと考える.
  • 友清 明
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1549-1558
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌総数779例中50例のpm胃癌について, 臨床病理学的に予後を含めて検討した.50例全例が予後追跡可能で, 他病死4例を除く14例 (30.4%) が再発死亡であった.14例中血行性転移が8例と過半数を占め, そのほとんどが2年以内に死亡していた.sm浸潤の大きさからリンパ節転移率, 予後を検討したが, sm浸潤が大きくなる程リンパ節転移率は高く, また累積生存率も低下した.なおsm浸潤と肉眼型とに関しても検討した結果, Borrmann型の方がsm浸潤が大きく, これはBorrmann型の方が早期類似型よりもリンパ節転移率が高く, かつ生存率が低い事の裏づけとなり, pm胃癌ではsm浸潤の大きさが重要な因子だと思われた.
  • 前田 迫郎, 泉 明夫, 金山 博友, 尾崎 行男, 清水 法男, 古賀 成昌
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1559-1562
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌患者における免疫抑制血清因子とその局在性を検討するため, 22例の胃癌症例 (stage I 6例, stageII2例, stageIII8例, stageIV6例) において, 各症例ごとに末梢静脈血清, 癌巣局所静脈血清, 脾静脈血清を採集し, それぞれの血清添加が健康人リンパ球のPHA反応におよぼす影響を検討するとともに洛部位血清中のimmunosuppressiveなα2-macroglobulin, immunosuppressive acidicprotein (IAP) を定量比較した。その結果, 健康人リンパ球のPHA反応は, 癌患者血清添加により抑制された。その抑制作用は, 末梢血清よりも, 癌巣局所血清, 脾静脈血清に大きかった。α2-macroglobulin, IAPとも癌巣局所血清に最も高濃度であった。
  • 三輪 晃一, 宮崎 逸夫, 松木 伸夫, 沢 敏治, 米村 豊, 小島 靖彦, 野口 昌邦, 高島 茂樹, 竹下 八洲男, 中川原 儀三
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1563-1570
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌患者214例のRoche kitによる術前血清CEAを胃癌の進行度・病理学的所見・予後との対比で検討した.胃癌患者のCEA5ng/ml以上の異常値出現率は41.6%, 10ng/ml以上の陽性率は20.6%であった.CEA陽性例の89%はステージIVで, 転移因子別の陽性率は肝転移56.0%, 腹膜播種36.5%, リンパ節転移19.8%を示した.転移の程度と陽性率の関係は, 肝転移・リンパ節転移では正の相関がみられたが, 腹膜播種では程度が高まっても陽性率は変らなかった.組織型別の陽性率は分化癌で高く, 未分化癌で低い傾向がみられた.CEA値と予後の関係は, 10ng/ml以上の陽性例は根治手術不能のことが多く, 拡大術式で治癒手術を行いえた症例でも予後は不良であった.
  • 野浪 敏明, 中島 聡総, 高木 国夫, 梶谷 鐶
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1571-1575
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    開腹時腹膜播種を認めた胃癌973例を対象とし, 治療法と予後との関連性を検討した.P1, P2, P3およびP因子に他非治癒因子を合併した群のいずれにおいてもその予後は相対非治癒切除群, 絶対非治癒切除群, 非切除群の順に低下した.このことは腹膜播種症例でも切除による腫瘍量の減少が延命効果を持つことを意味している.術後化学療法の効果は相対非治癒切除群に認められ, 絶対非治癒切除群, 非切除群では効果を認められなかった.よって腹膜播種症例の治療は, 技術的に可能なかぎり手術的に癌腫をより減少せしめるreduction surgeryを原則とし, adjuvant chemotherapyを積極的に行うことが必要であると考える.
  • 大橋 広文, 土屋 十次, 日野 輝夫, 伊藤 善朗, 坂田 一記
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1576-1582
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ストレッサーの種類が違う2つのラットストレス胃潰瘍モデル (1) 総胆管結紮モデル, 2) クモ膜下出血モデル) を作製した.発生せる相対潰瘍長は, 1) のモデル20.25±5.45mm, 2) のモデル22.33±1.74mmとほぼ同じ程度であった
    .これに対してcimetidine 5mg/kg/hrを投与して阻害実験を行ったところ, 抑制率は1) のモデル99%, 2) のモデル87.5%と差がみられた.抑制率の低い2) のモデルにおいて, cimetidineの投与量を倍の10mg/kg/hrに増量してもほぼ同じ85.7%の抑制率しか得られなかった.2つのモデルの潰瘍発生機序を検討したところ, この抑制率の差はそれぞれのモデルの潰瘍発生機序にはたす胃酸の役割の差と考えられた.
  • 中島 泰廣, 児玉 好文, 大山 崇, 能見 雅彦, 寿山 博武, 門野 義信, 久木元 宏哉, 秋田 八年
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1583-1588
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    教室肝内胆石症57例について検索すると大十二指腸乳頭狭窄, 膵炎, 化膿性胆管炎, 門脈圧亢進症, 肝癌, 胆管癌等実に23種類もの合併病態が検出されており, 初回手術時胆石やこれら合併症の見逃しによる多次手術例が25例 (43.8%) を占めており本症の外科治療成績不良の一因となっている.またこれら合併症が, 多くの場合肝内胆石症の死因となっている.さらに本症54例中43例 (79.6%) の高頻度に胆道感染を随伴しており胆管炎や肝膿瘍を併発することが多い.したがって, 肝内胆石症の外科療法に当っては可及的結石摘除に加えて, 随伴する合併症を的確に把握し, 適切な治療を施すとともに徹底した化学療法を行うことにより治療成績の向上が期待できる.
  • 水沢 広和, 鈴木 彰
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1589-1593
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    術前の肝機能検査が正常であった160例のうち術後S-GOT値が50以上を示したのは48例30%であった.年齢別では有意差はなかった.手術々式では上腹部手術, とくに胃全摘術に発生率が高く, 麻酔時間では4時間以上, 術中出血量では600cc以上の場合に有意に発生率が高かった.また輸血例では非輸血例に比べて有意に発生率が高くとくに1000cc以上の輸血例で高率であった.術後S-GOT値の上昇の推移を4つの型に分けたが, I, II群はいずれも第8週病日までに正常化するもので, 全体の76.9%を占めた.また術後8週以上遷延化するものは5.1%に認められた.さらに術後S-GOT値の推移には抗癌剤の影響を否定できない症例も認められた.
  • 山下 裕一, 笠原 小五郎, 天目 純生, 宮田 道夫, 森岡 恭彦
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1594-1601
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能低下については残存膵の予備能力のみならずsecretin, CCKPZなどの消化管ホルモン分泌障害が大きく影響していると考えられる.そこで臨床例においてその消化管ホルモン分泌障害の面より検討し, 消化管再建術式について改良を加えた.従来のChild術式にRoux-Y吻合法を行った12例と上部空腸に食物が通過するように工夫した再建術式症例4例を比較検討し, 術後のPFD検査において後者が優れていることを認めた.イヌにおける検討においても, 上部空腸に食物が通過する再建術式が消化管ホルモン分泌の上で優れていることを認め, 上記臨床例における結果を裏付ける結果を得た.
  • 嬉野 二郎
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1602-1613
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳頭形成術を施行した48例について, 術前の直接胆管造影における胆管末端像および切除乳頭の組織所見を観察し, その関連性について検討した.末端部の動きが良好で筆尖状を呈するI型は全例組織学的には可逆性の変化であった.これに対し, 動きがみられず壁硬化像を認めるIII型は14例中12例に高度の線維化を認め不可逆性の変化であり, 末端部の動きはみられるが急峻な狭小化を認めるII型は種々の組織型を示すが, 狭窄部が長いもの程不可逆性変化を示す例が多かった.よって, 胆管末端像とその乳頭部組織所見とは密接な関連を認め, 術前の直接造影における胆管末端像の詳細な観察により, 乳頭部狭窄の質的な診断は十分可能と思われた.
  • とくに無菌動物を使用して
    岡村 俊一郎
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1614-1625
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    従来より腸内細菌は, コレステロールおよび胆汁酸を代謝し, コレステロール結石生成に強い影響を与えていることが報告されている.
    今回, 無菌マウスにE. coliとS.faecalisを単独に, あるいは両菌を混合投与して人工フローラを作製し, 10%cholesterol+0.5%cholic acid含有食を摂取させた. この結果, 胆嚢内結石形成率をみると, 無菌群では4週目すでに100%であるのに対して, E.coli単独汚染群では4週目80%, 8週目100%であり, S.faecalis単独汚染群では67%, 89%そして両菌混合汚染群では73%, 92%と無菌群に対して低率であった.この様にE.coliとS.faecalisが単独または同時に存在することによりコレステロール結石形成が抑制された事実を明らかにした.
  • 斉藤 英樹, 桑山 哲治, 藍沢 修, 丸田 宥吉, 若佐 理
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1626-1633
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    総胆管内で形成される結石はstasis stoneと呼ばれ胆汁うっ滞が原因と考えられているが, われわれは当科において経験した原発性総胆管結石症27例の胆管形態を3型に分類し, それぞれについて胆汁うっ滞発生の機序を検討した.その結果, Ia型 (21例) では旁乳頭憩室, Ib型 (2例) では乳頭炎, II型 (4例) では高度な総胆管拡張が胆汁うっ滞を来たす原因であると推定された.治療法としては胆汁うっ滞を除く何らかの胆道ドレナージ手術を附加することが必要で, Ia, Ib型に対しては十二指腸乳頭形成術, II型に対しては胆管空腸吻合術 (胆道再建) が選択すべき術式と考えられた.
  • 西田 保二, 長町 幸雄, 緒方 伸男, 秋山 典夫, 平沢 敏昭, 中村 卓次
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1634-1638
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    β2-Microglobulin (β2-MG) は, 腎疾患の発見に応用され, 悪性腫瘍, 自己免疫疾患で上昇するという報告がある.われわれは161例の外科患者, ことに消化器疾患患者を対象に, 術前の腎機能異常を把握するパラメーターとしてRIA法による血清β2-MGの測定を行い, 潜在的腎機能異常の頻度やその程度を検討し疾患別にみたβ2-MGの比較検討も併せて行なった.高齢群 (65歳以上) ・若年群ともに, 腎機能異常例でβ2-MGは高値を示し, 血清クレアチニン, PSP15分値と密接な相関を示し, 早期の腎機能異常の検索に有用であった.悪性疾患のβ2-MGは良性疾患よりも有意に高値で, 病期の進行やCEAとの相関を認めた.肝障害時にもβ2-MGは上昇する傾向が認められた.
  • 鬼塚 正孝, 更科 広実, 小野 陸, 轟 健, 高瀬 靖宏, 名越 和夫, 岡村 隆夫, 岩崎 洋治, 河野 一郎, 桜井 徹志, 田中 ...
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1639-1644
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 小林 衛, 武藤 正樹, 杉田 昭
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1645
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 真保 俊, 小田 切治世, 唐木 芳昭, 斉藤 寿一, 藤巻 雅夫, 奥村 秀夫
    1981 年 14 巻 11 号 p. 1646
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
feedback
Top