日本消化器外科学会雑誌
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14 巻, 7 号
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  • 村田 洋子, 井手 博子, 秋本 伸, 済陽 高穂, 吉田 操, 林 恒男, 山田 明義, 木下 祐宏, 遠藤 光夫
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1005-1015
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胸部食道癌の膜腔内リンパ節転移率は高く, 術前にリンパ節転移の有無を知ることは, 治療方針決定に有要である.今回われわれは, 摘出リンパ節のエコーグラムを検討し肉眼で明らかな転移陽性リンパ節が低エコー像を呈し, かつ組織学的陰性腫大リンパ節がechogenicな像を示すことから, 転移リンパ節の術前診断がある程度可能であると推定し, 臨床例にっき検討した.60症例443個のリンパ節について検討したところ, 部位別では脈管が指標となる部位, すなわち腹腔動脈周囲, 総肝動脈周囲の診断率が約70%以上で良好であった噴門部は指標の脈管がないのでこの診断能の向上の一工夫としてホガティーカテーテルを挿入し指標としたところ有効であった.転移陽性と診断できるリンパ節の大きさは径10mm以上の組織学的癌細胞でみたされたもので, 86%と良好であった.
  • 三戸 康郎
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1016-1022
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道癌の頚部リンパ節転移状況を頚部食道癌9例および胸部食道癌23例について検討した.
    頚部食道癌においては, 中深頚リンパ節 (102-b) で最も転移率が高く (77.8%), 上深頚リンパ節 (102-a) (33.3%), 鎖骨上窩リンパ節 (104) (33.3%) がこれに次ぐが, 癌の占居部位が下咽頭に及ぶ例では102-aへの転移率が50%と高かった.
    胸部食道癌のうち頚部転移 (102-c, 104) のみられたのはIm食道癌のみであったが, その転移率は, 右鎖骨上窩リンパ節で26.1%, 左が13.0%であった.これを上下縦隔及び腹部リンパ節など他の部位のリンパ節転移の有無との関係でみてみると, N0群で20%, N1群0%, N2群33.3%, N3群50%, N4群60%とリンパ節転移範囲が広くなるにしたがって, 頚部転移率も増加した.
    頚部郭清併施食道癌と非郭清食道癌の累積4年生存率を比較すると, 前者が39.2%, 後老が21.4%と, 頚部郭清の効果がみられた.
  • 藤田 昌英, 中野 陽典, 薄金 眞雄, 大嶋 一徳, 早田 敏, 太田 潤, 上田 進久, 田口 鉄男
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1023-1028
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    切除不能進行胃癌に対して, Mitomycin C, ACNUなどのショット動注と5-FUの連日持続動注により寛解導入をはかり, 引きつづきFT-207などによる長期維持療法を行った症例の延命効果を中心に検討した.5-FUを総量59以上, 動注できた強力, 動注群30例は, 非動注群44例に較べKarnofsky, 0-C以上の腫瘍効果が多数みられ, 50%生存日数は252日と2倍以上の著明な延命が得られた.また, 平均生存281日, 1年生存率27%は非動注群の133日, 1生例なしと較べ明らかな有意差がみられた.これは全国集計と比較しても有意に優っていた.予後に影響すると思われる背景因子は両群間でほぼ似かよっていた.1年以上生存の8例中4例は1年以上苦痛なく在宅しえた.
  • 朝井 均, 岡 博子, 緒方 和男, 市吉 誠, 田中 一雄
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1029-1038
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    腹部症状を主訴として来院した外来患者に対し超音波検査をfirst screening検査として検討した結果, 胃癌症例28例中12症例において胃X線内視鏡検査などに先がけて胃癌診断をすることができた.Borrmann分類での描出率はII型20% (1例), III型36% (5例), IV型86% (6例) であり浸潤型の胃癌症例, とくにIV型において高率に超音波診断が可能であった.胃壁に沿って全周性に癌が浸潤している症例においては, いわゆるpseudokidney signを捉えることにより胃壁肥厚像を証明でき, 粘膜側からの情報だけでなく筋層, 漿膜側の情報も得ることが可能であるといえる.以上, これまで超音波診断のアプローチがほとんどなかった胃病変に対しても他の諸検査の弱点を補う検査法として十分期待される.
  • 松本 学
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1039-1050
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    消化器癌患者237例を対象にして, 細胞性免疫能を全身的なものと, 癌病巣に所属するリンパ節細胞の免疫応答とに区別し, in vitroのリンパ球幼若化反応を指標にして検討した.
    1) PHA幼若化反応を指標にした全身的な免疫能は, 癌患者 (S.I.=52.9±23.4) では健康人 (n=92, S.I.=103.7±34.4) に比し有意な低下を認め (p<0.01), また癌が進行するに従って低下傾向が認められた.胃癌患者で領域リンパ節の採取できた18例につき局所の免疫能を検討すると, 全身的な免疫反応に比べて増強傾向が認められた.
    2) 非特異的免疫賦活剤を投与された5例につき特異免疫能 (MLTR) の変動を検討すると3例 (60%) に改善傾向が認められた.
  • 和田 徹也, 迫田 晃郎, 田中 紘輝, 西 俊平, 古川 勉, 小野 二六一, 川田 拓郎, 秋田 八年
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1051-1058
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    リニア電子走査装置を使用し, 門脈圧亢進症 (門亢症) に対する超音波画像診断を評価した.門亢症40例, 対照80例について門脈系血管の描出を行うとともに脾肺固着術症例を中心に短絡路の描出を試みた.門亢症症例では門脈本幹10mm以上, 脾静脈6mm以上, 脾門部脾静脈5mm以上の血管内径があり, 脾門部と脾内脾静脈の連続性描出, 食道胃周辺の側副血行路描出, 硬変肝や腹水画像の観察などが本症の診断基準となる.また本法による門脈系血管内径と門脈造影によるそれとは高い相関がみられ, 門脈圧との相関もみられた.超音波画像により門脈肺循短絡形成術など短絡術後の短絡開存の描出が可能で門脈系血管のultrasonic angiographyとして極めて右用な方法である.
  • 由井 三郎, 西野 光一, 深水 昭, 藤本 泰久, 山下 隆史, 吉川 和彦, 梅山 馨
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1059-1068
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    特発性門脈圧亢進症患者の末梢血リンパ球のT, B細胞百分率, 絶対数, ならびにPHA, PWM反応性を検討した.T細胞百分率は48.9±8.9%で正常人に比べて有意に低値を, B細胞百分率は23.4±12.6%と有意に高値を示した.リンパ球数およびT細胞絶対数はそれぞれ1,056±486個/mm3,522±260個/mm3と著明に減少していたが, B細胞絶対数では著変は認めなかった.PHA反応性は低下の傾向を, PWM反応性では高値の傾向を示した摘脾後のT細胞百分率, PHA反応性は摘脾後1カ月で低下するが, 1年では正常化する傾向で, B細胞百分率, PWM反応性も1年後では正常化の傾向が認められた.以上特発性門脈圧亢進症患者ではT細胞機能の低下と, B細胞機能の亢進がみられ, これらは摘脾によって正常化する傾向であった.
  • 池尻 裕一
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1069-1081
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ビリルビン系石に対する直接溶解剤の開発を目的として, 鎖状ポリリン酸の鎖長とカルシウムキレート効果の関係を明らかにするとともに, キレート剤の生理的条件下でのキレート効果を明らかにするために, 種々のキレート剤のpH7.4, 温度37℃ における条件安定度定数を求め比較検討した.
    その結果, 鎖状ポリリン酸を含む種々のキレート剤のキレート効果には, この条件下では著しい差異はなく, 今までに報告されたこれらの毒性の結果を併せ考える時, 鎖状ポリリン酸キレート剤 (LPPC) は, 現在のところ最も有効なビ系石直接溶解剤の1つであると結論した.
  • 鶴見 清彦, 炭山 嘉伸, 鈴木 茂, 宅間 哲雄
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1082-1087
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    昭和39年から, 昭和54年までの教室胆石症例は430例で, うち再発および遺残結石として再手術を施行したものは28例 (6.5%) であり, そのうち当院で初回手術を施行したものは10例 (2.3%) であった.明らかな再発結石と思われた症例は3例, 遺残結石と思われた症例は15例で, 遣残か再発か判定しがたい症例は10例であった.28症例のうち, 開腹手術にて結石除去を行ったものは, 17例で, 残り11例はEST手技にて結石除去を行った.以下28症例につき, 初回術式, 再手術の術式と結石の種類, 病悩期間と再手術時間の関係, 再手術後の肝機能の変化につき検討した.また再々手術4症例の詳細な検討を加え, 遺残・再発結石に対する教室の考えを報告する.
  • 米村 豊, 萩野 茂, 小西 孝司, 船木 宏美, 山崎 軍治, 永川 宅和, 宮崎 逸夫, 三輪 晃一
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1088-1098
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    インスリノーマ6例 (良性5例・悪性1例) について臨床的・病理学的検討を行った.インスリン分泌刺激試験および抑制試験の併施により診断率は向上した局在診断向上のためには血管造影, CTスキャン, ERCPなどにより総合的に判断すべきものと考えられた.良性の5例には腫瘍を含めた膵尾側切除が施行された.術後, 血糖値, IRI値, プロインスリン値は正常化し, 再発をみていない.悪性の1例は術後2年6ヵ月, 肝転移, 副腎転移にて死亡した.免疫組織学的検索ではインスリン以外にグルカゴン・ソマトスタチン・パンクレアテクポリペプチド含有細胞が確認された.
  • 加藤 知行, 山内 晶司, 森本 剛史, 安江 満悟, 高木 弘, 紀藤 毅, 加藤 王千, 中里 博昭, 宮石 成一, 山田 栄吉
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1099-1107
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1965~1978年までの大腸腺腫症を除く大腸癌手術例の内, 他臓器癌との重複例は34例で切除例の3.9%にあたり, 癌患者が第2癌を重複する頻度は健康人が初めて癌に罹患する頻度と変りなかった.その内訳は同時性11, 異時性23: 男子21, 女子13である.平均年齢は単発大腸癌と変りはない.重複臓器は大腸癌では結腸が多く, 他臓器癌では胃, 乳腺, 子宮に多い.これは剖検例では胃に次いで肺, 甲状腺が多いのと異っていた.同時性癌の診断では術前の充分な診察と検査が, そして術中の腹腔内の検索が重要である.異時性癌の第2癌の早期診断率は低く, 今後の問題点である.
  • 山本 明, 肥後 昌五郎, 平野 正満, 武内 俊史, 藤野 昇三, 薗 潤, 谷口 亭一, 藤村 昌樹, 安藤 史隆, 中島 真樹, 森 ...
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1108-1112
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 折居 和雄, 高瀬 靖広, 小野 陸, 石川 詔雄, 名越 和夫, 轟 健, 更科 広実, 竹島 徹, 尾崎 梓, 深尾 立, 岡村 隆夫, ...
    1981 年 14 巻 7 号 p. 1113-1116
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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