原発性肝癌の自然破裂例に対しmicrowave coagulation therapyを5例に施行し, その有用性を認めた.また本法の本症に対する適応と外科的治療の意義について, 本邦報告例の検討により以下のことが判明した.
(1) 肝癌破裂の発生は決して稀ではなく, 男性に多く発生し, 平均年齢49.9歳で肝硬変のの合併率が高い.(2) 肉眼形態分類では多結節型, 単塊状型に多い,(3) 肝切除可能症例が含まれる.(4) 術前Risk判定で切除不能と判断される症例においてもmicrowave coagulation therapyの適応がある,(5) 本法はChild score 11点以下, K
ICG 0.06以上, OGTT Linearity Index 0.8以上が望ましい.(6) 本法は延命効果に有用であり, 安全, 確実, 簡単に行い得る.(7) 本症の予後において1年以上の生存は外科的治療で20%以上期待し得る.
以上より予後不良とされている肝癌破裂例に対しても, 積極的な外科的治療に意義があり, microwavecoagulation therapyは有力な外科的手段の1つになり得る.
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