日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
15 巻, 7 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 特に手術と合併療法について
    田辺 元, 西 満正, 加治佐 隆, 末永 豊邦, 松野 正宏, 福元 俊孝, 門松 民夫, 四本 紘一, 小島 青志, 馬場 政道, 吉中 ...
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1167-1173
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    教室における過去8年間の原発性食道癌患者208例の外科療法を主体にした治療成績, とくに合併療法の効果について検討した.
    その結果, 手術総数は186例で, その手術切除率は79.6%, 切除直死率14.2%, 切除再建直死率9.7%であった.切除再建耐術121例の累積5年生存率は20%, 治癒手術66例では32%であった.種々の因子を検討すると, 根治度が生存率と最もよく相関した.合併療法では, 固有食道動脈Bleomycin注入 (EAI) が治癒手術耐術21例の累積5年生存率44%で他の合併療法に比べ有効と思われた.再発形式の検討では, 再発部位が明らかな39例中血行性54%, リンパ行性36%, 局所再発21%であり, とくに頚部郭清の重要性が示唆された.
  • 経皮経肝門脈造影による検討
    山名 秀明, 掛川 暉夫, 小深田 盛一, 姜 定幸, 外山 俊二, 本多 哲矢
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1174-1180
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    左開胸経横隔膜的アプローチによる直達手術前後の門脈血行の変化を, 食道静脈瘤患者20例を対象として経雌肝門脈造影により検索した.術前の門脈圧は394±47mmH2Oであり, 術後約1ヵ月目の門脈圧は375±55mmH2Oと若干の減少を認めたが有意なものではなかった.脾静脈圧と上腸間膜静脈圧も術後にはそれぞれ22±70%, 17.3±48%の減少を認めたが有意なものではなかった.一方, 門脈本幹径, 脾静脈径, 上腸間膜静脈径の変化をみると, 脾静脈径のみが術後に有意 (p<0.001) に縮小しており, 20例中14例に脾静脈血栓が認められた.また門脈本幹に軽度の血栓形成を認めたものは5例 (25%) であった.このことより, 本法による直達手術後には大半の症例が脾静脈血栓を併発することが判明した.また門脈本幹にも軽度ではあるが高頻度に血栓形成を認めたことは術後の肝不全発生の一因としても重要な意味をもつものと思われた.
  • 小西 富夫, 島津 久明, 朝隈 貞雄, 武部 嗣郎, 稲田 正男, 横畠 徳行, 小沢 邦寿, 森岡 恭彦
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1181-1188
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/08/23
    ジャーナル フリー
    術後の良好な胃運動機能が期待される選択的近位迷走神経切離術後においても, 胃内容停滞, 嚥下困難などがかなりの頻度に認められることから, 同手術例を対象として, おもに固形物の噴門通過・胃排出状況をバリウム錠を用いて検討し, さらに食道内圧の測定を行った.十二指腸潰瘍患者の術前のバリウム錠排出時間には, 対照群とくらべて有意の差はみられなかった.術後早期のバリウム錠の胃排出率は術前値の54.0%に低下していた.術後早期においては液体, 固体ともにその噴門通過は障害されており, バリウム錠の噴門通過率は術前の73.2%に減少していた.下部食道括約筋の静止圧には有意の変化がなかったが, 嚥下性弛緩が不十分な症例がみられた.
  • 腫瘤径3cm未満の5症例の検討
    稲吉 厚, 渡辺 栄二, 田代 征記, 田代 篤信, 赤星 玄夫
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1189-1195
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    今回, 最近の4年5ヵ月間に経験した腫瘤径3cm未満の肝硬変合併細小肝癌5例6病変について, 超音波検査の有用性を検討した.超音波検査では, 血管造影と同じく6病変中5病変で腫瘤を検出することができた.外来での肝癌のスクリーニング法として, 従来のAFPの測定に加え, 超音波検査およびCT検査を併用すると, より確実に早期診断が可能であると考えられる.細小肝癌のエコーパターンは, 非癌部肝組織と比べ, 高エコー型, 正エコー型, 低エコー型を認めた.肝硬変合併細小肝癌症例の手術では, 腫瘤が肝の深部に存在する場合は表面から視触診上確認できないことがあり, 術中超音波検査および超音波ガイド下切除が有効であった.
  • 田伏 克惇, 勝見 正治, 小林 康人, 永井 祐吾, 金 秀男, 野口 博志, 江川 博, 青山 修, 石本 喜和男
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1196-1202
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    原発性肝癌の自然破裂例に対しmicrowave coagulation therapyを5例に施行し, その有用性を認めた.また本法の本症に対する適応と外科的治療の意義について, 本邦報告例の検討により以下のことが判明した.
    (1) 肝癌破裂の発生は決して稀ではなく, 男性に多く発生し, 平均年齢49.9歳で肝硬変のの合併率が高い.(2) 肉眼形態分類では多結節型, 単塊状型に多い,(3) 肝切除可能症例が含まれる.(4) 術前Risk判定で切除不能と判断される症例においてもmicrowave coagulation therapyの適応がある,(5) 本法はChild score 11点以下, KICG 0.06以上, OGTT Linearity Index 0.8以上が望ましい.(6) 本法は延命効果に有用であり, 安全, 確実, 簡単に行い得る.(7) 本症の予後において1年以上の生存は外科的治療で20%以上期待し得る.
    以上より予後不良とされている肝癌破裂例に対しても, 積極的な外科的治療に意義があり, microwavecoagulation therapyは有力な外科的手段の1つになり得る.
  • 全国アンケート調査の結果から
    青木 洋三, 嶋田 浩介, 柿原 美千秋, 佐々木 政一, 竹井 信夫, 川嶋 寛昭, 勝見 正治
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1203-1211
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    切除不能膵頭部領域癌に対する姑息手術術式に関して我が国における現況を明らかにするため, 全国150施設での術式をアンケート方式により求め, 集計, 分析した.約95%にあたる144施設では胆道バイパス術のみが行われており, この内80施設で胆摘後胆管空腸吻合がRoux-en-Y型式で行われ, 胆管空腸吻合は端側, 側側で行われることが多く, Y脚の長さは30~40cmとる施設が多かった.将来十二指腸閉塞を来す可能性を最多の理由に消化管バイパス術が40%の施設で併施され, この際胃切除や迷走神経切離は行わない施設が多かった.除痛対策は33%の施設において行われ, この内約80%の施設が腹腔動脈神経叢へ操作を加えていた.
  • 浅江 正純, 児玉 悦男, 川口 富司, 佐々木 政一, 青木 洋三, 勝見 正治, 橋本 忠明, 山口 敏朗
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1212-1218
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    術後における高アミラーゼ血症および尿症の場合, 唾液腺由来のアミラーゼ活性が上昇している症例が多いと報告され, 術後膵炎とは限らないと考えられている.今回われわれも消化器疾患計82例につき, 術前と術後第1, 3, 5, 7病日に血中および尿中アミラーゼ活性とそのアイソザイム分画を測定し, 検討した.胃癌群21例中15例, 大腸癌群21例中10例, 胆石症群20例中13例, 胃・十二指腸潰瘍群20例中17例に高アミラーゼ血症および尿症を認め, そのアイソザイム分画では, 前記3疾患群は術後早期に唾液腺型が上昇し, 胃・十二指腸潰瘍群では術後経日的に膵型の上昇を認めた.原因としては, ホルモン様物質および唾液腺導管の狭窄や閉塞などが考えられた.
  • 第I編血管像に表現される病巣の膵外浸潤状況
    谷 友彦, 鈴木 敞, 戸部 隆吉
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1219-1230
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    膵頭部癌95例を対象に病巣の膵外進展状況などの治療面からみた病態を術前の血管撮影像より検討した.膵前方被膜浸潤や肝十二指腸間膜浸潤は血管像から90%内外の正診率で判定されたが, 膵後組織や門脈への浸潤判定, 遠隔病巣の検出などは必ずしも十分でなく, 総合画像診断の必要性が示された.最近の拡大切除術式の適応を意識して血管像を基盤に膵頭部癌の進展度を3段階に分類した.このvascular extension分類で, 膵頭部囲繞動脈枝までに浸潤所見がとどまり門脈像で正常型または偏側圧迫狭窄型を呈した群は, 膵外動脈枝に所見が及ぶか門脈像で両側しめつけ狭窄型あるいは閉塞型を呈した群に比べ, 病巣切除率, 遠隔成績ともに優れていた.
  • 特に組織像と予後との関連について
    山口 晃弘, 蜂須賀 喜多男, 磯谷 正敏, 近藤 哲, 堀 明洋, 安井 章裕, 広瀬 省吾, 山田 育男, 深田 伸二, 宮地 正彦, ...
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1231-1237
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳頭部癌切除例23例について組織学的所見および予後に影響を及ぼす組織学的要因について検討した.乳頭管状腺癌, 高分化型管状腺癌ではStageの早い症例が多いのに対し, 中分化型, 低分化型管状腺癌ではStageの進んだ症例が多く, 脈管侵襲, INFも高度であった, また壁深達度の進んだもの, とくに膵浸潤例では脈管侵襲も高度であった.組織学的分類と予後との間には明らかな関連はなかったがStage III以上の症例では予後不良で, そのほか予後不良となる組織学的要因はリンパ節転移陽性, ly2以上, V2以上, INFγ, 膵浸潤を認めることなどであった.以上のことから進行した乳頭部癌では広汎なリンパ節郭清のみならず, 術後の集学的治療が必要と思われる.
  • Prostaglandin Fの腸管運動促進作用について
    山岸 良男
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1238-1248
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    開腹術後の腸管運動をイヌ小腸筋電図を記録し検討した.さらに腸管運動促進作用があるといわれるprostaglandinF (以下PGFと略す) を投与し, その作用を同様に検討した.開腹術後6時間経過すると下部小腸ではすでに正常の筋電図パターンが観察され小腸運動は抑制されにくいことが判った. PGF投与によりspike potentialsの発生頻度は増加し小腸運動は亢進した (PGF投与前空腹期25.0±5.8%-PGF0.5μg/kg/min投与時40.6±8.8%, 1.0μg/kg/mic投与時54.7±11%, 2.5μg/kg/min投与時66.5±8.6%: p<0.001). 臨床例においてPGFを0.35±0.09μg/kg/minの速度で投与すると, 手術終了より初発排ガスまでの所要時間は短縮しPGFは術後腸管運動促進剤として有効であった (PGF投与群3,486±1,239分, 対照群4,219±662分).
  • 特に術後合併症・予後に影響をおよぼす諸因子について
    近藤 哲, 蜂須賀 喜多男, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 堀 明洋, 安井 章裕, 広瀬 省吾, 山田 育男, 深田 伸二, 宮地 正彦
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1249-1257
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    良性疾患による大腸穿孔19例を対象とし, 臨床的諸事項, さらに術後合併症・予後に影響をおよぼす諸因子について検討した.
    術後合併症は高齢, 女性, 術前合併症 (+), ショック (+), 腹腔内遊離ガス (-), 穿孔部が3cm以上の各群に多くかつ重篤であった.また, 白血球数の増加がみられなかった2例はいずれも死亡した.ショックの出現は主に腹腔内への大量の糞便漏出により惹起されると考えられ, freeperforationでかつ腹腔内遊離ガス (-) の全症例にのみ認められた.
    手術法は患者の全身状態と炎症の程度を中心とした総合的評価に基き決定されるべきで, これらの条件が不利な場合にはexteriolization, Hartmann手術が最適である.
  • 松本 孝一
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1258-1268
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    直腸癌に対し低位前方切除術が広く行われているが, その重要な合併症である縫合不全の発生はいまだ高率である.そこで雑種成犬を用い低位前方切除術を行い.吻合部口側結腸の血流量を中心に縫合不全発生因子ならびに防止対策について研究した.イヌ結腸筋層組織血流量は正常で91ml/min/100gで, 支配血管を切離すると約50%に減少した.この血流障害のある腸管でGambee一列吻合, 器械吻合の二者を行って比較すると, 縫合不全の点で器械吻合の成績が優れていた8また吻合部を大網でpatchすると縫合不全は減少し, 耐圧力の上昇がえられた.その結果低位前方切除術で血流量が低下している腸管吻合の場合, 器械吻合を行いさらに大網で吻合部をpatchする事が最も縫合不全を少なくする方法であると考えられた.
  • 梛野 正人, 七野 滋彦, 佐藤 太一郎, 加藤 岳人, 金井 道夫
    1982 年 15 巻 7 号 p. 1269-1273
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
feedback
Top