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夏田 康則, 杉町 圭蔵, 松崎 浩一, 松浦 弘, 桑野 博行, 甲斐 秀信, 井口 潔
1983 年 16 巻 10 号 p.
1733-1737
発行日: 1983年
公開日: 2011/08/23
ジャーナル
フリー
ラットを用い幽門結紮と下部十二指腸結紮の2群を作り, 結紮後24時間後の逆流性食道潰瘍の発生状況を検討した. 胃液だけが逆流する幽門結紮群の平均胃液酸度は50.6mEq/
lであり, 100%にUl2以上の深い潰瘍がみられ, 好発部位は気管支分岐部付近の生理的狭窄部であった. 一方, 胃液に加え十二指腸液が逆流する下部十二指腸結紮群では平均胃液酸度は4.71mEq/
lと幽門結紮群にくらべ有意に低く, 潰瘍の発生は皆無であった. 幽門結紮解除後の食道潰瘍の治癒過程は速やかであり, 3, 4週目にはすでに潰瘍底の瘢痕化と上皮の再生がみられたが, この期間中に円柱上皮化生を示唆する像は見出せなかった.
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組織学的効果について
石川 達雄
1983 年 16 巻 10 号 p.
1738-1746
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
食道癌に対する新たな術前合併療法として33例の食道癌症例に速中性子線による術前照射を行い, 切除標本を病理組織学的に検索して連中性子線術前照射の組織学的効果を検討し次の結果を得た. 速中性子線術前照射の組織学的効果はEf
2が45.3%, Ef
3が27.3%の症例に得られ従来の放射線による術前照射と比較してより高い効果が得られた. さらに原発巣の所見別に組織学的効果を検討し速中性子線は従来の放射線と較べてX線所見では鋸歯型, らせん型, ロート型の症例, 病理組織学的所見ではa2 a3症例, 組織学的分化度の高い症例にも有効であることが認められた. したがって速中性子線治療は食道癌に対する有用な治療法であると思われる.
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土屋 誉, 亀山 仁一, 佐々木 巌, 今村 幹雄, 宮川 英喜, 今野 喜郎, 内藤 広郎, 成井 英夫, 加藤 三博
1983 年 16 巻 10 号 p.
1747-1752
発行日: 1983年
公開日: 2011/08/23
ジャーナル
フリー
過去21年間に教室で経験した幽門近傍胃潰瘍は13例 (男11例, 女2例, 平均年齢48歳) で, 同時期に手術を施行した消化性潰瘍症例中の1.7%であった. 術前の胃液検査では, 十二抗腸潰瘍および胃・十二指腸潰瘍と同様に胃酸分泌の亢進がみられた. 併存する潰瘍の有無をみると, 幽門近傍胃潰瘍のほかに他部位の胃潰瘍または十二抗腸潰瘍を併存した症例は8例と全体の61.5%を占め, 幽門近傍胃潰瘍単独例は5例 (38.5%) にすぎなかった. 手術術式は胃酸分泌動態の検討から十二指腸潰瘍に準じ, 胃迷走神経切離術が適応となり, 他部位の胃潰瘍が併存した症例および胃酸分泌の亢進している症例では幽門洞切除術の付加が必要であると考えられた.
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胃横切・端々吻合術術後1年の食餌投与時筋電図
桑田 博文
1983 年 16 巻 10 号 p.
1753-1761
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
分節的胃切除術における幽門洞枝温存の意義を解明する目的で, 術後1年目の胃横切2群 (幽門洞枝切離群と温存群) と対照の正常群について食餌投与時の胃筋電図を観察した. 横切2群の横切上部は正常胃と同様に正蠕動放電のみで放電間隔の延長と伝播速度の促進がみられた. 一方, 横切下部は食餌投与により逆蠕動放電の減少, 正蠕動放電の放電間隔と伝播速度は正常群の幽門洞部と逆に短縮と遅延がみられ, 全く異なる異常運動が観察された. この異常運動は幽門洞枝の有無に関係なく存在し, 胃内容排出障害の問題に関係すると推察される. したがって, 分節的胃切除術の際, 幽門洞枝温存の有無にかかわらず幽門筋切離術が必要と考えられる.
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内藤 寿則, 西田 博之, 友清 明, 沢田 勉, 磯村 正, 武内 稔, 三好 敦生, 中山 陽城
1983 年 16 巻 10 号 p.
1762-1765
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
PAP法で組織CEAを反応の有無から (++) 群44例,(-) 群15例を対象とし, それに胃癌組織型を加味して4群に細分類し, 臨床病理学的に検討した.
CEA (++), 分化型癌は18例すべてが50歳以上で男性に多く, 病理所見ではintermediateが16例, INFβ13例であった. CEA (++), 未分化型26例では20例が60歳以下で女性に多く, 病理所見ではscirrhous14例, INFγ13例であった. このようにCEA (++) 胃癌は一般概念とされている組織型からの臨床病理所見の特徴がより強調されているようであった. なおCEA (-) 群においては特徴的所見は認めなかった.
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とくに他の予後規定因子との関連について
加辺 純雄, 大森 幸夫, 本田 一郎, 武藤 輝一, 岩佐 博
1983 年 16 巻 10 号 p.
1766-1771
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
深達度mの癌を除き治癒切除が施行された胃癌338例, 附属リンパ節10,134個 (1例平均30.0個) につき検討した. 転移リンパ節個数別の5生率は, 0個群73.0%, 1~5個群44.9%, 6~10個群24.1%, 11個以上群15.9%であり, 個数の増加にしたがい予後は悪化した. さらに転移リンパ節個数の増加につれ, n番号は上昇し, sinus histiocytosisは減少し, 間質リンパ球浸潤は減少し, 浸潤型であるボールマン3型, 4型が増加し, stageも上昇するといったように, 転移リンパ節個数と他の予後規定因子との間に相関関係を認めた. 以上より転移リンパ節個数による定量的検討方法は優秀な胃癌予後規定因子であり, 胃癌の生物学的特性をよく表現するものと思われる.
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中本 実, 高橋 恒夫, 井出 哲也, 森永 泰良, 成瀬 勝, 高橋 正人, 加藤 信夫, 三穂 乙実, 長尾 房大
1983 年 16 巻 10 号 p.
1778-1782
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
肝切除不能肝癌症例に対して間歇的に, 経皮経肝的による直接抗癌剤の局注を肝癌周囲に投与してはと考え, ラットを使用し, その肝に対する組織学的変化の影響と, ならびに抗癌剤の肝組織中および血中の時間的推移を検討した. 使用した抗癌剤は5FUとTegafulであるが, 組織中の濃度はTegafulでは24時間, 5FUでは4時間まで, 約0.5mcg/gを保つことが出来たが, 血中ではTegafulは6時間, 5FUでは2時間まで約0.4mcg/mlを維持出来た. Transaminaseの異常は両者とも大した差はなく, 72時間で投与前に近似した値を呈した.
組織学的に見ると, 穿刺注入部周囲への影響は, 穿刺直後は出血が主であるが, 3時間後になると, 円形細胞浸潤が出現し, 中心静脈域のanoxic changeがあり, 6時間目には抗癌剤の投与部と非投与部の境界が鮮明となり, その区域には2核を有する細胞が多数出現, 48時間になるとfibrinの析出が著明となってきた. 抗癌剤投与部の影響は穿刺部位からの細胞層から見ると, 5FUの影響がやや強いように感じられた.
以上のように, 肝局注による抗癌剤の影響は一過性であり, 抗癌剤の組織中停滞率も期待出来, 臨床的に大いに応用出来ると考えられた.
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術後密封137Cs管による胆管腔内照射の効果
伊藤 博, 阿部 要一, 鈴木 修一郎, 桐山 誠一, 櫛淵 統一, 藤田 敏雄, 藤巻 雅夫
1983 年 16 巻 10 号 p.
1783-1789
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
過去3年半の間に扱った肝門部胆管癌11例の治療成績を分析し, 切除後の補助療法の必要性を中心に検討した. 11例中5例に切除を行ったが, 全例で肝合併切除が必要であった. 切除例5例中3例が肝不全や早期再発で死亡した. 他の2例に対し, 術後密封
137Cs管をsplint catheterを介して胆管断端に挿入し, 3500~7600radの胆管腔内照射を併用したところ, それぞれ1年7ヵ月および1年4ヵ月経過した現在健在で職場復帰しており, 補助療法としての有用性を認めた. なお, 非切除6例中4例に体外照射や開創照射を行ったが, 著効例はなかった.
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小林 修, 善甫 宣哉, 藤村 嘉彦, 藤原 敏典, 新谷 清, 守田 知明, 兼行 俊博
1983 年 16 巻 10 号 p.
1790-1794
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
閉塞性黄疸患者をI群 (総ビリルビン値1.0~5.0mg/dl), II群 (5.0~10.0mg/dl), III群 (15.0mg/dl以上) 各4例と黄疸および肝・膵障害を有しない対照群5例に対し糖負荷試験を行い, 末梢静脈血の膵ホルモンについて検討した. 血糖は黄疸が亢進するに従って高値を示し, 糖尿病状態を呈した. インスリンは黄疸が亢進するに従って低下し, 早期の高反応は遅延または欠如した. グルカゴンは黄疸が亢進するに従って高値を示し, その結果, インスリン: グルカゴンモル比は黄疸が亢進するに従って低下し, インスリン優位よりグルカゴン優位となり, 糖新生能の亢進を示唆した.
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久保 章, 川本 勝, 石黒 直樹, 杉田 昭, 仲野 明, 大見 良裕, 辻仲 康伸, 福島 恒男, 土屋 周二
1983 年 16 巻 10 号 p.
1795-1799
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
大腸進行癌55症例について, 腫瘍占拠部位, 出血, 狭窄症状の有無などにわけて便中細菌叢を検索した. 対照群と比較して本症では, 総菌数, 嫌気性菌数の有意の減少が認められたが, 好気性菌については変動は認められなかった. 嫌気性菌のなかでは, Clostridium perfringensのみが直腸癌症例で有意に増加していた. 腫瘍の占居部位, 出血の有無による細菌叢の変動は認められなかった.
本症例における便中総菌数, 嫌気性菌数の減少は, 疫学的に明らかにされているdietary fiberの減少による酸化・還元電位の増加, 腸管内環境の変化などによるものと考えられた.
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森 泰則
1983 年 16 巻 10 号 p.
1800-1807
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
大腸癌に対する制癌剤のリンパ系投与を目的として,もっとも効果的な術中補助化学療法を究明するために,高分子量制癌剤でかつ殺細胞効果を有するNCSを用い動物実験を行った. 実験では他の投与法に比べ漿膜下投与法がもっとも胸管内移行が高く15分で7.6u/ml150分まで1.0u/ml以上であった. NCSはMMCに比べ高濃度を得,さらにNCSエマルジョンを用いることによりリンパ節内濃度を高めることができた. つぎに臨床例では実際に大腸癌近傍の漿膜下に術中10000u注入を行ったところ,所属リンパ節内濃度は平均1.4u/gで第1群より第3群にいくにしたがい高濃度を示し転移リンパ節にも1.24u/gのNCSを検出しえた. 現在までに水溶性制癌剤は局所注入ならびに全身投与ではリンバ行性には移行しえないと考えられてきたが,水溶性NCSの漿膜下投与により十分な濃度のリンパ系への移行が認められた.
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神谷 順一, 石榑 秀勝, 秋田 昌利, 安井 徹郎, 小谷 勝祥, 慶田 喜信
1983 年 16 巻 10 号 p.
1808-1811
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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福嶋 博愛, 林田 良三, 小深田 盛一, 白井 文夫, 武田 仁良
1983 年 16 巻 10 号 p.
1812-1815
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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内田 晃亘, 井上 章, 岡 昭, 高橋 泰夫, 楠神 和男
1983 年 16 巻 10 号 p.
1816-1819
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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平野 誠, 川浦 幸光, 森 善裕, 石田 一樹, 橋爪 泰夫, 岩 喬
1983 年 16 巻 10 号 p.
1820-1823
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
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フリー
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冨田 隆, 中井 昌弘, 東口 高志, 岡田 喜克, 五嶋 博道, 村林 紘二, 吉田 洋一
1983 年 16 巻 10 号 p.
1824-1827
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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木下 博明, 井上 直, 井川 澄人, 街 保敏, 広橋 一裕, 酒井 克治
1983 年 16 巻 10 号 p.
1828
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
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フリー
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磯野 可一, 佐藤 裕俊, 小野田 昌一, 奥山 和明, 落合 武徳, 神津 照雄, 山本 義一, 唐司 則之, 木村 正幸, 花岡 明宏, ...
1983 年 16 巻 10 号 p.
1829-1832
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
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胃癌との対比の立場から
杉町 圭蔵, 桑野 博行, 上尾 裕昭, 神代 龍之介, 井口 潔
1983 年 16 巻 10 号 p.
1833-1836
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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新本 稔, 吉中 建, 中西 幸造, 弘野 正司, 中野 章, 峠 哲哉, 服部 孝雄, 折出 光敏
1983 年 16 巻 10 号 p.
1837-1841
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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切除不能例に対する動注化学療法を中心に
藤田 昌英, 田口 鉄男
1983 年 16 巻 10 号 p.
1842-1846
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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森谷 宜皓, 小山 靖夫, 北條 慶一, 宮沢 直人, 柳川 繁雄, 筧 正兄
1983 年 16 巻 10 号 p.
1847-1851
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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5-fluorouracil (5-Fu) 坐薬, 放射線術前照射療法の試み
水沢 広和, 高橋 俊雄
1983 年 16 巻 10 号 p.
1852-1855
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
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OK-432腫瘍内注入, アンギオテンシンII併用動注化学療法
今岡 真義, 佐々木 洋, 石川 治, 谷口 健三, 岩永 剛
1983 年 16 巻 10 号 p.
1856-1860
発行日: 1983年
公開日: 2011/08/23
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フリー
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術中開創照射と自家骨髄移植を併用した大量化学療法
杉田 輝地, 田中 豊, 園田 浩基, 徳田 裕, 田島 知郎, 三富 利夫, 母里 知之
1983 年 16 巻 10 号 p.
1861-1865
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
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フリー
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安江 満悟, 森本 剛史, 落合 英一, 青木 大五, 石川 靖二, 高木 弘, 宮石 成一, 山田 栄吉
1983 年 16 巻 10 号 p.
1866-1870
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
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寺部 啓介, 渡辺 正, 今泉 宗久, 市橋 秀仁, 亀井 秀雄, 近藤 達平
1983 年 16 巻 10 号 p.
1871-1874
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
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鳥巣 要道, 坂田 正毅, 岩崎 一教, 宮原 哲郎, 豊田 清一, 伊藤 英明, 田中 二郎, 山本 裕士, 片野 光男, 武末 昌治, ...
1983 年 16 巻 10 号 p.
1875-1879
発行日: 1983年
公開日: 2011/03/02
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