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藤田 秀春, 能登 啓文, 野手 雅幸, 草島 義徳, 大戸 司, 田中 茂弘, 片山 寛次, 宮崎 逸夫
1984 年 17 巻 1 号 p.
1-5
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
昭和48年より58年3月までに教室で経験した食道扁平上皮癌108例のうち, 49例の胸部食道癌切除再建症例について検討した. 手術死亡は3例 (6.1%) であった. このうちリンパ節転移を認めたのは67.4%で, n2 (+) は23, 9%, n3以上 (+) は39.1%であるのに対し, n1 (+) 例は4.3%とごく少数であった. 胸腔内転移では (106),(108) など中部から上縦隔にかけての転移が多く, 腹腔内ではほとんどが (1),(2),(3),(7) への転移であった. 全体の累積生存率では1年71.8%, 3年50.0%, 5年28.6%であったがc0症例を除いた場合5年生存率は36.4%と比較的良好で, st IVにおいても28.6%の5年生存が得られた. n因子に関する検討ではn (-) 例の1年生存83.3%, 3年生存77.8%, 4年生存66.7%と良好であった. 一方n (+) 例では1年生存では84.2%と差異を認めなかったが, 3年生存55.0%, 4年生存33.0%と漸減した. しかし生存率の低下は比較的ゆるやかで, リンパ節郭清による延命効果が示唆された. st分類は治療成績とよく相関していたが, c I~c IIIの間には一定の傾向が認められなかった. 切除度Rと予後の関係は顕著で, R2とR3の生存率を比較すると1年生存でそれぞれ66.7%, 94.7%, 4年生存でそれぞれ12.5%, 87.5%となり, 広範囲のリンパ節郭清が治療成績の向上につながるものと考えられた.
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近側胃切除術と胃全摘術の比較
三隅 厚信, 赤木 正信, 馬場 憲一郎, 三隅 克毅, 庄嶋 健, 大津 省光, 谷村 正憲, 近藤 浩幸, 有馬 幸一, 本明 宣彦, ...
1984 年 17 巻 1 号 p.
6-14
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
噴門癌の外科的治療における問題点, ことに近側胃切除 (近切) か胃全摘 (全摘) かの術式の選択について, 近切86例, 全摘50例を対象として, 両術式の根治性, 安全性, 術後障害の面から考察を加えた. 近切は全摘に比べて, 根治性で劣ることが多く, 安全であるといいきれないし, 術後障害の面でも期待されたほど優れているとの成績が得られなかった. したがって, 噴門癌を含む上部胃癌の外科治療においては, 十分に根治性が得られる範囲内で切除線を決定すべきであり, その際切除範囲が大で胃底腺粘膜の一部を残すことができない場合は幽門側胃温存の意義は極めて少ないものと考えられた.
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曽和 融生, 加藤 保之, 大北 日吉, 須加野 誠治, 紙野 建人, 梅山 馨
1984 年 17 巻 1 号 p.
15-23
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
残胃の癌切除例を初回手術時良性疾患 (良性群) であった16例と, 初回悪性疾患 (悪性群) の12例について, 臨床的病理組織学的に検討した. 両群とも男性に, 初回手術ではBII法が多く, 再手術までの平均期間ではそれぞれ18.4年, 3.5年と良性群に長かった. 再手術時所見では両群とも進行例が, 病理組織所見では未分化型癌, ly因子陽性, INFγ例が多かった. したがって予後はわるく, 5年以上生存は初回良性群の2例のみで, 再発死亡例の平均生存期間はそれぞれ14.6ヵ月, 6.7ヵ月であった. 病巣周囲粘膜の腸上皮化生の程度は悪性群にその頻度が高かった. 以上の自験例を中心に, 残胃の癌について若干の文献的考察を加えた.
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肝薬物代謝酵素賦活による
藤本 茂, 橘川 征夫, 宮崎 勝, 大山 欣昭, 遠藤 文夫, 志村 腎範, 高橋 修, 菅沢 寛健, 河田 滋, 太田 正保, 栗原 正 ...
1984 年 17 巻 1 号 p.
24-28
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
FT-207より5-FUへの転換率を高めることを目的として肝薬物代謝酵素をphenobarbitalとglutathioneにより賦活させる術後補助癌化学療法の比較研究を, 術直後mitomycin C 0.6mg/kgを投与した切除可能胃癌202例に対して行った. 酵素の賦活により血中5-FU濃度は, FT-207投与5時間後迄対照群の2~3倍に上昇したが, 5生率は対照群99例と賦活群103例間においては差を見ず, I, II, IV期症例においても認められなかった. しかし, III期では賦活群が術後3, 4, 5年において優れた生存率 (それぞれp<0.025) を示した. 副作用として退院時における白血球減少を両群症例の約1/3に, 消化器症状も両群において約13%と略同率に認めた. また, 酵素賦活のために用いた薬剤に由来する副作用は認められなかった.
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とくにcimetidineによる実験的検討
伊原 治, 山本 修, 金子 幸二, 大原 毅, 近藤 芳夫
1984 年 17 巻 1 号 p.
29-34
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
小腸広範切除後に生ずる胃酸過分泌の対策としてcimetidineを用いて, その減酸効果を実験的に検討した. 実験はイヌを使用し, 小腸70%切除を行い, 胃酸過分泌の状態, ガストリンとの関係, cimetidineの効果を, 検索し以下の結果を得た. 1) 広範切除による胃酸分泌の変化・術前3.09mEq<術後7.60mEq (5時間), 2) 広範切除後のcimetidine投与の効果・投与群0.52mEq<非投与群4.66mEq (3時間), 減酸率は約90%. 以上の結果よりcimetidineは広範切除後に生じる胃酸過分泌に対し十分な減酸効果が得られた. またこの効果は広範切除後に生ずる高ガストリン血症には何らの影響も及ぼすことなく酸分泌を抑制したので, ガストリンの酸分泌機構のfinal mediatorはヒスタミンである可能性が示唆された.
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菅野 千治, 貝塚 広史, 岡田 恒良, 大森 英俊, 平田 善久, 吉田 博, 斉藤 和好, 森 昌造
1984 年 17 巻 1 号 p.
35-39
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
乳頭部癌切除例16例を胆道癌取扱い規約に沿ってStage分類し, 予後に及ぼす因子について検討を加え, 以下の結果を得た.
1) Stage I 2例, II7例の9例中5年以上生存は5例にみられ, 予後は良好で, Stage III 6例には5年生存はみられなかった.
2) Stage I, IIには腫瘤形成型が77.8%に, IIIには潰瘍形成型が83.3%と多くみられた.
3) 膵臓浸潤, リンパ節転移は潰瘍形成型に多く, それぞれ60.0%, 80.0%にみられた.
4) 乳頭部癌の予後に及ぼす因子として, 肉眼型では潰瘍形成型, 組織学的には膵臓浸潤とリンパ節転移が重要と思われた.
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グルカゴン負荷c-AMP肝組織血流量および肝組織像を中心に
川浦 幸光, 山田 哲司, 平野 誠, 石田 文生, 岩 喬
1984 年 17 巻 1 号 p.
40-44
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
総胆管結紮による閉塞性黄疸を作成し, 肝に与える影響を検討した.(1) 黄疸期間の延長につれて門脈血・末梢血グルカゴン値の較差が大となった.(2) 閉塞解除時にはc-AMP値の低下を認めた.(3) グルカゴン負荷c-AMP値は黄疸の期間が延長するにつれてc-AMPの応答が低下した.(4) 閉塞解除が2週間以内になされた群ではcAMP値の応答が正常群と同等にまで回復した.(5) 肝組織血流量は2週間以内に閉塞が解除されれば, 解除後1週間で正常に復した.(6) 肝組織学的所見は胆汁うっ帯, 類洞の拡張がみられた. 3週間黄疸が続くと, 閉塞解除後にもグリソン鞘の小円形細胞浸潤が残存した. 以上より, 肝外閉塞性黄疸は2週間以内に解除されるべきものと考えられる.
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中川 浩之
1984 年 17 巻 1 号 p.
45-54
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
最近10年間の当教室における閉塞性黄疸317例中51例 (16.1%) に消化管出血をみた. 本症は閉塞性黄疸の種々の合併症の中で最も頻度が高く, 死亡率も高い重篤な合併症で, 急性閉塞性化膿性胆管炎などの重症感染症に続発する例が多い. 閉塞性黄疸の術前胃液検査で感染例では塩酸ベタゾール刺激に対する胃分泌反応の遷延傾向がみられた. 一方, 術後胃分泌能は消化管出血例で著明に亢進していた. イヌの胆管結紮後2~3週に胃液量の増加を中心とした胃分泌亢進がみられた. また, 胆管結紮後, 胆管内にエンドトキシンを注入したラットでは20例中11例 (55.0%) に急性多発性胃潰瘍がみられ, 本症の発生機序として胆道感染症の重要性が強く示唆された.
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西本 知二, 山岸 久一, 鴻巣 寛, 塚本 賢治, 山田 明, 田部 志郎
1984 年 17 巻 1 号 p.
55-59
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
悪性閉塞性黄疸14例を含む胆道系疾患32例について, 減黄処置を加える前の胆管胆汁CEAを中心に検討を加えた. 対照とした良性疾患における胆管胆汁CEA値は胆嚢結石症例では7.35±3.2ng/ml (n=10), 総胆管結石症例では17.4±7.8ng/ml (n=6) であったのに対して, 胆管癌における胆管胆汁CEAは253±185ng/ml (n=6), 膵頭部癌では69±83ng/ml (n=6) であった, 胆管胆汁CEAが高値を呈する要因は, 癌が胆管内面に直接現われており, 胆汁うっ滞をともなう場合であり, 胆管胆汁CEAの測定は悪性閉塞性黄疸の診断に有用であることが示唆された.
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小林 敏幸
1984 年 17 巻 1 号 p.
60-68
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
雑種成犬を用いてglucagonとaminophylline投与後の胆汁分泌とcyclic AMP (以下c-AMP) の関係について検討した. 正常犬ではglucagonとaminophyllineは血中c-AMPの上昇と利胆作用を有した. 両物質は胆汁中のNa, Kの排出と水分量の増加作用を示したが, 胆汁酸の分泌増加は認められず, 胆汁酸非依存性分画に作用すると考えられた. 閉塞性黄疸初期には胆汁流量の増加がみられたが後期では減少した. 閉塞性黄疸時にもglucagon投与により血中c-AMPはよく反応したが, 胆汁流量は増加しなかった閉塞性黄疸が進行するとglucagonに対する血糖値やIRIの反応も低下し肝機能障害のみならず膵内分泌機能も低下すると推測された.
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二列交互配列stapleと一列配列stapleの比較を中心に
三宅 純一, 北島 政樹, 関 学, 相馬 智
1984 年 17 巻 1 号 p.
69-75
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
近年, 安全性, 確実性, 迅速性において器械吻合の有用性が高まってきた. そこで器械吻合 (二列交互配列staple, 一列配列stoaple) と用手吻合 (Gambee吻合) における創傷治癒機転について比較検討した. 実験は雑種成犬の結腸を用いて吻合術施行後, 経時的に吻合部の治癒過程について検討した. vascular communicationはGambee吻合に早く認められたが, 器械吻合では他臓器癒着が少なく, 組織反応が少ない利点が明らかであった. また, 一列と二列交互の差はほとんど認められなかった. 器械吻合臨床例は77例で吻合部出血2例, 狭窄5例, 縫合不全5例であった. 用手吻合困難な部位での器械吻合は, 極めて有用性が高い吻合法であると考えられた.
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初瀬 一夫, 河野 道弘, 門田 俊夫, 黒川 胤臣, 田巻 国義, 加辺 純雄, 溝口 修身, 平出 星夫, 三村 一夫, 玉熊 正悦
1984 年 17 巻 1 号 p.
76-80
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
術前術後超音波検査の肺転移, 他臓器浸潤をretrospectiveに評価し, 以下の結果をえた. 対象は昭和56年4月から昭和57年4月までに超音波検査を施行した術前患者46名 (胃癌26名, 結腸・直腸癌20名) と術後患者20名である.(1) 術前超音波検査でfalse positiveはなく正診率は95.6%であった.(2) 最小1cm大の肝内腫瘍が超音波で描写可能であった.(3) 転移性肝癌のエコーはhaloを伴う高エコーレベルパタ-ンを呈するものが多かった.(4) 膵浸潤陽性の場合膵辺縁エコーが局所的に強い上に凹凸不整であるように思われた.(5) 結腸・直腸癌術後ではCEAの追跡とともに超音波検査を定期的に施行することにより, 切除可能な肝転移巣発見に結びつくと思われた.
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伊藤 久, 八木田 旭邦, 渡辺 寧, 加賀 文貴, 内山 周也, 小野 美貴子, 北島 政樹, 立川 勲, 相馬 智
1984 年 17 巻 1 号 p.
81-84
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
Shizophyllan (以下SPG) は, 担子菌 (スエヒロタケ) の培養濾液より分離された抗腫瘍効果を示す多糖類である. SPGは, マクロファージのライソゾームを膨化し腫瘍細胞に密に接する. われわれはこのマクロファージの活性がライソゾーム酵素の活性と密接な関係にあるものと考え, リゾチームを臨床的に測定した. SPG投与は, 胃癌の根治手術例のみを対象とした. SPG投与例10例の血清リゾチーム値は, 43.0±7±8γ/ml, SPG非投与例10例の血清リゾチーム値は, 34.9±4, 9γ/ml, とSPG投与例は非投与例に比べて有意に高値であった (p<0.05). SPGの総投与量と血清リゾチーム値との相関は見い出せなかった. 血清リゾチーム値は, 生体の免疫活性, 特にマクロファージの活性を反映する可能性が示唆された.
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東口 高志, 中井 昌弘, 岡田 喜克, 冨田 隆, 五嶋 博道, 吉田 洋一, 上原 伸一, 佐藤 芳邦, 村林 紘二
1984 年 17 巻 1 号 p.
85-90
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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島 伸吾, 杉浦 芳章, 米川 甫, 吉往 豊, 尾形 利郎
1984 年 17 巻 1 号 p.
91-94
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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および胃外発育性胃癌本邦報告33例の検討
小澤 正則, 杉山 讓, 森田 隆幸, 吉田 尚弘, 盛田 真伸, 小野 慶一
1984 年 17 巻 1 号 p.
95-98
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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渡辺 千尋, 斉藤 光, 埜口 武夫
1984 年 17 巻 1 号 p.
99-102
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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山崎 義和, 神津 照雄, 円山 正博, 荻野 幸伸, 高橋 敏信, 谷口 徹志, 竜 崇正, 渡辺 義二, 久賀 克也, 小高 通夫, 佐 ...
1984 年 17 巻 1 号 p.
103-106
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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奥山 伸男, 洪 仲根, 鶴見 清彦, 跡部 俊彦
1984 年 17 巻 1 号 p.
107-110
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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新藤 健, 西平 守夫, 若林 孝幸, 中崎 晴弘, 柳田 謙蔵, 吉雄 敏文
1984 年 17 巻 1 号 p.
111-114
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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三樹 勝
1984 年 17 巻 1 号 p.
115-118
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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鈴木 範美
1984 年 17 巻 1 号 p.
119-123
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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谷村 弘
1984 年 17 巻 1 号 p.
124-126
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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久次 武晴
1984 年 17 巻 1 号 p.
127-131
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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小野 慶一
1984 年 17 巻 1 号 p.
132-135
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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相馬 智
1984 年 17 巻 1 号 p.
136-139
発行日: 1984年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー