経胸的食道離断術後の食道運動機能を検索する目的で, 食道筋電図検査と下部食道内圧検査を用いて, 実験的ならびに臨床的研究を施行した. 食道離断術を施行したイヌに慢性植え込み電極法を施行し, 無麻酔・無拘束で嚥下にともなう食道筋電図を観察したところ, 術後早期では離断部区側から肛門側へのburstの伝達率は11.6%と障害されていた. また, この手術を施行した臨床例においても32.4%に嚥下困難を, 80%に食道透視上, 離断部肛門側の蠕動運動の欠如を認めた. 食道離断術後の食道運動機能を温存するためには噴門括約機構を破壊せず, しかも離断部位をできるだけ肛門側にし, 可能であれば粘膜を全周性に離断しない方法が良いと考えられた.
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