日本消化器外科学会雑誌
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19 巻, 5 号
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  • 残胃癌発生のriskに関する検討
    小澤 正則, 三上 泰徳, 杉山 譲, 羽田 隆吉, 小野 慶一
    1986 年 19 巻 5 号 p. 881-886
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃良性疾患のため胃部分切除を施行しBillroth II法で再建した43例について術後7~21年6ヵ月経過後の胃粘膜を検討対象とした.内視鏡所見では吻合部の発赤・びらんは30.3%, ポリープ病変は11.6%にみられたが, これと胆汁逆流との因果関係は明らかでなかった.残胃生検標本において固有胃腺萎縮の程度は吻合部に最も高度で, その改築像としての偽幽門腺化, 腺管嚢胞状拡張および腺管異型の所見も同部に高頻度で出現した.しかし術後15年を境に症例を2群に区分して各組織所見の出現頻度を比較すると後半の症例で増加する傾向は認められなかった.また腸上皮化生が残胃に新生したものは4.7%と著しく低率であることを指摘した.
  • 旭 博史, 渡辺 正敏, 阿部 正, 西成 尚人, 森 昌造, 及川 和彦
    1986 年 19 巻 5 号 p. 887-892
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    携帯用小型pH記録装置を用い, より生理的な状態での胃内pH24時間連続測定を行った.対象は胃潰瘍9例, 十二指腸潰瘍6例, 迷切例17例とした.十二指腸潰瘍の24時間胃内pHは摂食時を除き1~1.5と低く推移した.胃潰瘍ではpHは1~2の間で推移し, 夜間にpHが著明に上昇するもの (4例) と十二指腸潰瘍のように低く推移するもの (5例) がみられた.迷切例では日中のpH上昇が大きいが, 夜間ではpH1.5前後で低く推移した.得られたpH値を10分毎にH+ activityに換算しその平均を求めた.24時間の平均H+ activityは十二指腸潰瘍66.7±9.0 (M±SE mEq/l), 胃潰瘍44.5±4.8, 迷切例46.5±3.5で十二指腸潰瘍が高値を示した.
  • 仲原 正明, 宮田 正彦, 中尾 量保, 浜路 政靖, 坂本 嗣郎, 橋本 創, 田中 康博, 青野 豊一, 中場 寛行, 中室 誠, 森田 ...
    1986 年 19 巻 5 号 p. 893-900
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    手術侵襲にともなう上部消化管出血に対するH2-receptor antagonist (シメチジン: 800mg/日) の止血効果・出血予防効果を, 各種外科手術118例につき検討した.治療投与は56例で, 止血有効率は大量出血1/10, 中等量出血13/19, 少量出血25/27であった.血管非露出潰瘍やビラン性胃炎の出血にシメチジンの止血効果を認めた.止血後再出血をきたした10例は臓器不全や重症感染症症例であった.シメチジン投与群は対照群に比べ, 完全止血率が有意に高かった.一方, 予防投与は62例で8例に術後出血を認めた.臓器不全や重症感染症合併例は, 非合併例に比べ術後出血率が有意に高かった.術前に消化性潰瘍を認めた17例のうち術前潰瘍病変からの出血は, 複合臓器不全の1例のみであった.
  • 高橋 司, 藤井 源七郎, 武田 泰隆, 藤井 祐三, 萩原 哲郎, 江里口 正純, 宮本 洋寿, 若林 とも, 森 茂郎
    1986 年 19 巻 5 号 p. 901-908
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌35症例について経内視鏡的点墨法により胃癌の局所リンパ流について検討した.従来報告されてきた胃の主要リンパ流を認めた他に, 広範囲な癌の広がりを持つ症例では, 噴門部近傍に点墨してもほぼ全域のリンパ節に墨汁の取り込みが認められた.また小弯リンパ節に癌転移を認めた例では6例中2例に, 大弯リンパ節右群あるいは幽門下リンパ節に癌転移を認めた3例のうち2例に局所リンパ流遮断によると思われる異常リンパ流を認めた.一方, 左胃動脈幹リンパ節, 総肝動脈幹リンパ節, 脾動脈幹リンパ節には, 45%, 64%, 45%と高率に墨汁の取り込みが認められ, 胃の1次リンパ節として胃癌の手術に際し, 十分に郭清する必要があると考えられた.
  • 浜田 吉則, 駒田 尚直, 今林 伸康, 中根 恭司, 高田 秀穂, 山村 学, 日置 紘士郎, 山本 政勝
    1986 年 19 巻 5 号 p. 909-913
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌患者70例を対象とし, 経時的に血清carbohydrate antigen 19-9 (以下CA19-9) 値および血清CEA値を測定しその臨床的有用性を検討した.胃癌の血清CA19-9陽性率は22.9%(16/70) でstage別では病期の進行にともない有意に上昇した.術前異常値16例中治癒切除のおこなわれた12例では, 術後血清CA19-9値は有意に低下した.一方切除不能例4例はすべてstage IV症例で, とくにH3の2例は著明な高値を示した.また血清CA19-9陽性率はリンパ節転移, 肝転移, 最大腫瘍径の因子により有意に上昇した.さらに血清CA19-9値と血清CA値を併用することにより胃癌の陽性率は上昇し, その診断能は向上した.以上より血清CA19-9値の測定は, 胃癌患者の病期や治療効果を知る上で有用であった.
  • 門脈血行動態に及ぼすdobutamineとdopamineの影響
    星野 澄人, 野浪 敏明, 加藤 俊之, 朝日 憲治, 中尾 昭公, 末永 昌宏, 高木 弘
    1986 年 19 巻 5 号 p. 914-919
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    門脈血流量を測定する目的で, 門脈用Swan-Ganz catheterを作成した.モデル回路内での流量測定実験において, 局所熱希釈法による測定流量値と実測流量値の間には, 極めて良好な一次相関が得られた.さらにこのカテーテルを用いdobutamineとdopamineの門脈血行動態に及ぼす影響につき雑種成犬を用い実験的研究を行った.その結果, 門脈血流量はdobutamineでは30~50%, dopamineでは10~30%の増加がみられ, さらに心拍出量増加に対する門脈血流量増加の割合もdobutamineがdopamineに比較して大なる傾向が認められた.門脈圧はdobutamineでは低下傾向 (8.4±2.1→7.4±1.6mmHg), dopamineでは上昇傾向 (7.4±1.4→10±1.7mmHg) がみられ, 門脈血管抵抗もdobutamineはdopamineに対して有意に低値をとった.
  • 発生頻度を中心に
    杉山 讓, 小澤 正則, 三上 泰徳, 羽田 隆吉, 志田 正一, 戸張 雅晴, 森谷 洋, 遠藤 正章, 宮城島 堅, 吉田 尚弘, 福島 ...
    1986 年 19 巻 5 号 p. 920-924
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    昭和50年~58年までの胃癌切除患者を対象に胆道の超音波検査を施行, 胃癌切除後胆石症について検索した.最終検査施行時までの術後経過期間は1~10年, 対象は便宜上A (147例), B (85例), C (99例) の3群に大別, 比較した.術後経過期間の長いA, B群をあわせてみると胆石発見率は21.8%であった.男女別発見率は男21.9%, 女21.4%と性別差はなかった.胃切除術式別発見率は亜全摘21.5%, 全摘22.2%と切除術式による差異はなかった.胃再建術式別発見率についてはA, B群の術式にかたよりがあるため, C群症例の積み重ねが必要である.胆石発見時期はA, B群の81.3%の症例が5年以内に発見されていることより, 本症の経過観察には胃癌切除後最低5年必要と思われた.
  • 吉田 晃治, 戈津 秀樹, 野中 道泰, 上田 俊明, 吉田 浩晃, 江里口 直文, 中山 陽城, 中山 和道
    1986 年 19 巻 5 号 p. 925-932
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    広義のMirizzi症候群14例を直接胆道造影所見より総肝管圧排型 (以下圧排型), 胆嚢, 胆管瘻型 (内瘻型), 三管合流部結石型 (合流部型) の3型に分類した.術前診断は9例に可能で, その方法はDICによる2例以外直接胆道造影である.直接造影にて圧排型, 内瘻型では三管合流部を中心に胆管の圧排狭窄著明であるが, 胆汁の流出障害は軽度である.また内瘻型の瘻孔確認は困難である.合流部型では結石による上部胆管の拡張と透亮像を認める.術式は圧排型では胆嚢部分切除と胆嚢粘膜焼灼術, 内瘻型では胆嚢切開切石術と胆嚢壁使用によるpatch graft法で胆管形成術および胆道ドレナージ, 合流部型では胆嚢または総胆管切開切石術と拡大した胆嚢管部より胆道ドレナージおよび胆嚢管縫縮術が基本術式である.
  • 小菅 智男, 別府 倫兄, 柴山 和夫, 高見 実, 高木 正和, 出月 康夫
    1986 年 19 巻 5 号 p. 933-937
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1965年以降20年間の胆嚢癌手術症例49例の遠隔成績を検討した.後半の10年では前半の10年に比べ, 治療成績の向上が認められた.主な要因は早期症例の増加にあるが, 術式の拡大にともない進行例の治療成績も改善しつつある.特に治癒切除例の予後は比較的良好であり, stage III, IVでも8年以上の長期生存例を得ている.しかし姑息切除では予後の改善は得られなかった.また3年以上生存例10例を検討すると長期に生存したのは早期例かHinfを主体とする進行癌であった.したがって早期症例の発見に努めるとともに局所進展主体の進行癌に対しては積極的に拡大根治手術を行うことが治療成績の向上につながると考えられる.
  • 八木 雅夫, 高野 直樹, 山口 明夫, 竹下 八洲男, 小西 孝司, 藤田 秀春, 永川 宅和, 宮崎 逸夫
    1986 年 19 巻 5 号 p. 938-941
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    膵および十二指腸切除後の骨障害を検討するため, 膵頭十二指腸切除9例にPFD, 5g D-xylose試験と糖負荷試験を実施し, microdensitometer法 (MD法) により骨量の計測を行った.同時に測定した膵全摘1例を含め, PFDは17.8~50.0%, D-xylose尿中排泄値は0.708~1.372gと全例に消化吸収障害を認め, 膵頭十二指腸切除8例に耐糖能異常を認めた.また, MD法では膵頭十二指腸切除6例が重症度4~6で初期の骨障害を示し, 膵全摘例では重症度14でIII度の骨障害を示した.骨障害の重症度と消化吸収障害の重症度との間には関連性は認められなかったが, 術後経過期間との間には有意の正の相関が認められ, 骨障害は術後経時的に高度化すると考えられた.
  • 疼痛に対する効果を中心として
    池田 由弘, 松野 正紀, 小寺 太郎, 小針 雅男, 久野 弘武, 加藤 宣誠, 山内 英生, 佐藤 寿雄, 山田 章吾
    1986 年 19 巻 5 号 p. 942-947
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    切除不能膵癌40例に対して電子線術中照射を施行し, 除痛効果, 延命効果について検討した.照射線量は2,000~3,500rad, 照射電圧は10~15MeVであり, 内臓神経ブロックを22例に, 化学療法を33例に併用した.その結果, 鎮痛剤使用量を指標とした除痛効果判定において, 鎮痛剤使用量が照射後, ほぼ不要 (術前の約10%以下) になった著効例は11例, 鎮痛剤使用量が減少した (術前の約70%以下) 有効例は14例で, 計25例 (62.5%) に除痛効果を認め, 無効例は9例 (22.5%) にすぎなかった.術後平均生存期間は6.4ヵ月であり, 非照射例の4.4ヵ月よりも有意に長かった.本法は進行膵癌に対する有効な治療法であると考えられる.
  • とくに抗菌剤の併用によるantibacterial preparationに関する実験
    横山 隆捷
    1986 年 19 巻 5 号 p. 948-956
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Elemental diet (ED) をcolon preparationとして臨床に用いた場合, 従来のcoloh preparationに比較し, 宿便 (+) 群での創感染発生率で, 58.8%が15%に減少し, また縫合不全発生率で27.3%が6.7%に減少した.また大腸癌にともなう腸管の通過障害を想定し, ラットに狭窄モデルを作成した後, EDのcolon preparationとしての有効性を検討した結果, 便重量は固型飼料投与群に比べ1/6以下に激減し, 細菌学的検索においては, EDとKMおよびMetronidazoleを併用投与することで, 好気性菌, 嫌気性菌に対し, 極めて有効な抗菌作用を示し, EDがmechanicalおよびantibacterial colon preparationとして有用なことを実証した.
  • 奥野 匡宥, 池原 照幸, 阪本 一次, 加藤 保之, 長山 正義, 由井 三郎, 梅山 馨
    1986 年 19 巻 5 号 p. 957-962
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    最近13年間の当科における大腸癌手術例570例のうち, イレウス症状を示した49例を中心に臨床ならびに病理組織学的にご検討した.大腸癌イレウスの発生頻度は全大腸癌の8.6%で, 部位別には盲腸・横行結腸での発生頻度が高かった.イレウス例では病期の進行した症例が多く, 切除率73.5%, 治癒切除率44.9%で直死率も6.1%であった.累積5生率はイレウス例の全例では33.2%, 治癒切除例では59.4%で, 非イレウス例の56.4%, 77.1%に比べて低率であった.大腸癌イレウスでは精力的な保存的療法を併用しつつ, 全身状態の回復をはかり, できれば待期的, 一期的治癒切除術を行うことが望ましいと考えられる.
  • 転移部位と転移経路について
    加藤 岳人, 高橋 孝, 太田 博俊, 小鍛治 明照, 金井 道夫, 西 満正, 梶谷 鐶
    1986 年 19 巻 5 号 p. 963-968
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1946年から79年までに癌研外科で治療した直腸癌単発根治手術のうち側方転移を有した97例を用いて, 内腸骨動脈系リンパ節を上膀胱動脈分岐部を境に根部と幹部に分類して, 転移部位別に転移頻度, 上方向転移との相関, 5年生存率について検討を加えた.その結果, 内腸骨根部と幹部リンパ節ともに転移が存在する場合は, そのいずれかにのみ転移が限局している場合に比べ, 癌の選行度が一段階進んでいると考えられた.さらに, この臨床成績から2つの内腸骨動脈系リンパ節への転移経路が想定できた.
  • 山本 誠己, 勝見 正治, 河野 暢之, 谷口 勝俊, 山本 達夫, 尾野 光市, 浅江 正純, 稲生 誠樹
    1986 年 19 巻 5 号 p. 969-972
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 豊泉 惣一郎, 小沢 弘侑, 鈴木 昭一
    1986 年 19 巻 5 号 p. 973-976
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 吉住 豊, 向井 清, 島 伸吾, 杉浦 芳章, 米川 甫, 大塚 八左右, 尾形 利郎
    1986 年 19 巻 5 号 p. 977-980
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 加藤 智栄, 斉藤 永, 小田 達郎, 中村 勝昭
    1986 年 19 巻 5 号 p. 981-984
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 木下 弘寿, 山本 義一, 竜 崇正, 花岡 明宏, 小高 通夫, 佐藤 博
    1986 年 19 巻 5 号 p. 985-988
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 関野 秀継, 八木 雅夫, 宮崎 逸夫, 吉光 外宏
    1986 年 19 巻 5 号 p. 989-992
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 松本 潤, 南 智仁, 小野寺 時夫, 矢沢 知海, 水口 国雄
    1986 年 19 巻 5 号 p. 993-996
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 吉井 修二, 秋元 博, 原 伸一, 石井 義之, 柏木 秀幸, 堀 訓也, 曽爾 一顕
    1986 年 19 巻 5 号 p. 997-1000
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 金光 敬一郎, 大熊 利忠, 大塚 憲雄, 辻 龍也, 宮内 好正, 前田 浩司
    1986 年 19 巻 5 号 p. 1001-1004
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 船戸 善彦, 堀田 哲夫, 斉藤 一史, 三浦 格, 水野 力, 辻 秀樹
    1986 年 19 巻 5 号 p. 1005-1008
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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