-
今田 敏夫, 安部 雅夫, 野口 芳一, 青山 法夫, 山本 裕司, 田村 聡, 赤池 信, 天野 富薫, 松本 昭彦, 小泉 博義
1988 年 21 巻 5 号 p.
1231-1235
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
同時性に発生した食道胃重複癌切除症例7例を対象とし, その診断, 手術および治療成績について検討した.
術前に7例中5例が食道, 胃病変ともに正しく診断されたが, 特に鑑別診断上重要と思われたのは食道癌の胃壁内転移であった.
手術々式はリンパ節郭清を考慮し, 胸部食道病変に対しては胸部食道全摘が, 胃病変に対しては病巣がAまたはMに存在する場合, あるいはCに存在し進行癌と考えられる場合には胃全摘術が, Cに存在し早期癌と考えられる場合には噴門側切除が行われた. しかし, 治療成績は不良で7例中5例が術後1年以内に死亡した. また, 2例が術後肺合併症で死亡した点から手術適応の決定は慎重にすべきと思われた.
抄録全体を表示
-
中根 恭司, 岡本 真司, 笠松 聡, 朴 常秀, 広実 伸郎, 今林 伸康, 日置 紘士郎, 山本 政勝
1988 年 21 巻 5 号 p.
1236-1242
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
70歳以上を高齢者とし, 70~74歳, 75~79歳, 80歳以上の3群に分け60~69歳胃癌と対比して術後合併症よりみた外科治療上の問題点について検討した.
術後合併症としては縫合不全, 肺合併症が多くみられたが各年齢間に差はなかった.術前機能検査成績と術後合併症との関係では各年齢群とも相関はみられなかった.術後合併症の発生に関与する因子として胃の切除範囲, 手術時間, 出血量が挙げられた.治癒切除例の遠隔成績は良好であった.以上のことから術後合併症の発生予防には手術時間3時間, 出血量500mlを一応の基準とすべきと思われるが, 耐術性ありと判断し治癒切除が可能であれば, 高齢者とはいえ積極的に根治性のある胃切除を行うべきであると考えられた.
抄録全体を表示
-
久保 正二, 酒井 克治, 木下 博明, 広橋 一裕, 街 保敏, 鄭 徳豪, 福嶋 康臣, 岩佐 隆太郎, 季 光春
1988 年 21 巻 5 号 p.
1243-1247
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
肝切除施行small liver cancer (細小肝癌) 16例を検討した. 細小肝癌は無症状や不定愁訴の場合が多く, その発見にはhigh risk groupの設定とα-fetoprotein値の測定や超音波検査の施行が重要である. 腫瘍は全例結節型で, 被膜および被膜外浸潤はそれぞれ4例にみられたが, 脈管侵襲はみられなかった. 再発例を検討すると部分切除例, 被膜外浸潤例, TW (+) 例であり, 系統的肝区域切除術を行うべきである. 肝癌の占拠部位や肝機能によっては非切除療法を行わざるをえないが, 肝動脈塞栓術のみでは根治性は少なく, 経皮経肝門脈枝塞栓術などの併用が望ましい. 画像診断法の限界やその予後から, 細小肝癌は肝癌の早期癌に相当すると考えられた.
抄録全体を表示
-
河合 庸仁, 山本 貞博, 竹重 言人, 荒川 敏之, 黒田 博文, 鬼頭 正人, 鈴木 寛路, 長谷川 誠, 田中 信臣, 田中 一正, ...
1988 年 21 巻 5 号 p.
1248-1252
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
肝細胞癌164症例の背景因子, 治療法別の累積生存率を比較検討した. 病期の分布はStageI: 11例, StageII: 39例, StageIII: 41例, StageIV: 73例であった. 3年生存率はStageI, IIでは肝硬変併存肝切除群: 13%, 硬変非併存肝切除群: 63%, 肝動脈塞栓療法群: 53%であり, StageIII, IVでは肝硬変併存肝切除群: 0%, 硬変非併存肝切除群: 22%, 肝動脈塞栓療法群: 20%であった. 3年以上生存した症例は被膜があり, 高分化型で, 脈管侵襲や肝内転移を持たない特徴があった. 食道静脈瘤出血の既往がある症例では直達手術, 硬化療法の併施が予後の改善に有用であった.
抄録全体を表示
-
川口 英弘, 岡村 直孝, 吉田 奎介, 白井 良夫, 篠川 主, 福田 喜一, 土屋 嘉昭, 武藤 輝一, 内田 克之
1988 年 21 巻 5 号 p.
1253-1258
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
当科で経験した胆嚢癌二期手術例10例を対象とし, 二期手術の妥当性と選択すべき術式につき検討した. 腫瘍の主占居部位が胆嚢に限局 (胆嚢管非浸潤例) している深達度ss以上の進行癌症例 (5例) では, 胆嚢摘出術に肝床・胆管切除+2群リンパ節郭清を加えることで治療成績の向上が期待できるものと考えられたが, 胆嚢管浸潤例 (5例) では予後不良であり, 膵頭十二指腸切除+肝切除+3群リンパ節郭清が適応されるべきと考えられた. また手術侵襲の程度を一期手術例と比較したが, 手術時間・出血量・術後の経口摂取開始日・術後合併症・術後入院期間においては差は認められず, この点からも積極的に二期手術を施行すべきであると考えられた.
抄録全体を表示
-
下沢 英二
1988 年 21 巻 5 号 p.
1259-1268
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
膵部分切除後の残存膵に対する体外分割照射が内分泌機能に与える影響を知る目的で, 雑種成犬を用いて60%膵切除を行い, 術後3週間を経た時点で臨床効果30GYおよび60GY相当の体外分割照射を行って切除単独群と比較検討した. 3ヵ月時の耐糖能は血糖消失率K値で切除単独群1.32±0.33, 30GY群1.07±0.58, 60GY群1.03±0.55といずれも境界型を示した. しかし照射の有無および量による影響はなかった. 電顕像の計量組織学的検索では実験群でInsulin穎粒の増加と同顆粒のVolumeDensityの増加 (正常対照10.6, 切除単独群14.1, 30GY群26.9, 60GY群22.4) がみられた. 60%膵切除・照射後3ヵ月時にみる限り, 照射による内分泌機能への影響は認められなかった. 耐糖能保時の因子としてラ島機能の亢進が考えられた.
抄録全体を表示
-
特に嚢胞内容液の分析を中心として
長堀 薫, 河野 哲夫, 在原 文夫, 松本 由朗, 菅原 克彦, 横井 隆志, 西山 潔, 土屋 周二, 大秋 美治, 新明 紘一郎, 洲 ...
1988 年 21 巻 5 号 p.
1269-1276
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
過去20年間の自験膵嚢胞性疾患20例中, 仮性嚢胞は9例, 真性嚢胞は11例であった. 腹痛は仮性嚢胞の全例にみられたのに対し, 真性嚢胞では6例が腹痛を伴わない腹部腫瘤を主訴とした. 血清アミラーゼ値は仮性嚢胞の9例中8例が229~1,580IU/
lと高値を示した. 嚢胞の存在診断にはCTおよび超音波検査が有用であったが, 質的診断には不十分であった. 嚢胞内容液のアミラーゼ値は真性嚢胞が4.398±9.1311U/
lであるのに対して仮性嚢胞では199, 360±135,58IIU/
lと著しく高値であった. また, 細胞診では悪性例6例中4例がclass IV, またはclass Vであった. 内容液のCEA値は, 悪性例では50,278±83,948ng/mlで, 良性例の256±141ng/mlと比べ有意に高値を示した. 以上より, 嚢胞内容液のアミラーゼ値, 細胞診, CEA値は膵嚢胞性疾患の質的診断に有用と考えられた.
抄録全体を表示
-
萱原 正都, 永川 宅和, 上田 順彦, 前田 基一, 秋山 高儀, 神野 正博, 太田 哲生, 上野 桂一, 小西 一朗, 宮崎 逸夫
1988 年 21 巻 5 号 p.
1277-1281
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
過去13年間に教室で経験した膵頭部癌切除症例43例のうち剖検および画像診断で再発の確認された18例を対象とし, 再発形式からみた膵頭部癌の手術術式のあり方について検討した. 剖検例12例のうち肝転移は8例 (67%) であったのに対し, 後腹膜再発・再燃は11例 (92%) と高率に認められた. さらに切除標本の検索で膵周囲切離・剥離面に癌浸潤を認めなかった症例 (ew (-)) の4例中3例 (75%) に後腹膜再発がみられた. また, 肝転移をみた8例中7例 (88%) に後腹膜局所再発・再燃を伴っていたことが注目された. 非剖検例6例については5例 (83%) に後腹膜再発が確認された. 以上より, 膵頭部癌治療成績向上には広範囲後腹膜郭清膵切除術が必要である.
抄録全体を表示
-
大塚 八左右, 米川 甫, 島 伸吾, 杉浦 芳章, 吉住 豊, 田中 勧, 尾形 利郎
1988 年 21 巻 5 号 p.
1282-1287
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
肝硬変に伴う脾機能亢進症10例に対して部分的脾動脈塞栓術 (Partial Splenic Embolization) を施行し, その効果, 肝機能に及ぼす影響, 合併症とその対策について検討した. 血小板数は本法施行後3日目より急激に増加し, 12ヵ月経過後においても9.1±2.7×104/mm
3と施行前より有意な上昇が持続した (p<0.05).本法により血小板数の増加を持続的に得るためには脾の50~70%の梗塞範囲が必要であった. 本法は肝予備能の悪い症例やhigh riskの症例に対しても安全に施行することができ, 発熱などの副作用は保存的対処が可能であった. また肝機能に及ぼす影響は一過性であった. 本法の効果が不十分であった症例には反復する必要があると思われた.
抄録全体を表示
-
横山 正之, 更科 広美, 斉藤 典男, 新井 竜夫, 布村 正夫, 谷山 新次, 井上 育夫, 井原 真都, 奥井 勝二, 古山 信明, ...
1988 年 21 巻 5 号 p.
1288-1293
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
当科で経験したCrohn病手術症例27例 (小腸型13例, 大腸型7例, 小腸大腸型7例) について臨床的検討を加えた.
手術適応として初回手術では閉塞症状, 再手術では内外瘻孔形成によるものが多かった. 手術々式は主として病変部を中心とした腸切除が行われたが, 当初の広範囲切除から次第に小範囲切除の傾向を示し, さらに最近では病変部を空置してバイパス手術兼粘液瘻造設術が試みられ, 良好な経過が得られた. 全症例の再手術率は27例中13例, 48,1%であり, このうち小腸大腸型が7例中4例, 57.1%と最も高率であった. 腸切除範囲の大小による累積再手術率に有意の差を認めなかった.
抄録全体を表示
-
年齢からみた特徴について
大下 裕夫, 田中 干凱, 伊藤 隆夫
1988 年 21 巻 5 号 p.
1294-1300
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
虫垂炎手術例821例の年齢による特徴について検討した. 1) 幼児群と高齢者群の頻度はそれぞれ2.6%, 2.9%と低率であった. 2) 穿孔性虫垂炎は幼児群と高齢者群に, カタル性虫垂炎は高学齢群に多かった. 3) 嘔吐は幼児群と低学齢群に多く, 下痢は幼児群と高齢者群に多く出現した. 4) 幼児群では平熱例が9.5%と少ないが, 発熱例は52.6%と高率であった. また, 発熱は加齢とともに減少する傾向がみられた. 5) 筋性防衛は幼児群と高齢者群で66.7%と高率に出現した. 6) 白血球数は幼児群では15,000/mm
3以上の増多を示す例が多いのに対し, その他の年齢群では14, 900/mm
3以下の軽度増多例が多かった. 7) 術後合併症は幼児群と高齢者群に多く発生した.
抄録全体を表示
-
金井 道夫, 近藤 成彦, 梛野 正人, 栗木 浩, 向山 博夫, 浅野 昌彦, 森 光平, 丹野 俊男, 二村 雄次
1988 年 21 巻 5 号 p.
1301-1307
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
止血を目的として緊急経カテーテル的動脈塞栓術を施行した腹部大量出血例11例を対象として, その有用性をretrospectiveに検討した.
全例ただちに止血され, 8例では, 再出血を認めなかった (緊急止血率100%, 著効率73%).複数の動脈に支配される領域からの出血例3例中2例に再出血を認めた.主幹動脈の破綻例4例のうち, 主幹動脈そのものの血流を遮断した3例は再出血を認めなかった.死亡例5例の死因は, 重篤な基礎疾患に起因したものであった.塞栓による合併症は認めなかった.
以上, 緊急経カテーテル的動脈塞栓術は, 従来緊急手術の適応であった腹部大量出血例に対しても有用かつ安全な止血法と思われた.
抄録全体を表示
-
林 秀樹, 横山 健郎, 柏原 英彦, 蜂巣 忠, 大森 耕一郎, 粟野 友太, 木下 弘寿, 浜口 欣一, 原 輝彦, 平島 毅
1988 年 21 巻 5 号 p.
1308-1311
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
谷木 利勝, 善成 雅彦, 戸田 和史, 先山 正二, 大下 和司, 木村 秀, 宇山 正, 佐尾山 信夫, 森本 忠興, 原田 邦彦, 門 ...
1988 年 21 巻 5 号 p.
1312-1315
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
浦住 幸治郎, 遠藤 清次, 二瓶 光博, 野水 整, 六角 裕一, 阿部 力哉
1988 年 21 巻 5 号 p.
1316-1318
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
高橋 隆一, 植松 義和, 高田 育明, 栗原 英二, 藤崎 真人, 菊池 潔, 田村 哲郎
1988 年 21 巻 5 号 p.
1319-1322
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
平田 展章, 金 昌雄, 前田 克昭, 西山 誠, 赤松 大樹, 北川 晃, 岡野 錦弥
1988 年 21 巻 5 号 p.
1323-1326
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
村田 幸平, 門田 守人, 小林 研二, 後藤 満一, 左近 賢人, 山田 毅, 森 武貞, 丸山 太朗, 黒田 知純, 若狭 研一, 桜井 ...
1988 年 21 巻 5 号 p.
1327-1330
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
淵本 定儀, 金 仁洙, 折田 薫三, 山田 征一, 西山 正夫
1988 年 21 巻 5 号 p.
1331-1334
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
内田 立生, 吉田 晃治, 野中 道泰, 淵上 量三, 田代 和弘, 野口 秀哉, 浦口 憲一郎, 才津 秀樹, 杉原 茂孝
1988 年 21 巻 5 号 p.
1335-1338
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
三好 信和, 中井 隼雄, 中光 篤志, 平田 敏明, 水流 重樹, 井藤 久雄, 嶋本 文雄
1988 年 21 巻 5 号 p.
1339-1342
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
田中 信孝, 岡本 英三, 豊坂 昭弘, 飛田 忠之, 鈴木 栄太郎, 能勢 勝義, 神野 浩樹, 中村 清昭
1988 年 21 巻 5 号 p.
1343-1346
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
荘司 康嗣, 楠 正人, 山村 武平, 松本 正道, 藤本 佳久, 宇都宮 譲二, 松岡 學
1988 年 21 巻 5 号 p.
1347-1350
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
小腸被爆防止のための一工夫
山本 明, 藤村 昌樹, 平野 正満, 佐藤 功, 新屋 久幸, 馬場 裕司, 西沢 弘泰, 和田 道彦, 岡田 慶夫
1988 年 21 巻 5 号 p.
1351-1354
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
-
添田 耕司, 浅野 武秀, 田畑 陽一郎, 山本 義一, 林 春幸, 小野田 昌一, 小高 通夫, 磯野 可一
1988 年 21 巻 5 号 p.
1355
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー