日本消化器外科学会雑誌
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28 巻, 12 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 田中 幸一, 左野 千秋, 神代 龍之介, 山崎 繁通, 城戸 和明, 犬塚 貞光
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2227-2235
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    表在食道癌の悪性度をより的確に予測するために, パラフィン切片を用いた免疫組織学的方法で表在食道癌のepidermal growth factor (EGF) とepidermal growth factor receptor (EGFR) を検討した.対象は術前未治療の表在食道癌36例で, 進行食道癌32例をコントロールとした.表在癌では深達度がsm3がmm, sm2に比べ, またリンパ管侵襲陽性例が陰性例に比べEGFの発現が有意に高率であった.EGFの発現の強いものは弱いものより有意に術後生存率が低かった.EGFの発現は表在癌と進行癌の間に差はなかった.EGFとEGF-Rの両者とも発現する症例はリンパ管侵襲が有意に高率であり, 術後生存率は有意に不良であった.再発症例の9例はすべてEGFの発現がみられた.
    以上より, EGF, EGF-Rは表在食道癌の初期より発現していると考えられ, とくに, EGFは表在食道癌の予後, 再発を予測する重要な指針となる可能性のあることが示唆された.
  • 佐藤 浩一, 前川 武男, 巾 尊宣, 矢吹 清隆, 岡原 由明, 石黒 陽, 津村 秀憲, 渡部 洋三
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2236-2241
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    選択的迷走神経切離術兼幽門形成術後20年以上経過症例について, 胃内外分泌能の生理学的および形態学的変化を検討した.基礎および最高酸分泌量の減酸率はそれぞれ78.2%, 75.8%と, 術後早期と同じように良好に保たれていた.空腹時および肉汁エキス刺激時のガストリン値は, 術前と比較し有意に高値を示し, 高ガストリン血症を呈する症例が多く認められた.高酸群の壁細胞は術前と同じく, 細胞内分泌細管の内腔開大は認められず, microvilliの長さと数も保たれていた.これに対して, 低酸群では細胞内分泌細管の内腔開大, microvilliの長さと数の減少および配列の乱れが目立った.電顕および免疫染色によるガストリン細胞の観察ではG-cell hyperplasiaが認められ, また肉汁エキス刺激では, 基底側細胞膜にΩ 型開口分泌像を示し, 術後20年以上経過してもその反応性が十分保たれていることがわかった.
  • D1郭清例とD2郭清例の比較検討
    藤岡 嗣朗, 沢井 清司, 大原 都桂, 湊 博史, 矢田 裕一, 谷口 弘毅, 萩原 明於, 山口 俊晴, 高橋 俊雄
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2242-2247
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    早期胃癌に対する縮小手術のひとつであるD1郭清手術 (69例) と, 標準手術であるD, 郭清手術 (179例) の安全性と遠隔時のquality of life (QOL) を比較した.術前併存疾患の有症率は, D1郭清群75.3%, D2郭清群53.0%とD1郭清群のほうが有意に (p<0.001) 多かった.手術時間は, D1郭清群176分, D2郭清群211分と有意に (p<0.001) D1郭清群のほうが短かった.術中出血量はD1郭清群379g, D2郭清群462gと有意差は認めなかった.縫合不全, イレウスなど手術に直接関係した術後合併症は, D1郭清群では全く認められなかった.遠隔時QOLのでは, Performance status, 早期ダンピング症状の発生率は差を認めなかった.遠隔時のQOLを総合評価するために筆者らが考案した胃癌術後QOL評価法で比較しても差は認めなかった.したがって, 早期胃癌に対するD1郭清手術は手術の安全性は向上するが, 術後のQOL向上には必ずしも役立たないと考えられた.
  • 今田 敏夫, 竹鼻 敏孝, 利野 靖, 鈴木 誠, 高橋 誠, 陳 超, 野口 芳一, 山本 裕司, 天野 富薫, 松本 昭彦, 小林 理, ...
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2248-2255
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    早期胃癌に対する迷走神経温存, 幽門保存胃切除術の適応を明らかにするため, A, M領域の早期癌切除症例583例のリンパ節転移状況, および本術式は通常のD2郭清から右噴門リンパ節 (No.1) と幽門上リンパ節 (No.5) 郭清を省略するためにこれらの部位への転移状況を検討した.リンパ節転移率はm癌1.9%, sm癌17.8% (sm1: 12.5%, sm2: 20.3%) であった.No.1への転移例は9例 (A: 3例, M: 6例).No.5への転移例は4例 (A: 1例, M: 3例) にみられ, これを組織型, 肉眼型, 腫瘍径, 深達度からみたリンパ節転移状況にあてはめたところ, 分化型ではすべてのm癌と30mm未満のsm癌が, 未分化型では隆起, 混合型は症例が少なく現段階では適応から除外し, 陥凹型は30mm未満のm癌と10mm未満のsm癌 (sm1癌は30mm未満) がわれわれの迷走神経温存, 幽門保存胃切除術の適応症例と考えられた.
  • 池田 正視, 高木 純人, 山形 邦嘉, 原 彰夫, 吉田 宏重, 上田 一夫, 柴 忠明, 竹内 節夫, 辻本 志朗
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2256-2264
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    近年, 小腸虚血・再灌流障害の発生因子として, 活性酸素が注目されている.著者らは, 血小板活性化因子 (PAF), ロイコトリエン (LTB4-C4) などのchemical mediatorも重要な因子と考え報告してきた.これらは再灌流後に活性酸素とともに粘膜障害を引き起こすが, 虚血中にも出現し何らかの障害を誘発すると考えている.そこで小腸虚血・再灌流犬を作製し, 内視鏡を用い虚血中より粘膜を経時的に観察するとともに, PAF, LTB4・C4を測定し検討した.小腸虚血中にPAFが組織中に増量し, 再灌流後門脈血中にPAF, LTB4・C4が出現した.内視鏡的観察では, 小腸虚血・再灌流障害は虚血とともにその準備状態が始まり, 再灌流によりさらに顕著なものとなった.一方, 高濃度酸素投与下虚血・再灌流では虚血中PAFの増量はなく粘膜障害も軽度であった.小腸虚血・再灌流の全経過を通じPAFの果たす役割は重要であることを強調したい.
  • 竹内 雅春, 豊坂 昭弘, 中井 謙之, 土生 秀作, 中村 清昭, 黒田 暢一, 桑原 幹雄, 福田 康文, 岡本 英三
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2265-2269
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例43歳の男性.主訴は嚥下困難.画像診断では頸部食道から胸部下部食道にわたる径15cmの巨大な食道内に発育する隆起性腫瘍で, 生検では悪性所見は得られなかった.しかし, 内視鏡上, 腫瘤粘膜上に潰瘍形成をみることから, 食道癌肉腫と診断し食道癌に準じた手術を施行した.切除標本では, 頸部食道から発生した巨大な有茎性ポリーブで組織学的には良性のfibrovascular polypであった.食道の良性腫瘍は比較的まれだが, 中でも本疾患の報告例は, 世界で70例程度であり, 本邦でも26例にすぎない.また, 10cm以上の巨大ポリープに限れば, 本症例を含めて3例であった.このようにまれな疾患ではあるが, 正確な術前診断をしえなかったため, 多大なる侵襲を加えたことに反省を込めて報告する.
  • 寒原 芳浩, 石川 羊男, 和田 哲成, 前川 陽子, 脇田 和幸, 河村 貴, 佐古田 洋子, 河野 範男, 中谷 正史
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2270-2274
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性.健診時の腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘された.肝炎ウイルス陰性で腫瘍マーカーは正常であった.超音波検査で肝S4S5に径5.5×4.2cmの境界明瞭な腫瘤を認めた.CTscanおよび肝血管造影で肉腫様肝細胞癌, 肝肉腫, 転移性肝腫瘍などが疑われる肝悪性所見と診断し, 肝S4S5切除術を行った.組織学的には腫瘍は菲薄な被膜を有し圧排性に増生し, 核分裂像が散在性に認められ, 腫瘍は一部被膜を破り周囲の肝小葉に浸潤を認めた.免疫染色で平滑筋肉腫と診断した.術後, ガリウムシンチを含めた全身検索では異常を認めず, 原発性肝平滑筋肉腫と診断した.本症例を含めた本邦報告例36例について文献的に検討した.
  • 岩田 博英, 宮田 完志, 服部 龍夫, 小林 陽一郎, 深田 伸二, 湯浅 典博, 亀井 桂太郎, 久留宮 康浩, 林 祐次, 小出 恭裕 ...
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2275-2279
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    患者は20歳の男性.主訴は発熱.入院時検査で, 血小板数増多, アルカリフォスファターゼ高値, 血清CRP高値, 血沈値充進を認めた.肝腫瘤は腹部超音波検査にて低エコー, 腹部computed tomography検査 (以下, CTと略記) にて低吸収域, 選択的血管造影にてhypovascular tumorとして認められ, 肝右葉後区域切除を施行した.切除標本では直径5cmの境界明瞭な黄白色の腫瘍で組織学的に悪性線維性組織球腫と診断された.肝原発悪性線維性組織球腫の報告は文献上20例にすぎない.本症例は切除により発熱の消失, 検査所見の改善が得られた点でinflammatory typeとして特徴的であった.
  • 仙丸 直人, 岡島 晋, 坂入 隆人, 塚田 守雄, 加藤 紘之
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2280-2284
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    胆嚢摘出, 総胆管切開術後に総胆管に発生した断端神経腫の1例を報告した.症例は78歳の男性.主訴は黄疸.4年前に胆嚢結石, 総胆管結石の診断下に胆嚢摘出, 総胆管切開載石術を施行された.今回, 黄疸の発現を認め経皮経肝胆道造影および胆道鏡にて精査した結果, 中部胆管の狭窄と結石形成を1個認め, 胆道鏡下の生検で悪性が疑われた.胆管癌の診断のもとに胆管切除, 総肝管空腸吻合術を行ったが切除胆管の狭窄部壁内に大きさ1cmの白色の腫瘤を認め病理組織学的に断端神経腫と診断された.
    胆管断端神経腫はまれな疾患で本邦において30例が報告されており, 胆管狭窄を呈した場合, 胆管癌との鑑別は困難である.胆道系手術術に胆管狭窄を認めた場合には本症の可能性も念頭に置くべきと考えられた.
  • 石井 義縁, 橋本 雄幸, 藤田 哲二, 武山 浩, 田部 昭博, 小川 匡市, 小林 進, 伊坪 喜八郎, 田中 知行, 池上 雅博, 鈴 ...
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2285-2289
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    初回手術で発見できなかった粘液産生性肝内胆管癌を経験したので報告する.症例は56歳の女性で, 黄疸・発熱を主訴に来院した.腹部超音波検査および内視鏡的逆行性胆道造影では総胆管, 左肝内胆管の拡張と総胆管内の陰影欠損を認めた.以上より, 総胆管結石症と診断し手術を施行した.術中, 総胆管を切開すると大量のゼリー様物質の排出を認めたが, 胆道鏡では肝内外胆管内に, それ以外の異常を発見できなかった.手術後T-tubeから胆汁とともにゼリー様物質の流出が続いたが, 胆汁の細胞診では悪性細胞は認められなかった.T-tubeを介して胆道鏡を施行したところ左肝管内に乳頭状の腫瘤性病変を認め, 生検で乳頭状腺癌の診断を得た.改めて肝左葉, 左尾状葉, 肝外胆管切除術を施行した.病理診断は, 粘液産生性肝内胆管癌であった.本疾患は比較的まれな疾患であり, 本邦での報告例は40例に満たないので文献的考察を加え報告する.
  • 小林 道也, 荒木 京二郎, 中村 生也, 柏井 英助, 松浦 喜美夫, 緒方 卓郎
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2290-2294
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性.7年前より慢性膵炎の診断で近医で加療をうけていた.平成7年2月頃から食事摂取ができなくなり, 近医に入院.上部消化管造影検査で十二指腸下行脚の狭窄, 内視鏡検査でも同部に全周性狭窄を認め当科紹介入院となった.入院時検査成績では腫瘍マーカーはcarcinoembryonicantigen, carbohydrate antigen 19-9ともに上昇を認めなかった.低緊張十二指腸造影で十二指腸下行脚に全周性狭窄を認めた.7年前の検査でも同じ部に狭窄を認めており, 悪性疾患よりもむしろ慢性膵炎などが疑われた.内視鏡的逆行性膵管造影検査で主膵管は全体に拡張していたが壁の不整を認めなかった.また副膵管は造影されなかった.腹部CT検査では腫瘤性病変は認めなかったが膵頭部に限局して石灰化を認めた.開腹時所見でも悪性を疑わせるものはなく本症と診断した.十二指腸十二指腸吻合術を施行した.本邦報告例の検討を加えて報告する.
  • 杉原 重哲, 江上 哲弘, 鶴崎 成幸, 綾目 秀夫, 中井 一彰
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2295-2298
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は意識障害を主訴とする73歳の女性.内分泌学的検査上, インスリノーマが疑われたが, 検査では胆石.胆嚢炎が指摘されたもののインスリノーマを診断しえなかった.さらに, 胆石症に対して手術が施行された際の術中検査にても腫瘤は確認できず, 経過観察となった.4か月後, 意識障害にて再入院となった.MRIおよび選択的動脈内カルシウム注入後肝静脈採血法にて局在診断できたので手術を施行した.術中超音波検査で近接した2個の腫瘤が描出され共に核出した.臨床的にはインスリノーマのみが疑われ, 血中グルカゴン値も正常であったが, 切除標本の免疫組織学的検索ではこの2個の腫瘤は, インスリン産生腫とグルカゴン産生腫の異なる2腫瘤であった.インスリノーマおよびグルカゴノーマの2つの膵島細胞腫瘍が併存した非常に興味深い症例と考えられた.
  • 斉藤 功, 渡辺 健一, 高橋 周作, 米山 重人, 福島 剛, 中野 詩朗, 松下 通明, 内野 純一
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2299-2303
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の男性.脳梗塞の既往があり, 定期検査でアミラーゼ高値の指摘を受け精査目的に入院.超音波検査にて脾門部に直径39mmの低エコー腫瘍が認められた.CT検査では, 単純CTにて脾臓の辺縁にやや不鮮明な低吸収域が存在し, 造影CTでは腫瘍部はほとんどenhanceされなかった.dynamic CTでは腫瘍部はhypovascular, delayed enhancementを認めた.MRI検査で, 腫瘍はT1強調画像でhigh signal intensity area, T2強調画像でlow signal intensity areaとして認められた.Gadrinium-DTPAのdynamic studyはlatephaseでenhancementを認めた.血管造影では, 明らかな腫瘍濃染は認めなかった.以上より, 脾血管腫, 過誤腫などを強く疑うも, 悪性リンパ腫なども否定できず, 手術を施行した.摘出脾内には, 3.8×3.5cmの白色隆起性病変を認めた.病理診断は, 脾原発innammatory pseudotumorであった.
  • 中村 順一, 中尾 量保, 宮崎 知, 仲原 正明, 荻野 信夫, 西田 俊朗, 辻本 正彦
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2304-2307
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    血管脂肪腫は皮下に好発する有痛性の腫瘍であり, まれに肝臓や腎臓での発生も報告されている.今回, 小腸原発の血管脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は66歳の女性である.昭和62年9月頃より年に数回, 下血を認めていたが, 平成4年5月に多量の下血を認め近医受診し, 小腸造影にて空腸に腫瘤陰影を認め当科紹介される.小腸内視鏡検査にてTreitz靱帯より約30cmの空腸に表面平滑な山田II型の腫瘍を認め, 平成4年8月25日に空腸部分切除術を施行した.腫瘍は大きさ6.5×3.5×3.5cm, 表面平滑で一部にびらんをともなっていた.病理組織学的に脂肪組織と増生血管が混在し, 血管脂肪腫と診断された.検索し得た限りにおいて本邦および海外において, 消化管原発の血管脂肪腫は胃原発の血管脂肪腫の2例が報告されているのみであり, 極めてまれな症例と思われた.
  • 鎌迫 陽, 川本 俊輔, 田中 礼一郎, 柴崎 信悟, 村上 穆
    1995 年 28 巻 12 号 p. 2308-2311
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    副腎のみに孤立性転移を認めた結腸癌の1例を経験した.症例は71歳の女性で腹痛のため入院した.来院時Douglas窩に小児頭大の腫瘤を触知した.CEAは24.3ng/mlと高値で注腸造影検査でS状結腸癌と診断した.腹部CTでは右腎上極に接して肝後区域に一部浸潤のみられる6×5cmの腫瘤陰影があり, 血管造影検査では右下副腎動脈に栄養されていた.手術所見ではS状結腸癌は子宮に直接浸潤がみられ合併切除した.右副腎腫瘍は右腎脂肪被膜および肝後区域を一部切除して摘出した.切除標本所見はS状結腸は6.5×5.0cm, 2型, 全周性の高分化腺癌で子宮への浸潤がみられ, また右副腎は結腸と同様の組織型であった.術後CEAは0.2ng/mlと低下したが, 術後8か月でCEAの上昇がみられ肝再発が確認された.大腸癌の副腎転移の根治的切除例の報告は調査しえた限りでは自験例を含め異時性3例, 同時性2例がみられるのみで, 同時性の転移の切除例は極めてまれと思われる.
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