日本消化器外科学会雑誌
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33 巻, 11 号
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  • 芝原 一繁, 尾山 佳永子, 荒能 義彦, 佐々木 正寿
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1795-1798
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    患者は68歳の男性. 主訴は黒色便. 昭和57年に胃全摘術+D1郭清, Roux-Y再建を施行されている. C, I, 2.0×2.0cm 大, tub2, sm, ly1, v0, dw (-), pw (-), n (-), Stage IAであった. 平成11年5月, 横行結腸部分切除術を施行した. T, IIc, 2×2.5cm, well, sm, ly1, v0, ow (-), aw (-), n (-), H0, M0, Stage Iであった. 平成11年9月頃より黒色便, 貧血を認めた. 小腸造影で, 十二指腸水平部にapple core signを認め, 十二指腸腫瘍の診断で平成11年11月に手術を施行した. トライツ靭帯から口側2cmの十二指腸水平部に腫瘤を触知し, 十二指腸部分切除術を施行した. 肝転移, リンパ節転移は認めなかった. 切除標本では, 十二指腸水平部に深達度SS で2/3周性の1型腫瘍を認めた. 病理組織学的にはwell, ss, ly0, v0, ow (-), aw (-), ew (-), n (-) であった. 原発性十二指腸癌と診断した. 胃全摘術, Roux-Y再建術後に消化管出血を認めた場合, 輸入脚の病変も念頭におき, 精査をすすめることが重要である.
  • 森田 恒彦, 秦 温信, 松久 忠史, 真鍋 邦彦, 松岡 伸一, 安念 和哉, 佐野 文男
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1799-1801
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    幽門保存胃切除術後に発症したまれな胃石による腸閉塞の1例を経験した. 症例は43歳の女性. 胃癌に対して幽門温存胃切除術を施行した. 術後は良好に経過していたが, 20か月後突然腹痛と嘔吐が出現し, 腸閉塞の診断で手術を施行した. 胃石は大きさ4.2×2.5×2.3cmで, 回腸に陥頓していた. 回腸切開により胃石を摘出した. 成分は98%以上がタンニン酸で, 柿胃石と診断された. 幽門温存胃切除術後の胃石形成の報告は見られず, 初めての報告と思われる.
  • 大城戸 政行, 加藤 雅人, 松浦 隆志, 一宮 仁, 中垣 充, 八尾 隆史
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1802-1805
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    胃の粘液腫様変性は極めてまれである. 今回, 粘膜下腫瘍の形態を呈し, 孤立性胃粘膜下異所腺に随伴した粘液腫様変性を経験したので報告する. 症例は54歳の男性. 上部消化管造影X線検査および胃内視鏡検査にて胃体上部後壁に表面に浅い陥凹を伴うなだらかな隆起性病変を認めた. 切除標本の肉眼所見で粘膜下層に境界明瞭なゼリー状の貯留を認めた. 病理組織学的検査では粘膜下層内に粘液腫様組織が存在しその周囲に不規則嚢状に拡張した胃腺窩上皮様の異所腺がみられた. 発生機序は不明であるが繰り返す粘膜の炎症性刺激の関与が示唆された. 類似症例の報告はなく病理学的に非常に興味ある症例と思われた. 隆起を呈する胃粘膜下異所腺は比較的まれであるが, 胃粘膜下腫瘍の診断に本症例のような特殊例も考慮すべきと考えられた.
  • 下松谷 匠, 丸橋 和弘, 佐々木 久, 王 裕東, 加茂 直子, 原 慶文, 下郷 司
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1806-1810
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    卵巣転移により発見され, Dieulafoy潰瘍型出血を伴い, びまん性骨転移によりDICを合併した早期胃癌の1症例を経験したため報告する. 症例は42歳の女性で, 両側卵巣腫瘍切除術を受けた. 左が20cm, 右が8cmの充実性の卵巣腫瘍で, 組織学的にはsignet ring cell carcinomaであった. 内視鏡で胃体上部にIIc病変を認め, 生検でtub2>sigであった. 骨シンチで全身にびまん性転移を認め, 骨生検でもsignet ring cellを認めた. MTX-5FU療法を開始したが消化管出血を来たし, 内視鏡で病変部に噴出性のDieulafoy潰瘍型の出血を認め, クリッピングしたが再出血し緊急手術となった. T1, N (-), H0, P0, M (+) で, 幽門側胃切除を行った. 組織学的にはtub2>sig, sm1, n (-) であり, 粘膜下層に比較的太い動脈を認めた. 血小板は徐々に低下し, 骨転移に伴うDICと診断しFOYを投与し, MTX-5FU療法を再開するも脳硬膜下出血を合併し死亡した.
  • 武内 有城, 末永 昌宏, 飛永 純一, 内田 豊彦, 早川 弘輝, 内村 正史, 勅使河原 修, 野村 尚弘
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1811-1815
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤に対する胃上部副血行路郭清+胃上部切除+脾摘除術 (以下, TEPG) の施行後に発生した胃癌に対し, 残胃の血行を検討し幽門側胃切除を施行しえた2例を経験した. 症例1は61歳の女性で, 肝硬変に伴う食道静脈瘤に対しTEPGが施行され, 術後17年目に胃下部にIIa+IIc型胃癌を認めた. 症例2は71歳の女性で, 肝硬変に伴う食道静脈瘤に対してTEPGを施行し, 術後2年目に胃中部に3型胃癌を認めた. 両症例とも術前に腹部血管造影X線検査を施行し残胃上部への血行路を確認し術中に温存することにより幽門側胃切除を施行し, 術後は重篤な合併症もなく術後5年経過した後も胃癌の再発を認めなかった. 以上より, TEPG施行後に合併した胃癌症例に対し, 進展度に応じて手術侵襲の軽減およびQOLの向上を求めての胃全摘を回避した幽門側胃切除は可能で良好な予後が得られた.
  • 志田 大, 吉見 富洋, 小形 幸代, 朝戸 裕二, 島崎 二郎, 堀 眞佐男
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1816-1820
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    鼠径ヘルニアおよび悪性腫瘍は, それぞれが高頻度でみられるにもかかわらず, 鼠径ヘルニア内に腫瘍が存在するヘルニア腫瘍は比較的まれである. 今回, われわれは鼠径ヘルニア嚢へ転移した胆管細胞癌の症例を経験したので報告する. 症例は72歳の男性. 3年来の無痛性の左鼠径部膨隆を主訴に来院した. 入院時全身状態は良好であった. 左鼠径ヘルニアの診断で, 内鼠径ヘルニア修復術を実施した. 切除したヘルニア嚢の一部に白色の結節様に肥厚した部位が2か所存在したため, 病理組織学的検査を行ったところ, adenocarcinoma in the peritoneal tissueと診断された. その後の全身精査によって, 胆管細胞癌の腹膜播種と診断した. 本症例はヘルニア腫瘍のなかでヘルニア嚢腫瘍に分類されるが, このような転移性の鼠径ヘルニア嚢腫瘍はまれであり, 過去の英文および邦文の文献を検索する限り, 原発巣として胆管細胞癌の報告は初めてであった.
  • 勅使河原 修, 末永 昌宏, 武内 有城, 早川 弘輝, 内田 豊彦, 内村 正史, 野村 尚弘
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1821-1825
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    術前検査で非機能性膵内分泌腫瘍が疑われたが, 術中迅速病理組織学的検査で膵内副脾と診断された症例を経験したので報告する. 症例は53歳の女性. 99年8月, C型肝炎のフォローのため肝ダイナミックCTを施行したところ膵尾部にplainで正常膵とiso density, early phaseで周囲よりhigh densityなφ2cmの腫瘍を指摘された. 入院後精査にて非機能性膵内分泌腫瘍を疑い, 膵体尾部脾合併切除術を施行した. 術中所見では腫瘤は, 膵尾部に結節として触知された. 切除標本で腫瘤の割面は暗赤色・弾性軟で正常脾組織の割面と極めて類似しており, 周囲膵組織との境界は明瞭であった. 術中迅速病理組織学的検査で膵内副脾の診断であった. 膵内副脾は切除の必要はなく, 膵尾部腫瘤の鑑別診断には副脾を考慮する必要がある.
  • 土屋 誉, 佐藤 俊, 生澤 史江, 西條 文人, 兒玉 英謙, 内藤 剛, 赤石 敏, 小針 雅男, 茂泉 善政, 山崎 匡
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1826-1830
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は52歳の女性. 腹痛を主訴として前医受診, 手術にてIVC原発腫瘍と判明したため当院紹介された. IVC造影ではIVCの閉塞, 側副血行路の形成は見られなかった. 開腹すると腫瘍は中部IVCより壁外性に発育しており, 右腎静脈への浸潤を認めた. 右腎静脈を大伏在静脈にて再建した後, IVCの単純遮断下に腫瘍をIVCとともに切除し, IVCは人工血管にて再建した. 病理組織診断は平滑筋肉腫であった. 術後6か月のMRI検査ではIVCのpatencyは保たれていた. 術後17か月経過した現在, 再発の兆候なく外来通院中である. 下大静脈原発平滑筋肉腫は本邦での報告は自験例を含めて53例で, IVC切除後人工血管にて再建された症例は12例である. IVC切除にあたっては血流遮断時の体外循環の必要性, 腎静脈の処理方法などをIVC造影, 術中所見から判断することが重要である.
  • 羽田 丈紀, 河野 修三, 織田 豊, 小林 功, 池上 雅博, 山崎 洋次
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1831-1834
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    患者は52歳の男性. 1998年4月初旬より腹痛を訴えた. 小腸造影検査と下部消化管内視鏡検査で回腸に長さ1cmと10cmの狭窄を認めた. 保存的治療で症状が改善しなかったため手術を施行した. 手術は1cmの狭窄部に狭窄形成術を, 10cmの狭窄部に切除術を施行した. 切除標本の肉眼所見では腸管壁の肥厚をともなった求心性管状狭窄と全周性潰瘍を, 病理所見では炎症性肉芽組織と高度線維化を主に粘膜下層に認めた. 以上より虚血性小腸炎と診断した. 虚血性小腸炎はまれな疾患で, 本邦では40例の報告があるのみである. 主な治療は手術で, 狭窄部腸管の切除が一般的であるが本症例の経験から狭窄部が短い場合は狭窄形成術でも治癒可能であることが示唆された.
  • 矢島 浩, 保谷 芳行, 又井 一雄, 河野 修三, 織田 豊, 栗原 健, 村井 隆三, 山崎 洋次
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1835-1838
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    空腸間膜に発生した仮性嚢胞の1例を経験したので報告する. 症例は31歳の女性. 健康診断で尿潜血を指摘され当院内科で腹部超音波検査を施行した. 腹腔内腫瘤を指摘され, 精査加療目的で当科紹介となった. 腹部CT検査を含めた術前画像診断で腹腔内皮様嚢腫を疑い, 腫瘤摘出術を行った. 腫瘤は空腸間膜に存在し, 直径約4cmで白色, 表面平滑, 弾性硬であった. 摘出標本の肉眼所見は黄色粥状物を含む嚢胞であった. 病理組織学的には線維性結合織を主体とした嚢胞壁で上皮細胞はなく, 壁内にはリンパ濾胞様構造や硝子化様変性を認め, 腸間膜の脂肪織壊死が単房性に仮性嚢胞化した病変と考えた. 仮性腸間膜嚢胞の本邦報告例は自験例を含め13例であり, 極めてまれな疾患と考えられた.
  • 俵藤 正信, 関口 忠司, 塚原 宗俊, 永井 秀雄
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1839-1843
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の男性. 脾彎曲部の横行結腸進行癌によるイレウスにて入院した. 経鼻イレウス管での減圧が不十分なため, 経肛門イレウス管を挿入し口側腸管減圧を行った. 挿入時は何ら問題なかったが, 挿入後4日目に発熱と腹痛が出現し, 腹部レントゲンとCTで経肛門イレウス管による小腸腸間膜への穿通と診断した. 持続吸引を中止し抗生物質の投与を行い, 経肛門イレウス管挿入後19日目に一期的根治術を施行しえた. 穿通の原因は, 急速な減圧による口側結腸粘膜へのイレウス管先端の接触と持続吸引が考えられた. 経肛門イレウス管は閉塞性大腸癌の術前の腸閉塞管理に非常に有用な方法であるが, その挿入時だけでなく, 挿入後においてもチューブトラブルのないように注意深い管理が必要と考える.
  • 伊藤 誠二, 平井 孝, 加藤 知行
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1844-1848
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    直腸の腺腫および粘膜内癌に対して行った経仙骨的腫瘍摘除術後, 粘膜下に粘液癌の発生を見た2例を経験した.
    症例1: 直腸腺腫に対して内視鏡摘除術, さらに経仙骨的腫瘍摘除術を施行後, 2年3か月を経過して同部位に粘膜下腫瘍が出現し, 切開生検を行ったところ粘膜下にmucinous carcinomaを認め, 直腸低位前方切除術を施行した.
    症例2: 直腸粘膜内癌に対し経仙骨的切除を施行したが, 同部位にポリープが再発し, 経肛門的切除, さらに内視鏡摘除術を行った. 初回手術より4年6か月後, 触診, EUS所見から粘膜下の腫瘍性病変を疑い, 切開生検で粘膜内にadenoma, 粘膜下にmucinous carcinomaを認め, 腹会陰式直腸切断術を施行した.
    直腸腫瘍局所切除に対する経仙骨的腫瘍切除後には, 本症例のごとき粘膜下の再発を念頭におくことが重要である.
  • 竹内 邦夫, 安藤 哲, 関原 正夫, 原 敬, 吉川 美奈子, 都築 靖
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1849-1853
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の男性. 下血を主訴に当科を受診. 大腸内視鏡検査で下部直腸にI sp, その口側にSMT様病変を認め, 前者の生検の結果はgroup Vであった. また血清CEAは128.5ng/mlと高値を示した. 下部直腸癌にリンパ節転移または粘膜下腫瘍を合併したものと診断し, 腹会陰式直腸切断術 (D2) を施行. 切除標本ではRbに25×20mmのI spと60×40×30mmのリンパ節転移を認めた. 病理組織学的診断はwell differentiated adenocarcinoma>mucinous carcinoma, sm2, ly2, v1, n1 (+), Dukes Cで, 粘膜表層部は高分化腺癌, 粘膜下組織およびリンパ節転移は粘液癌が主体であった. 本症例は大腸粘液癌の浸潤能および転移能の高さを示唆しうる点において興味深い症例と思われた.
  • 塩谷 猛, 橋口 陽二郎, 大倉 康男, 関根 毅
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1854-1858
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    骨盤内照射により大腸癌発生のリスクが高くなることが報告されている. 今回, 子宮癌に対する放射線治療後に発生した直腸癌5例を経験したので報告する. 平均年齢は70歳 (64~77歳) で, 放射線照射から直腸手術までの経過時間は12.9年 (5~25年) であった. 全例に放射線直腸炎と思われる変化が認められ, 4例は臨床症状を呈していた. 5例中1例は高分化腺癌, 4例は中分化腺癌であった. 病理組織学的には, 進行癌4例の癌病巣は, 共通して深掘れの陥凹を呈し, 表面に血液成分の豊富な壊死組織の付着が目立つ特徴が認められた. 3例は術後2年以内に死亡しており, 予後不良であった. 消化管の放射線障害例については, 照射後5年以上経過してから放射線誘発癌の発症を認めることがあり, 長期にわたる追跡が必要である.
  • 桑原 義之, 三谷 真己, 篠田 憲幸, 佐藤 篤司, 三井 章, 杉浦 正彦, 鈴木 智貴, 加藤 譲司, 藤井 義敬
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1859-1863
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    気管浸潤陽性の食道癌に対し, 広範囲気管合併切除を伴う喉頭食道全摘術, 後縦隔経路胃管再建術を施行したのち, 大網を用いて縦隔気管孔を造設した1例を経験した. 症例: 58歳の男性. 手術術式: 右第5肋間開胸にて, 胸腔内リンパ節郭清と胸部食道の遊離を行った後, 背臥位とし, 前頸部のU字皮膚切開と連続する第3肋間までの正中切開を行った. 広範囲に前胸部上部の骨性胸壁を除去し, 咽喉頭, 気管, 食道とともに腫瘍を一塊として摘出した. 腹部正中切開にて開腹し, 前大網が付属した胃管を作成して, 後縦隔経路で, 咽頭胃管吻合を行った. 大網にて気管周囲と露出した血管, 吻合部を被覆した. 皮膚は単純閉鎖し, 気管孔は正中皮膚切開部に作成した.
    この術式は簡便で, 術後の外観の変形も少なく, 優れた縦隔気管孔の再建方法の一つと考えられた.
  • 上村 健一郎, 村上 義昭, 横山 隆, 竹末 芳生, 今村 祐司, 赤木 真治, 金廣 哲也, 大毛 宏喜, 沖井 一哉, 松浦 雄一郎
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1864-1868
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    血小板減少性紫斑病 (以下, ITPと略す) に対する開腹脾摘出術後で, 副脾が原因の再発に対し腹腔鏡下副脾摘出術が有効であった1例を報告した. 症例は40歳の男性. ITPに対し, 8年前に開腹脾摘出術が施行されたが, 3か月前より血小板数5.7×104/μlと低下傾向にあり, シクロホスファミド, プレドニゾロンの内服治療を受けていた. 腹部超音波検査, 腹部CT検査, 脾シンチグラフィーで指摘された副脾が, ITP再発の原因と考えられ, 腹腔鏡下副脾摘出術を施行した. 術30日後の血小板数は37.0×104/μlと回復し, 以後内服していたシクロホスファミド, プレドニゾロンは中止しえた. ITP再発時に画像診断で副脾を示す所見が得られた場合. 初回手術で開腹脾摘出術を施行していても, 再手術で開腹術を回避し, 腹腔鏡下副脾摘出術を安全に施行することが可能で, 外科的治療の第1選択となりうると考えられた.
  • 木ノ下 義宏, 宇田川 晴司, 堤 謙二, 上野 正紀, 中村 豊英, 飯塚 敏郎, 秋山 洋, 高橋 孝喜, 金 信子
    2000 年 33 巻 11 号 p. 1869
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/08
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