日本消化器外科学会雑誌
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34 巻, 8 号
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  • Cisplatin/5-FU併用療法と比較して
    石橋 悟, 標葉 隆三郎, 宮崎 修吉, 矢野 英史, 森 隆弘, 菅原 浩, 宮田 剛, 里見 進, 吉岡 孝史, 金丸 龍之介
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1269-1276
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    進行・再発食道癌に対する新規白金誘導体Nedaplatin (以下, CDGP) の効果と副作用を検討し, Cisplatin (以下, CDDP) と比較した. 対象: 1999年12月までの再発例7例と, 未分化癌3例を含む高度進行例21例. 方法: 第1日にCDGP 100mg/m2の点滴静注, 第1~5日に5-FU 500mg/m2の24時間静注を1コースとして1~6コース投与した. 結果: 扁平上皮癌では奏功率は29.2%だったが, 部位別では肝がCR2例を含み57.1%, 肺, 腎50%, リンパ節55.5%と良好だった. 未分化癌は奏功率66.6%だった. 副作用はGrade3, 4が血小板減少で14.8%と最多で, 白血球減少は7.4%だった. 嘔気, 嘔吐は1例が脱落したが, 28.6%と少なかった. 28.4%は副作用がなかった. 考察: CDGPは臓器・リンパ節転移に有効性が高く, リンパ節転移に対してはCDDPより有用と思われた. 副作用はおおむね対処可能な範囲だった.
  • 富田 凉一, 藤崎 滋, 丹正 勝久, 朴 英智, 福澤 正洋
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1277-1282
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    十二指腸潰瘍穿孔術後 (大網充填閉鎖術) 症例20例を術後合併症の無 (A群), 有 (B群) から2群に分け (それぞれ10例), 入院時臨床的特徴を検討した. 呼吸器合併症が最も多く, 手術直接死亡例 (直死例) はDICであった. 60歳以上症例はB群がA群より多い傾向 (p<0.1) を示し, 直死例2例はともに60歳以上であった. 発症から手術までは, A群では全例10時間以内で, B群の直死例はいずれも72時間以上であった. B群がA群より有意にCRPは高値, 総蛋白量は低値 (それぞれ, p<0.01) で, 直死例は, CRPは高値, 総蛋白量は低値であった. 肝機能と胸部X線検査上の異常はB群がA群より多い傾向を示し (p<0.1), 直死例1例に異常を認めた. 腹水中細菌陽性率はB群がA群より高率であり, Candida albicansとKlebsiella pneumoniaeが最も多く, 直死例ではいずれもKlebsiella pneumoniaeが認められた.
  • 菅原 元, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 鈴木 正彦, 芥川 篤史, 鈴村 潔, 臼井 達哉
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1283-1288
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    原発性十二指腸癌は消化管癌のなかでは発生頻度が低いものの, 比較的進行した状態で発見されることが多く予後も不良である. 原発性十二指腸癌切除20例を対象とし臨床病理学的に検討した. 施行術式は膵頭十二指腸切除術15例, 十二指腸部分切除術3例, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術2例であった. 壁深達度では20例中14例に膵浸潤を認め, リンパ節転移を20例中15例に認めた. 累積5年生存率は30.0%であった. 単変量解析での有意な予後規定因子は組織学的分類, 膵浸潤, リンパ節転移, 静脈侵襲の4項目で, 原発性十二指腸癌に対しては, 2群リンパ節郭清を伴う幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が標準術式と考えられた. 胃への浸潤の程度によっては膵頭十二指腸切除術が必要となり, 深達度mでリンパ節転移を認めない早期癌に対しては十二指腸部分切除術で根治可能と考えられた.
  • 田中 邦哉, 渡会 伸治, 大田 貢由, 藤井 義郎, 永野 靖彦, 遠藤 格, 関戸 仁, 嶋田 紘
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1289-1294
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移切除後の残肝再発機序の検討から至適術式を考察した. 肝転移切除後の残肝再発危険因子は, tw陽性 (p<0.01), 術後肝動注非施行 (p<0.01) であった. 一方, 再肝切除後の再々発危険因子は, tw陽性 (p<0.05), 非系統切除 (1区域未満)(p<0.05) であった. 再発, 再々発形態を両葉多発 (多発), 切離面より離れた部位 (遠隔), 切離面近傍 (近傍) に分類すると, 再発例では多発が47.4%と多く, 再々発例では近傍が50.0%と多かった. 転移成立最小径を100μと仮定し, 再発腫瘍径とDoubling timeから, 転移成立時期を類推すると, 原発巣切除後が, 再発例では7.5%であったのに対し, 再々発例では64.3%と高率であった. 以上の結果より, 残肝再発は主に原発巣由来の多発再発が多いため, 初回切除はtwを確保した肝実質温存手術にとどめる. 一方, 再々発では肝転移巣由来の近傍再発が多くなるため, 再肝切除はtwを確保した1区域切除以上の系統切除が望ましい.
  • 小池 聖彦, 小寺 泰弘, 山村 義孝, 中尾 昭公
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1295-1298
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    胃癌術後に非外傷性に, Clostridium perfringens敗血症 (Cp敗血症) が発症し, 数時間の経過で著しい血管内溶血を起こし死亡した症例を経験した. 剖検では肝臓にClostridium perfringensの微小膿瘍を認めるのみで他臓器に感染巣はなく, 消化管からのbacterial translocationによる発症と考えられた. 溶血を伴うCp敗血症の救命には迅速な診断と治療が不可欠であるため, まれではあるが消化管術後合併症の一つとして認識されるべきと考えられた.
  • 丸田 智章, 中村 茂樹, 島田 寛治, 金子 博, 畠山 勝義
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1299-1302
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    多発性肝転移に対し肝動注療法が奏功した胃扁平上皮癌の1例を経験したので報告する. 症例は65歳の女性. 心窩部不快感, 食欲不振で受診し, 胃癌および多発性肝転移と診断された. 1998年7月8日に胃全摘術および膵尾部, 脾合併切除と肝動注リザーバー留置が行われた. 組織診断で扁平上皮癌と診断された. pT2, sH1, sP0, pN2, cM0, Stage IVであった. 大彎リンパ節, 腹腔動脈周囲リンパ節に扁平上皮癌の転移を認めたが, 脾門部リンパ節には腺癌の転移を認め, 組織発生として腺癌の扁平上皮化が考えられた. 胃切除後肝転移に対して肝動注療法を施行し, CRと判定した. 新たな肝転移の出現や他部位への転移もなく術後2年9か月で健在である.
  • 甲斐 恭平, 佐藤 四三, 澁谷 祐一, 山田 隆年, 中島 明, 石塚 真示, 青山 正博, 中島 晃, 鍋山 晃
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1303-1307
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    胆嚢内出血による腹痛により発症した肝細胞癌の胆嚢浸潤例を経験したので報告する. 症例は60歳の男性. 突然の上腹部痛にて近医受診. 入院経過観察中に, CTで肝内側区域に低吸収域を認め, 症状軽快しないため当科紹介された. 画像診断で胆嚢腫瘍の肝浸潤に胆嚢内出血, 肝内出血を伴ったものを疑い開腹手術を行った. 胆嚢, 肝前下, 内側区域, 胃前庭部を一塊として摘出した. 病理組織診断では低分化型肝細胞癌の胆嚢内浸潤に伴う胆嚢内出血, 肝内出血と診断された. 術後早期に残肝多発再発を認め, 以後腫瘍の急速増大で術後54日目に肝不全で死亡した. 胆嚢浸潤肝細胞癌の報告例は, 本例を含め7例であったが, その予後は極めて不良であった.
  • 佐藤 徹也, 林 剛一, 増尾 光樹, 望月 智行, 真田 裕
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1308-1311
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    今回, 手術後の病理組織学的検索で悪性リンパ腫と診断された, きわめてまれな症例を経験したので, 文献的検索を加えて報告する.
    症例は67歳の女性. 心窩部痛, 腹部膨満感を主訴に当院を受診した. 腹部超音波検査, CT検査, 胆嚢造影, 内視鏡的逆行性胆管造影で40mm大の辺縁不整の腫瘍陰影が胆嚢底部に存在し, 胆嚢癌の術前診断で胆嚢摘出, 肝床切除, 総胆管切除, 総肝管空腸吻合術を施行した. 術中所見は乳頭膨張型, 45×25mm, S0Hinf0H0Binf0PV0A0P0N (-) M (-) St (-), T1, Stage I. D1, BM0, HM0, EM0, 根治度Aであった. 切除標本は乳頭状発育の隆起性病変で, 病理組織学的にはびまん性の増殖を示す異型リンパ球を認め, 免疫染色で悪性リンパ腫, diffuse large B-cell typeと診断された. その後骨転移を認め, 予後不良であった.
  • 小笠原 豊, 岡野 和雄, 米原 修治, 平井 隆二, 清水 信義
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1312-1315
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は75歳の女性で, 右季肋部痛を主訴に来院した. 腹部超音波検査および腹部CTにて胆嚢体部に大きさ約3cmの腫瘍を認めた. 胆嚢癌との診断のもと, 胆嚢摘出術, 胆嚢床切除術, 胆管切除術を施行した. 摘除標本では, 胆嚢体部を中心に大きさ4×3.5cmの結節浸潤型の腫瘍を認めた. 病理組織検査では, その大部分においてN/C比の大きい裸核状の小型腫瘍細胞が充実性胞巣を形成して増殖する像を呈していたが, 粘膜面では大型の腫瘍細胞が明瞭な腺管を形成して増殖する高分化腺癌の像を認めた. なお, その小型腫瘍細胞の一部にはGrimelius染色で好銀性顆粒を認め, 抗Chromogranin A抗体に対する免疫活性陽性所見を認めた. 以上より腺内分泌細胞癌と診断された.
  • 吉本 健太郎, 高森 啓史, 辻 龍也, 金光 敬一郎, 猪山 賢一, 鶴田 潤二, 野田 健治, 安川 俊文, 平岡 武久
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1316-1320
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の男性. 健診で胆嚢の異常を指摘され入院. 原発性硬化性胆管炎 (PSC) を合併した乳頭型総肝管癌および胆嚢壁内嚢腫の診断で, 手術を行った. 術中胆道ファイバーで観察すると総肝管に乳頭型隆起性腫瘤を認め, 同腫瘍は術中凍結病理でcarcinoma in adenomaの診断であった. PSC合併を考慮し胆管空腸吻合を回避するため, 腫瘤から約3mm離して総胆管部分切除後, 胆嚢管をpatchgraftとする胆管修復術を施行した. 術後8か月現在, 胆管修復部には, 癌の再発および狭窄を認めていない. 根治性に問題は残るが, 肝内胆管狭窄病変を伴う早期胆管癌の場合, 術後の胆道感染防止を意図した乳頭機能温存の胆管修復術は考慮すべき術式と考えられる.
  • 福嶌 五月, 仲原 正明, 荻野 信夫, 城戸 哲夫, 黒住 和史, 久原 章雄, 西 宏之, 木村 一隆, 中尾 量保, 辻本 正彦
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1321-1325
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は15歳の女性. 主訴は下腹部痛. 13歳時, 腹痛にて施行したCT検査で脾腫 (容積1,150cm3) を指摘されるも位置異常を認めなかった. 今回, ジェットコースターに乗った後に下腹部痛を来し来院.CT検査にて脾臓を正位に認めず, 下腹部に腫瘤 (容積810cm3) を認めた. 超音波検査, 血管造影にて広範な脾梗塞を伴う遊走脾と診断し, 腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した. 術中所見では脾周囲靭帯は欠失し, 脾臓は腹腔内に遊離していた. 脾動静脈をEndo GIA40mmR にて切離後, 腹腔内で脾臓をTissue MorcellatorR を用いて粉砕し摘出した. 手術時間は145分, 出血量は50mlであった. 病理所見は梗塞を伴った正常脾であった. 第6病日に退院し, 術後2年目の現在経過良好である. 遊走脾に対する腹腔鏡下手術の報告は自験例を含め5例で, メッシュによる脾固定3例, 脾摘2例であった. 自験例は広範な脾梗塞と脾腫をともなっていたため, 脾摘を行った.
  • 高田 知明, 吉田 秀明, 塚田 守雄, 奥芝 俊一, 加藤 紘之
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1326-1330
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の男性. 開腹歴なし. 主訴は右下腹部痛で, 急性虫垂炎の診断で当院外科に紹介され入院した. 入院時, 右下腹部に限局した圧痛と腹膜刺激症状を認めた. 腹部単純X線検査で近位小腸の拡張とair-fluid levelを, 腹部CT検査では上行結腸に接して卵円形で脂肪よりdensityの高い腫瘤像を認め, 周囲の腸間膜は炎症を思わせる像を呈していた. 虫垂炎や憩室炎の所見は認めなかった. 以上より腹膜垂炎による腸閉塞症の診断で緊急手術を施行した. 開腹すると上行結腸の腹膜垂が炎症性腫瘤を形成し, 小腸間膜がこれに癒着していた. この腹膜垂内には憩室を認めこれも含め切除し埋没縫合を行った. 虫垂は肉眼的には正常と思われたが炎症の原因となっていることも否定できず切除した. 病理組織学的には同時切除した憩室と虫垂には炎症は認めず原発性腹膜垂炎と診断された. 腹膜垂炎の本邦報告56例を集計検討し文献的考察を加えて報告する.
  • 早川 弘輝, 末永 昌宏, 飛永 純一, 武内 有城, 内村 正史, 野村 尚弘, 飯田 俊雄
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1331-1335
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は41歳の女性. 手術歴はない. 平成3年と5年に下腹部痛で当院を受診. 平成11年11月7日夕方突然間欠的な右季肋部痛が出現, 次第に増強して当院内科を受診した. 右上腹部に強い圧痛を認め腸音は亢進していたが, 反跳痛や筋性防御はなく, 白血球数, CRP値も正常であった. 腹部X線写真, およびCTで肝前面の横隔膜下に鏡面像を伴った小腸の拡張を認めた. 嘔吐も出現し, イレウスの診断で経鼻胃管を挿入し内科入院したが, 鎮痛剤投与でも腹痛は続き外科紹介. 腹部は鼓張し腸音は金属音で内ヘルニアを疑い緊急手術を施行. 肝と腹壁の間にviolin string状の索状物を伴った著明な線維性癒着を認め, その間に小腸が入り込んでいた. 小腸を引き出し線維性癒着を切除してイレウス解除できた. 子宮附属器に軽度の炎症像を認め, 術後の採血でクラミジアIgA抗体は1.38, IgG抗体は5.41と陽性でクラミジア感染による肝周囲炎が原因のイレウスと考え報告した.
  • 牧野 洋知, 高橋 正純, 武田 和永, 大田 貢由, 金村 栄秀, 橋本 邦夫, 小金井 一隆, 石山 暁, 鬼頭 文彦, 福島 恒男
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1336-1340
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    AIDSに合併した小腸悪性リンパ腫の穿孔性腹膜炎を緊急手術により救命しえたので報告する. 症例は32歳の男性. 平成8年9月カンジダ性食道炎, 食道潰瘍を契機にAIDSと診断され. 当院の感染症科で治療を開始された. 平成10年12月から右上顎洞悪性リンパ腫に対し放射線療法を施行した. 平成11年9月, 悪性リンパ腫の肺, 骨, 腹腔転移を認め, 腹部CTで小腸に6.5×6cmの腫瘤を認めた.平成12年3月2日, 腹痛が出現し, 消化管穿孔の診断で手術を行った. トライツ靱帯から250cmの空腸から回腸にかけて計7カ所の腫瘤を認め, 口側から2番目の腫瘤が穿孔しており, 空腸・回腸部分切除, 腹腔ドレナージ, 空腸瘻造設術を施行した. 病理組織学的に腫瘤は非ホジキンリンパ腫, B細胞型であった.術後は合併症なく. 14病日から経口摂取可能となり2回外泊可能となったが悪性リンパ腫の進行により143病日に死亡した.
  • 河合 徹, 松浦 豊, 河野 弘, 北川 喜己, 山中 秀高, 平松 聖史, 川井 覚, 杉浦 友則, 堀 昭彦, 西垣 英治
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1341-1343
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    鼠径ヘルニア内容が虫垂であることは比較的まれであり, Amyand's herniaと言われているが, その治療方針は明確にされていない. 今回, われわれはAmyand's herniaの1例を経験したので, その虫垂切除術の適応と, ヘルニア根治術の術式選択について考察し, Amyand's herniaの治療方針を示す.
    症例は43歳の男性. 右鼠径部腫脹を主訴に来院し, 右鼠径ヘルニアの診断で手術を施行した. 術中所見では外鼠径ヘルニアであり, ヘルニア内容は虫垂および盲腸の一部であった. Amyand's herniaと診断し, 同一創にて虫垂切除術を行い, 盲腸を腹腔内へ還納し, mesh plug法にて鼠径ヘルニア根治術を施行した. 術後経過は順調で, 創感染, 再発は認めていない.
  • 山中 秀高, 堀 昭彦, 杉浦 友則, 河合 徹, 川井 覚, 平松 聖史, 北川 喜己, 河野 弘, 松浦 豊
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1344-1348
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    消化管原発悪性リンパ腫は小腸原発の頻度が胃に次いで高い. しかし, 小腸原発Burkitts' lymphomaは少なく, 更にleukemic transformationを来した報告は自験例を含め2例のみで非常にまれである. 今回, 染色体異常も確認した回腸原発例を若干の文献的考察を加え報告する.
    症例は83歳の女性. 左大腿骨頸部骨折にて入院中, 下血を来し当科受診. 右下腹部に圧痛を伴う径10cm大の腫瘤を触知し腹部CTおよび大腸内視鏡検査で盲腸悪性リンパ腫と診断し回盲部切除術を施行. 切除標本所見で回腸末端を中心とする腫瘍で, 病理組織所見でstarry sky appearanceを認め, 回腸原発Burkitts'lymphomaと診断. 術後2週間目に全身状態が悪化し, 血液検査で白血球の異常高値と芽球の出現があり, leukemic transformationと診断された. 内科へ転科し化学療法を開始したが3週間目に死亡された.
  • 山本 雅由, 田辺 美樹子, 長堀 優, 江口 和哉, 細井 英雄, 赤羽 久昌
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1349-1353
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の男性. 上行結腸癌の診断で内科入院中より頭痛を訴えていた. 頭部CT検査上は脳内への転移を疑わせる所見は認めなかったが, 小脳溝に沿って造影剤の増強効果を認めた. 開腹所見では広範囲のリンパ節転移と腹膜播種を認める進行癌であった. 術後3日目より徐々に傾眠傾向となってきたため, 髄膜転移を疑い, 腰椎穿刺を施行したところ, 髄液中に癌細胞を認めた. 意識障害とともに肝機能障害が急激に進行し, 全身状態が悪化し, 術後12日目に死亡した.
    大腸癌による髄膜癌腫症はまれな疾患であり, 高度に進行した癌に多く, 予後不良である. 今回, われわれは急激な経過をたどった上行結腸癌による髄膜癌腫症の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 吉田 直優, 伊藤 英夫, 角 泰廣, 山田 卓也, 山内 希美, 澤田 傑, 尾関 豊
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1354-1358
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    患者は49歳の男性. 貧血のため大腸内視鏡検査を施行され, 下行結腸に亜有茎性の腫瘍を指摘された. ポリープ頭部はやや白色調で可動性があり, 隆起表面の粘膜膜様や光沢は比較的保たれていた. 下行結腸癌の疑いで, 結腸左半切除術を施行した. 腫瘍は大きさ22×18mm, 弾性軟で, 病理組織検査で隆起表面にクロマチンに富んだ核を持ち, 比較的均一な大きさの異型リンパ球が増殖していた. 中心部と茎部に硝子様線維結合組織の増生を伴う特異的な病理組織像を呈していた. 免疫組織化学染色で抗T細胞抗体 (CD3, MT1) に陽性で, 抗B細胞抗体 (L26, MB1) に陰性であった. リンパ腫細胞の浸潤はsm層までで, n (-), Lymphoma Study Group (以下, LSG) 分類で, 非ホジキン型悪性リンパ腫, びまん性中細胞型, T細胞性であった. 本症例は下行結腸原発, 亜有茎性, sm層までの浸潤, T細胞性の4点で極めて貴重と考えられた.
  • 深原 俊明, 岡部 聡, 田波 秀朗, 桑原 博, 大司 俊郎, 村瀬 尚哉, 山下 博典, 岩井 武尚, 杉原 健一
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1359-1362
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の男性. 便潜血陽性にて近医で大腸内視鏡検査を施行し, 直腸に頂部の崩れたIs病変を認めた. 平成9年11月10日, EMRを施行されたが分割切除となった. 病理所見で粘液結節の形成を伴う粘膜下層への浸潤を認めたため当科を紹介され, 平成10年2月2日に直腸前方切除術を施行した. 切除標本の病理検査にて, 粘膜下層に粘液結節を認めた. sm浸潤の可能性がある大腸癌に対しては, complete biopsyの目的で内視鏡的に一括切除を行うことは治療方針の決定のために有用である. しかし, 分割切除では, 粘膜下層浸潤の診断を困難にするばかりでなく, 転移の危険性を高める可能性があり, 高度浸潤を疑うsm癌はEMRの適応ではないと思われた. また, 自験例のように粘膜下層の癌先進部付近に粘液結節の形成を認めた場合には, 腸壁への癌遺残の可能性が高く所属リンパ節郭清を伴う追加腸切除術を行うべきと考えられた.
  • 吉村 久, 家永 徹也, 植田 真三久, 太田 壮美
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1363-1366
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性. 痔瘻の病歴を有し, 肛門部の腫瘤を自覚し来院, 肛門右側に瘻孔を認め, 肛門皮下に5cm大の腫瘍を触知した. CT, MRIにて腫瘍周囲に膿瘍を伴い, 瘻孔が描出された. 腫瘍の穿刺細胞診はcclass IVであった. 大腸精査にて, 肛門より10cmの直腸に2/3周にわたる2型の腫瘍を認め, 生検にて中分化型腺癌であった. 痔瘻癌と直腸癌の重複癌, あるいは直腸癌の痔瘻への管腔内転移を考え手術を施行した. 手術は腹会陰式直腸切断術 (D2) を痔瘻腫瘍を含めて切除し, 右鼡径リンパ節郭清術を行った. 肛門部の欠損は有茎の右薄筋皮弁で補填した. 切除標本の病理組織所見では, 直腸癌は中分化型腺癌で, 一方, 痔瘻腫瘍は直腸と同一の組織型であった. 直腸癌と痔瘻癌は組織学的に連続性は認めず, 管腔内播種による転移が示唆された. 管腔内転移による痔瘻癌の報告はまれであり検討を加え報告する.
  • 山本 祐司, 佐藤 元通, 渡部 祐司, 塩崎 隆博, 吉川 浩之, 鈴木 秀明, 宮内 勝敏, 中野 昇, 河内 寛治
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1367-1370
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌 (HCC) に対する経皮的治療は通常超音波ガイド下で行われるため, 超音波で描出できない腫瘤は経皮的治療が出来なかった. CTガイド下マイクロ波凝固療法 (MCT) を導入し, 小型HCCを治療したのでその成績を報告する. 症例は63~72歳, 男性3例, 女性1例で, 術後再発例を3例含む. 腫瘍は全例単発で右葉に存在し, 腫瘍径は9~20mmであった. リピオドールを用い肝動脈塞栓術を行い, リピオドールスポットを目標にCTガイド下で細径針で穿刺した. 皮膚-腫瘍間距離は27~62mmであった. PMCTは1回80W, 60秒で行った. 穿刺本数は1本, 2本が各2例であった. 腫瘍穿刺は全例で容易に成功した. 穿刺, PMCTに伴う合併症は認めなかった. 術後の造影CTでは治療部は無血流野で被われ, 腫瘍壊死が確認された. その後の同所性再発は認めず, 3例生存中だが, 1例は肝再発で死亡した. 超音波で描出出来ない小肝細胞癌に対するCTガイド下PMCTは有用である.
  • 高木 融, 逢坂 由昭, 伊藤 一成, 片柳 創, 岡田 了祐, 篠原 玄夫, 須藤 日出男, 冨岡 英則, 青木 達哉, 小柳 泰久
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1371
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
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  • 舟木 洋, 清水 康一, 津山 博, 二宮 致, 伏田 幸夫, 谷 卓, 三輪 晃一, 原田 真市
    2001 年 34 巻 8 号 p. 1372
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
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