日本消化器外科学会雑誌
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37 巻, 2 号
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  • 愛甲 聡, 吉住 豊, 杉浦 芳章, 松山 智一, 石塚 隆充, 津和野 伸一, 前原 正明
    2004 年 37 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    はじめに: 進行食道癌の予後改善を目的に術前化学放射線療法 (CRT) が行われているが, その後の手術適応について判断に迷う例も少なくない. そこでCRT後の手術の安全性と手術例の予後規定因子より手術適応の明確化を試みた. 対象・方法: 1989年以降の当科入院食道癌患者のうちCRT後の切除例28例をCRT手術群, 術前無治療の切除例194例を対照手術群とした. CRT手術群と対照手術群で手術侵襲, 周術期免疫能, 在院死・合併症の頻度, 在院日数を比較した. CRT手術群の予後規定因子として有意な影響を示す因子から, 比例ハザードモデルにより独立した予後規定因子を求めた. 結果: CRT手術群はUt症例, 3領域郭清例を多く含み, 対照手術群に比べて手術時間・出血量ともに多く, 末梢血リンパ球数は9PODまで, リンパ球幼若化反応は1PODで低値を示した. 縫合不全の発生率, 在院死の頻度が有意に高かったが, 他の合併症・手術関連死の頻度, 術後在院日数に差はなかった. CRT手術群では, 手術的根治度と組織学的深達度が独立した予後規定因子となり, 対照手術群と異なる特徴を示した. 考察: CRT後の手術は, 侵襲が増大し免疫能の低下した条件下で行われるが, 安全性は許容範囲内と考えた. 早期再燃による在院死が多く, 予後規定因子である根治度Aの手術が可能な症例にのみ手術を行うべきである.
  • 佐野 芳史, 鈴木 裕, 二村 浩史, 樫村 弘隆, 石橋 由朗, 高山 澄夫, 武内 孝介, 益子 博, 羽生 信義, 青木 照明
    2004 年 37 巻 2 号 p. 107-116
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    はじめに: 胃全摘後患者の栄養改善とQOLの維持を目的として, ボタン型胃瘻カテーテルを応用した新しい腸瘻造設術 (low profile button jejunostomy: 以下, LBJ と略記) 考案した. その手技および効果について検討したので報告する. 方法: 胃全摘術, Roux-en Y再建術を行った23例を対象とした. 手術時, Y脚空腸にLBJを行った. 術後腸瘻カテーテルより補助経腸栄養を行った. 結果: 術後6か月以上腸瘻カテーテルから補助経腸栄養を活用したのは21例 (91.3%) であった. 術後BMIは減少したが, 血清トランスフェリン値, プレアルブミン値, レチノール結合蛋白値は上昇した. 術後アンケート調査では, 腸瘻管理の煩雑さはほとんどなく, 本治療に対してほぼ満足であるという結果がえられた. LBJの合併症には重篤なものはなかった. performance status (以下, PSと略記) が術前後で変化がなかったのは6例 (26.1%) で, 17例 (73.9%) は術後に低下がみられた (16例がPS-0からPS-1, 70歳の在宅癌化学療法施行例の1例がPS-1からPS-2). 初回術後50%入院期間は22日であった. 術後6か月間の再入院は3例あったが, LBJの合併症や栄養障害によるものではなかった. 在宅癌化学療法は, 術後6か月間に平均3.3コース施行可能であった (奏効度PR1例, SD5例, PD1例). 結論: LBJは簡便で安全な手技であった. また, 胃全摘術後患者に対するLBJを用いた在宅補助経腸栄養は, 術後の栄養状態を良好に保ち長期的なQOL維持に寄与すると考えられた.
  • 網倉 克己, 小林 照忠, 竹下 勇太郎, 川島 吉之, 西村 洋治, 坂本 裕彦, 田中 洋一, 余宮 きのみ, 松尾 直樹, 藤井 勇一
    2004 年 37 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    はじめに: 神経因性疼痛あるいはモルヒネ不耐性を示す消化器末期癌の癌性疼痛に対して抗不整脈剤であるリドカインの皮下あるいは静脈内持続注入法を行った症例についてretrospectiveに, 有効性, 安全性について検討した. 方法: 疼痛制御を目的に入院した消化器末期癌患者に対しリドカイン持続注入法を32例に施行した. 効果判定は痛みのアセスメントを行い, Verbal Rating Scale (0-5) で4段階以上改善を著効, 3段階以上改善したものを有効とした. 結果: リドカインの平均維持量は911±411mg/日であり, 投与日数は30±34日であった. 併用オピオイドはモルヒネ25例, フェンタニル9 例であり, 本法併用で低量に維持された. 効果は著効16例, 有効12例であり (有効率87.5%), 無効例あるいは効果が持続しなかった計8例に, 持続クモ膜下ブロックの追加が必要であった. 副作用は, 持続皮下注入例の全例に皮膚刺入部の軽度発赤を認めた. 他に4 例 (12.5%) にせん妄, 失見当識が現れ, リドカインの減量を要したが, 重篤なものは認めなかった. 考察: リドカインの持続注入法は簡便であり, 消化器末期癌の疼痛緩和に有効かつ安全性の高い方法であると考えられた. しかし一方で, 本法の適応と効果には限界があり, 神経ブロックなど他の方法を併用した総合的な対応が必要である.
  • 杉浦 功一, 小澤 壯治, 北川 雄光, 岡本 信彦, 清水 芳政, 矢野 和仁, 北島 政樹
    2004 年 37 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    食道小細胞型未分化癌 (以下, 食道小細胞癌) は比較的まれとされる疾患であり, 予後はきわめて不良である. 現在, 標準治療は確立されていない. 今回われわれは, 健診で早期に発見され, 増殖経過を観察しえた食道小細胞癌の1切除例を報告するとともに, 文献報告例より治療法と予後について検討した. 自験例はリンパ節および遠隔転移がない表在癌で, 術後8か月経て無再発生存中である. 文献報告例では, 全症例 (n=183) の5年生存率は9%, 50%生存期間は6か月であった. M0群 (n=106) はM1群 (n=50) よりも予後が良好であっ (p=0.004). N0M0群 (n=28) とN1M0群 (n=57) では予後に差はなかった (p=0.15). M0症例では, 集学的治療群 (n=31) は他の治療法群 (n=67) よりも予後が良好であった (p<0.0001). 食道小細胞癌では, 集学的治療を行った場合に最も予後がよく, 自験例でも術後補助療法の追加を検討中である.
  • 平松 和洋, 長嶋 孝昌, 水上 泰延, 長谷川 雅彦, 重田 英隆, 新美 清章
    2004 年 37 巻 2 号 p. 130-135
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    食道アカラシアと胃癌, 特に早期癌の合併はあまり知られておらず, その報告も少ない. 今回我々は高齢者の食道アカラシア患者に幽門部sm早期胃癌を合併した1例を経験した. 症例は75歳男性.軽度嚥下困難と胸焼けを主訴に来院.食道造影では食道胃接合部の平滑な狭窄と径7cmと著明な下部食道のフラスコ型の拡張を認めた. 内視鏡検査では食道に食物残渣を認めたが食道癌はなく, 内視鏡の食道胃接合部通過は容易であった. 胃角部小彎に0-IIc+IIa (sm) 胃癌を認め, 食道アカラシアの手術 (Belsey-Mark IV変法) と幽門側胃切除 (D1+β) を同時に行った. 再建はRoux-en-Y法を用いて行った. 術後経過は良好で, 術後1年4か月の現在, 嚥下困難もなく順調に経過している.
  • 伊藤 暢宏, 鈴村 和義, 有川 卓, 堀越 伊知郎, 小竹 克博, 稲垣 均, 大輪 芳裕, 永田 博, 黒川 剛, 野浪 敏明
    2004 年 37 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性で, 心窩部不快を主訴に検診を受診し, 胃に異常を指摘され精査目的にて紹介入院となった. 上部消化管精査にて, 胃体上部から下部にかけて粗大結節性で不整形な隆起性病変を認め, 生検でT細胞性悪性リンパ腫と診断した. 抗human T-lymphotropic virus type-1 (HTLV-1) 抗体は陽性であった. CT検査, Gaシンチなどで胃所属リンパ節以外に異常を認めず, 胃原発T細胞性悪性リンパ腫と診断した. 胃全摘, 脾摘, 胆摘, D2郭清術を施行した. 組織中のHTLV-1 (DNA) プロウイルスは陽性であったが, 骨髄液中は陰性, また, 末梢血, 骨髄中に異常リンパ球を認めなかったことよりHTLV-1関連胃原発悪性リンパ腫の確定診断がえられた.HTLV-1関連胃原発悪性リンパ腫の報告はまれであり治療法も確立していない. さらなる症例の集積が望まれる.
  • 佐藤 暢人, 北上 英彦, 横山 和之, 池田 淳一, 須永 道明, 新里 順勝, 小澤 達吉, 池田 仁, 加藤 紘之
    2004 年 37 巻 2 号 p. 142-146
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は61 歳の男性で, 検診で異常を指摘され受診した. 上部消化管内視鏡検査にて, 胃体上部後壁にIIb型病変を認めた. 生検の結果, Group V (中分化型管状腺癌) と診断された. 超音波内視鏡検査では, びまん性に粘膜下層の数mm大の嚢胞状変化を認めた. 以上より, びまん性胃粘膜下異所腺に併存した早期胃癌と診断した. 患者の強い希望を受け, 手術は胃全摘術を施行した. 病理学的検索では, 粘膜下のびまん性異所性胃腺, 内視鏡的に認められた胃体上部後壁の癌病変に加え, 前庭部にも癌病変を認め, びまん性胃粘膜下異所腺に併存した多発早期胃癌と診断された.
    びまん性胃粘膜下異所腺に合併した胃癌症例においては, 術前診断が困難な微小病変が存在する可能性があるため, そのことを念頭に置いた注意深い診断に加え, 多発胃癌, 残胃癌を考慮した治療法の選択と経過観察が必要であると考えられた.
  • 浅川 英輝, 市倉 隆, 辻本 広紀, 小川 敏也, 間嶋 崇, 菅澤 英一, 三枝 晋, 緒方 衝, 相田 真介, 望月 英隆
    2004 年 37 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例1: 58歳の男性.内視鏡検査で胃体上部後壁に3型腫瘍を, 胃前庭部にIIc病変を認め, 生検の結果おのおの低分化腺癌, 高分化腺癌であった.入院待機期間を利用してTS-1 100mg日を1クール投与したところ, 胃体上部の腫瘍は, 浅い陥凹のみとなり, 前庭部の病変は消失した.胃全摘, D2郭清術を施行.手術標本においても腫瘍細胞は検出されず, 組織学的にCRと診断した.症例2: 87歳の男性.内視鏡検査において胃噴門部の2型腫瘍を認め, 生検にて乳頭腺癌の診断をえた.高齢であること, 併存症が多いこと, 本人が手術を希望しなかったことから, TS-1 100mg/日を開始.投与開始後19日目の内視鏡検査では, 原発巣の周堤は明らかに縮小し, 潰瘍も軽快傾向であり, 140日目には, 原発巣は潰瘍廏痕となり, 組織診でも腫瘍細胞は検出されなかった.胃癌に対するTS-1投与は, CRがえられた報告も散見され, 外科手術の危険性が高い症例などでは, 侵襲の少ない治療として選択肢の1 つとなりえると考えられた.
  • 大平 真裕, 三浦 義夫, 佐々木 翠, 山口 剛, 先本 秀人, 小出 圭, 江藤 高陽, 高橋 信
    2004 年 37 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は80歳の男性で, 原因不明の消化管出血のため当院入院. 約6年前に腹部大動脈瘤の手術既往あり. 消化管内視鏡, CT, 血管造影で出血源を確認できなかったが, 99mTcシンチで左上腹部に集積を認めた. 大量下血による出血性ショックのため緊急開腹し, 大動脈瘤術後の人工血管と十二指腸上行脚との瘻孔と診断し, 瘻孔部を切除し単純縫合閉鎖した. 術後14日目に上部消化管出血を認め, 内視鏡で十二指腸水平脚に多発する出血性潰瘍を確認後保存的に止血した. 術後21日目再び大量出血があり緊急開腹したが, 主な出血源は潰瘍ではなく, 大動脈十二指腸瘻からの再出血であった. 全身状態不良のため単純閉鎖のみで手術を終えたが, 術後4日目死亡した. 剖検所見より大動脈と十二指腸の間に巨大な血腫を形成し十二指腸を圧迫した結果, 潰瘍・瘻孔ができたものと推察された. 大動脈十二指腸瘻はまれだが致死率が高く, 消化器外科医も十分周知しておく必要がある.
  • 三浦 勝, 森 隆太郎, 高橋 徹也, 小尾 芳郎, 山中 研, 阿部 哲夫, 小林 大輔, 中村 恭一
    2004 年 37 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    内分泌細胞癌は悪性カルチノイド腫瘍ともいわれ, 従来の古典的カルチノイドとは区別されている. 今回, まれな十二指腸Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌を経験したので報告する. 症例は66歳の女性で, 発熱, 腹痛を主訴に来院し, 血中アミラーゼ高値および肝機能異常を認めた. CT膵頭部に腫瘤形成を呈し, 上部消化管内視鏡ではVater乳頭部に, 中心に陥凹を有する隆起性病変を認め, 生検でVater乳頭部未分化癌または内分泌細胞癌の診断にて, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 術後病理学的にグリメリウス染色およびクロモグラニン染色陽性で, 内分泌細胞癌と診断した.術後早期にリンパ節再発, 肝転移を認め, 術後75病日に死亡した. Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌は会議録を含め本邦報告17例とまれであるが, 予後は極めて不良とされている. 本症例も腫瘍部でのKi-67染色が約50%陽性と, 高頻度の細胞増殖を認め, 内分泌細胞癌の悪性度を裏付ける症例であった.
  • 砂原 正男, 神山 俊哉, 佐藤 直樹, 倉内 宣明, 伊藤 東一, 大久保 尚, 片山 知也, 松下 通明, 藤堂 省
    2004 年 37 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    従来は肝切除不能とされた下大静脈浸潤, 閉塞の多包性肝エキノコックス症2例に対し, 下大静脈切除を伴う肝右3区域切除, および下大静脈周囲郭清と肝左葉切除 (減量手術) を行ったので報告する. 71歳の女性例は, 下大静脈への浸潤閉塞のため切除適応なしとされたが, second opinionを求めて当科入院. 肝右3区域切除に横隔膜・右副腎切除, 肝部下大静脈を合併切除した. 37歳の女性例は, 強固な浸潤が肝病巣から右心房外側と肝部下大静脈左縁に至り, 一部病巣を残して肝左葉切除を行った. おのおの2年8か月健在である. 当科では切除不能の本症は7年以内に全例が死亡したが, 病巣遺残があっても肝切除とアルベンダゾール投与で約半数が10年生存する. これらのような高度進行例にも積極的な肝切除と浸潤部分の切除を行い, 術後にアルベンダゾールを投与することで予後の改善が期待できる.
  • 呉 成浩, 井上 総一郎, 越川 克己, 所 隆昌, 出口 智宙, 金子 哲也, 竹田 伸, 中尾 昭公
    2004 年 37 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌による肺転移に対してCTガイド下経皮的ラジオ波焼灼術を安全に施行しえた1例を経験した. 症例は67歳の男性で, 平成13年3月肝細胞癌にて肝左葉切除術, 平成14年10月肺転移再発にて肺部分切除術, 平成14年12月より左肺門リンパ節転移にてTAE, 放射線照射治療を受けた. 今回脾転移に対し平成15年3月28日脾摘術施行したのち, 左肺舌区の転移に対し4月15日CTガイド下経皮的ラジオ波焼灼術を施行した. 穿刺直後に気胸となるもすぐに軽快し, 胸腔ドレーン不要にて安全に術式終了, 術後6日目に退院した. 退院後の胸部CTにて腫瘍は液状壊死所見を呈していた.
  • 長屋 昌樹, 窪田 倭, 明石 勝也
    2004 年 37 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    外傷性肝損傷後, 肝内に形成された仮性動脈瘤が胆管内に穿破して生じる胆道出血 (以下, 本症と略記) はまれな合併症である. 治療戦略は手術からTAEへと変遷し, 現在ではTAEによる止血が治療の第1選択として確立されている. 著者らは経験した本症2例からTAEの有効性と問題点を検討した. 日本外傷学会肝損傷分類Ib型損傷の1例はbilomaおよび, 感染を認めずTAEにて完全な止血を得た. bilomaを合併し, SIRSの診断基準を満たしたIIIa型損傷の1例ではTAEには長時間を要し, 止血を得たものの出血性ショックの遷延にて死亡した. bilomaおよび感染の存在は, 止血のために働いた凝血塊, 修復過程の損傷血管壁の血餅をも融解してしまう. それゆえbilomaもしくは炎症所見を認めない症例では, TAE単独にて止血が可能であるが, bilomaに感染が原因であるSIRSを満たす症例では, TAE 単独による止血は困難である.
  • 山田 達治, 小林 陽一郎, 宮田 完志, 米山 文彦, 太田 英正, 竹内 英司, 小森 康司, 高山 祐一, 渡邊 真哉, 北尾 俊典
    2004 年 37 巻 2 号 p. 181-186
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の女性で, 以前に腹部CTで膵体尾部実質の非描出およびERCP検査で短小な主膵管を認め, 膵体尾部欠損症の診断を受けていた. 今回は閉塞性黄疸のために入院し, 膵頭部癌と診断された. 膵体尾部欠損症に合併した膵頭部癌の診断で手術を行った. 手術所見では, 膵体尾部は分厚い脂肪組織に置換し, 膵実質を認めなかった. 亜全胃温存膵頭十二指腸切除を行い, 門脈左縁の脂肪置換部を膵切離ラインとし, 再建は行わなかった. 術後の内分泌機能は良好で, インスリンの使用は必要としなかった. 組織学的には, 脂肪置換部にラ氏島を散在性に認めた. 以上のように, 膵体尾部脂肪置換に合併した膵頭部癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除を行い, 術後経過の良好な症例を経験したので報告する.
  • 本邦報告例の臨床的検討
    吉岡 宏, 倉吉 和夫, 河野 菊弘, 金山 博友, 井上 淳
    2004 年 37 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    MRI, T2強調像にて放射状の低信号を呈する炎症性偽腫瘍 (IPT) の1例を経験したので報告する. 症例は51歳の男性で, 健診にて, USで脾に境界不明瞭で不均一な低エコーの腫瘍を指摘され入院した. 愁訴はなく, 末梢血検査所見では指摘すべき異常はなく, CEAやCA19-9も正常であった. 腹部CT検査で脾内に不均一な低吸収域を認め, 遅延相で造影効果が認められた. MRI検査ではT1強調像で不均一な低信号が認められ, ガドリニウム負荷後に遅延相で造影効果が認められた. 我々の症例では, 特にMRI, T2強調像にて放射状の低信号を呈した. 脾原発腫瘍の診断のもとに摘脾術を施行した. 脾臓の重量は116gで, 腫瘍の大きさは, 3.5×3.5×2.5cmであった. 病理組織学的にIPTと診断され, MRI, T2強調像にて放射状の低信号, を呈した部位に豊富な繊維組織の増生を認めた. 術前に, 悪性腫瘍とIPTを鑑別するのは困難である. 本邦報告例の臨床像所見を検討し報告した.
  • 小松 大介, 小池 祥一郎, 小林 宣隆, 塩澤 秀樹, 中村 俊幸, 岩浅 武彦, 中澤 功
    2004 年 37 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    転移性脾腫瘍は悪性腫瘍剖検例の4~7%にみられたと報告されているが, 孤立性脾転移は極めてまれである. 症例は52歳の女性で, 1987年6月に左乳癌で定型的乳房切除術, 2001年1月に子宮頸癌にて広範子宮全摘術の既往があった. 2002年3月の腹部CT検査で, 脾臓に3cm大の境界不明瞭な低吸収域を認め, 脾臓転移を疑い2002年4月に脾摘術を施行した. 病理組織学的に子宮頸癌と同様の扁平上皮癌を認め, 他に転移・再発がみられないことより孤立性脾転移と診断した. 現在, 術後1年で再発徴候なく外来通院中である. 子宮癌の孤立性脾転移に関する報告例は自験例を含め12例で, そのうち4例が子宮頸癌であった. 長期生存例も認められることから, 積極的に外科的治療が選択されるべきと考えられた.
  • 柏原 元, 田尻 孝, 中村 慶春, 宮下 正夫, 内田 英二, 笠井 源吾
    2004 年 37 巻 2 号 p. 198-201
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    水棲動物エイによる刺傷は, その鋭利な刺棘と刺毒による著しい局所の損傷と炎症などが特徴である. 今回我々は, 腹部エイ刺傷により腸管脱出を来した極めてまれな症例を経験したので報告する. 症例は39歳の男性で, 船上での仕事中, 巨大エイの毒棘により右鼠径部を刺傷したため, 救急車で当院に搬送された. 来院時, 腹腔外へ脱出した腸管が認められたため緊急手術となった. 脱出した腸管を還納し, 刺創部をデブリードマンした後40℃以上の温生食で十分に洗浄し, 腹壁を縫合閉鎖した. タンパク毒であるエイ毒には温浴が有効であり, 治療として先行される. この症例では腸管脱出に対する処置を先行せざるをえなかったが, 術中高温生食による十分な洗浄などが毒素に対しても有効であったと考えられた.
  • 小山 基, 森田 隆幸, 村田 暁彦, 佐々木 睦男
    2004 年 37 巻 2 号 p. 202-207
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    大量下血により緊急手術を施行したCrohn病の5例を経験したので報告する. 内訳は男性4例, 女性1例. 手術時の平均年齢は25.8歳, 病型別では小腸型2例, 小腸大腸型2例, 大腸型1例であった. 緊急手術時の下血量は平均3,100mlで, 血圧を維持するために必要とした輸血量は平均2,040mlであり, 2症例でショック状態を呈した. 術前検査および術中所見で出血点が同定できなかった1症例で, 術中大腸内視鏡検査を施行した. 切除範囲は出血点を含む主要病変部の小範囲切除とした. 切除標本所見では地図状~不整形の深い潰瘍底からの出血が特徴的であり, 組織学的にUL-II~IVの潰瘍および裂溝形成が認められた. 潰瘍底近傍に中等度の動脈がみられ, 潰瘍底血管の破綻が大量下血の原因であった. 若い年代に発症した下血症例で, 内視鏡的に地図状~不整形の深い潰瘍形成が認められる場合は, 大量下血を引き起こす危険性があることを念頭に, 治療にあたるべきである.
  • 自見 政一郎, 佛坂 正幸, 松本 伸二, 佐伯 修治, 永井 俊太郎, 青木 康明, 岩本 昭三, 濱田 哲夫, 武田 成彰
    2004 年 37 巻 2 号 p. 208-212
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は51歳の男性で, 心窩部痛, 右下腹部痛を訴えて受診した. 右下腹部に腹膜刺激症状を認め, 白血球12,400/μl, CRP10.3mg/dlと炎症所見を呈していた. CT検査では, 回腸末端, 盲腸, 上行結腸の腸管壁の肥厚を認めた. 急性虫垂炎穿孔, 腹腔内膿瘍の疑いで開腹手術を施行した. 開腹すると回腸末端と上行結腸の間の腸間膜に手拳大の腫瘤を認めたため, 回盲部切除を行った. 切除標本では回腸末端に潰瘍性病変を認め, その部から穿通し, 回腸末端と上行結腸の間の腸間膜内に膿瘍を形成していた. 病理組織検査で潰瘍性病変は中分化腺癌と診断された. 盲腸周囲膿瘍の原因として極めてまれな回腸癌穿通の1例を報告した.
  • 湊 栄治, 藤野 一平, 杉平 宣仁, 松本 収生, 嶋 廣一
    2004 年 37 巻 2 号 p. 213-216
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は80歳の男性で, 貧血および右下腹部痛を主訴に当院を受診した. 注腸造影検査および大腸内視鏡検査にて上行結腸に全周性狭窄を伴う腫瘍を認めた. 生検にてGroup V, 低分化腺癌と診断, D2リンパ節郭清を伴う結腸右半切除術を施行した. 摘出した腫瘍は10×8cm大で, 病理組織学的に悪性リンパ腫と低分化腺癌の衝突腫瘍を認めた. 大腸原発の悪性リンパ腫と腺癌の衝突腫瘍は極めてまれであり, 検索しうる範囲で, 自験例を含め4例の報告を見るのみであった.
  • 野村 昌哉, 宗田 滋夫, 井上 善文, 吉川 幸伸, 文元 雄一, 横谷 仁彦
    2004 年 37 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は53歳の女性で, 下痢, 下腹部痛を主訴に当科受診. 下行結腸カルチノイドに対し, 1995年8月4日に左結腸切除術 (D2 郭清) を施行した. 病理組織学的には混合型カルチノイド, 銀反応陰性型で壁深達度mp, リンパ節転移n1 (+) であった. 術後7 年目の2002年3月19日, 上行結腸カルチノイドに対し, 右結腸切除術 (D2郭清) を施行した. 病理組織学的には混合型カルチノイド, 銀好性細胞型で壁深達度ss, リンパ節転移n (-) であった. 本邦では虫垂および直腸を除く大腸原発のカルチノイドは比較的まれで, うち多発例は自験例を含め3例であった. 結腸カルチノイド根治術後の異時性発生例は自験例のみであった. さらに, 腫瘍組織における癌遺伝子Wilms'tumor gene (WT1) のmRNAレベルは, 正常組織に比べ約200倍過剰発現していたことから, WT1 遺伝子が大腸カルチノイドの発生に関わっている可能性が示唆された.
  • 天池 寿, 谷口 弘毅, 藤 信明, 岡 克彦, 稲葉 一樹, 内藤 和世, 土橋 康成
    2004 年 37 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    横行結腸に発生した進行癌の根治切除後6年経過し, 胃所属リンパ節への単独転移再発を認めた症例を経験した. 症例は66歳の男性で, 1989年5月に横行結腸癌による腸閉塞で右半結腸切除術を受け, 外来通院中であった. 1994年5月よりCEA の上昇を認めはじめ, 1996年1月には胃内視鏡検査にて胃体下部大彎側に粘膜下腫瘍と考えられる隆起性病変を認めた. その後, 増大傾向を認めたためCT・腹部血管造影などを施行し, 切除可能な大腸癌再発病変と診断して1996年11月19日手術を施行した. 手術所見にて胃大彎側のNo.4dリンパ節への転移再発と診断し, 幽門側胃切除にて切除郭清した. 術後経過は良好で, 再切除後6年7か月を経過したが無再発生存中である. 初回手術後5年以上経過した横行結腸癌の胃所属リンパ節への単独転移は, 再発形式としてもまれなため, 若干の文献的考察を含めて報告する.
  • 高橋 健治, 柏原 瑩爾
    2004 年 37 巻 2 号 p. 229-234
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例1は42歳の男性で, 6年前に急性膵炎でドレナージ手術を受けた. 発熱を伴う腹痛が出現し, 腹部CTで膵周囲の浸出液貯留があり, 注腸造影検査で下行結腸脾彎曲部の狭窄を認めた. 保存的治療により症状は軽快し, 大腸狭窄も改善した. 症例2は62歳の男性で, 1年8か月前に急性膵炎で絶食点滴治療を受けた. 10日前より腹満を生じ, 急激な腹痛のため緊急入院となった. 胸腹部単純X線で大量のfree airを認め, 緊急, 術を行った. 膵炎による下行結腸の狭窄のため横行結腸に穿孔を起こしていた. 腹腔洗浄ドレナージと穿孔部の人工肛門造設術を行った. 術後も狭窄部の改善は認められなかった. 膵炎発症後は大腸狭窄にも留意し, また大腸の狭窄病変の鑑別診断には, 膵炎による狭窄も念頭に置く必要があると思われた.
  • 吉川 智道, 佐々木 一晃, 高坂 一, 川崎 浩之, 大野 敬祐, 大野 敬, 西川 紀子, 平田 公一
    2004 年 37 巻 2 号 p. 235-240
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    患者は69歳の男性で, 主訴は下血, 排便困難, 併存症は糖尿病, 高血圧にて内服加療中であった. 下血, 排便困難を主訴に近医受診, 直腸癌の診断にて手術目的に当院入院となった. 術前スクリーニング検査として上部消化管内視鏡検査を施行したところ, 十二指腸下行脚Vater 乳頭部肛門側にほぼ全周性の表面型腺腫を認めたため生検施行. その結果, 高度異型性を伴う管状腺腫と診断された. 上部消化管超音波内視鏡検査で病変は粘膜内にとどまる病変として確認された. なお, 他の腫瘍性病変を認めなかった. 下部直腸癌に対し低位前方切除術を施行, 十二指腸腺腫についても悪性の可能性も否定できず, 十二指腸切開, 十二指腸環状部分切除術を施行した. 摘出物の病理組織学的検査の結果, 直腸は高分化型腺癌, 深達度se, stage IIIb, 十二指腸は一部に高度異型性を伴う管状繊毛腺腫であった
  • 壁島 康郎, 高橋 麻衣子, 亀山 哲章, 戸泉 篤, 田村 洋一郎, 影山 隆久
    2004 年 37 巻 2 号 p. 241-246
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    大腸癌転移の脳実質を除く頭頸部への初発転移はまれであり, 欧米・本邦を含め8報告例のみであった. 我々は後頸部軟部組織に直腸癌の初発転移を来たしたまれな症例を経験したので報告する.
    症例は73歳の女性で, 便秘を主訴に当院受診, 大腸内視鏡検査において直腸癌 (Rb) と診断した. 2001年7月に腹会陰式直腸切断術 (D3) を施行. 腫瘍は高分化と低分化腺癌の混在した像を示し, mp, ly0, v2, n1 (+) であった.また, synaptophysin, NSE, chromogranin陽性であった. 同年9月より後頸部に直径1cm大の硬結を認めた. 急速な増大傾向を示したため生検を施行. 転移性腺癌の診断であった. このため腫瘤摘出術を施行, 病理組織像は直腸癌と一致した. 化学療法および後頸部領域に放射線治療 (44Gy) を施行し, 2003年3月現在, 傍大動脈リンパ節に再発を認めるも無症状生存中である.
  • 清水 謙司, 中西 章人, 林 隆志, 佐藤 文平, 辻 雅衛
    2004 年 37 巻 2 号 p. 247-251
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    腹部症状を主訴に発症した成人発症型Henoch-Schoenlein紫斑病の1開腹例を報告する. 症例は58歳の男性で, 主訴は左上腹部痛. 平成14年9月頃より軽度の上腹部痛を自覚. 10月頃より下痢, 下血が出現. 11月13日に左上腹部を中心に強い腹痛を自覚し当院受診. 左上腹部を中心に圧痛, 反跳痛を認め, 腹部CT 検査にて十二指腸および上部空腸に著明な壁肥厚を認めた. 腸閉塞, 腸壊死などを否定できず緊急開腹術を施行. 開腹所見にて散在性に空腸壁の著明な発赤・肥厚を認めた. 非特異性腸炎疾患の可能性を考え, 病変は切除せず閉腹した. 術後右下腿の紫斑および蛋白尿が判明. 内視鏡検査にて十二指腸壁の浮腫と発赤を認め, 生検・免疫組織化学染色にてIgA 沈着を伴う細血管炎を認めた. 成人発症型Henoch-Schoenlein紫斑病の診断にてステロイド投与を開始. 約1か月にて腹部症状, 紫斑, 蛋白尿は消失した.
  • 藤井 雅和, 沖野 基規, 藤岡 顕太郎, 山下 勝之
    2004 年 37 巻 2 号 p. 252-256
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    88歳の女性で, 発熱・嘔吐を主訴に近医を受診し, 胆石症・総胆管結石症の診断で当院内科に入院した. 内科的治療で軽快せず, 平成14年10月21日に手術目的で外科転科となった. 手術所見は, 総胆管を切開し総胆管結石を摘出後, 両側ピッグテール型ERBD チューブを留置し, 1次縫合閉鎖した. 術後経過は, 術後18日目から常食可能となり, ERBDチューブは術後29日目に, 内視鏡下に抜去された. 高齢者に老人性痴呆を伴う場合, TチューブやCチューブが自己抜去されて, 胆汁性腹膜炎が引き起こされる可能性が高い. また総胆管切開1次縫合閉鎖のみでは胆汁瘻などの合併症がTチューブ使用例よりも多いと報告されている. 今回我々が行った両側ピッグテール型ERBDチューブを用いた総胆管切開1次縫合閉鎖術は1次縫合閉鎖術の合併症である胆汁瘻の危険性が減少し, 老人性痴呆がある高齢者に対して非常に有用であると考えられた.
  • 長江 逸郎, 土田 明彦, 田辺 好英, 高橋 総司, 湊 進太朗, 青木 達哉, 小柳 泰久
    2004 年 37 巻 2 号 p. 257-262
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    当科では1996 年以降, 腹壁瘢痕ヘルニア症例に対してメッシュによる腹壁修復術を導入し, 現在ではほぼ全例に対してメッシュを使用している. 1996年以前は, 主に単純閉鎖法を行っていたが, 1996年以降はMarlex meshを導入, 腹膜の修復が困難な症例に対しては癒着防止用のePTFE面を有するComposix meshの使用を開始した. また, ヘルニア門の小さい症例に対しては鼠径ヘルニアに使用されているProlene hernia system (以下, PHS と略記) による修復術を行ってきた. しかし, ヘルニア門が4cm 以上の2 症例にPHSを使用した際, 術後半年にメッシュが塊状となり突出が認められた. ヘルニア門が3cm以下の症例では異常がみられなかったことから, ヘルニア門が3cm 以上の症例にはPHSを使用しないことを基本とした. 現在までのところメッシュ使用症例に関しては感染, 再発はない. 今後, メッシュの使用方法を確立していけば腹壁癜痕ヘルニアに対するMesh repairは基本術式になりうると考える.
  • 南 一仁, 山口 佳之, 大下 純子, 峠 哲哉
    2004 年 37 巻 2 号 p. 263
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/06/08
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