日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
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41 巻, 12 号
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  • 小林 大介, 本田 一郎, 加藤 伸幸, 坪井 賢治, 大河内 治, 松下 英信, 服部 正嗣, 永田 松夫, 滝口 伸浩
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2001-2010
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    はじめに: 上部胃癌の手術術式の選択にあたり, 噴門側胃切除が至適術式として採用できるか否かをリンパ節郭清の程度も含め, 壁深達度とリンパ節転移の状況に基づき検討した. 方法: 1973年から2005年に行われたH0P0M0のU領域, 初発単発胃癌切除例401例を対象とし, No.4d, 5, 6, 10, 11のリンパ節の転移の特徴, 臨床病理組織学的因子につき検討した. 結果: 深達度SSまでのNo.10転移例は郭清例126例中5例 (4.0%) であり, 全例病変の占居部位は胃上部左半にあった. 4例は腫瘍径が40mm以上であり, 1群リンパ節転移を伴っていた. No.11転移例は郭清例126例中8例 (6.3%) で, そのうちNo.11dの転移例は3例のみであり, 全例病変の占居部位は胃上部左半にあり, 1群リンパ節転移を伴っていた. そのうち, 2例は腫瘍径が40mm以上であった. No.4d転移例は郭清例189例中3例 (1.6%) で, 全例腫瘍径は40mm以上, 病変の占居部位は胃上部左半にあった. No.5, 6リンパ節転移例は認めなかった. 深達度SE, SIではそれぞれのリンパ節転移率は高率となる傾向であった. 結語: 深達度SSまでで占居部位が小彎に限局, あるいは腫瘍径が40mm未満もしくは1群リンパ節転移を認めない場合, No.4d, 5, 6, 10, 11dのリンパ節転移例はごくまれであった. したがって, 上部胃癌では上記の条件を満たす場合, 噴門側胃切除術, D1+No.7, 8a, 9, 11pのリンパ節郭清は至適術式と考えてよいと思われた.
  • 二渡 信江, 片田 夏也, 森谷 宏光, 山下 継史, 桜本 信一, 菊池 史郎, 渡邊 昌彦
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2011-2017
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性で, 5年前より胸焼けを, 2か月前より食物のつかえ感と頻回の嘔吐を認め来院した. 上部消化管内視鏡検査にて逆流性食道炎 (Los Angeles分類; 以下, LA: Grade D) を認め, 食道胃接合部には食道炎によるpin hole状の瘢痕性狭窄を伴っていた. 初期治療としてプロトンポンプ阻害薬 (proton pump inhibitor; 以下, PPI) の投薬を開始したが症状は改善しなかった. 次に, バルーンにて計7回の拡張術を施行したが, 拡張後早期の再狭窄を繰り返した. 24時間食道pHモニタリングでは食道内酸逆流時間は6.8%であり, 食道内圧検査では食道体部に運動機能障害を認めた. 以上より, 逆流性食道炎による食道狭窄と診断し, 内科的治療に抵抗性であったため腹腔鏡下Toupet噴門形成術を施行した. 術後つかえ感は消失し, 内視鏡では粘膜障害と食道狭窄が消失した. pHモニタリングでも酸逆流時間は0.3%と正常化した.
  • 櫻井 丈, 榎本 武治, 瀬上 航平, 野田 顕義, 片山 真史, 諏訪 敏之, 小林 慎二郎, 中野 浩, 田中 一郎, 大坪 毅人
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2018-2022
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は55歳の男性で, 主訴は咳漱, 食欲低下, 頸静脈怒脹と下腿浮腫. 平成6年10月に胃癌で胃全摘術, 胆嚢脾臓合併切除を施行した. 平成14年2月から主訴が出現し, 外来を受診した. 心嚢水貯留と心タンポナーデによる右心不全を認めたため, ただちに超音波ガイド下心嚢穿刺を施行した. 心嚢水の細胞診はclass Vであった. 多発性骨転移, 胸膜転移も認められたため, TS-1 (100mg/body/day) を開始した. TS-1投与1コース終了後の心嚢水細胞診は陰性化し, 骨転移数も著明に減少した. TS-1を3コース終了後に癌性胸膜炎の急速な進行と癌性リンパ管炎を併発し, 第229病日に永眠された. 胃癌による癌性心膜炎はまれであるが, 心タンポナーデの可能性も念頭におく必要があると思われた. また, TS-1が奏効したので治療の選択肢として考慮すべきであると考えられた.
  • 高橋 聡, 梨本 篤, 中川 悟, 藪崎 裕, 太田 玉紀
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2023-2028
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は極めてまれとされている残胃に発生した悪性リンパ腫と癌腫の衝突腫瘍症例を経験したので報告する. 症例は79歳の男性で, 67歳時に十二指腸悪性リンパ腫 (Non Hodgkin lymphoma, diffuse, small B cell type) にて幽門側胃切除術, Billroth II法再建を施行された. 2005年5月, 糖尿病の治療目的で入院した際の上部消化管内視鏡検査で残胃吻合部後壁に2型胃癌を指摘された. 2005年6月, 当科にて残胃全摘術, D1リンパ節郭清を施行された. 病理組織学的診断の結果, 悪性リンパ腫 (Non Hodgkin lymphoma, diffuse, small B cell type, 深達度fSM) と低分化腺癌 (深達度fMP) との衝突腫瘍と診断された. リンパ節転移は認めなかった. 術後, 肺炎および全身衰弱のため長期の入院加療を要した. 退院後は悪性リンパ腫, 癌腫ともに明らかな再発を認めずに経過したが, 術後2年目に重症肺炎にて死亡した.
  • 山中 秀高, 石坂 貴彦, 川井 覚, 松永 宏之, 鬼頭 靖, 神谷 里明, 松崎 安孝
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2029-2034
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    真性多血症患者の手術では周術期の管理が重要である. 今回, 我々は十二指腸潰瘍穿孔で緊急手術を施行した1例を経験したので報告する. 症例は56歳の男性で, 25歳時, 真性多血症と診断され加療を受けていたが, 36歳時に自己中止した. 50歳と55歳時, 脳梗塞で入院した. 今回, 食後の腹痛で入院した. 腹部CTおよび上部消化管内視鏡検査で十二指腸潰瘍穿孔, 腹膜炎と診断し緊急で大網充填術を施行した. 術後, 血栓塞栓症や出血傾向はなかったがacute respiratory distress syndrome (以下, ARDS) を併発した. 人工呼吸器管理, シベレスタットナトリウム投与などによる集学的治療にて軽快し術後24日目に退院した. 真性多血症患者の周術期管理には, 血栓塞栓症や出血に対する治療と同様に, 好中球の恒常的な活性化によるエラスターゼ放出の増加があり, ARDS準備状態にあるということを念頭におき, 肺合併症に留意した呼吸器管理, 治療も肝要と思われた.
  • 平島 浩太郎, 別府 透, 石河 隆敏, 堀野 敬, 小森 宏之, 増田 稔郎, 林 洋光, 岡部 弘尚, 広田 昌彦, 馬場 秀夫
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2035-2040
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は82歳の男性で, C型肝硬変, 肝細胞癌の診断で, 他院にて平成15年より計4回の肝動脈化学塞栓療法の治療歴がある. 平成17年8月より急速なAFPの上昇 (8月98.8ng/ml, 9月1,627ng/ml, 10月11,679ng/ml, 11月199,880ng/ml) を認めた. 同年12月のCTにて門脈右枝に充満した腫瘍栓を伴う径6cmの肝細胞癌を認め, 当科入院となった. 肝機能 (ICG-R15: 29.0%), 非癌部肝切除率74%, 年齢などから切除は不能と判断し, 開腹による門脈結紮術とラジオ波凝固療法および, 門脈腫瘍栓に対する術後3次元原体照射 (総線量45Gy) を施行した.経過観察中にS6, S8に径1cm大の再発を認め, 経皮的ラジオ波凝固療法を施行した. 術後2年が経過した現在, AFPは正常, tumor freeで外来通院中である. 切除不能な門脈腫瘍栓を有する大型肝細胞癌に対する, 新しい治療選択肢に成りうると考え報告した.
  • 前原 直樹, 千々岩 一男, 近藤 千博, 佛坂 正幸, 日高 秀樹, 鮫島 直樹, 丸塚 浩助, 桑原 一郎, 濱砂 良一, 浅田 祐士郎
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2041-2046
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は78歳の男性で, 近医での検診目的の上部消化管内視鏡検査で早期胃癌を指摘され, 精査加療目的で前医を紹介された. 前医での精査中に肝腫瘍, 左腎腫瘍を指摘されたため, 精査加療目的で当科紹介となった. 当科での下部消化管内視鏡検査で直腸癌も存在していた. 同時性4重複癌の診断で, 4期的に内視鏡的胃粘膜下層剥離術, 肝左葉切除術, 腹会陰式直腸切断術, 左腎摘出術を施行した. 病理組織学的診断は, 胃: 高分化型腺癌, 肝: 肝細胞癌, 直腸: 高分化型腺癌, 左腎: 腎細胞癌であった. 肝癌を含む4重複癌の報告は, 本症例を含め4例のみと非常にまれで, 同時性となると1例のみの報告しかなく, 文献的考察を加えて報告する.
  • 安村 友敬, 山口 大輔, 斉田 真, 矢川 彰治, 小澤 俊総
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2047-2052
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    69歳の女性で, 右季肋部痛を主訴に当院を受診された. 諸検査の結果, 下部胆管から十二指腸内腔にかけて腫瘤が認められたが, 確定診断に至らず, 十二指腸乳頭部癌, 十二指腸癌, gastrointestinal stromal tumor (以下, GIST) 胆管癌を鑑別診断として考え, 膵頭十二指腸切除を行った. 標本割面では下部胆管から十二指腸下降脚内に突出する80×75×34mm大の結節型の腫瘤が認められ, 病理組織学的診断で, 同一腫瘍内に腺癌, 扁平上皮癌と肉腫組織が確認された. 免疫染色検査の結果, 肉腫組織はc-kit強陽性であり, 下部胆管が原発と考えられるGISTを伴った真性癌肉腫と診断された. 根治手術であったが, 術後184日目, 多発肝, 肺, リンパ節転移を生じ死亡された. 胆管原発の真性癌肉腫は極めてまれであるため報告する.
  • 高倉 秀樹, 上田 倫夫, 清水 哲也, 松尾 憲一, 武田 和永, 田中 邦哉, 市川 靖史, 遠藤 格, 渡会 伸治, 嶋田 紘
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2053-2057
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性で, 糖尿病の加療目的で入院中, 腹部CTで膵頭部に嚢胞性腫瘤を指摘された. 画像上, 膵頭部の分枝型IPMCの診断で膵頭十二指腸切除術を施行した. 病理組織学的診断は微小浸潤型IPMCで切除断端は癌陰性であった. 術後4か月目から腫瘍マーカーの上昇を認め, 6か月目の腹部CTで残膵に3cm大の腫瘍を認めたため, 残膵癌の診断で残膵全摘を施行した. 病理組織は高度な脈管浸潤を伴った中分化型管状腺癌で, 癌とその周囲組織ともに膵管内の腺腫成分や乳頭状増殖は認めず, 全切片で浸潤型発育を示していた. また, 初発IPMCではMUC1陽性, MUC2陽性でK-ras変異陰性であったのに対し, 残膵浸潤癌ではMUC1陽性, MUC2陰性, K-ras変異陽性であった. 以上より, 本症例におけるIPMCと残膵浸潤癌の発生源は異なるものと考えられた.
  • 小林 和明, 鈴木 聡, 三科 武, 大滝 雅博, 二瓶 幸栄, 松原 要一
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2058-2063
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    まれなCA19-9産生巨大脾嚢胞の自然破裂発症例を経験したので報告する. 症例は39歳の女性で, 左側腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した. 腹部CTにて脾臓をほぼ占居するような15×9cm大の巨大な脾嚢胞と脾臓周囲に腹水を認めた. 脾嚢胞破裂による腹膜炎の診断で緊急脾臓摘出術を施行した. 脾嚢胞内面は白色調であり不規則, 網目状の梁形成を認めた. 術前血清CA19-9は7,490U/mlと高値を示した. 嚢胞内容液は茶褐色調でCA19-9が711,000U/mlと異常高値を示し腹水の性状と同じであった. 病理組織学的診断は上皮性嚢胞であり, 嚢胞内面の大半は重層扁平上皮で覆われていた. 免疫組織染色検査にて脾嚢胞被覆上皮はCA19-9陽性であった. 手術後血清CA19-9値は速やかに正常化した. 各種検査を施行したが, 異常所見を認めなかった.
  • 内山 秀昭, 久米 正純, 松浦 弘, 福田 篤志, 岡留 健一郎, 前原 喜彦
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2064-2068
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は42歳の男性で, 食後の激しい腹痛を主訴とし, 造影CTにて上腸間膜動脈起始部より約3cmの部分からその動脈解離が認められ, 上腸間膜動脈解離, 腸管虚血の診断で加療目的に当院搬送となった. 開腹時の所見では小腸は壊死には陥っていなかったが, 色調が悪く腸管血流は極めて不良であった. 上腸間膜動脈起始部より約3cmの部位から上腸間膜動脈の分枝におよぶ広い範囲で解離が確認された. 解離の進行による腸管壊死が危ぐされたが, 上腸間膜動脈分枝すべてを血行再建することは不能で, 全小腸壊死を回避する目的で右胃大網動脈と第4空腸動脈を吻合した. この空腸動脈再建により, 辺縁動脈を介して全腸管の血流は良好となった. 術後は抗凝固療法を行い, 食後腹痛なく順調に経過した. 特発性上腸間膜動脈解離による激しい食後腹痛に対し右胃大網動脈を用いた空腸動脈再建が有効であった1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 西 佳史, 笹島 耕二, 松谷 毅, 宮本 昌之, 丸山 弘, 横山 正, 柳 健, 松田 明久, 柏原 元, 田尻 孝
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2069-2074
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は44歳の男性で, 自閉症にて専門施設で精神医学作業療法を行っていた. 約1週間持続する腹痛と微熱を主訴に近医を受診し, 腹部X線検査で腹腔内異物を認めたため当科紹介となった. 腹膜刺激症状は明らかでなかったが, 血液生化学検査で著明な炎症所見を認め, 自然排泄不可能な腸管内異物と診断し, 緊急手術を行った. 術中所見では径約1cmの9個の磁石が腸管を介して結合し, 内瘻を形成していた. 瘻孔部を含めた十二指腸と空腸の一部を切除した後, 十二指腸空腸側々吻合術, 空腸空腸側々吻合術を行い, さらに空腸側から十二指腸内にドレナージ用のカテーテルを留置した. 術後経過は良好であり, 術後第13病日より経口摂取を開始し, 第42病日に軽快退院となった. これまで, 複数個の磁石を誤飲し腸管損傷を来した報告は, すべて乳幼児から学童であり, 本症例がはじめての成人例の報告である.
  • 鷹羽 智之, 森山 仁, 横山 剛, 的場 周一郎, 澤田 壽仁
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2075-2080
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の男性で, 2007年10月, 直腸癌に対して腹腔鏡下低位前方切除術を行った. 術後診断はtub2, pSE, pN2 (6/12), cH0, cP0, cM0, fStage IIIbであった. 術後補助化学療法として24病日にUFT顆粒300mg/日, ユーゼル75mg/日の内服を開始した. 高度の嘔気 (grade3) を訴えたために6日間で内服中止としたが, 重篤な白血球減少 (grade4), 血小板減少 (grade3), 粘膜障害 (grade3) が出現し, 内服開始日から28日後に多臓器不全で死亡した. 尿中Uracil 593.0μmol/g・cre に対してdihydrouracil は2.1μmol/g・creであり, dihy-drouracil/uracil比0.004 (基準値: 0.23~0.67) と著しく低値であること, 末梢血単核球dihydro-pyrimidine dehydrogenase (以下, DPD) 活性値が感度以下であったことからDPD欠損症と診断した. 本邦においてDPD欠損症はわずか6例の報告があるのみで非常にまれである. しかし, 重篤な有害事象を招く恐れがあるため, DPD活性低下が疑われた場合はただちに投薬を中止し, 速やかに支持療法を開始する必要がある.
  • 松谷 英樹, 大石 晋, 吉崎 孝明, 池永 照史郎一期, 舘岡 博, 黒滝 日出一
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2081-2086
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    症例は78歳の女性で, 平成2年5月, 直腸癌 (高分化腺癌) に対して直腸切断術を施行後外来通院中, 平成18年10月, CA19-9の軽度上昇を認め腹部CTを施行したところ, 左内外腸骨動脈間に径43×39mm大の類円形の腫瘤を認め11月下旬に入院となった. CT所見で原発性の腸管外間葉系腫瘍あるいは直腸癌のリンパ節転移と診断し, 手術を施行した. 術中所見で左内外腸骨動脈間に腫瘤を認め, 腫瘤摘出術を施行した. 摘出標本では腫瘍は5×4.5×4cmで, 内部は白色充実性で出血壊死を伴っていた. 組織学的診断は悪性黒色腫であった. 術後に全身検索を施行したが原発巣は同定されなかった. インフォームドコンセントを行いDAC-Tam療法を施行し, 術後7か月現在無再発生存中である.
  • 羽根田 祥, 舟山 裕士, 福島 浩平, 柴田 近, 高橋 賢一, 小川 仁, 渡辺 和宏, 工藤 克昌, 神山 篤史, 佐々木 巌
    2008 年 41 巻 12 号 p. 2087-2091
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎 (ulcerative colitis; 以下, UC) では小児期に手術を行うことが少なくないが, 学業への影響, 手術適応, 成長障害など小児特有の問題がある. 当科で1987~2004年の間に小児期 (15歳未満) に初回手術を施行したUC8例について検討した. 手術は全例2期あるいは3期分割で大腸全摘, 回腸肛門吻合 (ileo-anal anastomosis; 以下, IAA) 術を行った. 手術適応は重症4例, 難治3例, 出血1例で緊急手術となった例は5例であった. 術前平均総ステロイド投与量は9,855mgであった. 術後早期合併症は創感染3例のみで, 晩期合併症は腸閉塞2例, 重症pouchitis, 回腸瘻狭窄, 吻合部狭窄をそれぞれ1例ずつ (重複含む) 認めた. 重篤な合併症は認めなかった. 手術後の排便機能は良好であり, また成長障害は認めず, 現在頻回の通院を要している例は1例のみであり学業・就労への影響もほとんどないものと思われた. 小児UCに対するIAAは良好な結果であった.
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