目的:今回,我々は胃癌手術症例に対して,術前controlling nutritional status(以下,CONUTと略記)法による栄養評価と術後合併症について検討を行ったので報告する.
方法:当科にて胃癌の診断で手術療法を実施した178例のうち,術前にCONUT法により栄養評価を行った174例を対象とし,CONUT値3点以下をA群152例,4点以上をB群22例として2群に分け検討を行った.
結果:手術時年齢はA群65.2±11.3歳,B群が71.6±6.7歳で,B群が高齢であった(
P=0.009).進行度についてはstage IA・IBがA群109例に対し,B群は5例であった(
P<0.0001).術後合併症は,A群で22例(14%),B群では9例(41%)に認められた(
P=0.002).術後合併症のうち,遠隔臓器感染症はA群では4例(2.7%)に認められたのに対し,B群は4例(22.2%)であり(
P=0.001),多変量解析では,危険因子として術前CONUT値と,臨床病期が抽出された.
結語:胃癌手術症例において,術前のCONUT値が4以上の栄養障害を認める症例は合併症,特に遠隔臓器感染が多く認められた.
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