目的:分割手術で結腸(亜)全摘,Hartmann手術が行われた潰瘍性大腸炎第2期手術の残存直腸切除術時の問題点を明らかにする.
方法:潰瘍性大腸炎に対してHartmann手術を施行した23例で直腸断端が腹膜翻転部以上を高位群,それより低い低位群に分類し,残存直腸切除時の問題点から1期目手術時の留意点を検討した.
結果:第2期手術は高位群17例で回腸囊肛門管吻合術17例,低位群6例では回腸囊肛門管吻合術4例,回腸囊肛門吻合術1例,回腸囊直腸吻合術1例であった.手術時間と出血量の中央値は高位群がそれぞれ212分と370 ml,低位群が344分と983 mlで,低位群で出血量が有意に多く(
P=0.04),手術時間が長い傾向にあった(
P=0.26).第2期目手術1年後の1日平均排便回数は高位群が6.4回,低位群が7.5回であった.
結語:Hartmann手術の際に直腸切離を腹膜翻転部より低位で行うと,直腸断端と精囊腺などの周囲組織との強い癒着のために剥離が困難で出血量が多く,手術時間が長くなることから,第1期手術でHartmann手術を選択する際には断端を腹膜翻転部より高位にするべきと考えられる.
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