日本消化器外科学会雑誌
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51 巻 , 2 号
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症例報告
  • 真鍋 高宏, 坂東 正, 三輪 武史, 清水 哲朗, 長田 拓哉
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    症例は84歳の女性で,腹部腫瘤触知,食事摂取不良を主訴に当院を受診した.肝外側区域に内部に囊胞状変化を伴う最大径15 cm大の多血性腫瘍を認め,非典型的な肝原発の悪性腫瘍として肝外側区域切除術を施行した.病理学的には,細胞質が不明瞭で類円形の核を持つ腫瘍細胞が充実性胞巣を形成しており,腫瘍中心部には,腫瘍の広範な自壊壊死を認めた.免疫組織学的には,synaptophysin,CD56,NSE陽性であった.Ki67 indexは90%以上であり2010年に改訂されたWHO分類ではGrade 3(NEC)に相当した.他臓器に原発を疑う病変を認めなかったことから,肝原発神経内分泌癌と診断した.術後は合併症なく経過し術後17日目に退院した.現在まで,術後2年が経過するが再発を認めていない.

  • 恒松 雅, 藤岡 秀一, 北村 博顕, 三澤 健之, 秋葉 直志, 矢永 勝彦
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 106-113
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    症例は66歳の男性で,急性胆囊炎に対する保存的加療の既往があり,心房細動に対し抗凝固薬を内服していた.右側腹部痛を主訴に当科を受診し,腹部造影CTにて胆囊,総胆管から胃十二指腸内に広範囲の血腫形成を認め,また,胆囊動脈仮性瘤ならびに胆囊十二指腸瘻を認めた.急性胆囊炎とそれに伴う胆囊動脈仮性瘤破裂,胆囊十二指腸瘻と診断した.緊急血管造影を行い,胆囊動脈仮性瘤に対しコイル塞栓術(transcatheter arterial embolization;以下,TAEと略記)を施行した.術後は保存的加療を行い,明らかな合併症なく軽快退院した.第35病日,再出血を来し再度緊急血管造影を施行した.肝動脈後区域枝の分枝に仮性動脈瘤を形成しており,TAEによる再止血を行った.再出血後12か月後の現在,再出血なく経過観察中である.本邦では17例の胆囊動脈仮性瘤の報告がされているが,TAEのみで保存的に経過観察された症例はない.本症例では胆囊十二指腸廔により,保存的に加療できた可能性が示唆された.

  • 幕谷 悠介, 松本 逸平, 大本 俊介, 筑後 孝章, 川口 晃平, 松本 正孝, 村瀬 貴昭, 亀井 敬子, 里井 俊平, 中居 卓也, ...
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 114-121
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    膵・胆管合流異常に合併した共通管内乳頭状腫瘍の1例を報告する.症例は75歳の男性で,6か月間に2度の急性膵炎を発症し保存的加療で軽快した.急性膵炎の原因精査および加療目的で当院へ紹介となった.ERCPでは膵・胆管合流異常を認め,共通管内に7 mmの結節様陰影欠損像を認めた.上部内視鏡検査では乳頭部からの粘液排出は認めず,超音波内視鏡検査では共通管内に乳頭状の腫瘍が描出された.造影CTでは膵頭部に拡張した共通管と内部に増強効果を持つ8 mmの腫瘤を認めた.尾側の主膵管の拡張は認めなかった.膵・胆管合流異常に合併した共通管内乳頭状腫瘍と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理肉眼所見では共通管内に発育する有茎性の乳頭状腫瘍で,組織像は管状構造増生を主体とする腺腫であった.免疫組織学的染色ではMUC1,MUC2陰性,MUC5AC陽性で胃型腺腫と最終診断した.

  • 藤井 昌志, 渡邉 雄介, 西原 一善, 中野 徹, 田宮 貞史, 豊島 里志
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 122-131
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    一般的に遠隔転移を伴う悪性腫瘍は予後不良とされており,遠隔転移巣に対する切除の意義について一定の見解はない.今回,我々は1999年4月から2014年1月の期間で6例の転移性膵腫瘍切除例を経験したので報告する.原発巣は6例中3例が腎細胞癌,1例が乳癌,1例が平滑筋肉腫,1例が肺癌であった.原発巣切除後膵切除までの期間は4年3か月~21年,膵切除後の生存期間は2~11年(中央値5.5年)で,6例中4例が5年以上の長期生存をえることができ,比較的良好な予後がえられた.原発巣が腎癌,乳癌,平滑筋肉腫であった場合,原発巣のコントロールが良好で,ほかに遠隔転移巣を認めなければ,転移性膵腫瘍を切除する意義がありうると考えられた.

  • 北川 彰洋, 松田 宙, 中塚 梨絵, 宮崎 進, 團野 克樹, 本告 正明, 久保田 勝, 伏見 博彰, 藤谷 和正, 岩瀬 和裕
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    症例は31歳の女性で,下腹部膨満感を主訴に精査が行われ,巨大囊胞を伴う遊走脾と診断された.遊走脾は捻転により緊急手術となることがあるが,本症例では腹部違和感症状のみを認めていたため待機手術の方針として,開腹脾部分切除,脾固定術を施行した.捻転予防の固定術は,温存する脾臓に胃脾間膜しか有していなかったため周囲組織への固定は困難であった.そのため左後腹膜を剥離してポケットを作成してそこに脾臓を納め,その腹膜を周囲組織と縫合することによって残存脾を収納し固定した.術後経過は良好で再発なく術後半年以上経過している.遊走脾に対して捻転による絞扼を疑われ緊急手術を施行した報告は散見するが,脾囊胞を有する遊走脾に対して術式は確立されてはおらず,本症例のように待機的手術が施行でき,さらに脾臓を一部温存できた症例はまれであるため報告する.

  • 川瀬 寛, 矢野 智之, 松井 あや
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 138-145
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    症例は93歳の男性で,当院にて8か月前,4か月前に胆石胆囊炎に対し保存治療が行われ経過観察となっていた.6日前からの腹痛に加え嘔吐を認めたため再受診した.腹部CTでは,胆囊内に存在していた3 cm大の胆石が上部空腸へ落下しており,その口側空腸の拡張と浮腫性肥厚を認め,腹水も伴っていた.筋性防御を認め胆石イレウスによる穿孔性腹膜炎を疑い緊急手術を施行した.上部空腸に胆石が嵌頓しており,その口側空腸に穿孔を疑う所見を認めたため同部位を切除した.胆囊周囲は強固に癒着し,大網で被覆されていたため,胆囊摘出は行わなかった.病理組織学的所見では,切除腸管の複数箇所に穿孔部を認め,胆石イレウスによる小腸穿孔と診断した.胆石イレウスによる穿孔性腹膜炎の報告はまれであるが,高齢者に対する胆囊炎の保存治療を行う際には,胆石イレウスの合併症として消化管穿孔の可能性を念頭において経過観察することが肝要と考えられた.

  • 木村 泰生, 藤田 博文, 山川 純一, 瀧口 豪介, 丸山 翔子, 高井 亮, 荻野 和功, 小川 博
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 146-153
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    症例は33歳の女性で,2年前に下行結腸癌による大腸イレウスに対して自己拡張型金属ステント(self-expandable metallic stent;SEMS)留置後に,腹腔鏡下左半結腸切除術を施行した.その際の病理組織学的所見は,中分化型腺癌,深達度SS,n0,ly1,v1,stage IIの診断であった.術後2年目にCEAの上昇およびCTで下腹部に約3 cmの腫瘤性病変を認め,FDG-PETでも同部のみに集積を認めたことから孤立性再発病変と判断し,腹腔鏡下に腫瘤摘出術を施行した.術中所見では腫瘤は大網内に約3 cmの孤立性の腫瘤として認め,その他に明らかな播種および転移病変は認めなかった.病理組織学的所見では,下行結腸癌の血行性大網転移と診断された.結腸癌の孤立性大網転移はまれな再発形式で,これまでに報告例はない.本症例は近年増加傾向である金属ステント留置後の手術症例(外科手術前の処置bridge to surgery;BTS)であり,ステント留置と大網再発の因果関係は不明であるが,大腸ステント留置症例における長期的な予後は不明な点も多いため今後も症例の蓄積が必要である.

  • 太田 義人, 中川 悠樹, 村松 俊輔, 堀部 大輔, 岡崎 靖史, 篠藤 浩一, 吉村 清司, 大島 郁也, 角田 幸雄, 尾崎 正彦
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 154-161
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    症例は27歳の男性で,2013年7月血便,便柱狭小化を主訴に近医を受診し,直腸腫瘍を認めたため当院紹介となった.下部消化管内視鏡検査で直腸Rbに3個の腫瘤(4 cm,2 cm,1.5 cm)を認め,生検の病理所見で形質細胞腫の診断となった.血清Mタンパク陰性,尿中Bence-Jones蛋白陰性であり,PET/CTでは直腸病変以外に異常集積を認めなかったため,直腸原発髄外性形質細胞腫の診断となった.肛門機能温存を希望され放射線治療(50 Gy/25 Fr)を行ったが腫瘍が残存したため,腹腔鏡下括約筋間直腸切除術を施行した.病理所見では粘膜から固有筋層に異型形質細胞の増生を認め,免疫組織化学的には重鎖IgM・軽鎖λのmonoclonalityを認めた.腹腔鏡下括約筋間直腸切除術を施行した直腸原発髄外性形質細胞腫の1例を経験したので報告する.

  • 佐原 康太, 大田 洋平, 阿部 有佳, 藪下 泰宏, 薮野 太一, 辰巳 健志, 望月 康久, 高橋 正純, 杉田 昭
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 162-169
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    症例は63歳の女性で,特記すべき既往歴はなかった.直腸癌に対し,腹会陰式直腸切断術を施行し術後第10病日に退院した.術後第12病日から水様便の増加を認めたため術後第14病日に緊急入院となった.血液検査ではWBC 37,200/μl,CTでは横行結腸から下行結腸にかけて浮腫を伴う拡張を認め,便培養でClostridium difficile感染症(Clostridium difficile infection;以下,CDIと略記)と診断した.抗生剤治療を行ったが同日,CT所見の増悪,全身状態の著しい悪化を認め,入院24時間後に重症CDIによるショックと診断し緊急で,大腸全摘,回腸人工肛門造設術を施行した.摘出検体では横行結腸~下行結腸に偽膜付着を伴う小潰瘍が多発していた.術後集中治療を行ったが,術後30時間後に多臓器不全で永眠された.術前CDI発症リスクの低い患者においても重症CDIにより致死的な経過を辿ることがあり,術後下痢症状に留意すること,年齢や白血球数の推移など考慮した手術治療の早期決断・介入が重要であると考えた.

  • 木村 慶, 山野 智基, 松田 育雄, 馬場谷 彰仁, 濱中 美千子, 小林 政義, 塚本 潔, 野田 雅史, 廣田 誠一, 冨田 尚裕
    原稿種別: 症例報告
    2018 年 51 巻 2 号 p. 170-177
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/02/20
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    症例は68歳の女性で,近医にて大腸ポリープの切除後のフォローアップ目的で下部消化管内視鏡検査を施行され,直腸神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下,NETと略記)の診断で当科紹介となった.CTでリンパ節転移を認め,リンパ節転移を伴う直腸NETの術前診断で括約筋間直腸切除術,D3郭清,回腸人工肛門造設術を施行した.切除標本で最大8×4 mmの4個の粘膜下病変を認め,病理検査でいずれも直腸NET(G2:1個/G1:3個)と診断された.#251領域にリンパ節転移2個を認める他に,節外転移を5個認めた.術後補助化学療法としてS-1を6か月内服した.術後1年6か月に右鼠径リンパ節再発を認め摘出術を施行し,病理検査でNET G2の異時性リンパ節転移と診断した.今回,リンパ節転移に加え,節外転移を認めた多発直腸NETが鼠径リンパ節再発を来した症例を経験した.

編集後記
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