下咽頭頚部食道癌手術の問題点について, 自験例10例を中心に若干の検討を加えた.
癌腫の切除と食道再建を施行した6例のうち, 4例に有茎結腸を用いて食道再建を行ない, 好結果を得た.下咽頭頚部食道癌の手術適応, 廓清範囲を決める場合, われわれは局所々見を特に重視し, X線学的に食道入口部を第6頚椎下縁のレベルに置いて癌伸展範囲を判定している.頚部広範廓清に伴なう喉頭合併切除の適応は個々の症例について多角的に検討を加えて決めるべきである.
下咽頭頚部食道癌患老の術後管理では, 特に呼吸器系合併症の予防が重要であるが, 術後無声となつた患者の心理状態を考慮した適切な看護が望まれる.
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