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木村 敏之
1976 年 9 巻 3 号 p.
245-256
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
同種臓器移植における拒絶反応の病態を究明するための形態学的検討は, とくに血管病変が, 移植免疫反応の強い影響を受けることが推測され欠かせない.
著者は臨床的に問題の多い同種腸管移植も, 基礎的な病理組織学的研究と微小循環動態を比較検討することは重要であると考え実験に着手した.超軟X線撮影法を用いて, 同種移植腸管のmicroangiogramを作成し, 経時的に観察した結果, 微小循環障害は移植後48時間頃に, 絨毛の基底部に始まり, 粘膜下組織の筋板直下へ進行するが, さらに粘膜下組織の充血, 絨毛の乏血, 移植5日以後には粘膜下組織の乏血へと, 拒絶反応によりirreversibleな変化へ進行することが判明した.
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福島 恒男, Syuuji Tsuchiya
1976 年 9 巻 3 号 p.
257-264
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
インシュリン投与による低血糖が自律神経を介して胃分泌に与える影響について, 交感神経遮断剤を用いて検討した.
成犬において, histimin (2mg/kg/hr) 刺激下にインシュリン0.2u/kg静脈投与すると, 胃分泌は持続的に亢進したが, 0.4u/kg以上では胃分泌の抑制期が出現した.α-遮断剤 (phenoxybenzamin, 1mg/kg) を前投与してインシュリン1.0u/kgを投与すると胃分泌抑制期は出現せず, β-遮断剤 (propranolol 0.2mg/kg) 前投与では弱いながら抑制期は出現した.
胃交感神経を切断後, インシュリン1.0u/kgを投与すると, 胃分泌抑制期は出現しなかつた.
十二指腸潰瘍8症例に対して, インシュリン0.4u/kgによる胃分泌能と, 同量のインシュリン投与前にPhenoxybenzamin 0.5mg/kgを投与して得られた胃分泌能を比較した.胃分泌抑制期は両法においてほぼ出現したが, 酸分泌量は後者の方が平均43.2%(p<0.10) 高い値が得られた.インシュリン投与後に, 著明な血清アドレナリン値の上昇が見られたが, ノルアドレナリン, セロトニン値は著明な変動を示さなかつた.
インシュリンは迷走神経を介して胃分泌に促進的に作用すると同時に, 交感神経を介して抑制的に作用している.
迷走神経切断術の前後におけるインシェリンによる胃分泌能の判定に際して, この交感神経を介した抑制的な作用を考慮する事が重要であると考えられる.
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渡部 洋三, 沢田 芳昭, 加藤 弘一, 塩野 潔, 宮上 寛之, 近藤 慶一郎, 城所 仂
1976 年 9 巻 3 号 p.
265-271
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
test mealによるgastrin誘発法のうち, 0.5M glycine 250mlおよびbeef broth 150mlを経口投与して疾患別にgastrin releaseにおよぼすmedical vagotomyの効果を検討し, さらに術式別にgastrin responseを比較検討した.test meal投与後のpeak gastrinは, 十二指腸潰瘍例においてglycineよりもbeef brothの方が刺激力が強い.しかし胃潰瘍例では, 両刺激剤の間に有意差を認めなかつた.test meal投与後のgastrin releaseにおよぼすmedical vagotomyの影響はbeef broth投与例ことに十二指腸潰瘍例で著明で, 血中gastrinはbeef broth単独投与例に比べて46%の増加率を示した.術式別では幽門洞が除去きれるような術式ではtest mealにほとんど反応しないが, 選迷切兼幽成術後ではbasal gastrin, peakgastrinともに術前より増加した.
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山岸 健男, 島津 久明, 小西 富夫, 高橋 忠雄, 谷 昌尚, 朝隈 貞雄
1976 年 9 巻 3 号 p.
272-279
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
Pavlov胃嚢を造設した8頭のイヌを対照群とこれに幹迷切兼幽門形成, 前庭部切除, 幹迷切兼前庭部切除の3種の術式を施行した合計4群にわけ, それぞれの術後におけるテトラガストリン6μg/kg刺激による胃酸分泌反応を測定するとともに, Pavlov胃嚢の壁細胞の電顕学的所見について検討を行つた.その結果, とくに幹迷切兼幽門形成と幹迷切兼前庭部切除群では, テトラガストリン刺激による胃酸分泌反応は著明に減少した.この際, 壁細胞の超微細構造上にも対照群の壁細胞の分泌刺激時にみられたような形態学的変化は惹起されず, また一部の細胞には変性像とみなされるような所見が認められた.
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遠藤 光夫, 羽生 富士夫, 木下 祐宏, 山田 明義, 井手 博子, 林 恒男, 吉田 操
1976 年 9 巻 3 号 p.
280-285
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
食道潰瘍は稀な疾患とされてきたが, 最近日常の外来でもふえてきていて, 下部食道の変形を示すX線所見から, 癌との鑑別疾患としても注目されている.自験例124例より臨床的検討を加え, 若干文献的考察も加えたが, 原因として消化性と考えられるものが多く, 男性にやや多く, また, 60歳代の高齢者に多くみられている.X線所見では, 間接所見から診断を下す場合が多く, その肛門側にあるヘルニア部分の胃粘膜に注目することが大切である.内視鏡所見からは, 癌に比べ増殖性の変化の少ないことが特徴で, 4型に分類できる.治療法は内科的治療がおもであるが, 合併症をおこしたり, 症状の強いものは外科治療の適応である.
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北島 政樹, 久保田 哲朗, 竹下 利夫, 米川 甫, 伊藤 三千郎, 奈良 圭司, 植松 義和
1976 年 9 巻 3 号 p.
286-291
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
4年9ヵ月の間に遭偶した上部消化管出血146例中, 胃出血例は106例 (73%) であつた.このうち胃潰瘍が59例 (56%) と多く, 胃癌は27例 (25%) であつた.出血性胃潰瘍について, 早期内視鏡診断を行い, 内視鏡所見と病理組織および微細血管構築像を比較検討した.
緊急手術を要した出血性胃潰瘍は, 左胃動脈領域の潰瘍で内視鏡上血管露出を認めるものが多く, 潰瘍の性状は浅く円形でfoldの集中もなく潰瘍集辺の反応の欠如したものであつた.
血管露出潰瘍を微細血管構築像で検討した結果, 慢性潰瘍では微細な瘢痕血管が著明で露出血管も細いのに対し, 急性潰瘍の血管露出例は正常血管構造を保ち, 粘膜下層の太い血管の露出がみられ, 多量の出血が予想された.
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須加野 誠治, 曽和 融生, 松沢 博, 三木 篤志, 山本 繁, 紙野 建人, 梅山 馨, 小林 絢三, 赤土 洋三
1976 年 9 巻 3 号 p.
292-300
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
過去13年間に当教室において胃外増殖型胃癌6例を経験した.本腫瘍は胃癌の発育形態として比較的稀な型であり, 報告例も少ない.
今回, 自験6例および本邦報告例の21例について, 臨床的病理組織学的に検討した.まず臨床所見として腹部腫瘤を触れるものが多く, その診断は容易ではないが, 触診が重要な手段であると考えられた.好発部位は幽門前庭大弯側であり, 肉眼所見は胃外発育部は良く被包され, 割面の充実性結節模様を示すものと, 高度の壊死による嚢腫状のものがみられた.組織型は多様であつたが, 一般に髄様の構造と脈管侵襲の強いことが共通した特微であつた.
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とくに発生部位よりみた切除可能性の検討
後藤 明彦, 林 淳治, 岩島 康敏, 岡田 昭紀, 鈴木 剛, 小川 隆司, 下野 達広, 鬼束 惇義, 岩堤 慶明
1976 年 9 巻 3 号 p.
301-307
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
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胆管癌は肝外胆道系悪性腫瘍のなかでも, もつとも手術成績は不良であり, これには胆管癌の発生部位に関係していることが多い.この点を明らかにするため, 岐阜大学第1外科で経験した胆管癌48例につき, その発生部位別に切除可能性について検討し, 腫瘍の発生部位は3管合流部以下で, 肉眼的病型分類では結節型または乳頭型で, 経皮胆管造影で腫瘍による胆管閉塞部位がUまたはV型の像を呈する場合は切除可能性が大であることをのべた.また手術成績の向上には術前の診断および術前, 術後の監理が重要であり, 根治手術については高度黄疸例では, 術前に経皮的胆管ドレナージにより, 黄疸を軽減した後に手術を行うことが望ましいことを述べた.
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轟 健, 岩崎 洋治, 岡村 隆夫, 碓井 貞仁, 佐藤 博, 恒元 博, 荒居 竜雄, 大沼 直躬, 梅垣 洋一郎, 西村 明, 中野 喜 ...
1976 年 9 巻 3 号 p.
308-315
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
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胆道系癌の根治治療を目標として, 術中照射療法を導入した.昭和49年11月から昭和50年12月までに切除不能な胆管癌4例, 胆嚢癌4例の計8例に術中照射を施行した.最大照射野10cmφ, または8×10cm, 最大エネルギー18MeV, 病巣線量3,000radで, 手術時1回に照射した.照射野内に十二指腸, 膵などが同時に含まれた症例は5例あるが, いずれも重篤な合併症はみられなかつた.全例に腫瘍縮少効果を認め, 最長11ヵ月生存中の症例を得ている.以上の経験から本治療法は安全に施行出来, 遠隔成績の向上が期待できる.
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小越 章平, 竹内 英世, 碓井 貞仁, 武藤 護彦, 川村 功, 轟 健, 岡村 隆夫, 平島 毅, 小高 通夫, 佐藤 博, 岩崎 洋治 ...
1976 年 9 巻 3 号 p.
316-322
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
最近, 診断法の著しい進歩により, 肝門部胆管癌あるいは乳頭部癌などの肝胆膵系癌の適確な術前診断が可能になり, この方面の切除例が増加してきたと同時に, これらに対する高カロリー輸液を施行する機会が多くなつてきた.ほとんどの例が黄疸を伴い, 食思不振もあいまつて栄養不良状態に陥つていることが多く, 根治術例も多くの例で他の消化器外科術後よりも食事摂取の進み方も遅く, 時に術後腸管出血等も経験する.
このような患者にも, 高濃度ブドウ糖をベースにした高カロリー輸液は可能であり, インスリンを必要とした例はむしろ少ない.いままでのアミノ酸代謝に関する数多くの報告は, ほとんどが低カロリー輸液におけるものであり再検討が早急に望まれるところである.
必須アミノ酸液ならびにそれからフェニールアラニンを除いたもの, アルギニンを除いたもの, 濃度の異なる総合アミノ酸液など5種類のものを用いて検討したが, 単独投与で血中アンモニアに変化をおよぼすものも, 高カロリー輸液施行中では, 2g/kg投与でも血中アンモニア, 意識レベルの変化はなく, 十分高カロリー輸液を維持することは可能である.肝切除後などは, 必須アミノ酸のみでなく, 総合アミノ酸を併した高カロリー輸液の方が, 尿中での遊離アミノ酸の排出は少ないことも示唆する結果が得られた.
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伊東 保, 貴島 政邑, 小池 尚義, 古賀 毅継, 小菅 勝, 田口 義文, 阿南 晃, 長尾 房大, 品川 俊人, 牛込 新一郎
1976 年 9 巻 3 号 p.
323-328
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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鮫島 恭彦, 内村 正幸, 武藤 良弘, 脇 慎治, 林 輝義, 石垣 実弘, 室久 敏三郎
1976 年 9 巻 3 号 p.
329-334
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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工藤 驍悦, 畑野 良侍, 大井 光雄, 村上 忠重, 岡崎 健吉, 桐渕 義康, 林 文彦, 関塚 宏己, 渡辺 浩二, 高山 昇二郎
1976 年 9 巻 3 号 p.
335-340
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
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石川 義信, 副島 清治, 福島 松郎, 町田 清朗, 角田 秀雄, 稲葉 馨, 西川 鼎二, 西田 伝, 永野 叡, 菊池 晃
1976 年 9 巻 3 号 p.
341-347
発行日: 1976年
公開日: 2011/02/17
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横山 清七, 杉田 輝地, 高橋 正彦, 小方 卓, 幕内 博康, 佐藤 和英, 佐久間 正祥, 丸田 守人, 小平 進, 三村 孝, 勝俣 ...
1976 年 9 巻 3 号 p.
348-354
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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加固 紀夫, 小泉 亮道, 川口 忠彦, 石川 義信
1976 年 9 巻 3 号 p.
355-362
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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真島 吉也, 樋口 道雄, Masaru GUHJI, 足立 英雄, 青木 靖雄, 伊藤 健次郎
1976 年 9 巻 3 号 p.
363-369
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
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フリー
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中村 尚志, 松野 正紀, 大和田 康夫, 熊本 基, 本田 毅彦, 佐々木 巌, 佐藤 寿雄
1976 年 9 巻 3 号 p.
370-376
発行日: 1976年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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1976 年 9 巻 3 号 p.
377-396
発行日: 1976/05/30
公開日: 2011/02/17
ジャーナル
フリー