日本消化器外科学会雑誌
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原著
  • 伊藤 良太, 南村 圭亮, 五十川 陽洋, 河野 義春, 森 和彦, 平田 泰, 小林 隆, 川崎 誠治
    原稿種別: 原著
    2021 年 54 巻 4 号 p. 237-244
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/27
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    目的:近年,術式の確立や術後管理の向上のため癌患者の生存率が向上し,癌に対する治療だけでなく,糖尿病などの併存疾患に対する治療も重要となってきている.2型糖尿病患者に対する胃癌幽門側切除時の適切な再建方法を検討した.方法:当院で10年間に胃癌に対し幽門側胃切除を施行した307症例のうち,2型糖尿病に罹患していた56症例を対象とし,カルテレビューとアンケート調査を用いて後方視的に検討した.術前および術後1年の(BMI,HbA1c,糖尿病治療内容)の変化を再建方法により比較を行った.結果:Billroth I法14例,Billroth II法5例,Roux-en-Y法13例を対象とした.1年後のBMI,HbA1cの変化(以下,ΔBMI,ΔHbA1cと略記)に有意差を認めなかった.1年後の糖尿病治療薬が減少した症例は,Billroth I法で3例(22%),Billroth II法で0例,Roux-en-Y法で8例(62%)であり,Roux-en-Y法は有意に投薬の減少が認められた(P値:0.022).術前インスリン使用症例4例のうちインスリン投薬を離脱した症例は2例あり,全例がRoux-en-Y法であった.結語:胃癌に対する幽門側胃切除術におけるRoux-en-Y法は糖尿病治療薬の減少,およびインスリン投薬離脱に寄与する可能性が示唆された.

  • 吉原 輝一, 能浦 真吾, 谷田 司, 荻野 崇之, 野口 幸藏, 長瀨 博次, 広田 将司, 富丸 慶人, 今村 博司, 堂野 恵三
    原稿種別: 原著
    2021 年 54 巻 4 号 p. 245-252
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/27
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    目的:大腸癌卵巣転移は,大腸癌取扱い規約第8版では腹膜播種の一つに分類されていた.しかし,規約の改訂に伴い第9版では卵巣単独転移については1臓器への遠隔転移に分類されることとなった.R0切除が期待できる遠隔転移については,切除することで予後が改善されるとの報告があり,卵巣転移の切除と予後について検討した.方法:1998年~2018年の間に当院で経験した卵巣転移切除症例17例のうち,卵巣単独転移を認めるM1a症例9例(以下,Ov単独群と略記),卵巣転移に腹膜播種を伴うM1c2症例8例(以下,Ov+腹膜播種群と略記)の,患者背景や予後について検討した.結果:Ov単独群の全生存期間の中央値は45.4か月で3年累計生存率は66%,5年生存率は50%であった.Ov+腹膜播種群の全生存期間の中央値は9.3か月で1年累計生存率は42%,3年累計生存率は0%であった.両群の全生存期間についてKaplan-Meier曲線を作成して検討したところ,Ov単独群が有意に予後良好であった(P=0.029).結語:大腸癌卵巣単独転移群は,卵巣転移腹膜播種併発群よりも有意に予後良好であり,卵巣単独転移症例については積極的に両側付属器切除術を施行すべきであると考えられた.

症例報告
  • 髙橋 直規, 神山 俊哉, 折茂 達也, 島田 慎吾, 長津 明久, 蒲池 浩文, 三橋 智子, 武冨 紹信
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 54 巻 4 号 p. 253-261
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/27
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    症例は18歳の男性で,健診でのγ-GTP高値と近医での腹部超音波検査で肝外側区に巨大腫瘤を認め,当院を紹介受診した.Dynamic CTで肝外側区に動脈相で濃染され,平衡相で造影効果が遷延する最大径18 cmの腫瘤を認めた.PIVKA-IIは481 mAU/mlと高値であった.肝細胞腺腫(hepatocellular adenoma;以下,HCAと略記)を第一に考えたが,肝細胞癌の可能性も除外できず,破裂の危険性も鑑みて切除の方針とし,肝左葉切除を施行した.病理組織検査では,HCAと診断された.免疫染色検査では,CD34(+),SAA(+),β-catenin(−),L-FABP(−)でinflammatory typeと分類された.術後経過は良好であり,第7病日に退院した.若年男性の巨大肝腫瘤の鑑別診断としてHCAも念頭に置く必要があり,外科的切除は診断および治療に寄与すると考えられた.

  • 前橋 学, 三宅 謙太郎, 清水 康博, 中山 岳龍, 藪下 泰宏, 本間 祐樹, 熊本 宜文, 松山 隆生, 古屋 充子, 遠藤 格
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 54 巻 4 号 p. 262-269
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/27
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    症例は80歳の男性で,発熱を主訴に前医を受診した.肝機能障害を認め,腹部造影CTで総胆管,肝内胆管の拡張と,遠位胆管に造影効果が乏しい腫瘤を認めた.遠位胆管癌疑いの診断で手術加療目的に当科紹介となった.内視鏡的逆行性胆管造影では遠位胆管に5 cmに渡る狭窄像を認めた.胆汁細胞診でclass IVを認め,遠位胆管癌cT2N0M0,cStage IBと診断し膵頭十二指腸切除術,領域リンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見では,遠位胆管に紡錘細胞主体の全周性腫瘍を認めた.免疫組織染色検査で上皮系マーカーCK(AE1/AE3),CAM5.2および間葉系マーカーvimentinがともに陽性であり,「いわゆる癌肉腫」と診断した.術後補助化学療法としてゲムシタビン単剤投与を半年間施行し,術後1年無再発生存中である.

  • 西村 透, 田中 智浩, 久野 晃路, 三宅 泰一郎, 前田 詠理, 上月 章史, 阿部 紘一郎, 横山 邦雄, 髙松 学, 金田 邦彦, ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 54 巻 4 号 p. 270-277
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/27
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    症例は75歳の男性で,近医入院中に腹部膨隆と著明な腎機能低下を認め,当院へ搬送された.腹部単純CTでは多量の腹水がみられ,腹水穿刺で胆汁混じりの腹水が認められ胆汁性腹膜炎の診断で,緊急開腹手術を行った.開腹時肝左葉表面の小孔から胆汁の漏出を認め肝内胆管破裂による胆汁性腹膜炎と診断した.手術は胆囊摘出および左肝管のTチューブドレナージを施行した.全身状態の改善を待ち,精査を行いgroove膵癌と診断し,初回手術から1か月後に膵頭十二指腸切除術を施行した.本症例では,左右肝管が低位で合流しており,胆囊管が右肝管に合流しているまれな走行であった.これまでにgroove膵癌に起因する胆管閉塞による肝内胆管破裂の報告例はない.胆管破裂を来した機序としてgroove膵癌による胆管閉塞に加え左右肝管の低位合流も要因であると考えられたので報告する.

  • 村田 悠記, 上原 圭, 相場 利貞, 小倉 淳司, 深谷 昌秀, 宮田 一志, 田中 綾, 大原 規彰, 神野 孝徳, 江畑 智希
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 54 巻 4 号 p. 278-284
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/27
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    今日,進行再発大腸癌治療において遺伝子検査は必要不可欠なものとなっている.中でもBRAF V600E変異症例の予後は極めて不良と報告され,その治療選択に悩むことは少なくない.今回,オキサリプラチンベースの術後補助化学療法が終了した直後の術後9か月の早期に,頸部リンパ節再発を来し,BRAF V600E変異型で予後不良が予測された症例に対し,二次治療としてのFOLFIRI+aflibercept療法が著効し,切除により病理学的完全奏効を確認した1例を経験した.術後経過観察期間は9か月とまだ短いが,外来で無再発,無治療で経過観察中である.予後不良とされるBRAF V600E変異型であっても野生型と同様に一定の全身コントロールが可能であれば,転移巣切除を考慮する意義はあると考えられた.

  • 上田 悟郎, 松尾 洋一, 大見 関, 林 祐一, 齊藤 健太, 坪井 謙, 森本 守, 小川 了, 高橋 広城, 瀧口 修司
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 54 巻 4 号 p. 285-292
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/27
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    症例は42歳の女性で,半年前からの月経に伴う右鼠径部の有痛性腫瘤を主訴に受診した.右鼠径部に15 mm大の圧痛を伴う腫瘤を認め還納は不能であった.CTおよびMRIで右鼠径部に腹腔内から連続する軟部腫瘤を認め,鼠径ヘルニアに合併した鼠径部子宮内膜症と術前診断した.挙児希望があり,診断および切除を目的に手術を施行した.審査腹腔鏡で腹腔内に明らかな異所性子宮内膜症がないことと右外鼠径ヘルニアを確認した.前方アプローチを併用し,腫瘤の摘出とヘルニア修復術を行った.病理検査で子宮内膜症と最終診断した.術後4年,他の部位を含め子宮内膜症の再発を認めていない.鼠径部病変切除後に同所性または異所性に再発した報告例も散見するため,特に挙児希望などで術後に薬物療法を行えない症例では,審査腹腔鏡で併発病変の有無を確認することは有用であると考えられた.

  • 林 裕樹, 金城 達也, 西垣 大志, 宮城 良浩, 中川 裕, 高槻 光寿
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 54 巻 4 号 p. 293-301
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/27
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    症例は26歳の女性で,妊娠を契機に径10 cm大の骨盤内腫瘍を指摘され,試験腹腔鏡検査にて後腹膜腫瘍の診断となった.囊胞成分のほかに充実成分を伴っており悪性疾患の可能性が示唆され,加療目的で当院紹介となった.腹部造影CTおよびMRIにて仙骨前面に多房性囊胞性腫瘍を認め,腫瘍背側には造影効果を有する小結節が存在した.腫瘍摘出術を施行し,病理組織学的診断では後腹膜成熟囊胞性奇形腫であり,小結節は神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下,NETと略記)の診断であった.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.成人発症の後腹膜成熟囊胞性奇形腫はまれな疾患であり,年齢とともに悪性化の頻度が高くなるとされている.悪性化すると予後不良であるため,早期手術が推奨されている.今回,我々は極めてまれなNETを併存した成人後腹膜成熟囊胞性奇形腫の1例を経験したので報告する.

編集後記
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