日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
  • 原田 嘉一郎, 山中 健也, 栗本 信, 萱野 真史, 田島 美咲, 新藏 秋奈, 花畑 佑輔, 青木 光, 松山 剛久, 田村 淳
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 233-239
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/28
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    出血性肝囊胞破裂についての報告は極めて少ない.91歳女性の肝囊胞破裂による出血性ショックに対して緊急手術を行った1例を報告する.腎盂腎炎,敗血症性ショックと診断され前医で加療されていた.来院当日,急激な右下腹部痛を自覚しプレショック状態となり当院に転送された.造影CTで肝後区域に高吸収域を伴う囊胞性病変を認めた.周囲に高CT値の腹水を認め,肝囊胞性病変の出血性破裂によるショックと診断した.Extravasationを伴わなかったため経カテーテル的止血術ではなく緊急開腹術を選択した.プリングル下に肝右葉を授動し,肝囊胞壁に到達した.肝囊胞内からの出血を確認し,肝囊胞出血性破裂と診断した.囊胞壁を切除し肝囊胞内に露出したグリソンからの出血部位を縫合した.ダグラス窩の腹水が混濁していたため,肝囊胞感染が契機に出血し,破裂したと考えた.91歳と高齢であったが術後14病日に転院した.

  • 南 貴之, 水野 隆史, 山口 淳平, 尾上 俊介, 渡辺 伸元, 伊神 剛, 上原 圭, 宮田 一志, 横山 幸浩, 江畑 智希
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 240-250
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/28
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    外科的切除後に対照的な経過を呈した胆管小細胞癌の2例を経験した.症例1は70歳の男性で,肝門部領域胆管癌に対して肝左葉尾状葉切除,肝外胆管切除を施行した.病理組織学的に乳頭腺癌と小細胞癌が混在する腺神経内分泌癌を認め,小細胞癌成分の静脈侵襲を認めた.進行度はpT2N0M0,fStage IIであった.術後にゲムシタビン単独療法を行ったが,術後4か月目に多発肝再発を認め,5か月目に原病死した.症例2は65歳の男性で,遠位胆管癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理組織学的に神経内分泌癌(小細胞癌)を認め,進行度はpT2N1M0,fStage IIIと診断された.術後に,肺小細胞癌に準じてシスプラチン+エトポシド併用療法を4コース投与した.現在,術後8年無再発生存中である.胆管小細胞癌は根治切除後も早期再発する例が多く,肺小細胞癌に準じた薬物治療を含む集学的治療が必要である.

  • 新 みゆき, 川元 俊二, 山本 孝太, 寺島 孝弘
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 251-259
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/28
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    症例は,エホバの証人の56歳の女性で,胃癌cT3,N0,M0 Stage IIB,膵腫瘍に対して,胃全摘,D1+郭清,RY再建+膵体尾部切除兼脾臓摘出術を施行した.術前にCTにて肝外門脈の拡張(門脈瘤)を認めていた.術後11日目に心窩部痛が出現し,CTにて肝門部から肝外門脈内に広範囲な血栓形成を認めた.同日,血栓除去術を行い,また上腸間膜静脈に留置したカテーテルよりウロキナーゼの間欠静注を開始した.血栓除去術翌日,高アミラーゼ値を有する大量の腹水貯留とともに門脈血栓による膵頭部の圧排と,主膵管の閉塞所見を認め,急性膵炎のじゃっ起と膵断端からの膵液廔を認めた.長期にわたる持続腹腔内洗浄とその後の膵管ステント留置により,膵炎は改善し,門脈血栓はワーファリン内服により縮小した.本症例のように門脈瘤に起因した術後の門脈血栓が膵臓を圧排し,膵炎を来した例は,本邦では他に報告がなく,非常に貴重な症例であると思われた.

  • 田原 俊哉, 首藤 毅, 羽田野 直人, 森本 博司, 嶋田 徳光, 田澤 宏文, 鈴木 崇久, 尾上 隆司, 清水 洋祐, 田代 裕尊
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 260-268
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/28
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    膵癌術後の難治性腹水に対し,デンバーシャント®を造設した2例を報告する.症例1は74歳の男性で,全胃温存膵全摘術,D2郭清の術後2か月で難治性乳び腹水が出現し,術後6か月でデンバーシャント®を造設した.症例2は肝硬変の既往がある71歳の女性で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,D2郭清の術後1か月で難治性腹水が出現し,術後2か月でデンバーシャント®を造設した.2例とも腹水は早期に減少し,術後補助化学療法を症例1では再開かつ完遂でき,症例2では導入することができた.症例1はデンバーシャント®造設後1年10か月,症例2は5か月経過したが,腹水は良好に制御できている.デンバーシャント®は腹水を早期に制御でき,術後補助化学療法の導入や継続を可能にすることで,膵癌術後急性期の非悪性難治性腹水患者の予後を延長させる可能性がある.

  • 田口 大輔, 津田 雄二郎, 高 正浩, 上田 正射, 中島 慎介, 谷田 司, 松山 仁, 池永 雅一, 中井 弘, 山田 晃正
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 269-275
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/28
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    症例は78歳の女性で,5年前から反復する十二指腸閉塞に対して15回の保存的加療歴があった.今回も腹痛,嘔吐を主訴として受診し,CTで腸管逆回転症による十二指腸の走行異常と,十二指腸空腸曲での閉塞を認め,腸閉塞の診断で緊急入院した.腸閉塞を発症する頻度が増加しており,手術加療の方針とした.術中所見から,反復する腸閉塞の原因は腸管逆回転症による腸間膜のねじれと,それに伴う十二指腸空腸曲の圧迫が原因と考えられた.十二指腸空腸曲を周囲組織から剥離し十分に授動後,十二指腸の回転異常に伴う走行異常を整復し手術を終了した.経過は良好で,術後約1年再発なく外来で経過観察中である.腸管逆回転症は腸回転異常症の1型であり,まれな先天異常である.自験例は十二指腸が逆回転,結腸が正常回転した型の腸管逆回転症であった.腸管逆回転症を背景とした繰り返す腸閉塞に対し,手術が奏効した1例を経験したので報告する.

  • 藤枝 裕倫, 山口 竜三, 渡邊 真哉, 會津 恵司, 小林 真一郎, 佐藤 文哉, 豊田 良鎬, 岩田 力, 影山 優美子, 森山 瑞紀
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 276-281
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/28
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    症例は7歳の女児で,右下腹部痛を主訴に受診した.造影CTで虫垂の腫大がみられ,連続するように虫垂末梢側に液体貯留がみられた.急性虫垂炎の膿瘍形成と診断し,虫垂切除術を施行した.開腹所見では膿瘍はなく,囊胞状に腫大した虫垂を切除した.壊疽性虫垂炎であった.虫垂切除断端の1 cm末梢側に全周性壁肥厚がみられ,閉塞により先端部は囊胞状に拡張していた.病理組織学的検査では虫垂の壁肥厚部には漿膜下層まで浸潤する腫瘍がみられ,小型で比較的均一な細胞がロゼット様構造と索状配列を形成していた.免疫染色検査にてクロモグラニンA,シナプトフィジン,CD56で強陽性を示し,Ki-67は2~3%でわずかに陽性,D2-40とCD31でリンパ管侵襲と静脈侵襲を認めた.以上から,神経内分泌腫瘍G2と診断した.脈管侵襲があることから,回盲部切除,D3リンパ節郭清を施行した.術後の経過は良好で術後2年再発は認めていない.

  • 新井 聡大, 松山 貴俊, 南角 哲俊, 溝口 正子, 花岡 まりえ, 岩田 乃理子, 増田 大機, 山内 慎一, 徳永 正則, 絹笠 祐介
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 282-289
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/28
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    潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;以下,UCと略記)の腸管外合併症である静脈血栓塞栓症では深部静脈血栓症が多いが,左腎静脈に血栓形成することはまれであり,合併すると予後不良である.当科では致死性合併症併存時のUC手術治療として3期分割手術を基本とし,初回手術として大腸亜全摘術,回腸人工肛門造設を行う方針としている.今回,術前に左腎静脈血栓を合併したUC症例2例を経験したので報告する.症例1は26歳の男性で,内科治療抵抗性のUC術前に左腎静脈血栓を合併した.症例2は57歳の男性で,寛解期のUCを背景としたS状結腸癌術前に左腎静脈血栓を合併した.腎静脈血栓の場合,下大静脈フィルターは腎血流保護のため留置困難で,2症例とも腹腔鏡下大腸亜全摘術を施行後,速やかに抗凝固療法を行うことで,術後静脈血栓塞栓症関連合併症を併発することなく治療しえた.

  • 奥田 賢司, 岡田 禎人, 太平 周作, 田口 泰郎, 酒徳 弥生, 石田 陽祐, 秋山 荘二郎, 市野 平之伸, 高橋 周三, 泉 雄一郎 ...
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 290-296
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/28
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    症例は79歳の男性で,10年前に直腸癌に対して開腹低位前方切除術を施行されていた.今回は血便があり当院を受診した.腹部造影CTで骨盤内に動静脈奇形(arteriovenous malformation;以下,AVMと略記)を認めた.下部消化管内視鏡検査では吻合部よりoozingを認めた.出血は鎮静化したため経過観察をしたが再度出血したため,血管内治療(interventional radiology;以下,IVRと略記)を施行した.右総腸骨動脈より造影を行うと内腸骨動脈領域にAVMを認め,主な流入血管を塞栓した.処置後,下血は改善したため退院したが,翌日に再度下血あり再入院した.経肛門的に縫合し止血が得られた.AVMの根治治療目的にIVR専門施設へ転院した.複数認めた流入動脈,流出静脈をそれぞれ塞栓することで止血が得られた.術後2年経過しているが再発は認めていない.

編集後記
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