日本人常用食品中の単糖類, 二糖類, 糖アルコールを定量するためのガスクロマトグラフィー法を確立した。その概要は, 次の通りである。
1) 試料の調整: 通常の食品分析で採用されている方法に準拠する。
2) 糖類の抽出: 食品によって, 水抽出法か, 80%エタノール抽出法 (15分1回の還流加熱) かを選ぶ。
3) オキシム化: 50°C, 減圧下で乾固させた糖類 (10∼30mg) に2.5%塩酸ヒドロキシルアミン-ピリジン溶液1m
lを加え, 70∼80°Cで30分間反応。再び, 50°C減圧下にてピリジンを除去。
4) TMS化: 2.5m
lのTMS混合液 (ピリジン: ヘキサメチルジシラザン: トリメチルクロロシラン=10:2:1) に溶かす。反応時間は5分以上とする。反応終了後, 3,000r.p.m.で10分間遠心分離を行う。
5) GLC装置への注入: 上澄液2μ
lを注入する。
6) 内部標準法 (ドコサンまたはイノシトール) により糖類含有量を測定する。
この“改良法”の再現性と添加回収率は, ほぼ満足すべきものであった。しかし, 食品中の含有量が微量 (1g/100g以下) である糖類を, 多量 (10g/100g以上) に含有される糖類と同時に測定する時には, その再現性は若干不良であった。
試料を保存しておく必要がある場合には, 水抽出液を冷蔵または冷凍保存とする。少なくとも25日間は, 安定であった。オキシム-TMS化液は, 共栓試験管に入れて室温保存すると, 少なくとも1週間は安定であった。
食品中の糖類を定量する場合に, 著者らの確立したGLC法は, 化学的定量法よりも至便ではあるが, 簡易性の点において液体クロマトグラフィー法よりも劣っていた。しかし, 感度はGLC法が優れている点や, HPLC法ではソルビトールとぶどう糖の分離が不良である点を考慮すると, 微量の糖類を含む食品や, ソルビトールを含むと推測される食品には, GLC法を用いるのが適切である。
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