人文地理
Online ISSN : 1883-4086
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特集 人文地理学会創設70周年記念
論説
  • 立見 淳哉
    70 巻 (2018) 1 号 p. 25-48
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,パリのファッション産業を事例に,価値づけの仕組みと大都市集積の役割を明らかにした。パリのファッション産業は,知識創造など非物質的労働と衣服の製造に伴う物質的労働,ネットワークと結合が典型的に見出される事例であり,またパリという空間の中で複雑な価値づけの仕組みを有している。すなわち,フォーマル/インフォーマルな制度・慣行・媒介者の存在,膨大なコモン,出会いとネットワーク構築を通じた知識・情報の相互移転,買い手とのマッチングを媒介するショー・展示会・小売店舗,そしてそれらが立地する場所といったものである。これらの雑多な諸要素が,パリの中で分散しつつも,それぞれの市場の価値づけ活動の中で結合し配置されることで,価値づけの装置として機能しているのである。ミリュー論をはじめとして,これまでの集積研究が,コーディネーション問題の解決と集団学習の基盤となる「領域化された制度・慣行」として産業集積地域を捉えてきたのに対して,産業集積あるいはミリューは「領域化されたコーディネーションと価値づけの装置」として捉えられることを示した。

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  • 藤岡 英之
    70 巻 (2018) 1 号 p. 49-71
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル 認証あり

    葬儀の担い手が,喪家近隣の人々から葬祭業者に移行することにより,喪家は葬祭業者が提供するサービスの利用者となり,サービス供給者としての葬祭業者を選択する立場となった。また,葬儀の場所も以前の自宅から,葬祭業者が設置する葬儀会館へと移行している。本稿では,利用者としての喪家による葬儀の場所の選択とその変容を,葬儀の担い手の変化の観点から,地方紙のお悔やみ欄を手がかりにして明らかにすることを目的とした。事例対象地域の栃木県宇都宮市では,1990年代に葬祭業の従業者数が大きく増加し,同時に葬儀の場所が自宅から葬儀会館に移行したが,最近まで地域の人々の関与が大きかったことから手伝いへの返礼や会食のふるまいの習慣が残っていた。市内の葬儀会館は最初,DID 内に設けられた後,市街地の周辺部に自宅をもつ利用者が増加するとともに DID の境界付近まで広がり,近年では小規模化して再び市の中心部に設置されている。お悔やみ欄の分析から,喪家は故人の自宅から近い葬儀会館を選ぶ傾向があったが,2009年に市の火葬場が郊外に移転し,これに併設された式場(現斎場)が使いやすくなると,自宅から離れていても現斎場を利用したいとする喪家が増加し,こうした喪家が DID 内から外へと拡大している。これにより,地域の人々の葬儀への関与がなくなるとともに,喪家による葬儀の場所の選択が空間的に拡大していることが明らかになった。

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研究ノート
  • 前田 竜孝
    70 巻 (2018) 1 号 p. 73-92
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,養鰻業における経済的な変化を,産地における制度的・技術的な変化と,それらに応じた生産者間の関係性の変化に注目しながら考察した。事例地域として,日本有数の生産量を誇る愛知県西尾市一色町を設定した。一色町の養鰻業では,第二次世界大戦後の高度経済成長期に行政が中心となって生産基盤が整備された。各経営体も,この時期に生産力の強化を目的として,加温式ハウスに代表される様々な生産技術を導入した。一方で,各経営体の経営主間の関係性はこの期間に変化した。特に,集出荷作業における手伝い関係は,加温式ハウスの導入による作業の省力化によって解消された。このように,養鰻産地を取り巻く経済状況と個別経営体の経営状況,生産者間の関係性は相互に作用している。ただし,関係性の変化は経営主の経験によってそれぞれ異なるため,これらの相互作用を明らかにするためには,各経営体の個別具体的な状況を考察することが重要となる。

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  • 南 春英
    70 巻 (2018) 1 号 p. 93-110
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,日本と長い歴史的関係を有する韓国の地理教科書における日本記述の特徴を明らかにすることを目的とする。韓国の高校地理教科書における日本記述は社会的背景の変化と緊密な関係があると思われ,本稿では,韓国高校地理教科書における日本に関する記述の変遷を通じて,その社会的背景についても探っていく。韓国において1946年から2000年代まで使用されている高校地理教科書の,日本に関する記述を量的変遷と質的変遷の双方から分析し,その特徴を明らかにした。韓国高校地理教科書の日本に関する記述量は,教科書全体の3~5%で,ほぼ一定の割合を占めており,2000年代半ばになると,その割合が少し上昇した。また,全時期を通して工業を中心とする経済に関する記述量の多いことが分かった。質的特徴では,戦争に関する記述は感情的要素が入っているかどうかに関わらず続いていたことと,全時期を通して工業がその中心になっていることが分かった。

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フォーカス
  • 須原 洋次
    70 巻 (2018) 1 号 p. 111-127
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル 認証あり

    中央教育審議会は,次期学習指導要領に関する報告を2016年末に答申した。2022年度から高等学校で科目「地理総合」が必履修化となる。地理の履修者が激減して40年が経過する。この間,地理教育実践にはさまざまな課題が生じた。地理の必修化に向けて,基礎的・基本的な内容の重視,学習内容の見直し,質の高い教員養成,地理歴史科教員の指導力向上,教育課程の適切な実施など,解決すべき課題は多い。また,地図や地理情報システムを活用し,持続可能な開発のための教育,防災教育など,社会的な要請に応える教育実践が求められる。これらの期待に応えるために,教育実践研究の蓄積,地理教育と地理学や地理教育関係諸科学との双方向的な連携が必要である。また,地域の学びを深めるために,歴史教育との連携も求められる。地理を学ぶすべての子どもたちに豊かな学力を身に付けるために,地理教育の成果が,急激なグローバル化が進む今日の社会にいかんなく発揮され,地理が学校教育に不可欠な役割を担う存在でありたい。

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