口腔扁平上皮癌において適応しうる選択的頸部郭清術の範囲をcN分類と原発巣の亜部位から検討した。
2001年4月から2011年12月までに当科で頸部郭清術を施行した394例を対象とした。
cN0症例で潜在性リンパ節転移を認めた51例の転移リンパ節levelはIa:2例,Ib:19例,IIa:28例,III:4例,その他:3例であった。Level III転移例は舌:3例,下歯肉:1例であった。舌癌と下歯肉癌のcN0症例ではlevel I+IIa+IIIが,他の口腔癌ではlevel I+IIaの郭清が適用可能であることが示唆された。
cN1症例における転移リンパ節はlevel I~IIIの領域に加え,IV:1例,その他:2例であった。level IV転移例は舌癌であり,舌癌ではlevel I~IVの郭清が,他の口腔癌ではlevel I~IIIの郭清が適切であると考えられた。
一方,cN2b症例においてはlevel I~Vに多岐に転移を認めたことから,level I~Vを郭清すべきと考えられた。
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