【はじめに】局所進行頭頸部扁平上皮癌に対するCetuximab併用放射線療法(Bioradiotherapy:BRT)では急性期に高度な粘膜炎が出現し,嚥下性肺炎などでしばしば治療中断を余儀なくされる。BRTの治療完遂率向上のため,嚥下性肺炎発現のリスク・時期を把握する必要があると考え,本研究ではBRT中の嚥下性肺炎に関して後方視的に検討を行った。
【対象】2009年4月から2016年3月までに中下咽頭・喉頭癌の初回治療として導入化学療法(ICT)後に化学放射線療法(CRT)を行った19例,BRTを行った21例の計40例を対象とした。
【結果】ICT後のBRTはCRTよりも有意に誤嚥の頻度が高く,治療開始早期から出現していた。急性期の嚥下障害パターンは喉頭下降期型誤嚥で,嚥下性肺炎の発現は局所進行例で有意に多かった。
【結論】局所進行例でBRTを行う場合は早期より嚥下性肺炎に留意する必要がある。
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