頭頸部腫瘍
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15 巻 , 2 号
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  • 鈴木 秀明, 粟田口 敏一, 高坂 知節
    1989 年 15 巻 2 号 p. 1-4
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍患者15例の血清中のTNF活性をマウス線維芽細胞由来の樹立細胞株であるL-M細胞を使った bioassay により測定した。未処理の血清中には5~80 units/mlのhrTNFに相当するL-M細胞傷害性が検出された。しかしながら, その活性の大部分は56℃, 30分問の熱処理によって消失した。一方, hrTNFでは56℃処理によって影響を受けなかった。さらに熱処理を加えた血清においてなお残存したわずかな傷害活性は抗TNFうさぎ血清によって抑制されなかった。すなわち, これらの悪性腫瘍患者の血清中にはかなりの量のL-M細胞傷害活性が認められたが, TNFは検出されなかったということができる。
  • 河西 信勝
    1989 年 15 巻 2 号 p. 5-7
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    10mm以下の甲状腺微小癌の中で, 5mm以下の minute carcinoma 症例では, リンパ節転移は少ないが, 5~10mmの tiny carcinoma では56.6%に転移を認める. しかし, 微小癌であってもすでに側頸部 (深頸リンパ節) に転移を認める症例では, 初回治療 control 率や死亡率の点からも10mm以上の臨床癌と同様に治療する必要があることが知られた。
  • 平良 晋一, 奥田 稔, 羽田 達正
    1989 年 15 巻 2 号 p. 8-11
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌65例のうち20例に気管合併切除術を施行した。切除術式は窓形切除が15例, 管状切除が4例, 喉頭全摘が1例であった。再建法は管状切除の4例が端々吻合, 窓形切除15例中9例が鼻中隔軟骨粘膜複合弁パッチ法であった。他の6例中3例には永久気管孔の造設が行なわれ3例には特に再建は行なわれなかった。端々吻合1例に切除端再発, 誤嚥を生じ喉頭全摘を施行。鼻中隔パッチ法2例に感染を生じ弁の脱落をみた。予後でみると観察期間の長短はあるが14例が生存している。死亡例6例中3例は未分化癌であり他3例は遠隔転移, 他病死, 局所再発であった。気管合併切除は局所制御率も高く長期生存も期待できる有意義な手術と考えられた。
  • 奥野 哲治
    1989 年 15 巻 2 号 p. 12-20
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部良性腫瘍3例, 悪性腫瘍11例に, 診断および塞栓術による血管内手術を目的とした, 腫瘍栄養動脈茎の選択的血管造影 (surgical neuroangiography) を施行し, その臨床的意義を検討した。診断的意義について見ると, 血管腫のみならず, 神経鞘腫や癌腫においても刷毛状腫瘍血管の増生所見が得られ, 腫瘍の骨膜浸潤や神経鞘周囲の浸潤範囲の診断に有用であった。扁平上皮癌や腺様嚢胞癌などの悪性腫瘍では, これらの腫瘍血管網を粒子の大きさが40μ程度の gelfoam powder を用いて選択的に塞栓し, 凝固壊死によるその組織効果を切除標本にて確認した。頭頸部癌の集学的治療の一つとして, 本法が有力な治療法となる可能性が示唆された。
  • 手島 昭樹, 茶谷 正史, 井上 俊彦
    1989 年 15 巻 2 号 p. 21-24
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    早期声門部喉頭癌T1N0M0症例の治療制限因子とされる照射野の大きさについて1982年5月から1985年12月までの93例について prospective randomized trial を施行し, 以下の結論を得た。(1) 4MVX線を用い shell および個別化した wedge filter による治療技術の改善のもとでは, 照射野による成績の差はなく, いずれも従来に比べ良好な成績であった。(2) 治療成績向上の内訳をみると, 声帯全長にわたる腫瘍の局所制御に改善がみられたが, 潰瘍型, margin (+) 症例は制御不良であった。(3) 副障害としてB群 (6×6cm2) の症例に6ケ月以上にわたる披裂部の浮腫が多かった。
  • 馬谷 克則, 佐藤 武男, 吉野 邦俊, 高木 正, 藤井 隆, 八田 千広, 前谷 近秀, 路 波
    1989 年 15 巻 2 号 p. 25-32
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喉頭全摘出した transglottic cancer 20例の連続切片標本を作製し, 臨床病理学的に検討した。paraglottic space 浸潤は全例に, preepiglottic space 浸潤, 粘膜下進展, 甲状軟骨浸潤は半数に認められ, 深部浸潤傾向が顕著であった。臨床的にT2, T3でも, 甲状軟骨浸潤が半数に認められたので, 放射線治療や部切の選択の際には, この点に留意しなければならない。声門上癌よりも深部浸潤傾向が強く, 軟骨浸潤形式も異なっていた。声帯固定例では披裂軟骨浸潤が全例に, 輪状披裂関節浸潤が75%に認められた。リンパ節転移率は30%であり, 転移群では深部浸潤傾向が強かった。喫煙者率は100%であり, 発癌要因として喫煙の関与が大きいと考えられた。
  • 長谷川 和樹, 天笠 光雄, 岩城 博, 塩田 重利, 茅野 照雄
    1989 年 15 巻 2 号 p. 33-36
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌の白板症56例について構造異型と細胞異型との関連を中心に病理組織学的に検索した。全例中39.3% (22例) に中等度以上の上皮性異形成を認めた。異形成出現頻度は上皮の薄いものに多く, 厚いもので少ない傾向であった。上皮脚の形態は平坦型, 延長型, 滴状型の3型に分類でき, このうち上皮性異形成は平坦型で少なく, 延長型, 滴状型の順で高頻度にみられた。特に滴状型は高頻度に細胞異型がみられ, しかも同型で薄いものに極めて高度な細胞異型を示すものが多かった。上皮の厚さや上皮脚の形態は細胞異型と深く係わりがあることが示唆された。
  • 宮下 久夫, 海老原 秀和, 真島 一彦, 谷川 譲, 井深 田鶴子, 田中 良明, 松田 忠義
    1989 年 15 巻 2 号 p. 37-41
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ワルダイエル輪を除く18例の頭頸部節外性悪性リンパ腫 (鼻腔7例, 口蓋5例, 耳下腺3例, 頬部, 喉頭, 舌下腺各1例) について検討した。病期 (Ann-Arbor) I, II期14例, III, IV期4例で, 組織型 (Rappaport) は, diffuse histiocytic 14例, nodular mixed 3例, diffuse lymphoblastic 1例であった。壊死性鼻腔病変や耳下部病変では, 確定診断までに3回の生検を要した。初回治療 (化学療法単独または放射線治療併用) 後の再燃率はI, II期で10%, III, IV期で80%であった。10年生存率 (Kaplan-Meier) は全例で76%であったが, 10年を経てなお骨髄や胸腹部リンパ節病変がみられ, 長期観察の重要性と治療の困難さを伺わせた。
  • 川浦 光弘, 犬山 征夫, 田路 正夫, 田中 一仁, 藤井 正人, 田中 寿一, 高岡 哲郎, 細田 兵之助, 川谷 敦子, 川崎 和子
    1989 年 15 巻 2 号 p. 42-47
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    昭和37年から昭和63年6月までに当科頭頸部外来にて経験した非上皮性悪性腫瘍 (悪性リンパ腫を除く) 44例を対象に臨床的検討を加えた。
    年齢は5カ月から77歳までで, 癌と違って各年齢層に広く分布しており, 男性の60歳代に多くみられた。男女比は, 男性25例, 女性19例と男性に多く, その比は1.3:1であった。発生部位は, 上顎洞22例, 鼻腔12例と鼻・副鼻腔に多くみられた。病理組織学的分類では, 横紋筋肉腫9例, 悪性黒色腫9例, 骨肉腫6例, 神経原性肉腫6例の順に多かった。病理組織学的診断は癌と違って非常に難しく, 生検の反復を余儀なくされることがしばしばあり, 約半数の症例に2回以上の生検が行なわれている。
    治療は手術, 放射線療法, 化学療法, 免疫療法が適宜組合せて行なわれ, 症例の多かった上記4疾患について自験例および文献的考察からまとめると, 横紋筋肉腫: 手術+化学療法+放射線療法 悪性黒色腫: 手術+化学療法+放射線療法+免疫療法 骨肉腫: 手術+化学療法 神経原性肉腫: 手術が適当な治療であると思われた。
    再発率は43%で5年生存率は32%であった。転移部位は肺および頸部リンパ節に多くみられ, 死因は頭蓋内進展および肺転移が多くみられた。
  • 遠藤 壮平, 木田 亮紀, 古阪 徹, 飯田 英信, 山田 洋一郎, 鴫原 俊太郎, 河本 英敏, 大木 光義, 相磯 研一, 安田 正秀, ...
    1989 年 15 巻 2 号 p. 48-52
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去17年10カ月の間に経験した頭頸部原発の腺様嚢胞癌30症例について検討した。症例は, 男性12例, 女性18人で, 部位は大唾液腺13例, 鼻・副鼻腔9例, 口腔5例, 喉頭1例, 外耳道1例, 原発不明の頸部リンパ筋転移1例であった。初診時に6例にリンパ節転移を, 3例に遠隔転移を認めた。Stage 分類はI, II, III, IVがそれぞれ3, 7, 7, 13例であった。組織型は, tubular 3, cribriform 22, solid 5例であった。CAP療法の秦効率は11.1% (1/9), 放射線療法は100% (2/2) であった。
    7例が死亡しておりその平均生存期間は44カ月であった。予後に影響する因子は, 転移の有無, Stage であった。
  • 宮尾 源二郎, 窪田 哲昭, 海野 博之, 田中 裕之, 井藤 博之, 大谷 尚志, 高崎 宗太
    1989 年 15 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鼻腔及び鼻前庭原発の悪性黒色腫 (MM) 2症例に対し Interferon (IFN) の局所投与を行い, いずれも Complete Response (CR) を認めた。鼻腔症例に対してはDAV療法, Linac 照射による効果は認めにくく, IFN-α局所投与のみを継続し, IFN-αの総投与回数249回, 総投与量74700×104IUにて約18カ月でCRとなった。鼻前庭症例に対しては, IFN-β局所投与のみを行った。CRまでの総投与回数は115回, 総投与量は33880×104IUであり約4カ月半を要した。MMの治療は腫瘍を含めた広範囲全摘が第一義であるが, 部位的に広範囲全摘が不可能であっても, IFNの局所投与が可能かつ確実に行える症例に対しては, IFNの治療上の位置づけ, 役割は特記すべきものと考えられた.
  • 西村 俊郎, 上出 文博, 滝元 徹, 石川 滋, 梅田 良三
    1989 年 15 巻 2 号 p. 58-60
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    内頸動脈の全部あるいは, 部分的欠損は稀な奇形である。再発中咽頭癌症例において根治術施行中に右頸部内頸動脈が欠損していた。術後の経静脈性ディギタルサブトラクション・アンギオグラフィーにて, 残る頭蓋内走行部は正常に関存し同側外頸動脈からの血流をうけていることが確認された。頭頸部外科医は, このような奇形の存在に留意し, 外頸動脈の処理に際して慎重でなければならない。
  • 中村 宏, 武宮 三三, 嶋田 文之, 小村 健, 林 升
    1989 年 15 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺からのリンパ路のうち後方流出路は上極後面から出て上行し咽後リンパ節外側群に入る。甲状腺癌の同リンパ節転移は非常に稀であるが, 我々の経験した2症例を報告する。第1例は66歳男性。甲状腺癌に対し過去5回の手術を受けている。両側頸部の数個の腫瘤を主訴として来院。咽頭後~側壁に腫脹を認めCTにて咽後隙に転移性リンパ節と思われる腫瘤があり手術にて確認された。第2例は59歳女性。過去に手術は2回。いびきを主訴に来院。中咽頭後~側壁に腫脹を認めCTにて咽後隙に転移性リンパ節と思われる腫瘤があり試切により確認された。2症例共に, 数回に渡る手術の結果, 主要リンパ節の遮断が起こり咽後リンパ節転移に及んだと考えられた。
  • 海野 博之, 窪田 哲昭, 竹山 勇, 菊地原 基敬, 沢木 修二, 佃 守, 久保田 彰, 三宅 浩郷, 堀内 正敏, 高橋 広臣, 岡本 ...
    1989 年 15 巻 2 号 p. 65-68
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌に対するシスプラチンを含む化学療法の有用性は多く報告されている。また, 放射線療法も単独で優れた治療成績を上げている。今回, シスプラチンを含む多剤併用療法と放射線療法の併用を未治療頭頸部扁平上皮癌102例に対して施行した。治療法はシスプラチン100mg/body以上, 放射線量40Gy以上とし, 全奏効率を検討し, 更に化学療法施行時期における全奏効率及び stage III, IVにおける奏効率, CR率についての相違を検討した。結果は同時施行例が奏効率, CR率についてより優れていた。化学療法, 放射線療法の併用の主たる目的である stage III, IVあるいは根治という点では同時施行がより有効であることが示唆された。
  • 真崎 規江, 池田 恢, 西山 謹司, 井上 武宏, 又吉 嘉伸, 清水谷 公成, 渕端 孟
    1989 年 15 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1972年から1985年までの14年間に大阪大学放射線科でBLMまたはPEPの併用で放射線治療が行われた下顎歯肉癌155例のうち, N2, N3例を除く, N0, N1症例133例について検討した。BLM 15mgを週2回またはPEP 5mgを週3回と放射線治療30Gy/3週が投与された。TN分類ではT1, T2: 80例; T3, T4: 53例で, N1は69例である。CRは77例 (58%) (T1, T2: 65%; T3: T4: 47%) に認められた。CR例で手術が行われずに経過が観察された52例の2年局所制御率は32/52 (62%) (T1, T2: 68%; T3, T4: 43%) で, 再発例に救済手術が行われた最終的な局所制御率は42/52 (81%) (T1, T2: 88%, T3, T4: 64%) である。この結果はCR例で追加手術が行われた例での制御率 (88%) と同等である。
    BLMとPEPの効果が比較されたが, CR率はBLM群で62%, PEP群では47%である。
  • 宮田 佳代子, 湯山 誠一郎, 持松 いづみ, 澤木 修二, 佃 守
    1989 年 15 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌患者より分離した tumor infiltrating lmphocytes (TIL) の増殖能, 抗腫瘍活性, 表面マーカーを, 末梢血リンパ球より誘導した lymphokine activated killer cells (LAK) と比較し, 検討した。
    TILはLAKより増殖率が高く, 平均101.3倍の増殖を示した。分離直後のTILはNK活性, LAK活性, 自己癌細胞傷害活性がほとんど認められないが, IL-2添加培養により活性が増大しLAKより高い値を示した。TILをIL-2添加培養すると, HLA-DR+, CD8+ CD11-の表面マーカーが優位となる症例がみられた。TILはLAKより増殖能, 自己癌細胞傷害活性が高く, 養子免疫療法の移入細胞として有用と考えられた。
  • 岩井 満, 岸本 誠司, 西山 正司
    1989 年 15 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々は1986年から2年間に当科で経験した頭頸部悪性腫瘍43症例を対象としてその治療に対する細胞性免疫能の推移について, 末梢血リンパ球幼若化反応とモノクローナル抗体を指標に観察してきた。
    対象は1期4例, 2期5例, 3期20例, 4期14例で, 治療は症例により異なっている。これらの症例について治療前, 照射後, 治療後2カ月以内, 3~6カ月, 7~12カ月, 13カ月以降でPHA, Con A, モノクローナル抗体 (Leu 1, 2a, 3a, 11) を検査した。その結果, (1) 放射線療法により全てのモノクローナル抗体が有意に低下した。(2) 病期別で早期例に比し, 進行例で3a/2a比で有意に低い値をとった時期があった。
  • 平塚 博義, 小浜 源郁, 山本 悦秀, 宮川 明, 山口 晃, 野口 誠, 今村 正克, 菊池 浩吉
    1989 年 15 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜扁平上皮癌1次症例33例の生検組織における癌組織内浸潤リンパ球亜群を免疫組織学的に検索し, 癌組織内浸潤T細胞の強さと術後臨床経過や予後との関係について検討した。術後5年以内に局所再発をきたした症例は12例で, T細胞浸潤の程度別にみると, 高度T細胞浸潤群 (+++): 14.2% (1/7), 中等度浸潤群 (++): 33.3% (4/12), 軽度あるいはほとんどT細胞浸潤を認めない群 (+, -): 50.0% (7/14) であった。5年確定生存率は (+++): 100%, (++): 80.0%, (+, -): 76.9%とT細胞浸潤の強さは術後経過や予後と関連する傾向を示した。以上の結果から, 癌組織内浸潤T細胞の様相は担癌生体における自己の癌に対する防御機構の生体内表現と考えられた。
  • 吹上 忠祐, 江浦 正郎, 猪川 勉, 石川 哮
    1989 年 15 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは上顎癌2例, 舌癌1例の新鮮例に対して養子免疫療法を行った。Leukapheresis によって得たリンパ球を同種の培養癌細胞で刺激し, さらにrIL-2で活性化して誘導した癌細胞障害性リンパ球 (Allo TLAK) を顎動脈, あるいは舌動脈へ動注した。肉眼的に癌の消失, 縮小がみられ, また組織学的にも抗腫瘍効果が認められた。副作用は末梢血好酸球増加と軽度の発熱であった。本治療法は, 培養癌細胞を自己癌の代わりに刺激細胞として利用するものであり, 普遍的かつ有効なものと考えられる。
  • 湯本 英二, 丘村 煕
    1989 年 15 巻 2 号 p. 96-99
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    最近のCT検査の発達によって上咽頭癌原発巣の診断および経過の追跡が正確におこなえるようになった。その結果, 根治照射終了後, 上咽頭ファイバースコピーでは残存腫瘍を認めず従来なら治癒と判断された例でもCT検査によって腫瘍の残存を見出し得た症例を経験した。このような症例 (過去6年間に経験した10例中5例) に対して著者らは積極的に外科的治療を追加し治療成績の向上に努力してきた。著者らが主に用いている経翼突法による手術法は, 経口蓋法・経上顎法に比して視野が広く確保できるので放射線照射後の残存腫瘍の摘出法として優れていることを示した。併せて上咽頭癌治療における手術治療の役割について考察した。
  • 大山 和一郎, 海老原 敏, 小野 勇, 吉積 隆, 斉川 雅久
    1989 年 15 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    国立がんセンター頭頸科にて垂直部分切除術を施行した42例について検討した。
    一次治療例33例での局所再発は, 断端と腫瘍との距離が1mm以内の症例にのみ認められた。頸部リンパ節再発は上, 中深頸リンパ節にみられた。いずれの再発も, 喉頭全摘出, 根本的頸部郭清により制御された。5年粗生存率87.9%, 喉頭温存率78.9%だった。
    根治照射後の再発例に対する部分切除は有用な方法で, その経過は非照射例と差がなかった。
    T3症例に対する垂直部分切除では, 誤嚥, 狭窄等の機能的な問題が少なければ, 部切でうまく制御できない時に全摘を行うのも一方法と考えられる。
  • 金子 省三, 加藤 孝邦, 島田 士郎, 都志見 格, 本多 芳男, 坂井 春男, 新橋 武
    1989 年 15 巻 2 号 p. 105-108
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    The patient was a 23-year-old female with adenocarcinoma of nasal cavity. Previously she had resection of tumor by transal approach. But she visited our hospital because of recurrence of tumor. From findings of CT, MRI, and X-P examination performed prior to the reoperation of this time, it was confirmed that the tumor invaded the anterior skull base. The tumor was removed by combined craniofacial approach, and a defect of 3×1.5cm in size was formed in the anterior skull base. An axial galeo-p eriosteal flap, which was based on the superficial temporalartery, was applied for reconstruction of skull base. Moreover a part of the outer-table of calvarial bone attached with the flap was used for bone reconstruction of skull base. After that, from the nasal side, split-thickness skin graft was sutured to the inferior surface. Postoperative results was successul and she was discharged without complication after 6 weeks.
    It is considered that this surgical technigue i suseful for reconstruction of defecet in the anterior skull base.
  • 今野 昭義, 戸川 清, 花沢 秀, 寺田 修久
    1989 年 15 巻 2 号 p. 109-118
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去15年間に一定の治療方針に従って治療した新鮮耳下腺癌18例について治療成績を検討した。5年累積生存率56.7%, 粗生存率63.6%, 10年累積生存率45.4%であった。治療失敗の最大の原因は遠隔転移, 次に局所再発にあった。初診時に頸部リンパ節転移または顔面神経麻痺を認める症例の予後は特に不良であった。
    既治療例を含めた進行癌8症例においては耳下腺拡大全摘後の組織欠損を局所皮弁, DP皮弁, 大胸筋皮弁, 遊離腹直筋皮弁, 遊離腹直筋弁を用いて再建した。術後経過よりみた各再建法の特徴について述べた。
  • 大西 正俊, 大月 佳代子, 中山 英二, 中村 英二, 神林 秀昭
    1989 年 15 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは1980年より人工骨アパタイト多孔体を下顎骨の再建に臨床適応してきた。このうち本稿では最近3年間の本術式による27症例のうち新開発の純チタン製下顎骨再建プレートを用いて施行した下顎骨区域切除後の架橋補填例7症例の経過について検討した。
    73歳女性の剖検により再建部下顎骨の骨形成状態を検索し得た症例ではアパタイト多孔体と骨組織が術後2年目で, 完全に癒合し一体化した状態が組織学的に確認された。35歳男性の症例では再建プレートは術後1年10カ月目に除去, アパタイトによる再建下顎骨は正常に機能し, また術後状態の把握に99mTCのシンチ所見は有用であった。これらの検索結果は本術式の有用性を示唆するものと考える。
  • 中村 博行, 戸塚 靖則, 大森 桂一, 牧野 修治郎, 臼井 康裕, 野谷 健一, 福田 博, 飯塚 正, 進藤 正信, 向後 隆男, 雨 ...
    1989 年 15 巻 2 号 p. 125-128
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1972年から1987年に北海道大学歯学部附属病院口腔外科にて治療を行った上顎歯肉扁平上皮癌患者33例について検討した。性別は男性が15名, 女性が18名で, 年齢は31歳から82歳に分布していた。Stage 分類は1978年UICC分類に従い, Stage I: 3例, Stage II: 10例, Stage III: 3例, Stage IV: 17例であった。治療法は手術単独あるいは手術を併用したものが29例で, 放射線単独が4例であった。治療成績は3年および5年累積生存率がそれぞれ62.4%, 48.8%であった。初回治療による原発巣の制御不能例は13例にみられた。頸部リンパ節転移を認めたものは, 初診時に11例で後発転移は2例に認められた。腫瘍死は12例で, その原因は, 原発巣の制御不能, 頸部リンパ節転移, 遠隔転移, およびこれらの合併であった。
  • 藤吉 達也, 植山 茂宏, 吉村 弘之, 茂木 五郎
    1989 年 15 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    昭和56年10月より昭和63年2月までの6年5カ月間に経験した中咽頭癌26例を振り返り, 摘出標本の病理組織とともに予後について検討し, 今後の治療指針の参考とした。
    症例の内訳は, 側壁型14例, 上壁型5例, 後壁型1例で, Stage I 2例, II 4例, III 8例, IV 12例, 扁平上皮癌22例, リンパ上皮腫 (未分化癌) 4例であった。治療方法は, 原則として, Stage Iには放射線療法を, またそれ以外には, 5-Fu静注を併用した30Gyの術前照射の後, 腫瘍の en bloc 摘出と再建術を行った。26例中, M1の1例および途中治療拒否1例を除く24例の5年累積生存率は48.8%であった。詳細は, 上壁型100%, 側壁型62.5%, 前壁および後壁型0%で, また Stage I 100% (4年), II 71.4%, III 24.7%, IV 50.6%である。治療失敗例は, 局所再発4例 (うち2例死亡), 頸部再発死2例, 遠隔転移死3例, 他因他病死4例であった。術前治療の組織学的効果は, 原発巣においては, 下里 Grade III, IVが30%を占めていたものの, IIa, IIb群に局所再発例が一致した。
    今後, 治療成績向上のためには, 原発巣の切除範囲を再検討するとともに, 手術と併用する照射・化学療法を強化する一方, 他病死の対策にも努める必要性を痛感した。
  • 土屋 英明, 林崎 勝武, 大谷地 直樹, 竹内 洋介, 金子 敏郎
    1989 年 15 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1977年から1986年までの10年間に当科を初診した鼻・副鼻腔癌新鮮症例102例で, そのうち28例が70歳以上であった。高齢者においては Stage IVの進行癌の占める割合が54%と高かった。治療前合併症は28例中18例にみられ, そのために根治切除術を行わなかったものが7症例あった。治療に伴う合併症は8症例にみられたが手術に伴う重篤なものはなかった。28例中上顎部切以上の手術を施行したものは6症例 (21.4%) であり, 70歳未満では90%近い割合なのに比してかなり少なかった。5年累積生存率は15.9%であり, 70歳未満は60.7%であった。今後は高齢者といえども合併症をコントロールした上で積極的に根治切除術を行っていく必要性を痛感した。
  • 奥村 隆司, 前田 一, 松永 亨, 吉田 淳一, 伊東 真人, 佐々木 良二
    1989 年 15 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去10年間に当科を受診した80歳以上の頭頸部癌新鮮例31例を対象とし治療上の問題点について検討し高齢者医療について文献的考察を加えた。全症例696例のうちの4.6%で, 男26例, 女5例であった。原発部位別にみると喉頭12例, 口腔8例, 下咽頭5例, 鼻副鼻腔4例, 上咽頭1例, 耳下腺1例であった。治療内容は, 放射線単独群17例, 手術単独群5例, 放射線+手術群1例, 姑息治療群8例であり, 1次治療後の制御率83% (19/23) であった。生存期間をみると根治治療群 (23例) の中央値は24カ月, 未治療群 (8例) は11.5カ月であった。我々は高齢者といえども根治可能例には積極的に治療姿勢が必要だと考えている。
  • 南 定, 堤 康一朗, 菊地原 基敬, 加藤 功, 竹山 勇
    1989 年 15 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シスプラチン (CDDP) は, 頭頸部悪性腫瘍に対する有効な化学療法剤であるが, 一方多彩な副作用を示しその腎毒性はよく知られている。今回我々は, CDDP投与前に腎障害の認められなかった頭頸部悪性腫瘍症例22例を対象に, CDDP投与方法と post-hydration の期間の相違による腎機能回復度について, 尿中 N-Acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG) を測定し検討を行った。その結果CDDP投与方法にかかわらず, post-hydration を長期施行した群の方が尿中NAGは早期にピークに達し, 回復も早いという傾向を得た。つまり, post-hydration を長く施行することがCDDPによる腎障害を軽減させ, かつ, その腎機能を早期に回復させることが分かった。
  • 戸田 雅克, 野口 志郎
    1989 年 15 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    従来より甲状腺組織内に脂肪組織が混在することは, 上皮小体組織の迷入により, 時に観察される。しかし甲状腺の結節性病変内に脂肪組織が混在することは極めてまれなことである。この腫瘍は Adenolipoma または Thyrolipoma と呼ばれるものであり, 著者らの文献的に検索しえた症例は, わずかに9例を数えるのみである。最近著者らは, 70歳, 53歳, 58歳の女性3名の adenolipoma を経験したので, 臨床検査ならびに経過とともに, 発生成因や鑑別診断につき, 若干の文献的考察を行ったので報告する。
  • 桜井 一生, 岩田 重信, 高須 昭彦, 丹羽 珠実, 武田 伸郎, 酒井 正喜
    1989 年 15 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺腫瘍の術前画像診断法としての, 201Tlシンチグラフィー, US, CTの各検査法の有用性と特殊性につき, 甲状腺腫瘍症例103例を対象として検討を行った。
    201Tlシンチグラム, US, CT診断での正診率は, 悪性腫瘍群ではそれぞれ72.2%, 81.0%, 72.7%であり, 良性腫瘍群ではそれぞれ69.8%, 78.1%, 82.5%であった。各検査法の中ではUSの正診率が最も高く, 術前の腫瘍の良性, 悪性の質的診断には最も有用と思われた。201Tlシンチグラフィーは癌の再発, 転移の検索に, CTは甲状腺癌の周囲組織への浸潤の検索に有用と考えられた。
  • 盛 庸, 朴沢 二郎, 斎藤 久樹
    1989 年 15 巻 2 号 p. 156-160
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去10年間に当科で治療を行った頭頸部原発の Adenoid cystic carcinoma 16例について, 組織型と予後の関係について検討した。
    全例に外科的切除術を施行し, 摘出腫瘍を病理像より充実型, 腺管型, 篩状型に分類した。この3つの型の中で充実型が最も予後不良であった。腺管型と篩状型は充実型と比べると予後良好であったが, これらの型にわずかでも充実型組織が混在している場合は, 予後不良と思われた。臨床的に予後を決定するためには, 標本の切片全体を注意深く観察することが重要である。標本中にわずかでも充実型組織を認めたならば, この患者に対する治療は再発予防のためにより注意深く行われなければならないと考えられた。
  • 羽熊 直行, 平川 勝洋, 夜陣 紘治, 原田 康夫, 田淵 順治
    1989 年 15 巻 2 号 p. 161-164
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上皮筋上皮癌は Donath K. らにより1972年に命名された腫瘍で, 管構造の内, 介在部由来と考えられている。諸家の報告によれば発生頻度は全唾液腺上皮性腫瘍の約0.5%を占め, 女性に多いとされている。今回我々は本腫瘍の一例を経験したので, 文献的考察を加え報告する。症例は61歳の女性。約5年前より左耳下部に腫瘤を自覚する。1987年6月, 当科を受診した。腫瘤は約7.5×6.5cmであった。同年7月7日, 全麻下に耳下腺拡大全摘術を行った。病理組織学的, 免疫組織化学的検索により本腫瘍を上皮筋上皮癌と診断した。術後60Gyの放射線治療を行った。現在, 当科外来にて経過観察中であるが, 再発の徴候を認めていない。
  • 柴 裕子, 溝尻 源太郎, 蓼原 東紅, 黒田 浩之, 塚本 哲也, 矢田 恒雄
    1989 年 15 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    左側頸部郭清術後の胸水貯留を3例経験した。術中胸管を損傷結紮, 他に胸水貯留を生じうる原因がないことが共通している。
    第1例は, 胸腔穿刺液の Sudan III染色で脂肪滴が証明され, リンパ管シンチグラフィーを行い, 胸腔内にRI Activity を認め, 乳糜胸 (胸管リンパ液胸腔内貯留) と診断した。第2例は, 早期に軽快したことから詳細な検索は行っていない。第3例は, 軽度の乳糜腫もあり, 胸腔穿刺液の Sudan III染色で, 第1例同様脂肪滴が証明された。
    胸水貯留の成因として, 胸管結紮による胸管内圧上昇が関与した胸腔への逆流による乳糜胸 (胸管リンパ液胸腔内貯留) と考え, その根拠を文献的に考察した。
  • 佐藤 知秀, 下野 正基, 安彦 善裕, 浜田 義信, 橋本 貞充, 小川 欽也, 野間 弘康, 鈴木 一郎
    1989 年 15 巻 2 号 p. 170-176
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌および腹部皮膚に生じた顆粒細胞腫の微細構造について, 細胞質内顆粒を中心に検索した。顆粒を(1) 一次ライソゾーム様顆粒, (2) 二次ライソゾーム様穎粒, (3) multivesicular body (4) myelin-like body に大別することができた。電子顕微鏡ならびに免疫組織化学的結果から, 本細胞が Schwann 細胞に由来するものと考えられた。また, 顆粒細胞内ではミエリン膜蛋白の代謝異常とそれに起因する lysozomal dysfunction が存在すること, および multivesicular body にみられる多数の vesicle が myelin-like body と angular body の成立に関連することが示唆された。本病変は Schwann 細胞への分化傾向を有する細胞の腫瘍性増殖であると考えられた。
  • 半沢 元章, 畔田 貢, 野谷 健一, 戸塚 靖則, 福田 博, 佐藤 隆文, 山崎 岐男, 小林 一三, 飯塚 正, 進藤 正信, 向後 ...
    1989 年 15 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    超音波検査が有用であった顎下腺腫瘍の4例を経験したので報告する。症例1, 2は臨床所見より顎下腺炎と診断した症例であったが, 治療中に施行した超音波検査によりはじめて顎下腺腫瘍が疑われた。症例3は精神遅延のため超音波検査が唯一の画像診断法で, 初診時の超音波検査により顎下腺腫瘍が疑われた。症例4はシェーグレン症候群の精査の目的でルーチン検査として施行した唾液腺 (耳下腺, 顎下腺) の超音波検査で, 顎下腺腫瘍が偶然発見された。腫瘍径は4例とも10mm前後であった。超音波断層法は, 腫瘍径の小さな唾液腺腫瘍にも有効であり, その簡便さ, 診断能力の高さから, 唾液腺腫瘍の早期発見には不可欠な検査法であると思われた。
  • 小笠原 寛, 雲井 健雄, 澤木 修二, 佃 守
    1989 年 15 巻 2 号 p. 183-186
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌の進行例に対する長期免疫療法の有効性を10施設において randomized controlled study で検討した。対象は上・中・下咽頭, 舌, 上顎洞, 喉頭の stage III, IVで, 上咽頭はI, IIも含めた。OK-432の投与期間は6カ月未満の短期投与と3年以上の長期投与の2群とした。規定に違反した9例を除く短期投与102例と長期投与107例について解析した。性, 年齢, 癌腫, 病期, 1次治療の方法, 1次治療終了時の腫瘍の制御率について両群には差がなかった。生存率は長期投与が高く (p<0.05), また無病率も高い傾向が認められた (p<0.10)。OKT-3陽性Tリンパ球は長期投与では減少が少なかったが, OKT-4/8は両群とも回復がみられなかった。
  • 松崎 勉, 宮崎 康博, 伊東 一則, 昇 卓夫, 大山 勝
    1989 年 15 巻 2 号 p. 187-191
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫の治療経過中に膀胱癌, 大腸癌の合併した三重複癌の一症例を経験したので報告した。66歳女性で, 悪性リンパ腫の診断で化学療法中に, 血尿が出現し膀胱癌と診断され, 寛解後, 放射線療法等の加療を行なった。その後, 全身のリンパ節腫大を認め, 悪性リンパ腫再燃を疑い化学療法を行なったが効果なく, 生検で anaplastic ca. と診断された。その原発巣は不明であった。徐々に下腹部圧迫感を訴え, 大腸癌と診断され, 治療経過中に癌悪液質となり死亡した。当教室過去10年間に重複癌51例を経験し, その頻度は5.9%で他報告より高値であった。悪性腫瘍に対する治療体系の再検討が必要であり, 診断治療に際し重複癌の発生に注意が必要である。
  • 林 康司, 山家 誠, 篠田 鉄郎, 竹内 祐介, 後藤 康之, 藤内 祝, 水谷 英樹, 金田 敏郎, 斉藤 宏
    1989 年 15 巻 2 号 p. 192-196
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Plummer-Vinson 症候群は下咽頭, 頸部食道癌の前癌病変として注目されているが, 舌癌の報告は少ない。今回われわれは, Plummer-Vinson 症候群の舌炎より移行したと思われる舌背部の扁平上皮癌を経験したので報告した。本症例はきわめて稀な症例と思われるが, 鉄欠乏による舌の上皮組織障害より発生したという点で, Plummer-Vinson 症候群に限らずIDD, IDADは, 前癌病変と成りうるのではないかと考えられる。したがって口腔領域における悪性腫瘍発生を予防するという意味で, 鉄欠乏による上皮組織障害 (IDD, IDAD) の適切な診断, 早期治療, メインテナンスが重要であるように思われる。
  • 木村 幸紀, 鎌田 信悦, 井上 哲生, 内田 正興
    1989 年 15 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 1989/03/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    いわゆる癌年齢に達していない40歳未満の舌扁平上皮癌症例における発癌の誘因として不良歯牙の存在が臨床的見地から推測されたことから, 最近10年間の症例の再検討を行なった。その結果, 歯牙の傾斜・位置・形態の異常所見が多くの症例で確認された。このような不良歯牙が舌側縁部と異常接触していると考えられた症例が多く認められた一方で, それを自覚している症例はむしろ少ないことが明らかとなった。したがって, 口腔内診査においては舌側縁部の病変の観察のみならず, 歯牙所見を詳細に, かつ客観的にとることが重要であり, また異常所見が得られた場合には早期に処置を必要とすると考えられた。
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