頭頸部腫瘍
Online ISSN : 1883-9878
Print ISSN : 0911-4335
ISSN-L : 0911-4335
18 巻 , 2 号
選択された号の論文の35件中1~35を表示しています
  • 小澤 哲夫, 丘村 煕, 湯本 英二, 中村 光士郎, 有友 宏, 稲木 匠子
    1992 年 18 巻 2 号 p. 1-7
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耳下腺腫瘍副咽頭腔進展例2症例を報告した。症例1は74歳男性で左の肩こりを主訴とし, 左耳後部の腫脹を指摘された。症例2は34歳男性で軟口蓋左側と左耳後部の腫脹を主訴とした。CTジアログラフィ (症例1) およびMRI (両症例) にて耳下腺深葉原発の腫瘍が, 副咽頭腔に進展していることが分かった。両症例とも外切開法にて手術した。症例1は多形腺腫, 症例2は多形腺腫内癌であった。
    副咽頭腔への手術のアプローチ法は, 口内法, 外切開法, 両者の併用の3つがあり, 安全性, 術野の広さ等から外切開法が望ましいことれ述べ, 最近の本邦報告例 (31例) では外切開法が多いことを示した。
  • 広田 佐栄子, 副島 俊典, 三枝 智恵子, 吉田 祥二, 楢林 勇, 木村 修治
    1992 年 18 巻 2 号 p. 8-12
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺原発非ホジキンリンパ腫I期からII期19症例に対し化学療法 (CHOP及びCHOP変法療法) を併用した放射線治療を行ない, 5年生存率100%, 5年無再発生存率86.2%の好成績を得た。また横隔膜下再発や1年以内の再発は認められなかった。化学療法併用に際し重篤な副作用は認められなかった。小照射野 (involeved field) をとった10症例中2症例に照射野辺縁再発を認め, 化学療法を併用する場合でも全頸部・上縦隔を含めた照射野または Mantle 照射野 (extended field) が必要であると考えられた。照射後6カ月から4年の経過のうちに甲状腺機能の低下を来す症例を8例 (42.1%) に認め, 経過観察中に定期的な甲状腺機能検査が必要であると考えられた。
  • 甲能 直幸, 川井田 政弘, 川崎 順久, 犬山 征夫, 大沼 尚夫, 市川 銀一郎
    1992 年 18 巻 2 号 p. 13-15
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Stage III, IVの口腔, 咽頭扁平上皮癌に対しシスプラチン, エトポシド, マイトマイシン-Cの3剤による術前化学療法を行った。施行例は13例であり, このうち評価可能例12例中CR4例PR7例で奏効率は92%であった。骨髄抑制が投薬量を制限する副作用であり, 特に血小板減少に注意する必要があった。従来のシスプラチンを含むレジメンに比べて, はるかに粘膜毒性が少なく, 加えて同等か, それ以上の効果を認め, 後続する治療を障害せず, この意味で特に口腔癌に有効と思われた。
  • 高橋 秀明, 堀内 正敏, 飯田 政弘, 田村 嘉之, 三宅 浩郷
    1992 年 18 巻 2 号 p. 16-19
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部原発の横紋筋肉腫の6症例のうち, 2症例は小児 (7歳, 14歳) であり, 4症例は成人 (20~49歳) の症例であった。原発部位は, 副鼻腔4, 翼口蓋窩2であり, 組織型は胞巣型5, 胎児型1であった。
    治療は, 6症例とも化学療法と放射線療法の併用を行った。予後は, 小児の症例は初診より57カ月と43カ月経過し, 寛解を維持している。成人の4症例は全例が死亡し, 生存期間は4~53カ月であった。
    成人の横紋筋肉腫症例と小児の症例の予後には著しい差がみられ, 小児の症例に対する化学療法 (VAC) と放射線療法の併用は治癒を期待しうる治療法と考えられる。
  • 三橋 紀夫, 早川 和重, 本庄 純子, 玉木 義雄, 池田 一, 高橋 育, 新部 英男
    1992 年 18 巻 2 号 p. 20-26
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上咽頭癌は発見が遅れることが多いため, 初診時すでに進行している症例が大部分をしめるが, 放射線感受性が高い低分化型類表皮癌が多いことから放射線単独治療にて十分に治癒が期待できる腫瘍である. しかし, これまでのところ必ずしも満足のいく治療成績が修められていない。そこで, 放射線治療成績の分析を行い, 放射線治療上の問題点ならびに予後を左右する因子について検討したところ, 上咽頭低分化型類表皮癌では広範な骨浸潤をきたしていないかぎり局所制御は容易で, 予後を左右している最も重要な因子は, 早期に出現する遠隔骨転移であることが明らかとなった。一方, 低分化型類表皮癌以外の組織型の局所制御は困難であった。
  • 真崎 規江, 茶谷 正史, 又吉 嘉伸, 久保 和子, 渕端 孟, 清水谷 公成, 池田 恢, 井上 俊彦
    1992 年 18 巻 2 号 p. 27-32
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    大阪大学放射線科で1967~1984年に放射線治療が行われた上顎洞扁平上皮癌は592例で, 放射線治療単独は136例, 化学療法併用は456例である。平均経過観察期間は12年 (6~24年) で全例の5年および10年生存率は, それぞれ34%および24%である。T病期別の5年および10年生存率は次のごとくで, T2 (107例): 57%と37%; T3 (318例): 37%と27%; T4 (158例): 22%と18%である。平均の照射線量はTDFで示すと照射単独群では123 (59~184) で, 5-FU持続動注併用群では90 (49~181) である。5年時点での非再発および実測生存率は照射単独群でそれぞれ11%と20%であり, 5-FU持続動注併用群では42%および57%である。治療法別で最も好成績なのは放射線50Gy/25f/35d (TDF82) 照射と5-FU持続動注2.5gr/10f/35d併用群である。この方法が高い制御率と眼球・上顎を高率に温存できると結論される。
  • 池田 恢, 井上 俊彦, 藤田 昌宏, 手島 昭樹, 村山 重行, 小塚 隆弘, 渕端 孟, 久保 和子, 清水谷 公成
    1992 年 18 巻 2 号 p. 33-37
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1980年から1988年までの間に大阪大学医学部放射線科で治療された口腔底癌103例 (I期16, II期33, III期40, IV期14例) について, その治療成績と下顎保存の状態を検索した。全例の5年生存率はI期94%, II期70%, III期49%, IV期43%と殊に進行期のもので以前にくらべ著明な向上をみた。I期例中13例には198Auグレイン挿入が施行されたが, その全例に局所制御が得られ, 下顎が保存された。II期のうちでは24例に外照射30Gy/3週+BLM 90mg/3週 (まだはPEP 60mg/3週) の治療後, その反応により, そのまま経過観察. または手術, あるいは放射線治療のいずれかが行なわれた。このうちでは12例が外照射+化療後CRに達し, うち10例が2年以上に亘って局所制御され (10/12), 下顎は保存 (10/12) されている。PR以下の症例には手術または放射線治療が追加されたが, 手術の場合には局所制御が3/4に得られたものの, 下顎の保存は0/4と良好でなく, 組織内照射例の局所制御率5/8, 下顎保存率5/8に比べてQOLの面では良いとは言えない。局所制御と下顎保存を考え合わせると, I期では198Auグレインの適用が, II期では外照射30Gy/3週+BLM 90mg/3週 (またはPEP 60mg/3週) のあとの適切な治療選択が最も適切な治療手段と考えられた。重複癌発生は103例中16例 (15.5%) にみられ, 観察が延びるに従い, さらに増加が懸念された。
  • 宮城 司道, 中島 格, 野村 和, 曽田 豊二
    1992 年 18 巻 2 号 p. 38-42
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1989年5月から1991年4月までの3年間に, 九州がんセンター頭頸科にて治療を施行した頭頸部悪性腫瘍86例の核DNA異型性の有無について検討した。試料は, 手術時および生検時に採取し, -80℃凍結保存もしくは生標本を用い核DNA量を測定し解析を行った。T分類との関係では進行癌でDNA aneuploidy を示す割合が高い傾向を認めた。リンパ節転移の有無と核異型性の出現率の間に正の相関が認められた。核異型性と予後とは負の相関が認められた。病理組織学的分化度と核異型性とは明かな正の相関は認めなかったが, 分化度が低い癌組織ほどDNA aneuploidy の有する細胞を示した。核異型性の検索と同時に制癌剤感受性についても検討し, 考察した。
  • 丹生 健一, 中川 健, 高橋 久昭, 中溝 宗永, 苦瓜 知彦, 島田 士郎, 松井 義郎, 保喜 克文, 八木 克憲, 竹内 和郎, 内 ...
    1992 年 18 巻 2 号 p. 43-47
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌肺転移37例に対して手術を行った。全体の5年生存率は28%であり, 扁平上皮癌32例に限ると32%であった。原発巣治療終了より肺転移発見までの期間および肺転移の個数は予後を左右する因子とは考えられなかったが, 二葉以上に及ぶ肺切除が必要な症例の予後は非常に悪かった。以上より1) 原発巣がコントロールされていること, 2) 肺以外に遠隔転移が存在しないこと, 3) 患者が手術に耐え得ること, 4) 肺転移が一葉に限局されていること, 以上の4つの条件が満たされれば肺転移に対する手術適応と考えられた。
  • 河合 敏, 大石 公直, 持松 いづみ, 佃 守, 澤木 修二, 久保田 彰
    1992 年 18 巻 2 号 p. 48-53
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    癌の患者の治療にあたって, 近年 Quality of Life (QOL) が重んじられている。過去5年間に, 喉頭癌で喉摘を行った28症例のQOLをアンケート法により検討した。
    全身状態はおおむね良好であった。
    多くは手術前と同じ職業を継続していた。
    会話は食道発声によるものが多かった。
    6割の人が意思の疎通に不自由さを感じていた。
    過半数に嗅覚の喪失を認めたが, 味覚への影響は軽微であった。風邪の易感染性や, 排便の障害はほとんど無かった。
    以上より, 意思の疎通に難があるものの, 喉摘者のQOLは全般的には意外に障害されていないと思われた。
  • 高須 毅, 古田 康, 折舘 伸彦, 犬山 征夫, 相沢 寛志, 長嶋 和郎, 鶴尾 隆
    1992 年 18 巻 2 号 p. 54-57
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域の悪性腫瘍25例について, 抗癌剤の多剤耐性に関与する膜タンパク質であるP-糖タンパクの発現を免疫組織化学的に検索した。その結果, 悪性線維性組織球腫の1症例では, 化学療法施行後にP-糖タンパクの発現がみられた。また, 腺様嚢胞癌では5例中4例で, 化学療法施行前でもP-糖タンパクの発現がみられ, 本腫瘍の自然多剤耐性に関与している可能性があるものと思われた。以上のことより, 頭頸部領域の悪性腫瘍についてもP-糖タンパクの発現が認められる症例があり, 化学療法に対する感受性との相関が示唆された。
  • 與田 順一, 斉藤 匡人, 寒川 高男, 川口 隆明, 田村 真司, 國本 優, 田端 敏秀
    1992 年 18 巻 2 号 p. 58-64
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌患者35症例の転移のない所属リンパ節リンパ球 (LN(-)-L) および末梢血単核球 (PBMC) を, recombinant interleukin-2 (rIL-2) とともに培養し, それぞれ, LN(-)-LAK, PBMC-LAKとした。LN(-)-LAKの4時間51Cr release assay による細胞障害活性は, 562に対してはPBMC-LAKと同等で, Daudi に対してはPBMC-LAKよりも高かった。自己腫瘍細胞に対しては, 形態学的に follicular lymphoid hyperplasia を示したリンパ節からのLN(-)-LAKはPBMC-LAKに比べて高い細胞障害活性を示した。自己腫瘍細胞に対するLN(-)-LAKの effector 細胞はCD8+細胞 (特にCD8+ CD11b-細胞) とCD56+細胞と考えられた。
  • 斉藤 匡人, 寒川 高男, 川口 隆明, 與田 順一, 田村 真二, 田端 敏秀
    1992 年 18 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌に対しCDDPの動注と, それに引き続く recombinant Interleukin-2 (rIL-2) の局所投与による局所免疫化学療法の臨床効果ならびに免疫学的効果を検討した。口腔癌, 中咽頭癌, 上顎癌12例中, 5例にCR, 4例にPRが得られ有効率は75%であった。有効例では治療後, 腫瘍組織に著明なリンパ球浸潤が見られた。末梢血リンパ球サブセットではCD4+CD45R-細胞, CD25+細胞の増加が見られた。CDDPとrIL-2併用による局所免疫化学療法は頭頸部癌集学的治療において有効な治療法に成り得ると考えられた。
  • 山本 悦秀, 岡部 孝一, 能崎 晋一, 鹿渡 靖子, 熊谷 茂宏, 中川 清昌
    1992 年 18 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌の腫瘍宿主境界線における腫瘍の浸潤様式分類 (山本, 小浜: 1982) は各症例毎の化学療法効果や術後生存率と強く相関し, 浸潤傾向の強い症例ほど抗癌剤感受性が低く, 予後不良であることを経験してきた。この結果に基づき, 我々は1988年より浸潤様式に応じた以下の2つのレジメンによる導入化学療法を試行している。即ち浸潤傾向の弱い1, 2型 (M-1, 2) にはレジメンI (R-1) としてOK432+BLMの温和な化学療法を, 一方, 浸潤傾向の強い3, 4Cおよび4D型 (M-3, 4C, 4D) にはレジメンII (R-II) としてCDDP+PEPの比較的強力な化学療法を採用し, 1次症例21例に使用した。結果: 各々のレジメンの奏効率はR-Iで5/10 (50%), R-IIで7/11 (63, 6%) と大差がなかったが, CR 5例のうち, 4例は浸潤傾向の弱いM-1, 2症例に対して温和な化学療法R-Iを施行した症例に集中していた。これらの結果より各症例毎の制癌剤感受性が治療前にかなり予知され, 適切なレジメンを選択し得ることが示唆された。
  • 津田 豪太, 斎藤 等, 大坪 俊雄, 真鍋 恭弘
    1992 年 18 巻 2 号 p. 75-78
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1979年 Ariyan によって発表された大胸筋皮弁の生着率を向上させる目的で, 過去の大胸筋皮弁症例35例について採取部位・再建サイズなどの観点で生着率を検討した。また, 屍体5例10側の前胸部局所解剖を行い栄養軸血管である胸肩峰動脈の走行を検討した。その結果, 原法よりも乳頭を中心とした皮弁採取が望ましいことが分かった。さらに, 臨床応用として, 採取皮弁の下端に半円状の横切開を加え, 血管走行を追う手技を考案した。
  • 熊谷 茂宏, 今井 一志, 児島 伸也, 中川 清昌, 山本 悦秀, 河原 栄, 中西 功夫
    1992 年 18 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌20例を対象として化学療法後の desmoplastic response の意義について検討を行った。20例中17例 (85.0%) に desmoplastic response が認められたが, 癌実質の破壊の程度と desmoplastic response の程度との間には明らかな相関関係は認められなかった。また, 癌実質の傷害は軽度であっても癌実質全体が desmoplastic response によって取り囲まれていた症例も認められ, desmoplastic response は実質の崩壊による組織修復としてだけ生ずるのではなく, 宿主側の防御機転として癌の浸潤を防ぐ役割を果たしている可能性が示唆された。したがって, 化学療法後の desmoplastic response の機序について今後さらに検討する必要があると考えられた。
  • 安田 範夫, 福島 龍之, 中井 茂, 久 育男, 村上 泰
    1992 年 18 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    声門上癌37例についてDNA定量しDNA ploidy を判定し, DNA ploidy とT分類との関係を比較した。さらにこのうち放射線単独根治照射により治療したT1及びT2症例16例については, DNA ploidy と根治照射後の局所制御との間の関連についても検討した。核DNA定量はホルマリン固定パラフィン包埋ブロックから細胞単離しDAPI染色による顕微螢光測光法で行なった。その結果 diploid は9例 (24%) aneuploid は28例 (76%) であったが, 臨床病期が進行するにつれて aneuploid の比率が増加する傾向にあった。また放射線治療による局所制御をみると diploid より aneuploid のほうが再発するものが多く, aneuploid ではより積極的な治療が必要と考えられた。
  • 長谷川 泰久, 佐藤 和則, 松浦 秀博, 荒井 保明, 近藤 隆, 大口 春男, 村松 泰徳
    1992 年 18 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頸動脈小体腫瘍の手術の困難さは腫瘍がきわめて豊富な腫瘍血管を有し, 頸動脈と強く固着していることによる。術前の超選択的腫瘍血管塞栓術と顕微鏡下手術により安全に摘出し得た両側頸動脈小体腫瘍の1例を経験したので報告する。症例は39歳の男性で, 主訴は4年前からの頸部腫瘤であり, 既往歴および家族歴に特記すべき所見を認めない。DSA, CTにて両側頸動脈小体腫瘍 (右4×3cm, 左4×2cm) と診断された。手術はまず右側を, さらに1カ月後に左側腫瘍を摘出した。術前処置および手術は左右とも次のような方針で行われた。(1) 頸動脈の一時的遮断や合併切除に備えて, balloon catheter による内頸動脈血流遮断下での back pressure の測定と神経症状の有無の確認, (2) 腫瘍の縮小と術中出血量の減少を目的とした腫瘍血管塞栓術, (3) 万一に備えての血行再建の準備, (4) 脳保護のための低体温麻酔の併用, (5) 腫瘍圧迫による血管壁の脆弱性を考慮して顕微鏡下 capsular-adventitial plane での腫瘍と頸動脈の剥離。内頸動脈は両側とも保存され, 術中出血量は右550ml, 左170mlであった。術後に軽度の右舌下神経麻痺を認めたが, 他の神経障害や合併症はなく退院した。両側頸動脈小体腫瘍の手術を行う上で, 重要な点は頸動脈の保存である。術前の腫瘍血管塞栓術と顕微鏡下の capsular-adventitial plane での剥離はこの点で有用な手技であると考える。
  • 山本 英一, 折田 洋造
    1992 年 18 巻 2 号 p. 94-99
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    15年間に, 著者らは, 頭頸部に発生した鼻・副鼻腔癌以外の癌22症例に対して動脈注入療法を施行し, 以下のような結果を得た。
    (1) 症例は11例の口腔癌や8例の中咽頭癌で, 男性優位, 動注年齢は38歳から82歳であった。
    (2) 22例中13例はシスプラチンを組み入れた治療を行い, 12例はネオアジュバント・ケモセラピィを用いた。
    (3) 60カ月の時点でのカプラン・マイヤー法による累積生存率は口腔癌55%, 中咽頭癌86%であった。
    (4) また同期間のシスプラチンを使用した場合と他の薬剤の場合では, それぞれ85%, 26%であった。
    (5) ネオアジュバント・ケモセラピィを用いた12例は56カ月の時点で92%の累積生存率を示した。
    (6) この結果, シスプラチンを組み入れたネオアジュバント・ケモセラピィが頭頸部癌に選択すべき治療法であることが示唆された。
  • 田中 裕之, 窪田 哲昭, 井藤 博之, 大谷 尚志, 西村 達也, 伊藤 國彦
    1992 年 18 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌15例について, 落射型顕微螢光測光法で核DNAを測定した。試料は, パラフィン包埋材料より作成し, DAPI染色を行った。前回まで行った, 濾胞腺腫, 乳頭状腺癌とも比較検討を行った。血管浸潤や被膜浸潤の有無と Prorifalative index (PI) 値は, 特に相関関係はみられなかった。術前の Fine needle aspiration (FNA) の Class と核の不整は, PI値と相関があった。また, リンパ節転移は, areuploid な傾向が見られた。濾胞癌のPI値は, 14.2±7.9, 腺腫は, 5.0±3.3で, 乳頭癌は16.0±6.4であった。濾胞癌の値が, 低い様であるが Follicular ca. with minimal invasion の症例を4例含んでいるためと思われた。
  • 佐伯 哲郎, 吉田 知之, 青山 由美子, 奥平 唯雄, 岡田 卓也, 舩坂 宗太郎
    1992 年 18 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    THP動注と放射線療法の同時併用により頭頸部腫瘍の治療をおこない, 同時に腫瘍の組織内濃度を測定して治療効果にあたえる影響を検討した。対象症例は舌癌, 口腔底癌, 上顎洞癌, 中咽頭癌, 上咽頭癌, 外耳道癌であった。放射線治療10Gyまでは組織内濃度は上昇しつづけ, それ以後は減少した。しかしその値は3ng/mg以上の高値を示した。
    動注単独症例や静注照射併用症例では組織内濃度は低値を示した。
    放射線治療を併用することによりTHPの組織内濃度を一時的に上昇させることができたが, これはTHP動注と放射線同時併用療法の有用性をしめすものである。
  • 猪川 勉, 鮫島 靖浩, 近松 一朗, 松岡 浩明, 村上 公輝, 山崎 滋, 谷 栄一郎, 楊 栄寧, 石川 哮
    1992 年 18 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    翼口蓋窩ならびに副咽頭腔に再発した頭頸部癌2症例に対して, 外頸動脈を結紮した上で, 浅側頭動脈より動注 chemoimmuno therapy を施行し著明な腫瘍の縮小を観察した。2症例はいずれも従来の動注化学療法ではあまり効果の期待できない部位に再発をきたしたが, 外頸動脈を結紮することにより, DSAにて外頸動脈領域がすべて造影され, tumor stain を確認できた。これにより腫瘍局所へ高濃度の薬剤やキラー細胞を移入することが可能となり, 養子免疫療法と化学療法の併用による抗腫瘍効果増強をもたらしたものと考えられる。
  • 和田 哲郎, 柴崎 修, 西川 典秀, 原 晃, 草刈 潤, 福田 廣志
    1992 年 18 巻 2 号 p. 116-119
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域の悪性腫瘍では手術に際して頸部郭清が必要となることが多い。転移性リンパ節が頸動脈などの重要構造物と癒着している場合, 特に頸静脈窩直下の上深頸リンパ節領域においては解剖学的に下顎骨・側頭骨乳様突起に外側を覆われる為手術操作上困難を極めることも少なくない。この領域に対してよりよい手術視野を得るために術前に咬合床を作成, 一時的下顎前方位顎間固定を試みた。この方法は, 簡便であること, 顎関節に無理な負担がかからないこと, 良好な視野が得られることから, 応用の範囲が広いと考えられた。
  • 森 良之, 高橋 雄三, 湊 秀次, 藤林 孝司, 榎本 昭二
    1992 年 18 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌患者末梢血リンパ球から, 抗CD3抗体およびIL-2でLAK細胞を誘導し, その性状および標的細胞認識に関与する細胞表面分子をモノクロナール抗体を用いて検索した。その結果, 培養19日目のLAK細胞はTCRα/βのT細胞 (CD3+) とNK細胞 (CD3-NKH-1+) が主体で, 残りはTCRγ/δ T細胞より構成されていた。また, LAK細胞は自己および同種の培養腫瘍細胞に対し障害活性を示し, その活性は抗CD3抗体によって抑制されたが, K562に対する細胞障害活性は抑制されなかった。このことより, LAK細胞の標的細胞認識はMHC非拘束性であり, TCR/CD3複合体を介しているものと, NK様のTCR/CD3複合体を介さない二つの異なった機序が関与しているものと考えられた。
  • 野田 一郎, 藤枝 重治, 斎藤 等, 星野 孝, 八木田 正人
    1992 年 18 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヒトNK/LAK細胞における, 酸化処理による抗腫瘍活性増強につき検討した。 PBLを過ヨウ素酸ナトリウム (PI) で酸化処理するとNK活性は増強し, また酸化前処理したLAK細胞では同様に細胞障害活性は著明に増強した。
    この細胞障害活性増強の機構として標的細胞との結合の上昇のみならず結合後のエフェクター細胞の活性化によることが示唆された。
    高い活性をもつキラー細胞の誘導とその腫瘍破壊機構を解析することは, 低い活性しかもちえない頭頸部癌患者の免疫療法をより効果的にするために重要であると思われる。今回のわれわれの検討によって, PIによる酸化がこの目的にかなうものであり頭頸部癌患者の免疫療法が改善されうることが示唆された。
  • 喜多 淳, 熊澤 博文, 山崎 典子, 堀 芳郎, 和田 安弘, 立川 拓也, 崔 信一, 山下 敏夫, 熊沢 忠躬, 河本 圭司
    1992 年 18 巻 2 号 p. 130-133
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍細胞株 (HEp-2) に対するTNFとIFN-γの抗腫瘍効果を in vitro で検討し, さらにフローサイトメトリー (FCM) を用い, HEp-2細胞の細胞動態に及ぼす影響を検討した。
    HEp-2細胞にINF-γ, TNFを各単独及び併用し, 一定時間培養後の細胞増殖曲線を求めた。その結果, IFN-γとTNFの抗腫瘍効果の増強が二剤併用により示唆された。細胞周期の解析で, 両者とも低濃度単独投与では, 軽度S期増加を認め, 濃度上昇に伴い, IFN-γ単独投与では late S期増加を, TNF単独投与ではG2M期増加の傾向を認めた。
    両者併用群では著明なS期増加を観察し, S期ブロックの発現が示唆された。
  • 宗像 裕司, 茅田 義明, 川原 正照, 有森 良壮, 阪本 知二, 高田 和彰
    1992 年 18 巻 2 号 p. 134-138
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれが考案したコハク酸脱水素酵素比活性 (SD比活性) 測定による Subrenal capsule assay (SRCA) の判定法の精度を検討するために, ヌードマウス可移植性頭頸部領域ヒト扁平上皮癌株を用いて, ヌードマウス皮下移植法とSRCAを比較したところ, SD比活性測定による判定法はヌードマウス皮下移植法との相関が腫瘍径計測による判定法より高かった。さらに, 頭頸部領域悪性腫瘍30例を用いて, SRCAを行ったところ, SD比活性測定による判定法は, 高い評価可能率を示し, 腫瘍径計測による判定法に比べて感受性陽性率が上昇し, 臨床において報告されている感受性陽性率に近い値を示した。
  • 田中 信之, 野田 一郎, 藤枝 重治, 津田 豪太, 斎藤 等
    1992 年 18 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部悪性腫瘍に対して, 細胞内ATP量を指標とした抗癌剤感受性試験ATP法を行った。原発臓器または転移リンパ節より外科的に採取した頭頸部悪性腫瘍症例9検体, HTC/C3細胞株, 甲状腺良性腫瘍およびKB細胞株にて検討した。評価可能率は88.9% (8/9) であり, 薬剤別感受性陽性率は, CDDP 55.6% (5/9), CBDCA 33.3% (1/3), 5-FU 25.0% (2/8), PEP 55.6% (5/9), ADM 50.0% (3/6), MMC 66.6% (2/3), ACR 100.0% (4/4), Act-D 50.0% (2/4) であった。臨床応用を行えたものは手術後再発例2例で, 臨床相関は true positive rate 100% (1/1), true negative rate 100% (1/1) であった。全体の症例数も少なく今後の集積が必要である。
  • 中澤 勉, 久松 建一, 岸保 鉄也, 上條 篤, 村上 嘉彦
    1992 年 18 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    制癌剤感受性試験は多数あり, 臨床上癌細胞に対しどの制癌剤が有効であるかの選択は難しく, 患者個人においても癌の種類においても制癌剤の効果は異なる。また, 今までの方法では時間もかかり煩雑であるなどいろいろの問題があった。そこで我々は, 制癌剤感受性試験において簡単・迅速・確実であるクリスタルバイオレット法を取入れ試行し, その有用性について検討してみた。
    クリスタルバイオレット法と3H-thimidine 法との相関において0.778と強い正の相関を見た。今後このクリスタルバイオレット法を使用した臨床経験を重ね検討するつもりである。
  • 古川 滋, 小勝 敏幸, 佐藤 博久, 持松 いづみ, 佃 守, 澤木 修二, 矢野間 俊介
    1992 年 18 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Flow cytometry を用いた BrdU/DNA 同時測定法により, CDDP, 5-FU併用における処理順が中咽頭癌由来の低分化型扁平上皮癌培養株の cell cycle に及ぼす影響を検討した。5-FUで24時間処理した後はG1/G0に細胞が蓄積しており, 続いてCDDPで24時間処理後もこの蓄積はさらに進んでいた。CDDPが主にG1期に対して殺細胞的に働くことを考慮すれば, 5-FUによってG1 block を起こしたあとにCDDPを作用させるという順序は合理的であると考えられた。
  • 丸田 力, 村上 昌雄, 宮本 信一, 黒田 康正, 北村 博之, 松尾 導昌
    1992 年 18 巻 2 号 p. 153-160
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭蓋底浸潤・頭蓋内進展を伴う頭頸部腫瘍23例に対し, MRIを中心とする各種画像法による評価を行なった。頭蓋内への進展様式を(1)骨破壊性進展16例と(2)経頭蓋底孔性進展7例の2種に大別した。両者ともMRIが最も有用で, 腫瘍の進展範囲, 神経・血管との関係を見る上で必須であった。一方, CT (特に high resolution CT 以下HR-CT) は微細な骨破壊診断に優れていた。ただし, どの modality を用いても診断困難な早期の perineural extension も存在し, 今後の課題と思われた。脳神経症状は23例中18例に認められたが, 全例MRIで障害部位を推測できた。今後この領域の画像診断はMRIを第1選択とし, 骨破壊の情報を得たい時単純CT (HR-CT) を追加すべきと考えた。
  • 高畑 喜延, 佃 守, 古川 政樹, 山下 耕太郎, 金子 まどか, 持松 いづみ, 澤木 修二
    1992 年 18 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    咽頭癌の頸部リンパ節転移107例のうち, 超音波断層法で検索できたリンパ節201個について種々の検討を加え, つぎの結論を得た。
    1. 転移の好発部位は何れの癌も, 上内深頸リンパ節, 中内深頸リンパ節で, 上・中咽頭癌はこのほか副神経リンパ節にも多くみられた。
    2. 大きさは上咽頭癌は112~2499mm3, 中咽頭癌が112~2,499mm3のものが多く, 下咽癌は1,000~4,999mm3の大きさで, 前二者より大きい傾向を示した。
    3. 咽頭癌のリンパ節転移の病像を正しく把握するには超音波断層法による画像診断が有用である。その場合, 転移部位, 大きさを判断する必要がある。
  • 岸本 誠司, 岩井 満, 吉岡 伸高, 斎藤 春雄, 前田 知穂, 上池 修, 沢田 章宏, 甲藤 洋一
    1992 年 18 巻 2 号 p. 166-177
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭蓋底腫瘍症例の画像検査による術後経過観察について代表例4例を呈示した。
    腫瘍の残存, 再発, 術後合併症の有無を把握するためにはGd造影MRIが最も有用であると考えられる。しかし, 術後の頭蓋底には様々な形態的, 質的変化が生じることから, その診断は困難なことが多く, 定期的な検査により経時的変化も捉えていく必要がある。
  • 佐々木 文雄, 木戸 長一郎, 不破 信和, 加藤 恵利子, 森田 皓三
    1992 年 18 巻 2 号 p. 178-187
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    65例の頭頸部腫瘍のMRとCT像の画像評価の比較検討がなされた。MR像は5症例を除けば, CT像を凌ぐか同等の評価が得られた。特にMR像はコントラスト分解能に優れるため, 造影剤を使用することなしにCT像で検出が困難な腫瘍の同定に有用であった。またMR像は任意断面の撮影が可能であることから頭蓋底浸潤などの上下方向への進展を容易にし得る。骨髄脂肪の描画容易なことからCT像で描画し得ない骨髄浸潤の診断が容易である。また義歯からのアーチファクトが少ないなどの利点も挙げられる。
    しかし, 逆にMR像はCT像に比較して撮像時間が長いこと, このため嚥下や呼吸運動によるアーチファクトによる画像の劣化がみられる。またMR像はCT像に比較して微細石灰化巣の検出に劣るなどの欠点もある。以上の欠点を考慮してもMR像は, その優れたコントラスト分解能を有すことなどからあらゆる頭頸部疾患の検査手段となりうる。
  • 1992 年 18 巻 2 号 p. e1
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top