頭頸部腫瘍
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20 巻 , 3 号
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  • Takao OHNUMA
    1994 年 20 巻 3 号 p. 399-405
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 小林 博
    1994 年 20 巻 3 号 p. 406-409
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 川端 一嘉, 鎌田 信悦, 高橋 久昭, 中溝 宗永, 苦瓜 知彦, 保喜 克文, 八木 克憲, 高砂 江佐央, 永橋 立望
    1994 年 20 巻 3 号 p. 410-415
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1978年から1993年までに経験した上縦隔手術症例は143例あった。上縦隔手術の適応は, 原発腫瘍の縦隔進展, 上縦隔リンパ節転移, 術後の気管壊死, 気管孔再発, 食道瘻孔である。郭清の下方限界は気管分岐部の高さであり, 胸膜や血管への浸潤例についても症例によっては切除の対象とされた。気管の切除限界は適切な再建方法を選択すれば, 全気管の切除も可能である。手術手技上最も問題になるのは, 縦隔気管孔をいかに安全に形成するかということである。これには, 気管と皮膚の縫合部に緊張をかけないこと, 残存気管の血流が保たれていること, 必要に応じて腕頭動脈をはじめとする大血管を各種筋 (皮) 弁で被覆することが大切である。特に残存気管が短い例では, 遊離前腕皮弁の使用も有用である。疾患と郭清範囲による5年生存率は, 現状では満足できるものではないが治療可能範囲の拡大は今後大きな意義をもつと考えられる。
  • 真島 一彦, 海老原 敏, 吉積 隆, 浅井 昌大, 林 隆一, 岡田 卓也, 静 隆雄, 斎川 雅久, 羽田 達正, 平野 浩一
    1994 年 20 巻 3 号 p. 416-421
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1962年から1993年までの31年間に国立がんセンター中央病院において頸胸鏡界部領域病変に対して行われた上縦隔手術は下咽頭・頸部食道癌30例, 甲状腺腫18例, 喉頭全摘術後気管周囲再発4例, 副甲状腺腫3例, 胸腺癌3例, 喉頭癌放射線治後再発2例, 気管癌2例, 腎癌の胸壁転移1例で合計63例であった。
    甲状腺癌以外の悪性症例の予後は悪かったが, 短期間であれ呼吸困難からの解放あるいは経口摂取が可能であったことは意義があると思われた。
  • 吉野 邦俊, 佐藤 武男, 藤井 隆, 稲上 憲一, 橋本 典子, 市野 直樹, 上村 裕和, 長原 昌萬, 馬谷 克則
    1994 年 20 巻 3 号 p. 422-427
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上縦隔へのリンパ節転移は喉頭癌では低率 (喉頭全摘例の5.1%) であったが, 下咽頭癌の頸部食道進展例, 頸部食道癌では非常に高率 (各々42.9%, 75.0%) であった。下咽頭癌では頸部食道への進展の有無が, 上縦隔郭清決定の一つの指標となり得ると思われた。当科での上縦隔郭清のアプローチ法は胸郭切除で行わない頸部からの方法を原則としており, 胸郭一部切除による方法は術前から明らかに上縦隔に転移リンパ節を認め切除が必要な場合か, 前縦隔気管孔を形成する必要がある場合に限っている。下咽頭癌の頸部食道進展例について, 胸郭切除を行わない頸部からの方法による郭清群と非郭清群での再発率は各々0%, 58.3%であり, この方法の妥当性が示唆された。胸郭切除による方法で前縦隔気管孔形成を行った9症例について, 気管孔形成における大血管 (とくに腕頭動脈) の保護, 気管の血流維持, 術前合併症の評価, 術後呼吸管理, 感染症などの問題点について述べた。また, 現状では生命予後には厳しい結果であった。
  • 永原 國彦, 塚本 哲也, 山本 一宏, 山崎 萬里子
    1994 年 20 巻 3 号 p. 428-433
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    縦隔郭清術を施行する際には, 頸部郭清術とのコンセプトの相違ならびに縦隔におけるリンパ流の特徴に注意すべきである。縦隔へのアプローチに際しては, 片側鎖骨切除を含む胸骨柄切除, あるいは第3肋間の高さでの逆T字切開により上縦隔に対する十分な視野が確保できる。縦隔リンパ節郭清のポイントは胸部上部傍食道 (No. 105最上), 胸部気管リンパ節 (No. 106) を必ず郭清することである。また, 術中迅速病理を多用して不要な郭清を避けること, 気管, 反回神経, 無名動脈周囲の愛護的郭清を徹底すること, 迷走神経や気管支動脈を保存することが大切である。要すれば反回神経や気管の再建も行い, 喉頭機能を温存しつつ治療成績の改善を期待することも可能である。しかしながら糖尿病や肝硬変を合併している場合には, 一歩下がって縮小手術を考慮する心構えが大切である。
  • 宮田 守, 森田 守, 喜多村 健, 五十嵐 丈人, 西野 宏, 安田 豊稔, 阿部 弘一
    1994 年 20 巻 3 号 p. 434-440
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1981年11月から1993年12月までの12年間に計22例の頭頸部癌縦隔内進展症例に対して胸骨切開による縦隔郭清を施行した。性別は男11例, 女11例であり, 年齢は42歳から82歳で平均年齢は60.5歳であった。原発部位別頻度は甲状腺が10例と最も多く, 次いで喉頭3例, 下咽頭2例, 頸部食道2例, 原発不明の頸部リンパ節転移2例, その他 (上咽頭, 耳下腺, 大腸各々1例) 3例であった。病理組織学的分類は, 甲状腺では乳頭癌4例, 腺扁平上皮癌3例, 濾胞癌1例, 髄様癌1例, 未分化巨細胞癌1例であった。上咽頭, 下咽頭, 頸部食道, 喉頭, 原発不明の10例は扁平上皮癌で, その他粘表皮癌 (耳下腺), 腺癌 (大腸) が各々1例であった。成績22例の原発巣を甲状腺とその他に分けて生存率を検討すると甲状腺は45%, その他は31% (Kaplan-Meier 法) であった。さらに甲状腺癌症例10例の生存率を分化癌と未分化・低分化癌に分けると, 分化癌が75%であるのに対して未分化・低分化癌症例は4例は12カ月以内に全て死亡している。現在22例中9例 (経過の不明な1例は除外した) が非担癌で生存しており, 観察期間は5カ月から89カ月で平均観察期間は46.8カ月であった。また原発巣別の生存例の観察期間は, 甲状腺5例では19カ月から89カ月 (平均50.6カ月) で, その他の部位4例は5カ月から87カ月 (平均42カ月) であった。死亡例12例 (不明例1例を除く) において治療終了から死亡までの期間は, 13日から41カ月で, 平均11.2カ月であった。合併症は縦隔炎による腕頭動脈破裂2例, 気管壊死による腕頭動脈破裂1例, 気管壊死1例, 肺炎2例計6例 (27%) に発生し, このうち4例 (18%) は合併症が原因で死亡している。死因については遠隔転移が5例に最も多く次いで術後合併症4例, 縦隔リンパ節再発2例, 脳出血1例であった。
  • 浅井 昌大, 海老原 敏
    1994 年 20 巻 3 号 p. 441-445
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    反回神経まひの再建は, 静的再建としては, 声帯正中固定や声帯内注入など多数の術式が広く行われているものの, 動的再建は神経吻合・神経筋移植などに留まりしかも確実なものは少なく行われることは稀である。甲状腺癌・食道癌の手術に際して反回神経切断が必要となる場合も多いが, 術中の即時再建は容易かつ簡便に行え, 神経再建により喉頭可動性回復のみられる症例も経験されるためこのような場合は神経吻合を施行して損はない。端端吻合のみならず, 縦隔内など深部での切断では頸部での迷走神経との吻合も有用である。
  • 金子 剛, 中嶋 英雄, 藤野 豊美
    1994 年 20 巻 3 号 p. 446-452
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    従来より頭頸部再建に多用されてきた広背筋皮弁, 肩甲皮弁等は肩甲下動脈の分枝によって栄養される皮弁であるが, 別個の皮弁と考えずに, Coleman らが提唱するように, 肩甲下動脈系皮弁と一括してとらえると, 従来の皮弁の枠組を越えて, 症例に応じて欠損及び再建目的に適した組み合わせで複合皮弁としてを挙上することが可能となる。Angular branch は前鋸筋枝または胸背動脈から直接分枝し, 肩甲骨下角部の一辺6cmほどの三角形の肩甲骨を栄養する。上顎骨, 眼窩再建に適した素材であるが, 肩甲皮弁ではなく広背筋弁と組み合わせることで, より長い血管系を確保することができ, 有用性が増大する。さらに我々の開発した肋間動脈穿通枝を血管茎とする有茎肋骨弁を広背筋皮弁に付着させることで, 複数の有茎骨弁を一挙に移行する事が可能となった。これらの肋骨弁は広背筋の筋体から完全に分離しているので, 前述の肩甲骨下角と共に三次元的に自由な位置関係を取ることが可能となり, 骨性再建の自由度を飛躍的に増大することができる。肋骨下縁の肋間動静脈は肋骨とともに皮弁に含まれるため各肋骨は自由に骨切りすることが可能で上顎下顎の微妙な弯曲に形成可能である。症例によっては, 広背筋弁を分割して用い動的再建を追加することにより, より高機能を持った皮弁を作成し好結果を得ている。本皮弁は, 解剖の変異も少なく挙上が容易であり, 皮弁のドナーの犠牲が少ない, 血管吻合が容易なことなどの利点も合わせ持っている。現在までに, 上顎再建13例, 下顎再建9例に本皮弁を適用してきた。合併症としては, 皮弁の部分壊死が上顎で1例, 局所感染または瘻孔形成が上下顎1例ずつ認められた再手術を要した。開胸が肋骨弁症例13例中3例 (23%) に認められた。皮弁の全壊死は認めなかった。以上から頭頚部再建に極めて有用で安全な皮弁と考えられる。
  • 光嶋 勲, 山本 英一, 細田 超, 森口 隆彦, 折田 洋造, 福田 道夫
    1994 年 20 巻 3 号 p. 453-457
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    “キメラ型遊離合併型組織移植”とは, 独立した栄養血管茎を有する移植片を複数合併し, 各々の独立した栄養血管同志を吻合さすことにより, 移植床側の単一の動静脈源から豊富な血行を受けさせるものである。この概念を組織移植術に応用すれば, これまで再建不能であった広範で深部に及ぶ複雑な複数の組織欠損創が, 血行を有する骨, 筋, 腸管, 皮弁, 関節などを自由に寄せ集めることにより一期的に再建可能である。外側大腿回旋動脈系を軸血管系とするキメラ型合併組織移植は, 軸となる血管系が10cmと長く太く, 軸血管に複数の枝があり, 周辺の各組織が独立した栄養血管を有し, 同一部位から血管付き腸骨を含めた複数の組織を採取できる利点がある。また, 複数な三次元的な再建が容易に可能で, 術中の体位変換も不要である。また, 皮弁採取部が頭頸部から遠位にあるため, 癌切除と同時に移植片の挙上が可能で, 長時間を要する再発または進行した頭頚部癌の治療には最適である。さらに, 神経血管付大腿直筋などを合併移植すれば, 顔面表情筋の動的再建もでき, 今後下顎部の広範で深部に及ぶ欠損創の再建に有用性を増すものと考えられる。
  • 田原 真也, 高木 正, 牧野 邦彦, 天津 睦郎
    1994 年 20 巻 3 号 p. 458-462
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    遊離肩甲骨皮弁移植による下顎再建と移植骨への人工歯根埋設による歯牙再建について報告した。骨皮弁は肩甲下動脈を血管茎とし, 骨弁は骨枝と角枝からなる二重血管茎とした。このため下顎前方の弯曲を再現する際の骨切りを安全に行うことができた。血管茎付き肩甲骨の移植は骨への血流が豊富なため骨癒合が良好で, 移植骨の固定も薄いミニプレートのみで充分であった。形態と強度の両面で正常下顎骨に近い再建が可能であるため, 術後再建下顎骨内に人工歯根を埋設して歯牙再建までが可能であった。移植骨へのインプラント埋設は正常下顎骨への埋設と同様に外来処置で可能であった。歯牙再建後5年以上を経過して通常の咀嚼が可能な4症例を経験している。本法による下顎再建は術後変形の予防という整容面のみならず, 摂食・咀嚼という機能面でも良好な結果が得られた。
  • 岡部 貞夫, 野崎 幹弘
    1994 年 20 巻 3 号 p. 463-469
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨切除後の下顎骨の再建においては, 歯槽再建が必須である. 多孔質ヒドロキシアパタイトブロックは自由に, 独特な下顎骨の形態の付与が可能である。その材料の脆さは金属プレートとの併用により克服できる。また遊離皮弁のうち前腕皮弁は現在では最も薄い大型皮弁であり, 口腔粘膜の大欠損に十分対応できる。われわれはこの両者を用いた下顎歯槽再建法を1985年以来39例に行ってきた。今後さらに改良すべき点もあるが, 顎義歯でない通常の歯科補綴物が装着可能となってきている。今回は最近の症例を提示してわれわれの歯槽再建法について述べた。
  • 大野 康亮, 中村 好宏, 代田 達夫, 松浦 光洋, 山崎 善純, 清水 敏之, 森紀 美江, 道 健一
    1994 年 20 巻 3 号 p. 470-475
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    腸骨の Particulate cancellous bone and marrow (PCBM) は生存する細胞成分が豊富で骨新生が早いこと, 下顎骨再建の際の加工性が高いことなどの長所を有している。このため当科ではPCBMを応用した腸骨の再構成法による下顎再建法を行っている。最近では, さらに下顎再建例に人工歯根を応用し, インプラント義歯による口腔機能の回復を図っている。人工歯根を併用した腸骨再構成法による下顎再建法は有用な方法と思われるので, 当科の経験を基礎的検討とともに報告した。
  • 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 寺坂 則夫
    1994 年 20 巻 3 号 p. 476-480
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌の頭蓋内浸潤例に対する手術適応は議論の多いところである。なかでも海綿静脈洞浸潤例は予後が不良であるのみならず, 手術の安全性にも問題があるという理由で手術適応にはならないという意見が支配的であった。我々は海綿静脈洞浸潤を伴う8例の頭頸部原発巣悪性腫瘍に対し, 根治手術を試みた。その結果, 1例の骨肉腫と3例の腺様嚢胞癌が21か月から8年, 再発なく社会復帰している。これに対し, 扁平上皮癌の3例は術後, 内頸動脈の閉塞のため2人が術後に死亡し, 1例が半身麻痺に陥っている。手術の安全性にはなお問題が残されているものの, 4例の生存例が出ている事実は, 海綿静脈洞浸潤が手術適応を否定する条件にはならないことを示している。
  • 行木 英生
    1994 年 20 巻 3 号 p. 481-486
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭蓋底とくに前頭蓋底および/あるいは中頭蓋底に浸潤した鼻副鼻腔癌に対しての, 頭蓋底と顔面組織を一塊として切除する術式 (とくに前中頭蓋底一塊切除術式) の適応と限界について述べた. 一塊切除が可能か否かを規定する条件としては, 1. 癌の頭蓋底への進展範囲2. 癌の組織型3. 術野の展開の程度4. 手術手技上の限界点5. 患者の背景因子 (年齢, 糖尿病, 高血圧, 動脈硬化など) 6. 腫瘍の切除度と予後およびQOL, などが挙げられる。視力というQOLを考慮した上での前・中頭蓋底合併切除の最大切除範囲は, 一塊切除という条件を付けると, 患側中頭蓋底の卵円孔を通り, 蝶形骨体部の一部から前頭蓋底の蝶形骨平面を抜けて, 健側篩骨洞天蓋の外側縁に至る骨切り線に囲まれた範囲になる。この前中頭蓋底の骨切り範囲には, 副鼻腔癌の後方への浸潤破壊が最も多く見られる翼状突起根部, 正円孔, および上眼窩裂が含まれているということが最も重要な点である。前頭蓋底切除術の適応と限界は前後方向では蝶形骨平面が切除の後方限界であるので, これより後方に癌が進展していた場合は前中頭蓋底一塊切除の適応となる。また, 左右方向の浸潤では両側の篩骨洞天蓋と眼窩内側壁を切除し得るが, 両側失明をきたす場合は術後のQOLの点で問題が残る。一方, 前中頭蓋底切除術の成績からみた適応と限界については卵円孔, 蝶形骨体, 斜台から後方および正中側に癌の強い浸潤を認める症例では, 多くの例が死亡していることから, この部位が手技的には一塊切除が可能でも, 扁平上皮癌でこれらの部位に浸潤している症例では, すでに広範囲の硬膜表面や深く硬膜内にも浸潤している症例が多くあることを示している。これらの切除限界を理解したうえで臨床症状と画像診断から症例を選べば, 頭蓋底手術の成績は向上することが期待できる。
  • 岸本 誠司
    1994 年 20 巻 3 号 p. 487-491
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    良性または低悪性の頭蓋底腫瘍に対する手術では機能と形態を温存したアプローチを選択する必要がある。しかし中頭蓋底下面の腫瘍は顔面最深部に位置するため, その様なアプローチは容易でない。この領域への数多くのアプローチの内, 前方からの Transfacial approach と側方からの Lateral approach につき, 手術手順に従った肉眼解剖を行い手術に有用な知見を得た。すなわち前者の顔面前方からのアプローチの場合眼裂中央から6cmの深さに卵円孔がありその延長線上2cmの所に頸動脈管外口があること, 耳管開口部上縁と関節結節下縁を結んだ直線上に卵円孔があること, 後者では茎状突起鞘の完全な切除が側頭下窩の十分な展開を可能にすることなどである。
  • 西川 邦男
    1994 年 20 巻 3 号 p. 492-499
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭蓋底, 眼窩, 側頭窩, 翼口蓋窩等に浸潤した鼻・副鼻腔癌に, 頭蓋内外からの合併到達法を用いた頭蓋底手術による一塊切除を施行した。視診上, 十分な安全域をつけて一塊切除したと思われる症例でも, 病理組織診断で切除断端に腫瘍を認めることがある。それ故, 硬組織大切片標本で腫瘍の浸潤様式や進展方向について病理組織学的に検討を加えることが必要である。頭蓋底手術15症例のうち作製可能であった9症例の硬組織大切標本を用いて, 一塊切除における病理組織学的な検討を行い, 若干の知見を得たので報告する。
  • 金子 省三, 加藤 孝邦, 島田 士郎, 森山 寛, 坂井 春男, 新橋 武
    1994 年 20 巻 3 号 p. 500-505
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    前頭開頭して前頭蓋底へと到達する Transbasal approach にて手術が行なわれた15症例から, 本アプローチ法の有用性について検討した。15症例のなかで11例は前頭蓋底へ浸潤した鼻副鼻腔の悪性腫瘍であり, また11例は Transbasal approach に加え, 顔面切開と上顎骨の切除するいわゆる Transfacial approach を併用した。前頭蓋底の再建には全例に前頭筋骨膜弁と4例には側頭筋膜骨膜弁を併用し, また13例に頭蓋底へ遊離骨移植を, 4例に硬膜再建を行なった。術後は髄膜炎やその他重篤な合併症はなく, 前頭筋骨膜弁の生着も良好で再建法については満足し得る成績であったが, Transfacial approach によって顔面骨を広く切除された症例においては, 術後の顔面形態の変貌や鼻内痂疲付着などの鼻腔機能の障害が多くみられた。一方病変部が前頭蓋底から鼻腔上半部に限局する症例においては, Transbasal approach のみによって切除は可能であり, また上顎洞粘膜, 骨梨状孔縁や下甲介などの鼻腔下部構造が保存されたため, 実際の術後機能と形態保持はきわめて良好であった。頭蓋内からみた鼻副鼻腔の臨床解剖がより一層理解されれば, Transbasal approach 法によって得られる鼻腔への視野展開はむしろ経口蓋法よりも広範囲であり, また前頭開頭に眼窩上の骨切り (Supraorbital Bar) を追加することにより更に視野は良好となる。そのため本法は前頭蓋底へ浸潤した鼻副鼻腔腫瘍の切除の際にはより安全確実で, かつ第一選択となり得るアプローチ法であると考えられた。
  • 森 一功, 平野 実, 佐藤 公則, 田井 良明, 清川 兼輔, 重森 稔, 徳富 孝志, 早渕 尚文
    1994 年 20 巻 3 号 p. 506-510
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    チーム・アプローチによる前頭蓋手術を紹介し, 症例を呈示した。本手術を行なった13例中5例で再発を認め, 3例は原病死したが, 2例は二次治療で根治した。8例では再発を認めず, 全部で10例が非担癌生存中である。3年生存率は全症例で69%, 悪性腫瘍11例では66%であった。
    チーム・アプローチの特徴として, 我々耳鼻咽喉科医が腫瘍の根治切除に専念できること, 手術が円滑にすすみ, 良好な結果が得られること, 最善の術後治療ができることが挙げられる。ただ, チーム・アプローチの総合的な結果は, チーム内の一番レベルの低い専門家のレベルに落ちつく, ということをよく認識しておく必要がある。
  • 犬山 征夫, 酒井 昇, 福田 諭, 行木 英生, 鎌田 信悦, 岸本 誠司, 西川 邦男, 金子 省三, 宮田 守, 藤井 正人
    1994 年 20 巻 3 号 p. 511-515
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    厚生省がん研究助成金による研究班の8施設から集積された93例の頭蓋底手術症例について統計的観察を行った。組織型は扁平上皮癌が49例で最も多く, 次いで嗅神経芽細胞腫11例, 腺様嚢胞癌10例の順である。原発部位では鼻副鼻腔が全体の89%を占めているのでこれを中心に述べた。手術の概要は開頭術では前頭開頭が49例で最も多く, 次いで前頭側頭開頭30例, 側頭下窩法7例の順である。再建材料については硬膜欠損の再建は大腿筋膜が24例で最も多く, 次いで pericranial flap 13例, galeopericranial flap 11例の順である。頭蓋底および顔面欠損に対する再建材料は遊離腹直筋皮弁が59例で圧倒的に多かった。治療成績では全症例の5年生存率は40%であり, 鼻副鼻腔扁平皮癌では45.4%, 同じく腺様嚢胞癌は59.3%であった。一方, 嗅神経芽細胞腫は4年生存率までであるが54.5%であり, 期待していた以上に良好な成績が得られた。合併症は36%に認められた。その内訳は局所感染が17例で最も多く, 次いで膿瘍形成12例, 髄液漏9例, 髄膜炎8例の順であった。手術死亡は7.5%に認められた。
  • 山本 有平, 吉田 哲憲, 皆川 英彦, 井川 浩晴, 川嶋 邦裕, 大浦 武彦, 野平 久仁彦, 犬山 征夫, 福田 諭, 渡辺 昭仁, ...
    1994 年 20 巻 3 号 p. 516-519
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1989年より1993年までに, 北海道大学形成外科, 耳鼻咽喉科, 脳神経外科および関連病院にて頭頸部腫瘍切除後頭蓋底即時再建14例を共同して行なった。脳脊髄液漏, 髄膜炎, 脳ヘルニアなどの術後合併症は, 全例において生じなかったが, 2例において硬膜外膿瘍が生じた。この14症例において, 術後硬膜外膿瘍の発生と術前放射線治療の有無, 頭蓋底骨欠損部の大きさ, 再建に用いた皮弁, 硬膜の修復に用いた材料, そして頭蓋底部への骨移植の有無との関係について, 統計学的に分析し, 検討を加えた。硬膜外膿瘍が発生した2例はいずれも, 術前に放射線治療を行なわれており, 放射線による創傷治癒の遅延を示唆した。硬膜再建に人凍結乾燥硬膜を用いた症例では, 全例感染などの合併症はみられず, 硬膜の修復に適した材料であると考えられた。頭蓋底部へ骨移植を行った症例において, 術後硬膜外膿瘍の発生が統計学上有意に多く見られた(p<0.05)。硬膜外膿瘍を生じた2例は, 移植骨を摘出しており, 現在, 平均術後観察期間1年8か月において, 14例中13例 (93%) が頭蓋底の硬性再建を行なわない状態で良好な経過をたどっている。これまでの経験より, 骨欠損部の大きさが最大6×5cm以下の症例では, 頭蓋底再建に骨移植は必要ないと考える。
  • 福田 諭, 中丸 裕爾, 栗原 秀雄, 佐藤 信清, 間口 四郎, 犬山 征夫, 細川 洋一郎, 鎌田 正, 白土 博樹, 有本 卓郎
    1994 年 20 巻 3 号 p. 520-524
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年頭頸部癌の治療においてQOLあるいは organ/function preservation (臓器/機能温存) が生存率の向上と共に重視される傾向にある。一方化学療法による放射線増感作用は従来より認められていたが, 近年白金製剤と放射線同時併用により良好な治療成績が報告されている。かかる背景をふまえつつ, 我々はCDDPの誘導体として開発された第2世代の白金製抗癌剤である Carboplatin (CBDCA) と放射線同時併用療法を1990年11月より開始し, 42ケ月を経過したのでその成績を報告した。治療方法は CBDCA 100mg/m2を週1回照射日に一致して点滴静注し, 照射は60CO 2.5Gy/fr週4回行い40Gyの時点で評価し, 手術か full dosis まで続行するかを決定した。1994年6月の時点で登録例138例, 評価可能症例107例 (34~82歳) で原発巣では喉頭41例, 口腔24例, 下咽頭18例, 中咽頭16例, 鼻副鼻腔8例, psは0~1が104例, 2が3例で組織型は全例扁平上皮癌でまた全て初回治療例に限った。40Gy時での奏効率は78%であり, その後照射継続が87例, 手術施行が20例であった。1994年6月現在での非担癌生存は66%, また Kaplan-Meier 法による42ケ月生存率は全体で56.5%, Stage II: 91.5%, Stage III: 61.4%, Stage IV: 14.0%であった。また部位別では喉頭は89.4%と比較的良好な結果であるのに比し下咽頭は20.6%と poor prognosis であった。さらに organ/function preservation という立場から症例数も1番多かつた喉頭について喉頭温存率を検討してみるとT2: 74% (20/27), T3: 71% (5/7), T4: 33% (1/3) という結果であった。1972年から1986年までの当院放射線科における放射線単独での3年有喉頭制御率はT1+2: 77%(173/226), T3: 46%(35/76), T4: 27%(12/44)である。毒性についてみると, 先ず急性粘膜反応では放射線単独との間に大きな差は認められなかった。血液毒性では grade 3以上の白血球減少は9.8%, 血小板減少3.0%であった。
  • 藤井 正人, 大野 芳祐, 神崎 仁, 伊東 久夫
    1994 年 20 巻 3 号 p. 525-529
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    放射線療法の強化を目的として化学療法の同時併用が注目されている。カルボプラチン (CBDCA) は頭頸部癌に対してシスプラチンと同様に優れた効果を示すことが報告されており放射線とCBDCAとの併用に関して効果および副作用の面から臨牀的検討を行った。対象とした症例は頭頸部扁平上皮癌 Stage III VI症例32例である。放射線療法は, リナック照射を50Gyないし66Gy施行した。CBDCAの投与は, 照射直前に75mg/m2を放射線治療が始まってから終了するまで週に一回, 合計4ないし7回施行した。結果は32例中CRが22例68.8%であった。奏効率は93.8%であった。NCが2例で, PDの症例はなかった。CRとなった症例のうち18例が現在まで再発を認めず, そのうち5例は2年以上無再発生存している。上咽頭癌症例に関しては放射線単独群と比べて無再発生存期間の延長が認められた。副作用に関しては10例 (31.3%) に口内炎が見られた。そのうち8例 (26%) はGrade 2で2例はGrade 3であった。白血球の減少が5例 (15.6%) に見られたが, 減少の速度は緩やかで放射線終了後正常に戻ってる。5例で何らかの副作用で照射を中断したが, 中止した症例はなかった。以上より放射線とCBDCAの併用は, 安全性と効果の点から頭頸部進行癌に対して有用であると考えられ, 今後更に症例を増やして検討すべきと考えられる。
  • 真崎 規江, 茶谷 正史, 又吉 嘉伸
    1994 年 20 巻 3 号 p. 530-536
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    128例の進行頭頚部扁平上皮癌に対して少量 Cisplatin と放射線治療の同時併用を行い, その意義について検討した。最短経過観察期間は1年である。初回治療として放射線治療は1回1.8~2.0Gyを週5回4~5週 (総線量40-50Gy), Cisplatin は1回5.0mg/m2または6.0mg/bodyを毎回の照射後30分以内に静注した (総量45~192mg). 副作用は軽微である。初回治療終了後2週以内での局所および領域リンパ節における奏効率 (完全+不完全寛解) は98%である。31例には手術が, 87例には追加照射 (10~25Gy) が行われたが, 10例では追加治療は拒否された。中咽頭癌 (37例), 下咽頭癌 (11例), 声門部癌 (16例), 声門上部癌 (16例) における1年時点での非再発生存率はそれぞれ74%, 80%, 62%, 84%である。再発例には救済手術が行われ, これらの1年時点の無病生存率はそれぞれ92%, 100%, 100%, 100%であり, 高い奏効率と生存率が得られた。
  • 加賀美 芳和, 西尾 正道, 成松 直人, 明神 美弥子, 田中 克彦, 浅野 勝士, 染川 幸裕
    1994 年 20 巻 3 号 p. 537-541
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    今回はこの数年間に我々が施行してきた新鮮症例に対する放射線治療と化学療法 (多剤併用) との併用療法, 特に放射線治療と化学療法の併用の時期について検討した。国立札幌病院北海道地方がんセンター放射線科では遠隔転移のない頭頚部癌の新鮮例に対して根治的放射線治療と多剤化学療法 (CDDP base) を併用したのは32例であった。原発部位は上咽頭12例, 中咽頭8例, 下咽頭5例, 舌・口腔底5例, 喉頭2例で病期は2期3例, 3期4例, 4期25例であった。性別は男性27例, 女性5例であり年齢は20歳から72歳の範囲でその中央値は58歳であった。performance status は1が27例, 2が3例, 3がなく4が2例であった。5年生存率は全体では44.2%, CR例では67.8%, PR例では0%であった。放射線治療と化学療法の時間的組合せによるCR率は同時併用10/14 (71.4%), 非同時併用13/18 (72.2%) とほぼ同じで, 生存率にも差はなかった。しかし grade 3以上の咽頭症状は同時併用で42.9%, 非同時併用で18.8%と同時併用で高く, 放射線治療 (外部照射) 期間 (中央値) も同時併用で70日 (40~109日), 非同時併用で53日 (40~88日) と同時併用で長く急性反応のために休止せざるを得なかった期間が長かったことが示された。
  • 大川 智彦, 唐沢 久美子, 兼安 祐子, 田中 真喜子, 喜多 みどり, 石井 哲夫
    1994 年 20 巻 3 号 p. 542-547
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍を中心として扁平上皮癌における, 放射線と化学療法併用における放射線治療前 (Neo-Adjuvant Chemotherapy; NAC) と, 照射中 (Concurrent Chemotherapy; Conc) の化学療法につき治療効果, 副作用につき比較検討した。化学療法としては, NACとしては, CDDP 80mg/m2; 第1日目, 5FU 600mg/m2: 5日間連続投与, Conc としては, CDDP 20mg/m2連続5日間と, 5FU 250mg/m2連続14日間投与を1クールとして用いた。結果としてはCR率は, NAC群18/40 (45%), Conc 群23/53 (43%) と両者に差はなく, 腫瘍の部位, Stage 別でも有意差を認めなかった。副作用については, Conc 群でややつよく認めたが有意ではなかった。このことは今後, 個別化による治療において両者の特長を生かすことが大切であり, 特に予後改善および臓器・機能温存のために, CR率の向上を目指す放射線と化学療法併用の最適な治療方針を決定していくことが重要である。
  • 楠 威志, 西田 升三, 中野 貴之, 村田 清高, 戸村 隆訓
    1994 年 20 巻 3 号 p. 548-552
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    外科的に切除したヒト甲状腺組織 (非病変部4例, バセドウ病2例, 濾胞腺腫3例, 乳頭癌3例, 濾胞癌4例) を用いて, カテプシンL活性の測定およびエラスチカ染色を施行しエラスチンの連続性を調べた。これらのデータを各症例の母腫瘍の病理組織所見, 浸潤, 転移の有無と比較検討し以下の結果を得た。悪性病変群のカテプシンL活性は正常および良性病変群より有意に高値であったが被膜外浸潤, リンパ節転移とは一定の関連を認めなかった。しかし, エラスチンの連続性がないものほどカテプシンL活性が高値を示した。腫瘍性病変においては, 充実性病変の如く細胞増殖が強い領域に一致してエラスチンの連続性が認められなかった。
  • 1994 年 20 巻 3 号 p. e1
    発行日: 1994年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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