癌細胞傷害性T細胞 (CTL) の認識する癌関連抗原をコードする遺伝子が最近次々に同定されているが, その中で頭頸部扁平上皮癌に比較的発現が多いとされる
MAGE-1, MAGE-3, GAGE遺伝子について, それぞれ108, 111, 63症例においてその発現をmRNAのレベルで検索した。
MAGE-1, MAGE-3, GAGE遺伝子はそれぞれ27.8%, 47.4%, 41.3%の症例で発現がみられた。さらに,
MAGE-3遺伝子のコードするペプチドのうちHLA-A2分子とともに癌細胞表面に発現されるFLWGPRALVを合成し, HLA-A2保有者の末梢血単核細胞を用いてこのペプチドに特異的なCTLの誘導を
in vitro にて試みた。IL-4とGM-CSFにて増殖させた樹状細胞を抗原提示細胞として用い, interleukin-1 (IL-1), IL-2, IL-4, IL-6を加えた培養液にて誘導すると, エフェクター細胞はHLA-A2陽性でしかも
MAGE-3遺伝子を発現している頭頸部扁平上皮癌細胞株を傷害した。このことは頭頸部扁平上皮癌症例は癌抗原ペプチドをターゲットとした癌抗原特異的免疫療法の良き対象になることを示唆する。
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