頭頸部腫瘍
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22 巻 , 1 号
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  • 都築 秀明, 斎藤 等, 大坪 俊雄, 田中 信之, 野田 一郎, 杉本 千鶴, 津田 豪太, 今村 好章
    1996 年 22 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    P糖蛋白はアドリアマイシンなど種々の薬剤を細胞外へ排泄する機能をもち, 多剤耐性の因子として重要である。当科頭頸部悪性腫瘍手術50症例におけるP糖蛋白の存在の有無を, 二種類の抗体C219およびJSB1を用いて免疫組織染色を行い検討した。また染色結果とアドリアマイシンに対する制癌剤感受性試験 (ATP法) 結果と比較検討した。頭頸部悪性腫瘍50症例のうちC219にて27例 (54%), JSB1にて31例 (62%) と高率な陽性所見を得た。組織型別では, 二抗体とも扁平上皮癌31例中19例 (61.3%), 甲状腺乳頭癌7例中7例 (100%) に高率な陽性所見を得た。制癌剤感受性試験 (ATP法) 結果は頭頸部悪性腫瘍50症例のうち37例 (74%) がアドリアマイシンに耐性という結果であった。C219およびJSB1のP糖蛋白染色結果とアドリアマイシンに対する制癌剤感受性試験 (ATP法) 結果との間に有意な相関関係を得た。
  • 白砂 兼光, 阪井 丘芳, 杉浦 剛, 松矢 篤三
    1996 年 22 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    腺様嚢胞癌細胞ACCSは基底膜物質を含む多量の細胞外基質 (ECM) 産生能をもつ。ペトリ皿上にACCS-ECM, フィブロネクチン (FN), ラミニン (LAM), IV型コラーゲン (COLL IV) を作製し基質上でACCS細胞を培養すると, 細胞遊走は著しく充進された。次に, boyden chamber を用いて細胞遊走に対する各種ECMの効果を検討するとFN, LAM, Coll IVはいずれもACCS細胞に対して強いケモタキシスやハプトタキシス活性を示し, その促進効果は他の口腔癌細胞に比較して極めて強いものであった。即ち, 腺様嚢胞癌細胞は多量のECMを産生し, そのECMは細胞増殖の足場となり遊走 (ハプトタキシス) を助け, また神経や血管を被覆するLAMやCOLL IVなどの基底膜分子のケモタキシス活性によって腺様嚢胞癌細胞はそれらに特異的に浸潤することが示唆された。さらに本研究はこれらECMによる細胞遊走にインテグリンなどの細胞接着因子がその調節機構に強く関与することも示唆した。
  • 田中 信之, 斎藤 等, 津田 豪太, 大坪 俊雄, 藤枝 重治, 野田 一郎, 都築 秀明, 杉本 千鶴, 木元 久, 武藤 明
    1996 年 22 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CDDPは頭頸部癌化学療法の Key drug であり, 高い臨床効果をあげているが, 一部には奏効しない症例もみられる。そのような例に対して症例ごとの腫瘍細胞の特性を把握し, それに合致した適切な modulation を行なうことにより, CDDPに対する感受性の向上が期待される。そこで今回, 頭頸部癌細胞株を用い, in vitroでのCDDP感受性とそれを規定する因子すなわち (1) 薬剤取り込み (2) 薬剤排泄 (3) DNA-Pt adduct (4) DNA修復について検討した。細胞株としてKB・IMC-2・IMC-3細胞を用いた。結果は, IMC-3細胞は, 薬剤取り込みが他の2細胞株に比べ少ないにもかかわらず, 薬剤排泄, DNA修復能が劣っており, IMC-2細胞は, 薬剤蓄積の低下とDNA修復能が比較的優れていた。以上より, IMC-3細胞に対しては薬剤取り込みの上昇, IMC-2細胞ではDNA修復の抑制による薬剤感受性の増強が示唆された。
  • 鵜澤 一弘, 中西 寛, 小河原 克則, 加藤 治郎, 渡辺 哲広, 横江 秀隆, 丹沢 秀樹, 佐藤 研一
    1996 年 22 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    p16/CDKN2遺伝子は, 当初CDK4/cyclin D1の特異的なインヒビターとして発見された。さらにこの遺伝子が非常に多くの悪性腫瘍で異常を起こしていることが明らかにされ, 細胞周期の異常と悪性腫瘍の発生を結びつけた新しいタイプの癌抑制遺伝子として注目されている。本研究では, 口腔扁平上皮癌におけるp16/CDKN2遺伝子異常をPCR-SSCP法, ダイレクトシークエンス法および, Deletion analysis にて解析した。その結果, 原発巣32例中2例 (6%) に, また口腔扁平上皮癌由来細胞株では7株中4株 (57%) に異常が認められ, 細胞株で高頻度であった。しかし, 原発巣で異常の認められた2例は双方とも低分化型扁平上皮癌で, さらに, その異常はともにコドン80におけるナンセンス変異であった。したがって, p16/CDKN2遺伝子の異常は, 口腔扁平上皮癌において, 分化度特異性がある可能性が示唆された。
  • 野田 一郎, 斎藤 等, 大坪 俊雄, 藤枝 重治, 津田 豪太, 都築 秀明, 田中 信之, 杉本 千鶴, 斉藤 武久
    1996 年 22 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヒト上顎癌細胞株における, rG-CSFの癌浸潤能に及ぼす影響を検討した。rG-CSFの添加により, 上顎癌培養細胞の浸潤能は培養時間およびrG-CSF濃度依存性に増大した。rG-CSFによるこの浸潤能増大は, 抗G-CSF抗体によって濃度依存性に抑制された。rG-CSFによる上顎癌浸潤増強効果, および癌細胞上のG-CSFレセプター存在の可能性が示唆された。
  • 北川 善政, 石井 保雄, 森廣 宏則, 小笠原 利行
    1996 年 22 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部は, 脂肪組織に富み, 解剖学的に複雑であるため, MR画像において, 病変の描出が困難なことが多い。われわれは, 水と脂肪の共鳴周波数差を利用した化学シフト画像による脂肪抑制法の有用性について検討した。頭頸部悪性腫瘍15例において, 脂肪抑制併用Gd-DTPA造影T1強調像と従来の造影前, 造影後T1強調およびT2強調像とを原発病変とリンパ節の検出能, 進展範囲の描出能について, 4段階 (Grade 0-3) で点数化して評価した。脂肪抑制造影T1強調像 (平均2.93) では, 14例に Grade 3が得られ, T1強調 (0.73), 造影T1強調 (1.80) およびT2強調 (1.67) より優れていた。脂肪抑制造影T1強調像は骨髄や頬部など脂肪を含む領域への腫瘍の浸潤範囲の明瞭な描出のみならず, リンパ節中央部壊死や節外浸潤の検出にも特に有用であった。脂肪抑制法は撮像時間が短く, 後処理も必要ないため, 手術手技の決定, 治療の効果判定, 経過観察など臨床上極めて有用であると思われた。
  • 戸川 貴史, 油井 信春, 幡野 和男, 関谷 雄一, 嶋田 文之, 小村 健, 竹内 洋介, 片橋 立秋
    1996 年 22 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    優れた腫瘍親和性薬剤である塩化タリウムを用い, 上咽頭腫瘍の放射線・化学療法の前後に201T1 SPECTを行い, 病巣の viability の評価に201T1 SPECTが有用か否か検討した。組織学的に確診の得られた11例の上咽頭腫瘍患者 (放射線治療単独3例化学療法併用8例) を対象とし, 治療前後に43回の201T1 SPECTを行った。3検出器回転型ガンマカメラを使用し, 塩化タリウム111MBq (3mCi) 静注後5分からデータ収集を開始した。治療効果判定はMRI所見に基づきCR, PR, NCに分類した。治療前においては, 全例病巣に一致した高度の201T1集積を認めた。CR1例, PR10例では, いずれも治療終了時に201T1集積が減弱 (4例) または消失 (7例) していた。このうち, 治療直後にMRIで腫瘤が残存し, その後経過を追って201T1 SPECTとMRIを行ったPR4例では, まず201T1集積が消失し, その後MRI上の腫瘤の縮小を認めた。201T1 SPECTは上咽頭腫瘍の放射線治療効果の判定に極めて有用である。
  • 與田 順一, 保富 宗城, 國本 優, 田村 真司, 寒川 高男, 斉藤 匡人, 横山 道明, 山中 昇
    1996 年 22 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部悪性腫瘍細胞におけるE-カドヘリンの消失に伴い, 細胞は接着特性を失った。また, 再構成基底膜への浸潤性は増強した。この変化は, E-カドヘリン陽性細胞で認められたが, 陰性細胞では認められなかった。
    頭頸部癌患者の血清中には, 健常人, 良性疾患患者に比べて, 可溶性E-カドヘリンが高値を示した。治療反応例では, 血清可溶性E-カドヘリン値は減少した。治療後に血清可溶性E-カドヘリンが高値を示した症例は, 遠隔転移が多く, 予後不良であった。
    E-カドヘリンは, 単に接着因子としての機能を有するのみならず, 腫瘍細胞の浸潤, 転移にも深く関係していると考えられた。臨床において, 血清可溶性E-カドヘリンは, 腫瘍の悪性度, 遠隔転移を知るうえで重要なパラメーターとなる可能性が示唆された。
  • 高雄 真人, 高木 正, 石田 春彦, 田原 真也, 天津 睦郎, 雲井 一夫
    1996 年 22 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎癌症例に対し上顎全摘出術を施行した場合, 眼窩底が失われるために術後に眼球下垂による複視や顔貌の変形が出現する。この際眼窩底を形成するためには, 軟部組織だけではなく硬組織による支持が必要である。
    われわれは上顎全摘出術を施行した上顎癌2症例に対し, チタンメッシュおよび遊離前腕皮弁を用いた眼窩底再建を行った。チタンメッシュは生体親和性に優れ, 強度があり加工しやすい。またCTスキャンでアーチファクトが少ないといった利点がある。一方, 上顎全摘出時に遊離腹直筋皮弁等で欠損を充填する方法と比べて, 遊離前腕皮弁による腔を確保した状態での創面の閉鎖は, 口腔内よりの病巣の観察および術後の義顎装着の点で優れている。
    チタンメッシュと遊離前腕皮弁を組み合わせた本法は眼球下垂を防止し, 視機能を保存する上で優れている。
  • 栗山 義規, 福田 諭, 佐藤 信清, 間口 四郎, 犬山 征夫
    1996 年 22 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    北海道大学耳鼻咽喉科にて1975年1月より1994年6月までの20年間に経験した鼻副鼻腔肉腫19例について臨床的に検討した。症例の内訳は男性13例, 女性6例と男性に多く, 年齢は0歳から65歳にわたり, 平均年齢は32.9歳であった。病理組織学的には横紋筋肉腫が10例と最も多く, 悪性線維性組織球腫が4例, 平滑筋肉腫, 骨肉種がそれぞれ2例, 悪性血管外皮腫が1例であった。治療は手術, 放射線, 化学療法の3者併用が9例と最も多く, 各症例とも手術を主体とし適宜, 放射線, 化学療法を組み合わせた。5年生存率は肉腫全体で38.9%, 横紋筋肉腫で30.5%で予後は不良であったが, 最近経験した横紋筋肉腫の2症例では, 多剤大量化学療法に自家骨髄移植, 末梢血幹細胞移植を組み合わせた集学的治療を行い良好な経過をたどっており, これらの導入で, 生存の向上, 機能温存が期待できると思われた。
  • 秋田 雄三, 神宮 賢一, 加藤 寿彦, 曾田 豊二, 和田 進, 島村 易
    1996 年 22 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1973年10月から1995年3月までに福岡大学病院において放射線治療を行った上顎洞扁平上皮癌新鮮例55例について化学療法併用の有用性について病理学的腫瘍制御の観点から検討した。
    50%制御に必要なTDFは化学療法非併用群で69.9, 化学療法併用群で52.9, 90%制御に要するTDFはそれぞれ105.9, 79.5と化学療法併用群の方が低線量で腫瘍制御が得られたが統計学的有意差は認められなかった。T3症例の場合, 50%制御に要するTDFは化学療法非併用群で89.0, 化学療法併用群で48.8, 90%制御に要するTDFはそれぞれ168.5, 79.3と, 30%以上の腫瘍制御を得る線量は化学療法併用群の方が非併用群より統計学的有意差をもって少なく, 有用な治療法であった。
    投与法では局所的動注群と全身的経静脈, 経口, 経直腸投与間に差はなかった。
  • 藤井 隆, 佐藤 武男, 吉野 邦俊, 馬谷 克則, 稲上 憲一, 橋本 典子, 上村 裕和, 長原 昌萬, 西谷 茂樹
    1996 年 22 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1979~92年の中咽頭癌 stage I・II 症例 (50例) の死因特異的5年生存率は扁平上皮癌 (37例) 82.9%・その他の組織型 (13例) 100%であり, 根治照射・手術を主体とする治療法で原発巣非制御例はほとんどみられなかった。根治照射による扁平上皮癌の原発巣制御率は, 口蓋扁桃では82% (9/11) であったが, その他の亜部位では47% (8/17) であった。
    直接 interview を行った21例 (照射のみ9例・手術のみ6例・照射後 salvage 手術6例) の治療後の障害を評価した結果, 照射のみでも口内乾燥に起因する会話機能障害や種々の摂食機能障害および下顎骨壊死などの合併症に起因する障害がみられ, 照射に手術が重なると治療後の機能障害はさらに大きくなっていた。
    したがって, 根治照射による制御率が低いことが予想される症例に対しては, 手術を第一選択とした場合の術後の機能障害を予測して, より積極的に手術を第一選択として考慮することが合目的的であると考えられた。
  • 藤本 保志, 長谷川 泰久, 松浦 秀博, 中山 敏
    1996 年 22 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔・中咽頭腫瘍の手術後の嚥下障害は患者のQOLのみならず, しばしば生命を脅かす問題となる。本報告は術後の嚥下障害のリスクファクターを探ることが目的である。
    対象は1993年2月より, 1995年4月までに当科で手術治療を行った, 口腔・中咽頭癌症例26例である。原発巣の内訳は舌12例, 口腔底5例, 歯肉2例, 中咽頭9例である。術前, 術後の側面透視画像をパーソナルコンピューターに取り込み, デジタル化した静止画像の集合から舌骨の運動を定量的に解析した。検討項目は年齢, 誤嚥の有無, 原発巣, 舌骨上筋の切除, 再建皮弁, 術後の創部感染の有無による舌骨運動の変化である。
    術後は術前と較べると舌骨の運動制限があきらかで, 術後創部に感染を起こした症例, 舌骨上筋群の切除例ではさらに運動制限が増悪した。誤嚥のリスクファクターとして高い年齢と舌骨の運動制限が考えられた。
  • 木村 幸紀, 柳澤 昭夫, 鎌田 信悦, 岡野 友宏
    1996 年 22 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究では, 頸部リンパ節転移の予知因子を決定することを目的に, stage I・IIの舌扁平上皮癌症例の臨床病理学的検討を行った。対象は, 1976年から1994年までの間に, 癌研頭頸科にて舌部分切除術単独で治療した60例とした。検討項目は, 年齢, 性別, 癌の最大径, 深達度, 筋層浸潤部の大きさと深さ, 脈管侵襲および傍神経浸潤とした。後発転移は, pT1の23% (43例中10例), pT2の59% (17例中10例) に生じ, 術後3年以内にみられた。上皮内癌 (5例) と粘膜下層内癌 (22例) では癌が大きくても転移がみられなかった。一方, 筋層浸潤を生じた癌では61% (20/33) に転移がみられた。また, 筋層内の癌の大きさが5mm以内でも40%, 深さが僅か1mmでも33%に転移がみられ, 高い転移率を示した。他の因子の関連性は少なかった。従って, 舌癌におけるリンパ節転移に関して最も信頼性の高い予知因子は筋層浸潤であると考えられた。
  • 高砂 江佐央, 中溝 宗永, 高橋 久昭, 苦瓜 知彦, 保喜 克文, 永橋 立望, 三谷 浩樹, 川端 一嘉, 鎌田 信悦
    1996 年 22 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌癌の治療において, 原発巣と頸部転移巣を別々に治療すると口腔底粘膜下にわずかながら無治療域が生じる。ここからの再発を仮に口腔底再発と呼ぶこととし, 当科で過去15年間に加療した舌扁平上皮癌417例を対象にこれについて検討した。
    口腔底再発は6例に認めた。原発巣と頸部転移巣を別々に治療した後のものが5例, 一塊に切除した後のものが1例であった。全例口腔底筋群を保存した症例であり, これが口腔底再発の重要な因子であると思われた。
    6例中5例が死亡しており, 頻度は少ないものの予後不良な再発であった。この再発の危険因子は不明であった。
  • 高森 康次, 田中 陽一, 岩渕 博史, 木津 英樹, 本間 宏昌, 内山 公男, 朝波 惣一郎
    1996 年 22 巻 1 号 p. 88-94
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは口腔癌切除物を1~3mm幅の前額断で step sectioning し詳細な病理組織学的検索を行ってきた。その病理組織学的評価は通常のものに, (1)上皮内伸展 (ie), (2)深達度 (ep・sml~sm3・mp1~2), (3)dys (surgical margin の異型上皮の有無) の3項目を加えて行っている。この方法で切り出しを行った舌癌43例のうち, 前治療のない舌表在癌9例について検討したので報告する。なお表在癌とは, 病理組織学的に深達度sm2, すなわち癌浸潤が基底層と固有筋層との中間の位置より表層に限局しているものとした。pT1.2の舌癌29例中表在癌は9例 (31.0%) にみられた。それらの深達度はsm1が6例 (66.7%), sm2が3例 (33.3%) で, 上皮内進展 (ie) は7例77.8%にみられた。またdys (+) は6例 (66.7%) にみられた。29例の局所再発は7例 (24.1%) で, 表在癌では2例 (6.9%) であった。一方, 非表在癌では5例 (17.2%) であった。
  • 清水谷 公成, 古跡 養之眞, 井上 俊彦, 井上 武宏, 村山 重行, 手島 昭樹, 古川 惣平, 渕端 孟, 真崎 規江, 茶谷 正史, ...
    1996 年 22 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域の悪性腫瘍に対しては, 根治性かつ形態および機能温存を目的に放射線治療が最優先される場合がある。
    今回われわれは根治照射を必要とする頭頸部癌患者に対して, 歯科学的問題である唾液流量, 唾液pH, 味覚および放射線治療後のDMF歯数の変化を検討した。
    その結果, 頭頸部癌患者 (内訳: 上咽頭3例, 口底: 2例, 舌: 2例) に対する外部照射線量が60Gy~80Gyレベルで唾液流量は0ml/5minに近似する値を示すことが判った。さらに頭頸部癌根治照射後のDMF (D: decay, M: missing, F: filling) 歯数の変化では, 厚生省歯科疾患実態調査におけるDMF歯数の年次推移を対照とした場合, 上咽頭癌 (10例) と中咽頭癌 (8例) グループの照射後・DMF歯数は舌癌グループ (8例) のものよりも増加傾向を示した。
  • 松井 義郎, 大野 康亮, 代田 達夫, 道 健一, 秦 博文, 積田 正和, 山縣 健佑, 宮下 元, 関 健次, 岡野 友宏, 小島 聡
    1996 年 22 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年, 口腔癌術後患者の生活の質 (QOL) の向上に対する関心が高まり, 顎口腔領域では審美性の改善とともに, 咀嚼, 嚥下, 構音などの術後の口腔機能の改善が特に重要な課題となっている。このうち咀嚼機能については, 最近人工歯根を用いた治療法が目覚ましく進歩し, この治療法を口腔癌術後患者に応用した報告も散見されるようになってきた。しかし, 人工歯根を用いて治療を行った患者の咀嚼機能については, ほとんど検討されていない。
    今回われわれはフレーム溶射によるアパタイトコーティングチタン人工歯根を用いて治療を行った患者の咀嚼機能を客観的に検討したので報告する。
    対象は口腔癌術後患者12例を含む32例 (男性15例, 女性17例, 初回手術時年齢19歳~73歳, 平均52.8歳)
    である。咀嚼機能評価には低粘着性発色ガム法およびデンタルプレスケールを用いた。
    その結果, 人工歯根を用いて治療を行った一部の口腔癌術後患者の総合的咀嚼機能は一般患者のそれに近い値を示したが, 大半の患者では低く, 今後これらの患者のより高い咀嚼機能の回復を目指した検討が必要と思われた。
  • 門倉 義幸, 窪田 哲昭, 大谷 尚志, 高崎 宗太, 大橋 一正, 竹村 栄毅, 竹森 祐介
    1996 年 22 巻 1 号 p. 106-111
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌気管浸潤例に対して気管合併切除を行った12症例について臨床的に検討した。全例が乳頭癌であり, 切除範囲によって層状切除, 全層窓状切除, コラーゲン人工気管による再建を選択している。甲状腺癌気管浸潤に対する治療, とりわけ気管再建に関しては様々な試みがなされている。われわれは, 広範囲切除例に対して一般的であった端々吻合に比べ手術侵襲も少なく術後管理が容易なコラーゲン気管による再建を行っており, 12症例中6症例に施行し良好な成績をおさめている。本法はいわば Biomaterial による再建法で完成までに長期間はかかるものの, 機能保存ができ発声, 呼吸, 痰の喀出も通常に行うことができる。
  • 木村 隆保, 丸山 晋, 中井 茂, 河田 了, 村上 泰
    1996 年 22 巻 1 号 p. 112-119
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頸部に発生する神経原性腫瘍の中でも迷走神経原発の腫瘍は稀であり, 多くが良性である。だが, 治療は外科的摘出が第一選択となるため, 発生母地神経の処理が問題となる。また, 発生部位によってはそのアプローチ法に苦慮することもある。今回は1989年からの6年間に京都府立医科大学耳鼻咽喉科にて手術治療を施行した副咽頭間隙原発の迷走神経原性腫瘍 (神経鞘腫5例, 傍神経節腫1例) について検討した。副咽頭間隙へのアプローチ法は, 5例で下顎正中離断し下顎骨を押し上げる方法を選択した。この方法により十分な術野が確保でき術後後遺症も少なく安全である。また, 発生母地神経の処理は, 腫瘍細胞残存による再発や悪性化の危険性を考慮し, われわれは神経を切断している。しかし, 迷走神経は多くの支配臓器で両側支配であるので反対側の代償により声帯麻痺以外は問題とならない。麻痺声帯にはシリコン注入による声帯内転術を行い良好な結果を得ている。
  • 平野 早秀子, 金子 剛, 貴志 和生, 小林 正弘, 藤野 豊美, 藤井 正人, 大野 芳裕, 神崎 仁, 柴 秀行, 河奈 裕正, 朝波 ...
    1996 年 22 巻 1 号 p. 120-126
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    軟部組織欠損をともなう下顎再建には, 血管柄つき骨弁と皮弁または筋皮弁の組合せを用いることが望ましい。我々の行なっている方法では, 血管茎を肋間動脈穿通枝とし, 肋骨弁下縁の肋間動脈をふくめて肋骨弁を挙上し, 広背筋皮弁との連合皮弁とする。本法は, 安定した血行が得られ, 肋骨弁と筋皮弁の間の自由度が大きく, 皮弁のボリュームの調節が容易であり, 複雑な形態の欠損にも対応しやすいという利点がある。欠点としては体位変換を要する点と開胸の危険性が高い点があげられる。現在までに, 本法により7例の下顎再建を行っており, 1例にインプラントの挿入も行っており, 強度も十分であると考えられた。合併症としては, 2例に開胸をみとめ, 1例に瘻孔形成を認めた。
  • 茶谷 正史, 又吉 嘉伸, 真崎 規江, 手島 昭樹, 井上 俊彦
    1996 年 22 巻 1 号 p. 127-130
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    早期喉頭癌 (T1N0M0) 273例につき照射野の大きさにより分けた2群 (A群: 5×5cm2, B群: 6×6cm2) の prospective randomized trial を行った。5年非再発生存率はA, B両群とも87%で両群間に有意の差はなかった。局所再発はA群20例, B群19例に認められ, 喉頭全摘を受けたA群の1例, B群の2例が手術後に遠隔転移あるいは局所再発にて死亡した。また喉頭の部分切除例と放射線治療による局所制御例を合わせた喉頭温存率はA群92%, B群93%であった。治療後の軽度の慢性障害はA群17%, B群23%でB群に有意に多い傾向がみられた (p=0.038)。wedge filter と shell 使用のもとでは, 5×5cm2の照射野は6×6cm2に比べて治療成績に差はなく, 軽度の慢性障害の少ない点で優れていた。
  • 中山 明仁, 高橋 広臣, 岡本 牧人, 八尾 和雄, 馬越 智浩, 西山 耕一郎
    1996 年 22 巻 1 号 p. 131-134
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    北里大学病院開院以来の初期喉頭癌照射後再発例について検討した。再発形式の形態的解析から初診時に(1)喉頭室, (2)声門下, (3)前連合の3部位に腫瘍の進展がみられた場合に再発が起きている結果が得られた。再発率はそれぞれ15%, 13%, 26%であった。それぞれの部位がなぜ再発につながったのか考察した。
  • 西岡 健, 白土 博樹, 北原 利博, 西山 典明, 犬山 征夫, 福田 諭
    1996 年 22 巻 1 号 p. 135-138
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上咽頭癌の化学療法の有用性を検討するため照射前化学療法と照射単独の間で1991年より多施設共同で randomize study を開始した。化学療法併用群はCDDP 80mg/m2 (day1 div), 5FU 800mg/m2 (day 2-5 continuous iv) を2コース行いその後照射を施行した。当科において1994年までに登録された21症例 (平均観察期間32カ月) のうち併用群13例は照射単独群8例に比し, 3年時点で無病生存率の向上が認められた (74.6%対25.0%)。
  • 不破 信和, 伊藤 善之, 加藤 恵理子, 村元 秀行, 松本 陽, 菊池 雄三
    1996 年 22 巻 1 号 p. 139-143
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    目的: 頭頸部局所進行癌の治療効果を高めるためにCBDCAによる超選択的持続動注療法を放射線治療に併用した。対象と方法: 対象は1992年8月から1995年3月までの症例で, 選択動脈は舌動脈が16例, 顔面動脈が6例, 顎動脈7例, 外頸動脈から途中で舌動脈にカテーテルを挿入した症例が1例であった。CBDCAの1日量は10mg/m2 (総量360,400mg/m2), 15mg/m2 (総量405, 450mg/m2), 20mg/m2 (総量400, 460, 500mg/m2) と漸増した。結果: CR25例, PR5例で Dose limiting factor は白血球減少であり, 最大至適投与量は460mg/m2であった。結論: 本治療法は抗腫瘍効果, 副作用の点から臨床適用が可能であり, Phase 2 study へ移行する価値のある研究である。
  • 柘植 勇人, 植田 広海, 高橋 正克, 柳田 則之
    1996 年 22 巻 1 号 p. 144-151
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Neoadjuvant Chemotherapy (NAC) をより有効に用いるには, その効果をできれば早く見極めたいと考え, 1クール目の効果で, 化療を続行する適否を判断できないか検討した。対象は, 1988~1994年に, 当科で初治療を行った頭頸部扁平上皮癌症例のうち, 同一メニュー, 同量でCDDPを含むNACを2クール以上施行した40例である。そして, 1クール目と化療終了時の効果をそれぞれ原発巣, リンパ節転移, Total に分け評価検討した。その結果, 1クール目の効果がPR以上でなければ, 化療終了後にCRに到達しなかった。1クール目の効果がMR未満の時は, 化療終了後にPRに到達する事さえまれなため, 2クール目はキャンセルするべきと思われた。1クール目の効果は, 化療終了後の効果と同様, 生存率に影響を与えていた。原発巣と Total においては, 2クール目にようやくPRに到達した程度では, 生存率の向上に貢献していない可能性が高い。
  • 阪本 浩一, 松田 美貴, 大橋 淑宏, 柿木 裕史, 名迫 佳郎, 北山 勇人, 鷲尾 有司, 中井 義明, 山根 孝久, 巽 典之, 上 ...
    1996 年 22 巻 1 号 p. 152-156
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍における末梢血幹細胞移植 (PBSCT) 併用化学療法の臨床応用を試みた。頭頸部悪性腫瘍8症例 (一次治療7例, 再発1例) に対し, 11回の末梢血幹細胞 (PBSC) の採取を行った。これを用いて14回のPBSCT併用化学療法を施行した。化学療法のレジメンは, ifosfamide+carboplatin+etoposide を6例8クールに施行し, pirarubicim+carboplatin+peplomycin を2例6クール施行した。PBSCの移入により骨髄の再構築は良好であり, 他に重篤な合併症は認めなかった。効果はCR6例, NC2例であった。PBSCT併用化学療法は頭頸部腫瘍に対して比較的安全に大量の抗癌剤の投与を可能とし, 今後臨床応用を試みるべき治療法の一つと考えられた。
  • 熊澤 博文, 崔 信一, 立川 拓也, 京本 良一, 山下 敏夫, 河本 圭司
    1996 年 22 巻 1 号 p. 157-162
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍をはじめとする固形癌に対して抗癌剤を用いた治療は集学的治療の一つとして有用である。しかし, いまだにその効果の限界があり, その問題点の一つはプラチナ系薬剤に対する固形癌の獲得耐性がある。特に臨床上, 固形癌の耐性発現は単一回もしくは低頻度複数回のプラチナ系薬剤の薬剤投与で観察されることがある。その発現機序は詳細に検討されておらず, 今回著者等はヌードマウス移植固形癌を用いプラチナ系薬剤 (254-S) を低頻度複数回 (1~5回) 投与することで, 固形癌の254-Sに対する耐性発現の検討を行なった。一次治療としての初回治療で, 1回単一投与, 3回, 5回, 分割頻回投与における, 腫瘍増殖抑制効果に差を認めなかった。しかしながら, 二次治療として254-Sの再単一投与での腫瘍増殖抑制効果を比較すると, 分割頻回投与群のほうが, 1回単一投与群より効果の低下があり, 分割頻回投与群における固形癌の薬剤感受性の低下が示唆された。
  • 渋谷 均
    1996 年 22 巻 1 号 p. 163-167
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌 (頭頸部癌) における重複癌の発生部位, 発生頻度, 発生時期などについて検討した。
    1994年まで当科を受診した頭頸部癌は3,430例であった。性別では男性2,403例 (70%), 女性1,027例であった。部位別では口腔癌2,190例 (舌癌1,070例, 歯肉癌616例, 口腔底癌266例, 頬粘膜238例), 中咽頭癌290例, 上咽頭癌100例, 下咽頭癌78例, 上顎洞癌475例, 喉頭癌267例, 口唇癌30例であった。重複癌は434例 (13%) 511部位に認められ, 324部位 (63%) が upper aerodigestive tract (UADT) の癌であった。詳細は口腔癌114, 食道癌99, 胃癌65, 肺癌53, 中咽頭癌25などであった。
    この結果, 重複癌は男性患者に頻度が高く (女性の約1.3倍), その傾向は特に食道癌, 肺癌, 喉頭癌で顕著であった。女性患者では全重複癌のうちの半数が口腔内多発癌であり, その発生頻度は男性の2倍であった。また重複食道癌の発生頻度は頭頸部癌の部位によって異なり, 下咽頭癌患者に最も多く, 次いで中咽頭癌, 口腔癌の順であった。上顎洞癌は対側上顎洞に高頻度に重複癌を認めた。
  • 野口 誠, 木戸 幸恵, 仲盛 健治, 関口 隆, 平塚 博義, 永井 格, 小浜 源郁
    1996 年 22 巻 1 号 p. 168-172
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜癌N1~3症例の予後因子を明らかにする目的で, Cox の比例ハザードモデルによる多変量解析を行った。
    原発部位は舌: 44例, 歯肉: 37例, 口底: 20例, 頬粘膜: 12例であり, stage 別では, stage III: 48例 (42%), stage IV: 65例 (58%) であった。多変量解析によって, pN分類, N分類, T分類, 組織学的悪性度の4項目が予後因子として選択された。pN分類 (組織学的転移の有無) 別の5年累積生存率をみると, pN0症例 (40例) は89%, pN1~3症例 (73%) は36%と著明な差が認められた。pN1~3症例について頸部転移の様相を加え多変量解析を行ったところ, 節外型リンパ節転移の有無とT分類が予後因子として選択された。
  • 榊 敏男, 和唐 雅博, 梶 隆一, 虫本 浩三, 田中 昭男, 白数 力也
    1996 年 22 巻 1 号 p. 173-179
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    私たちは, 34症例の口腔原発扁平上皮癌を対象にE型カドヘリンとその機能発現を制御しているα-カテニンの発現性を免疫組織化学的に調査し, 患者の予後との関連について検討した。
    E型カドヘリンおよびα-カテニンの発現が減弱 (あるいは欠失) を示す症例は臨床的にはリンパ節転移例に比較的多くみられ, 癌細胞接着能の低下はリンパ節転移の有無を反映することが示唆された。また, 病理組織学的にはE型カドヘリンおよびα-カテニンの発現の程度は, 癌の分化度と浸潤様式に逆相関した。これらのことからカドヘリン-カテニン複合体としての接着分子の検討は, 口腔癌患者の予後判定の一助になると考えられる。
  • 新谷 悟, 松浦 秀博, 長谷川 泰久
    1996 年 22 巻 1 号 p. 180-184
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌癌原発巣の深さは転移予知因子の一つであることを明らかにした。外科治療のみを行った70例の, 頸部転移陽性31例の深さの平均値は12.1mm, 陰性39例では6.1mmであった (p<0.05)。また, 遠隔転移発生の有無では20.2mmに対し6.6mmであった (p<0.01)。N0例の転移後発を高率に予知できれば選択的郭清の適応を決めるのに役立つ。70例のT1, 2N0 41例を深さ5mm未満と5mm以上に二分して頸部転移後発率をみると4% (1/26) と60% (9/15) であった (p<0.05)。術前の深さを知るために最近の17例に対し, 超音波診断を試みた。病変部は明瞭に描出され, 腫瘍の深さはmm単位で計測できた。さらに, 超音波エコーによる病巣の深さ (Y) は病理組織標本上の測定値 (X) とよく相関したことから (Y=0.792X), 術前の超音波エコーで, 深さ6ないしは7mm以上のN0症例は, 選択的頸部郭清を行うべきであると考える。
  • 日野 剛, 遊座 潤, 沼田 勉, 林崎 勝武, 今野 昭義
    1996 年 22 巻 1 号 p. 185-190
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    日本TNM分類委員会頭頸部小委員会唾液腺部門として1980年から1994年までに登録された201例の小唾液腺癌症例について, 1987年の大唾液腺UICC分類に基づいたTNM分類, 病理組織型, 生存率などを検討した。年齢分布は60歳台にピークがあり, 男女比は約2:3であった。病期別にみると stage Iが81例 (40.3%), stage IIが69例 (34.3%), stage IIIが23例 (11.4%), stage IVが28例 (13.9%) であった。原発部位は硬口蓋が全体の36.7%を占め, 次いで口腔底が13.4%, 頬部粘膜が10.4%の順であった。Tに関してはT2以下の症例 (全体の78.1%) が多く, Nに関してはN0症例が全体の89.1%を占めた。病理組織型別症例数では粘表皮癌が43.8%と最も多く, 次いで腺様嚢胞癌が33.8%, 腺癌が10.4%, 多形腺腫内癌が5.0%であった。5年以上経過した症例中予後を追跡し得た症例は23例で, その5年粗生存率は73.9% (17/23) であった。今後さらに症例を積み重ね検討する予定である。
  • 熊埜御堂 浩, 大野 芳裕, 藤井 正人, 神崎 仁
    1996 年 22 巻 1 号 p. 191-197
    発行日: 1996/03/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1980年から1994年の15年間に当科で経験した頭頸部腺様嚢胞癌40症例について検討した。Stage I 12例, Stage II 10例, Stage III 10例, Stage IV 8例であり, 累積生存率では進行症例ほど生存率が低かった。
    根治切除を目的とした手術を32例 (80.0%) に行い, 切除断端陽性例を23例 (71.8%) に認めた。
    局所再発を10例に, 肺などへの血行性遠隔転移を18例に認めた。
    死亡例は8例 (20.0%) であり, 担癌生存期間は平均5年2カ月で, 40症例全体の5年生存率および10年生存率は86.1%, 44.6%であった。
    腺様嚢胞癌は根治切除の困難な部位に発生することが多いが, 腫瘍発育は一般に緩徐な場合が多く, 切除断端陽性症例でも放射線療法や化学療法の併用により長期にわたって制御可能な症例もみられると考えられた。
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