頭頸部腫瘍
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23 巻 , 3 号
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  • 鹿野 真人, 小川 洋, 長谷川 博, 渡邉 睦, 大石 剛資, 桑畑 直史, 鈴木 茂憲, 大谷 巌
    1997 年 23 巻 3 号 p. 519-525
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌に対する腺葉切除, 気管周囲郭清術のポイントは反回神経と上喉頭神経外枝の保存であり, そのために重要となる正確な臨床解剖, 手術における基本手技について述べた。反回神経の特徴としては, 左右でその走行が異なること, 喉頭外で分枝する率が高いこと, 下甲状腺動脈と神経の走行にバリエーションが多いことがあり, これらを考慮した安全な神経確認の部位は甲状腺下極部がベストと考えている。また反回しない反回神経の存在もあり, 他の部位での確認方法を知っておくことが望ましい。一方, 上喉頭神経外枝は上甲状腺動静脈の分枝の問を走行するものが多く, 上極では神経を確認した上で, 血管処理を甲状腺に最も近い部分で行うべきである。
    無血的術野と神経の愛護的剥離を徹底し, 術後麻痺をなくすよう常に努力することが大切である。
  • 冨田 吉信, 竹下 宗徳
    1997 年 23 巻 3 号 p. 526-529
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌に対して甲状腺亜全摘・全摘術を施行する場合に, 再発のない様に手術をすることは言うまでもない。それ以外に留意すべき点としては, 反回神経と上喉頭神経外枝及び上皮小体の処理であると思われる。本稿では, 上記の留意点を中心として手術手技を手術の各場面に分けて述べた。粘膜剥離子を多用することにより, 出血が少なく, 神経を損傷する危険性の低い手術が可能である。また, 前頸筋は腫瘍の浸潤がなければ出来る限り保存している。反回神経の同定を頭側で行う方法について述べた。これは, 大きな腫瘍が下極に存在したり, 気管傍転移の多発する症例や, 又, 反回しない反回神経症例の場合に有用と思われる。
  • 長谷川 泰久, 松浦 秀博, 中山 敏, 藤本 保志, 松塚 崇, 寺田 聡広, 奥村 耕司, 竹内 秀行, 松本 昇
    1997 年 23 巻 3 号 p. 530-534
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺乳頭がんの予後は一般に良好である。頸部郭清ではいかに機能障害の少ない手術を行うかが大切である。
    われわれは癌の進行度に応じて頸部郭清術を使い分けている。Lateral component に対しては Jugular Neck Dissection (JND, 深頸郭清術) と Modified ND (MND) を用いる。 JNDは甲状腺癌取扱い規約のV, VIに当たる内深頚リンパ節と鎖骨上窩リンパ節の郭清を行う。MNDはこれに副神経リンパ節 (規約のVII) の郭清を追加する術式である。この中でJNDについてその手術手技を中心に述べる。切開切離はメスによる鋭的切離を基本として行う。メスによる切離は術者と助手の間でカウンタートラクションを十分に行うことが大切である。郭清は6つの面 (上面: 顎二腹筋後腹, 外面: 胸鎖乳突筋内面, 内面: 深頸筋膜面, 後面: 胸鎖乳突筋後縁, 下面: 鎖骨上縁, 前面 (甲状腺): 前頸筋外側面) を順次切離するように行う。N044例にJNDを行い, 組織学的リンパ節転移を内深頚リンパ節に75%認めた。これまでの経過観察ではJNDを受けた症例に非郭清部および郭清部の再発はない。
  • 清川 兼輔, 田井 良明, 矢永 博子, 井上 要二郎, 山内 俊彦, 力丸 英明, 森 一功, 中島 格
    1997 年 23 巻 3 号 p. 535-541
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    大胸筋皮弁は血管吻合や体位変換を必要とせず口腔再建において普遍的なFlapである。しかし, (1)血行障害 (部分壊死) (2)頚部の拘縮や再建部位の下方牽引(3)胸部の変形の問題点がある。大胸筋皮弁の有用性を再認識するためには, これらの問題点の解決が必要である。
    血行障害については, 次の4点を行うことで解決された。(1) 皮島の採取部位; 皮島内に第4肋間で乳輪の内側1~2cmの部にある内胸動脈前肋間枝の穿通枝を含み, 皮島の下端は大胸筋の下縁を越えない。(2) 皮島の形状と大きさ; 欠損部の形状を正確に型どりそれより1~2割大きめの皮島を採取。(3) 大胸筋の胸壁からの剥離; 第4, 5, 6間穿通枝をできるだけ胸壁側で切離しこれらの穿通枝の損傷を防止。(4) 皮島の到達距離の延長; 安全な範囲内での皮島の採取と Pedicle への緊張や圧迫の防止。
    頸部の拘縮や再建部位の下方牽引については, Pedicle の多くの部分を血管柄としたことと鎖骨下を通した到達距離の延長法によって Pedicle 部分に余裕が生じたことで解決された。
    胸部の変形については, 大胸筋の鎖骨部と胸骨部の一部を胸部に温存することで鎖骨下部を陥凹変形が, 側胸部にかけてのV字状の皮弁を用いることで前胸部の長い瘢痕と乳輪乳頭の偏位が防止できた。
    大胸筋皮弁の安全な挙上法と鎖骨下を通した移動法の工夫によって大胸筋皮弁の問題点の多くが解決された。特に最大の問題点である血行障害において Microsurgery と変わらない96%の成功率が得られ, 大胸筋皮弁の安全性が確立された。
  • 中塚 貴志, 波利井 清紀, 朝戸 裕貴
    1997 年 23 巻 3 号 p. 542-546
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    遊離空腸移植術は, 通常の咽喉食摘後の頚部食道欠損の再建に標準的術式として多くの施設で用いられている。その理由は, 血行が良く術後合併症が少ない, ドナーの犠牲が少ない, 食道側の口径と空腸の口径が一致する, 採取が容易である, などが挙げられる。これに対し, 進行癌のため咽頭側の切除断端口径が大きくなり空腸移植では良い嚥下機能が得難いと思われる症例に対して, われわれは遊離結腸移植術を用い良好な結果を得ている。結腸は口径が太い, 血管柄が長い, 長い直線状の腸管が移植できる, 蠕動様運動が少ない, などの利点が挙げられる。
    本稿ではわれわれが用いているこれら遊離腸管移植の実際の手技について述べる。
  • 野崎 幹弘, 佐々木 健司, 竹内 正樹, 木田 亮紀, 坂本 隆, 竹生田 勝次
    1997 年 23 巻 3 号 p. 547-552
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    遊離腸管移植による咽喉食摘後の食道再建は今や確立された手技となったが, 自験例でもこれらの再建による患者たちの食道発声の獲得率は極めて乏しい。そこでわれわれは音声同時再建を試みた。
    咽喉食摘後遊離腸管を用いて食道再建と併せて気管とのシャント形成による音声獲得を図った再建例は25例である。回盲部移植の8例 (I群), 同一血管茎の空腸片を2つ分け, 片方をサイフォン型にしてシャント形成した5例 (II群), 移植空腸の量的犠牲を少なくする目的で空腸壁の一部を筒状弁にしてエレファント型のシャント形成した12例 (III群)である。
    呼気時に永久気管孔を用指的に塞ぐことにより tracheo-esophageal shunt を介しての発声は可能となったが, 音声解析上3群間に差異は認められなかった。しかしながらわれわれの開発したIII群の術式は donor の犠牲が少なく, 発声の容易さから最も優れていると考えられた。
  • 光嶋 勲, 稲川 喜一, 漆原 克之, 森口 隆彦, 秋定 健, 折田 洋造, 細田 超
    1997 年 23 巻 3 号 p. 553-557
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    “キメラ型遊離合併型組織移植”とは, 独立した栄養血管茎を有する移植片を複数合併し, 各々の独立した栄養血管同志を吻合することにより, 移植床側の単一の動静脈源から豊富な血行を受けさせるものである。“モザイク型連合皮弁”とは単一の栄養血管で2種類の連合した長い皮弁を生着させるものである。外側大腿回旋動脈系を軸血行とするこれらの合併組織移植は, 軸となる血管系が10cm以上と長く太く, 同一部位から血管付き骨移植片を含めた複数の組織を採取できる。また, 複雑な三次元的な再建が容易に可能で, 術中の体位変換も不要である。また, 癌切除と同時に移植片の挙上が可能で, 長時間を要する再発または進行した頭頸部癌の治療には最適である。さらに, 神経血管付大腿直筋などを合併移植すれば, 顔面表情筋の動的再建もでき, 頭頸部の広範で深部に及ぶ欠損創の形態的・機能的な再建に有用である。
  • 西尾 正道, 明神 美弥子, 川島 和之, 溝口 史樹, Noriko MITA
    1997 年 23 巻 3 号 p. 558-564
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    イリジウムなどの新しい線源の開発, 後充填法による術者被爆の軽減, コンピューターによる線量計算法の確立, そして診断技術の進歩による適応小病巣の検出などにより, 小線源治療は適応が拡大し, 新展開を見せている。しかし従来より標準的に行われている舌癌に対するセシウム針による低線量率組織内照射はなお有効な治療法である。本稿ではこの治療の技術的な実際の手技を中心に報告した。また1978年から1995年の期間に組織内照射を行った舌扁平上皮癌一次症例185例の治療成績を示した。原発巣の5年局所制御率は89%であり, 5年累積生存率は71%, 5年原病生存率は83%であった。更にイリジウム線源などその他の治療にも簡単に触れ, 症例に応じて各線源の特徴を生かした最適な線源の選択・使用が重要であることを報告した。
  • 神宮 賢一, 秋田 雄三, 島村 易, 國武 直信, 中村 和正, 大曲 淳一, 和田 進, 上原 智, 増田 康治
    1997 年 23 巻 3 号 p. 565-572
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1978年11月から1991年3月までの九州大学病院放射線科, 1985年1月から1994年12月までの九州がんセンター放射線治療部で密封小線源治療を受けた, 1987年UICCのT1, 2舌癌新鮮症例312例を分析した。腫瘍容積および照射体積を減量と, 腫瘍最深部での組織学的Jacobson-山本分類を行うため, 腫瘍部分切除あるいは大きく生検した。
    ラジウム針あるいはイリジウムヘアピンで70Gy/3-10照射した。
    T1症例での後発頸部リンパ節転移発生率は, Jacobson-山本分類のgrade 1-3では27%であるが, grade 4では53%であった。T2症例では, grade 1-3では28%であるが, grade 4では82%であった。
    T1, T2の2年局所制御率は, 95%, 82%であった。T1, T2の2年晩期反応 (下顎骨露出あるいは難治性軟部組織潰瘍) 発生率は, 7%, 12%であった。
  • 井上 武宏, 井上 俊彦, 山崎 秀哉, エルバラディ マナール, 清水谷 公成, 田中 英一, 手島 昭樹, 渕端 孟, 古川 惣平
    1997 年 23 巻 3 号 p. 573-577
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高線量率 (HDR) 組織内照射は医療従事者の被曝を皆無とした。患者はアイソトープ病室に隔離される必要がなく, 合併症のある患者や高齢者の治療も可能である。1991年6月から頭頸部癌に対するHDR組織内照射の第I/II相試験を行い, 60Gy/10回/1週間を標準的な治療線量とした。
    舌癌に対するHDR組織内照射単独と低線量率 (LDR) 単独の第III相試験では5年局所制御率はHDRが94%, LDRが90%であった。30~40Gyの外部照射と48~54GyのHDR組織内照射で治療された11例の舌癌患者とLDRで過去に治療された症例と比較すると, 5年局所制御率はHDRが81%であり, LDRが74%であった。HDRで治療された16例の口腔底癌の患者とAuグレイン (LDR) で治療され患者を比較すると, 5年局所制御率はHDRが94%であり, LDRはT1が76%, T2が60%であった。
    頭頸部癌に対するHDR組織内照射の治療成績はLDRと同等かそれ以上であった。HDR組織内照射はLDRにかわりうる治療方法と考える。
  • 木村 幸紀, 柳澤 昭夫
    1997 年 23 巻 3 号 p. 578-582
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌癌の予後の改善には頸部リンパ節転移の予知が必要である。著者らのこれまでの検討では, 固有筋層浸潤舌癌では転移率が59%と高いが, 転移群と非転移群の組織像の比較では有意な相違点はなかった。そこで今回, 癌抑制遺伝子p53の異常が舌癌の頸部リンパ節転移に関与するか否かについて検索した。組織学的大きさが2cm以下 (pT1) の固有筋層浸潤舌癌で舌部分切除術による単独治療後に頸部リンパ節転移を生じた10例と3年以上転移がなかった9例について, 全割標本の組織学的観察とp53蛋白過剰発現の有無に関する免疫組織学的検索を行った。その結果, p53蛋白過剰発現陽性群の転移率: 73% (8/11), 発現陰性群: 25% (2/8) で前者の転移率が高かった。また, 組織分化度別の検討でも同様にp53蛋白過剰発現陽性群の転移率が高かった。よって, p53蛋白過剰発現の検索は舌癌切除後の頸部リンパ節転移の推測に有用である可能性が示唆された。
  • 田村 真司, 與田 順一, 寒川 高男, 高野 郁晴, 山中 昇
    1997 年 23 巻 3 号 p. 583-588
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上咽頭癌22例, 中咽頭癌22例についてp53癌抑制遺伝子の発現と予後, および上咽頭癌と Epstein-Barr virus (EBV), 中咽頭癌と human papillomavirus (HPV) の関連を検討した。上咽頭癌では, p53蛋白の発現は63.6% (14/22例) に認められた。p53蛋白の発現と臨床病理学的パラメーターには有意な関連が認められなかった。EBVは22例中16例 (72.7%)で検出され, EBV陽性の症例でp53蛋白の発現がやや高い傾向がみられた。p53蛋白の発現と予後との関連は認められなかった。中咽頭癌では, p53蛋白の発現は59.1% (13/22例) に認められた。p53蛋白の発現は, T3, 4に比してT1, 2の症例で頻度が高い傾向がみられた。HPVは22例中7例 (31.8%) で検出され, HPV陽性の症例ではp53蛋白の発現の頻度は低値であった (p<0.05)。Stage3, 4の症例において, p53蛋白陽性の症例は陰性の症例より予後不良であった (p<0.05)。また, p21蛋白の発現は, 上咽頭癌, 中咽頭癌においてp53蛋白の発現や予後とは相関がみられなかった。
  • 家根 旦有, 宮原 裕, 内藤 宏昌, 松永 喬
    1997 年 23 巻 3 号 p. 589-594
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌および甲状腺癌においてp53遺伝子異常とその意義について, 免疫染色および分子生物学的手法を用いて検討した。対象は下咽頭癌28例と甲状腺癌27例 (培養細胞2例含む) を用いた。免疫染色法は2種類の抗体 (Bp53-12, DO 1) を用い, 遺伝子解析はp53遺伝子の exon 5~9をPCR-SSCP法および direct sequence 法で検索した。結果は下咽頭癌において免疫染色で14例 (50%) に陽性を認め, 遺伝子解析では9例 (32%) 10カ所に遺伝子異常を認めた。下咽頭癌の予後は遺伝子異常を認めた症例では差を認めなかったが, 免疫染色で陽性を認めた症例では予後不良であった (p<0.05)。Brinkman index および Sake index はp53異常群 (遺伝子異常または免疫染色陽性) で高い傾向を認めた。甲状腺癌では, 遺伝子異常は未分化癌1例, 未分化癌由来の培養細胞2例にのみ認められ, 分化癌には認められなかった。甲状腺においてp53遺伝子は, 未分化癌の発症に関与する重要な遺伝子であることが示唆された。
  • 中島 寅彦, 王 雪峰, 益田 宗幸, 熊本 芳彦, 小宮山 荘太郎
    1997 年 23 巻 3 号 p. 595-599
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎癌, 喉頭癌におけるp53発現を免疫組織化学的に解析し, 症例の予後との相関を検討した。上顎癌, 喉頭癌, ではそれぞれ65%, 48%の症例にp53の異常蓄積が認められたが, p53発現と予後の間に関連は認めなかった。1次治療が放射線療法 (FAR療法) のみにて行われるT1症例に限り, 今後再検討する必要がある。また, 上顎癌を対象にp53発現と癌組織のアポトーシス感受性について検討したが, これも有意な結果は得られなかった。p53の過剰発現は癌周囲の正常組織, 前癌状態から認められ, 病理学的な変化以前の遺伝子レベルの細胞の変化を, とらえている可能性がある。
  • 藤原 俊義, 田中 紀章
    1997 年 23 巻 3 号 p. 600-605
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年の分子生物学の進歩による発癌過程における遺伝子レベルでの解析は, 癌遺伝子や癌抑制遺伝子などの複数の癌関連遺伝子の異常が癌細胞としての悪性形質の獲得に関与していることを明らかにしてきた。なかでも, 癌抑制遺伝子p53の変異はヒト悪性腫瘍で最も高頻度に認められる異常であり, その遺伝子産物の機能解析から癌細胞の異常増殖能や治療抵抗性の発現に重要であることがわかってきた。そこで, 変異したp53遺伝子の機能を正常遺伝子で補うことで癌細胞の特性を根本的に転換しようとする概念が生まれてきた。かつては実験室レベルでのみ行われていた細胞内への遺伝子導入は, 主に非増殖性ウイルスベクターを使用することで実際に遺伝子治療として臨床的に試みられ, 米国をはじめ世界中で多くの臨床プロトコールが進行中である。本稿では, 正常なp53遺伝子導入による分子療法の可能性について概説する。
  • 神田 重信, 中山 英二
    1997 年 23 巻 3 号 p. 606-611
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉癌の手術法として下顎骨辺縁切除か下顎骨区域切除かを選択する場合, 下顎骨の上下方向の浸潤範囲が判断の重要な要因の一つとなる。そこで今回, 各種画像診断法による下顎歯肉癌の下顎骨浸潤の有無および範囲の診断における各種画像検査法の特徴と診断性能について考察した。口内法デンタルX線写真は微妙な骨変化を鋭敏に検出し, 感度が高いが偽陽性の割合が高く特異度が低い。パノラマ断層写真は画質的に鮮鋭度が劣るが, 下顎管に達する骨破壊の正診率はパノラマ断層写真単独では82.9%, 口内法デンタルX線写真との組み合わせでは88.6%であり, 下顎骨の上下方向の浸潤範囲を診断するのに有効な検査法である。X線CTの正診率は85.0%であったが, 三次元的な腫瘍の広がりを診断する上で欠かせない検査法である。以上より, 下顎骨の上下方向の浸潤範囲を判定するには口内法デンタルX線写真とパノラマ断層写真を必須として用い, X線CTで補うのが妥当と考えられた。
  • 鄭 漢忠, 戸塚 靖則, 福田 博
    1997 年 23 巻 3 号 p. 612-617
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎管分類における辺縁切除の適応を明らかにする目的で, T1~T3例を対象に臨床的・病理組織学的検討を行った。T分類では, T2が39例と多く, T1, T3はそれぞれ4例であった。47例の治療法は, 23例は手術単独, 12例は手術と放射線併用, 9例は手術と化学療法併用, その他3例であった。下顎の切除法は, 33例に辺縁切除を, 14例に区域切除を行った。術前X線所見と摘出物の病理組織学的所見との比較の結果, X線所見で明らかな骨吸収を認めないもの, 平滑状の骨吸収を示し, 骨吸収深度が下顎管を越えないもの, また症例によっては, 虫喰い状で, 骨吸収が歯槽部にとどまるものが辺縁切除の適応と考えられた。また, 辺縁切除症例と区域切除症例の2年原発制御率は, 各々83.0%, 75.0%であり, 明らかな差は認めなかったことから, 上記の適応症例に関しては, 積極的に辺縁切除を試みるべきと考えられた。
  • 大関 悟, 大部 一成, 前田 幸弘, 高木 潤吉, 大石 正道
    1997 年 23 巻 3 号 p. 618-624
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉癌の手術においては, 根治性が損なわれず安全に切除できるならば, 術後の形態や機能温存の上で, 下顎骨の連続性が保存される辺縁切除が有利である。過去24年間に当科で治療を行った下顎歯肉扁平上皮癌81例を対象に術前治療の効果と下顎骨切除法や原発巣の再発との関連を調べ, 下顎辺縁切除術の適応について検討した。術前治療のCR率は55.4%で, CR症例のうち12例は手術を行わず, 残り69例の下顎骨の切除方法は, 区域切除17例, 辺縁切除43例, 骨削除・歯肉切除9例であった。原発巣再発は19例 (23.5%) にみられ, 区域切除11.8%, 辺縁切除18.6%, 骨削除・歯肉切除55.6%, 非手術33.3%の再発率であった。X線像による骨浸潤様式や下顎骨の切除方法と再発との関係から下顎管上までの平滑型浸潤症例に辺縁切除が可能と思われた。また術前治療の組織学的効果が良好なほど局所再発率が低く, 術前治療効果を上げることで, 辺縁切除術が安全に行い得ると思われた。
  • 工藤 啓吾, 八木 正篤, 降旗 球司, 村上 裕子, 石川 義人, 福田 喜安, 横田 光正, 大屋 高徳
    1997 年 23 巻 3 号 p. 625-630
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉扁平上皮癌のX線骨吸収様式と骨吸収深度からみた下顎辺縁切除とその再建について検討した。対象は区域切除17例, 辺縁切除19例, その他7例であった。これらのX線骨吸収様式と骨吸収深度, 臨床的, 組織学的治療効果, 再建方法, 顎義歯の装着状態, 分化度と浸潤様式別転帰, 累積生存率などを比較した。その結果, (1) 下顎辺縁切除はX線骨吸収様式が平滑型で, 骨吸収深度が歯槽部および下顎管の上方部に限局し, 術前治療が奏功すると腫瘍再発がなく, 植皮やD-P皮弁による再建後も経過が良好であった。(2) X線骨吸収様式が虫喰型で, 骨吸収深度が下顎管の上方部へ及ぶと腫瘍再発も認められた。このような症例には下顎管を含めた rim mandibulectomy が適応するが, 骨折を併発しやすいので残存骨の骨折予防のため金属プレートによる固定が重要であった。(3) X線骨吸収深度が下顎管を含むときは, 骨吸収様式に関係なく, 下顎区域切除がなされるべきである。
  • 草間 幹夫, 岸 豊子, 星 健太郎, 名取 恵子, 松本 玲子, 生田 稔, 亀卦川 昭宗, 酒井 英紀, 榎本 昭二, 倉林 亨
    1997 年 23 巻 3 号 p. 631-636
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉癌に対する手術は, 従来より区域切除を主体として行われ, 良好な治療成績が得られているが, それを基本としつつ患者のQOLを考慮し辺縁切除の適応の拡大に努めてきたので報告した。
    下顎骨吸収深度 Grade2 (骨体部, 下顎管上の骨吸収) で, 骨吸収様式が平滑型 (Pressure type) の症例までは下顎辺縁切除が可能であった。腫瘍の軟組織進展範囲別では頬側進展型に原発巣再発の頻度が高く, 区域切除の適応が多かったが, 下顎歯肉癌全体で術前治療後の縮小手術は14.9%に行われた。画像診断特に Dental CTにより, 下顎下縁の保存に関する判断が容易となった。
  • 佐藤 淳一, 瀬戸 〓一
    1997 年 23 巻 3 号 p. 637-643
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉癌36例について検討を行った。辺縁切除, 区域切除, 下顎半側切除の選択は次のような基準で行った。すなわち, 1. 下顎歯肉あるいは皮質骨に腫瘍が限局している場合には, 辺縁切除を行い, 骨の安全域を2cmとする。2. 下顎歯槽部に腫瘍の浸潤がある場合には区域切除を行う。3. 下顎管周囲に腫瘍が浸潤している場合には下顎半側あるいは関節突起基部までの切除を行う, である。これらの原則に従い下顎の切除を行い, 辺縁切除4例, 区域切除25例, 半側切除2例, 亜全摘5例であった。局所再発例は全例区域切除症例で, 1981年~1988年までの12例中5例に, 1989年~1995年までの24例中3例に局所再発が見られた。術後機能は辺縁切除症例では殆ど発音や咀嚼障害は認められなかった。区域切除, 半側切除, 亜全摘症例のうち22%の患者は常食の摂取が不可能であったが, 会話明瞭度では殆ど障害がなかった。
    これらのことから十分な安全域を含んで区域切除を行い, 骨と軟組織の確実な再建を行う事で, 良好な予後と術後機能が得られると思われた。
  • 山下 敏夫
    1997 年 23 巻 3 号 p. 644-648
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耳下腺手術時の顔面神経損傷を回避するためには, まず手術々式の正しい選択が大切である。耳下腺良性腫瘍に対し, 一般的には直接的部分切除術が最良の方法であり, 腫瘍が小さく下極に限局している症例では下顎縁枝だけを露出, 保護する方法がすすめられる。悪性腫瘍に関しては, 腫瘍と顔面神経との位置関係, 腫瘍の悪性度や大きさを考慮し, 可能なものは顔面神経保存をはかる。その際術中の迅速病理組織診が有用である。手術手技としては, まず顔面神経を主幹と分枝の両方から発見, 露出できるように習熟することが大切である。次いで神経自体をソフトに扱うことも重要であり, それらの操作にたとえば拡大鏡付メガネなどが役立つ。
  • 市村 恵一
    1997 年 23 巻 3 号 p. 649-653
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    傷害の危険性のある神経に対処するには, 神経を同定したうえで, それを温存する方法と, 最初からそこに操作が及ばないようなアプローチでいく方法がある。舌神経は顎下神経節の処理もあり, 必ず同定すべきものであるが, 顔面神経下顎縁枝にどちらの方法を採用するかは意見が分かれている。教室の20年間の顎下三角手術 (悪性腫瘍を除く) 124側での神経合併症を検討した。30%で下顎縁枝の麻痺がみられたが, 全て一過性だった。神経を同定した群の方が麻痺発生率が高かった。舌神経の麻痺は3例のみであった。以上の結果と解剖学的知識から以下のアプローチ法が適切と考えられる。炎症のように顎下腺摘出のみでよいなら, 被膜に沿った剥離を行い, 下顎縁枝は同定しない。腫瘍で顎下三角内の周囲構造も郭清する際は神経を確実に同定保存する。何れの場合も舌骨よりやや上のレベルの皮切が好ましい。舌神経の同定は鈎による顎舌骨筋の前方牽引で容易になる。
  • 小宗 静男
    1997 年 23 巻 3 号 p. 654-659
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去5年間に副咽頭間隙腫瘍16例に対し手術を行った。16症例のうち12症例については, Cervical-parotid approach で腫瘍摘出術を行った。術後神経障害を認めたのは, 迷走神経障害1例のみであった。本法は手術侵襲が少なく, ほとんどの副咽頭間隙腫瘍に対し, 下部脳神経障害をきたさず腫瘍摘出ができる優れた方法である。その手術方法および16例の病理学的所見について詳述した。
  • 毛利 光宏, 天津 睦郎
    1997 年 23 巻 3 号 p. 660-664
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頸部郭清術後, 胸管損傷によって生じる乳糜漏はその治療にしばしば難渋する。当科で行っている胸管損傷防止法を, その手術術式を中心に報告した。
    胸管をその静脈流入部で確認し, 胸管の走行を明らかにすることで胸管の損傷を防ぐものである。まず第一段階は静脈系を静脈角を中心として広範囲に露出することであり, これは頸動脈鞘を開放して内頸静脈に沿って下方に剥離することで達成される。第2段階は胸管を確認し, 周囲から胸管に流入するリンパ管を結紮切断しながら弓状をなす胸管の頂上までその走行を明らかにする。
    この方法では胸管の走行を明視することで, 胸管ぎりぎりまで郭清が可能となること, 胸管の保存が可能となること, が特徴である。欠点としては多少時間がかかることだが許容範囲内と考えている。
  • 松浦 秀博, Yasuhisa HASEGAWA, Bin NAKAYAMA, Yasushi FUJIMOTO, Kouji OKUMUR ...
    1997 年 23 巻 3 号 p. 665-668
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部手術の副損傷を回避するために役立つよう, 損傷の実例, 3例を供覧し, その対策を述べた。耳下腺浅葉切除の顔面神経, 頸部郭清術の迷走神経, そして胸管である。
    なお, 本シンポジウムを終わってからの感想も追記として記した。
  • 辰野 聡
    1997 年 23 巻 3 号 p. 669-673
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨へ進展しこれを破壊するほど進行した状態で来院する舌癌症例は少ないが, 下顎骨腫瘍進展の有無と程度を正確に診断することは治療法の選択に重要である。この点において理学的診断は信頼性が低く, 術前術中の病理組織診断は不可能なため, CT, MRIに代表される断層画像診断の果たすべき役割は大きい。特に画質の改善が著いMRIを適切に用いれば, 微細な悪性腫瘍の骨進展の描出も可能となっている。ただし, 単純X線像, CT, MRIはいずれも腫瘍の骨への進展破壊を過大評価する傾向にあるため, 注意が必要である。骨シンチグラフィは偽陰性率が非常に低いので, 単純X線像で明らかな骨破壊がない場合に施行すれば有用性が高い。このとき, 利用可能な敷設ではSPECTを追加すことがのぞましい。
  • 藤井 正人
    1997 年 23 巻 3 号 p. 674-678
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨ないし下顎骨膜へ浸潤する舌・口腔底癌に対して術前治療として化学療法を施行しその役割について検討した。T1症例1例, T2症例3例の下顎骨膜浸潤例とT4症例3例の下顎骨浸潤例計7例のうち6例に対してNACを施行し, CR 1例PR 3例NC 2例と判定された。下顎骨への浸潤が骨膜までの場合, T1症例では放射線療法を追加し機能温存が可能であった。T2症例ではNACが無効であっても充分な下顎骨辺縁切除で制御可能であった。下顎骨に浸潤するT4症例では下顎区域切除による亜全摘によっても局所制御できない症例もありNAC奏効例が予後良好であった。 NACにより腫瘍が縮小しても組織学的効果が低い場合は切除範囲が不十分となり再発に結びつく例がみられた。以上より下顎浸潤舌癌に対する化学療法は初期癌における機能温存や強い組織学的効果による予後改善の可能性が示唆されたが, 無効である場合は切除範囲を更に広くとることが必要と考えられた。
  • 唐澤 久美子, 小久保 奈穂子, 武本 充広, 兼安 祐子, 福原 昇, 喜多 みどり, 大川 智彦, 石井 哲夫
    1997 年 23 巻 3 号 p. 679-684
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌癌下顎骨浸潤例では局所効果の高い組織内照射が困難であり, さらに腫瘍制御に高線量が必要となるため一般的には根治照射の適応とならない。下顎骨浸潤例に対する放射線療法の第一の役割は手術を補助し, 局所制御を高めることである。術前照射は切除しにくい症例の切除をしやすくする, 術後照射は顕微鏡的, 肉眼的残存腫瘍を治療する目的があり, 適切に組み合わせれば局所制御率の向上が期待される。この場合, 化学療法併用により治療成績の向上が報告されている。また, 手術不能例に対しても多分割照射法による根治放射線療法に化学療法を併用すればいままで有効な手段のなかった症例にも根治の可能性がある。どのような症例においても, 放射線の果たす役割を適切に判断し, 適切な時期に適切な治療計画にて照射を行えば放射線は有力な武器となるであろう。
  • 井之口 昭, 熊本 芳彦, 横光 智, 小宮山 荘太郎
    1997 年 23 巻 3 号 p. 685-690
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨浸潤を伴うような進行性の舌癌の治療では手術, 放射線, 化学療法を組み合わせた combined therapy の実施が必要であるが, これらをどのように組み合わせて治療を行うかについて切除手術の立場から検討した。当科にて1次治療を行った舌・口腔底の扁平上皮癌症例94例中, 9例において下顎骨切除を行った。腫瘍が下顎骨に接しているが固着しておらず, 骨への浸潤がない場合, 下顎骨辺縁切除を行い, 下顎骨への浸潤が認められる場合は, 区域切除を行った。9例中4例に術前放射線治療を行ったが, 1例を除き有効ではなく, 30 Gy程度の放射線治療では充分な効果は望めないと考えられた。術後治療は1例に放射線・化学療法を行った。予後については1例を除き, 再発を認めなかった。また Stage III・IVの5年生存率はそれぞれ68%, 54%であり, 徹底した手術と放射線療法を組み合わせた combined therapy が進行舌・口腔底癌の予後成績の向上に役立つことが再確認された。
  • 野口 誠, 金城 尚典, 小浜 源郁
    1997 年 23 巻 3 号 p. 691-697
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌における癌浸潤様式と細胞核DNA量 (超4C率) に基づく悪性度診断の有用性について検討した。口腔扁平上皮癌411例の癌浸潤様式別の5年累積生存率は, 1型; 98%, 2型; 90%, 3型; 75%, 4C型; 61%, 4D型; 51%であった。口腔扁平上皮癌104例の超4C率からみた生存率は, 10%未満; 98%, 10%以上; 58%であった。癌浸潤様式3型, 4C型ならびに4D型における超4C率からみた生存率においても10%未満の症例が有意に良好な成績であった。以上のことから, 両者を合わせみることでより確度の高い予後因子になり得ることが示唆された。一方, 再発, 進行癌では初回手術時あるいは再発時の悪性度が治療前の生検組織より grade up する症例がみられた。これらの症例では初回に得られた悪性度より grade up して対処する必要があると考えられた。
  • 田原 真也, 牧野 邦彦, 天津 陸郎
    1997 年 23 巻 3 号 p. 698-702
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去10年間に我々が経験した口腔内悪性腫瘍症例中, 手術侵襲が下顎骨に及んだ140例を抽出してその再建方法を検討した。下顎骨辺縁切除までが102例あり, うち90例が前腕皮弁で, 12例が腹直筋皮弁で再建されていた。一方区域切除まで行われたものが38例あり, 3例を除いてなんらかの下顎骨再建が行われていた。この結果から下顎再建の基本方針をまとめると次のようになる。1) 下顎骨になんらかの侵襲が加わっても, 辺縁切除までなら, 軟部組織のみの再建を行う。再建材料は前腕皮弁または腹直筋皮弁を組織欠損の大きさに応じて選択する。2) 下顎骨区域切除が行われた場合, 彎曲部の再建には二重血管茎とした肩甲骨皮弁を用いる。3) 直線部の欠損では肩甲骨皮弁, もしくは腓骨皮弁のいずれかをそれぞれの特徴と欠損部の性状によって選択する。4) インプラント埋設による歯牙再建は健丈な下顎が再建されていれば, 咀噛能の獲得が可能であり今後さらに適応が増すと考える。
  • 津田 豪太, 斎藤 等, 大坪 俊雄, 藤枝 重治, 野田 一郎, 都築 秀明, 田中 信之, 杉本 千鶴, 伊藤 聡久, 須長 寛, 斉藤 ...
    1997 年 23 巻 3 号 p. 703-708
    発行日: 1997/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    通常の分割照射では十分な制御率と喉頭保存率が得られにくい喉頭癌T2症例を中心に, 1991年より多分割 (1日2回) 照射法 (以下多分割群とする) を採用し, 15例に施行してきたのでその結果について報告した。通常の分割照射を施行したT2症例31例 (以下通常群とする) と多分割群とを比較すると, 喉頭保存率は初回治療時で80.6%に対し100%, 最終の保存率も61.3%に対し80.0%と有意な差をもって多分割群が良好であった。一方, 5年生存率では通常群 (85.2%) が多分割群 (76.9%) よりも若干良好であったが有意な差はなかった。制御不能例は頸部転移例であり, 通常群と差がなかった。多分割群がやはり急性反応は強くでるが, それ自体が治療の妨げとなることはなく, いずれの治療法でも致死的な副作用は認められなかった。しかし, 多分割照射群において1例に両側性喉頭麻痺と喉頭壊死が生じ, 二次的な喉頭全摘術を余儀なくされた。
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