頭頸部腫瘍
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24 巻 , 1 号
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  • 清水 わか子, 荻野 尚, 石倉 聡, 河島 光彦, 池田 恢, 藤井 博文, 海老原 敏, 斉川 雅久, 浅井 昌大, 林 隆一
    1998 年 24 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当院で進行食道癌に対して治療効果のあったCDDP+5-FUの化学療法と放射線治療の同時併用療法 (FP-RT) を, 進行頭頸部扁平上皮癌に応用した。対象は18例で, 新鮮例15例, 再発例3例であった。FP-RTの主たる副作用は粘膜炎と骨髄抑制であった。16例で強力な疼痛制御を必要とする粘膜炎が発生したが13例で予定通りの治療が可能であった。奏効率94.4%, 腫瘍消失率55.6%と高い抗腫瘍効果を示し, 腫瘍による気道閉塞6例中4例で腫瘍の縮小により気道確保が得られた。リンパ節残存例では, FP-RT終了後, リンパ節郭清術により局所制御が可能であった。本治療法は臨床的に実行可能な治療法であり, 進行頭頸部癌患者のQOLの維持にも有用な方法と考えられた。
  • 宮原 裕, 家根 旦有, 上村 裕和, 松永 喬
    1998 年 24 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喉頭癌に対する治療法は声門部癌, 声門上癌, TNレベル, 腫瘍発育形態, その他を考慮して治療選択され, 5年生存率は他臓器癌に比してはるかに良好である。しかし, 頸部リンパ節転移例は予後不良の例がある。そこで, 1986年9月より1996年12月迄に当科で加療した喉頭癌192例のうち, 治療時すでに両側の頸部リンパ節転移陽性N2c例 (7例) や, 喉頭全摘術と併せ行った頸部郭清術によって両側頸部リンパ節転移陽性であったpN2c症例 (5例) を取り上げ, 臨床的に検討した。すべて supraglottis であり, 1例は multicentric であった。放射線単独治療はT1, T2例2例に対し施行され, 1例に頸部郭清術が施行され, 共に非担癌生存 (NED) である。他は喉頭摘出, 両側頸部郭清術が施行された。加療後pN2c例は5症例すべてT4症例であり, 内4例に術後照射が行われた。予後は遠隔転移死5例, 他癌死1例であった。
    T1, T2の一部の例を除いて予防的郭清術は重要で, supraglottis T4症例に対する両側頸部郭清術は徹底すること, 術後照射は意義があると考えられた。遠隔転移対策がさらなる治癒率向上のためには検討課題である。
  • 森山 万紀子, 熊谷 茂宏, 川尻 秀一, 小島 潔, 柿原 謙一郎, 山本 悦秀
    1998 年 24 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    乳癌, 大腸癌, 前立腺癌で血管密度が予後因子となり得ることが報告されているが, 頭頸部癌では血管密度と予後との関係について未だ一致した見解を得るに至っていない。そこで, 血管内皮細胞に特異的な抗体JC-70Aを用い, 口腔扁平上皮癌44例について血管密度と臨床病理組織学的因子との関係について検討し, さらに血管内皮増殖因子VEGFとそのレセプター (KDR, Flt-1, Flt-4) の発現の様相についても検討を加えた。その結果, 血管密度は浸潤様式分類の1型で高値を, 4D型で低値を示したが, 頸部リンパ節転移との関連性は認めなかった。VEGFの発現強度は, 頸部リンパ節転移陽性例で有意に高値を示した。また, 頸部リンパ節転移陽性例では全例にFlt-4の発現を認めた。以上の結果より, 口腔扁平上皮癌では血管密度だけでリンパ節転移や予後を予測することは困難であり, 今後, リンパ管の新生を含めた検討が必要であると考えられた。
  • 横山 純吉, 志賀 清人, 西條 茂, 松本 恒, 小川 芳弘
    1998 年 24 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部進行癌19例に Seldinger 法により超選択的に, CDDP100mg/m2を1週毎に動注した。鎖骨下静脈より内頸静脈との合流部にカテーテルを挿入し Sodium Thiosulfate を投与する二経路動注療法を考按し, 抗腫瘍効果の増強と骨髄抑制や腎機能障害等の副作用軽減し抗癌剤の投与間隔を短くし治療期間を短縮しえた。[目的] 抗腫瘍効果の増強を図り, 全身的な副作用を軽減することにより治療期間の短縮と予後の改善 [方法] (1) CDDP 100mg/m2を1週毎に動注し, 同時に200mol倍量のSTSを腕頭静脈より点滴静注する。(2) 術前治療では2回目動注2週後にMRIにて評価し手術施行し, 根治治療例では3回目動注時より放射線治療を併用した。[結果] 抗腫瘍効果CR 14/19, PR 5/19。動注開始から手術での期間は平均21±1.5日であった。
  • 宮口 衛, 久保 武
    1998 年 24 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上皮成長因子受容体 (EGFR) は放射線治療を施行した喉頭癌および三者併用療法を施行した上顎癌の局所再発率と有意の相関があることを報告してきた。今回同一の上顎癌患者から樹立された3株 (IMC-2, 3, 4) を用いてEGFRと放射線感受性との関係を検討した。EGFRは免疫染色にて各々100個の細胞のEGFR染色濃度を画像解析装置を用いて定量した。放射線感受性は1, 2, 4, 6Gy照射後のコロニー形成率から細胞生存率を求めた。EGFRはIMC-2>IMC-3>IMC-4の順に多く出現していた (P<0.001)。1, 2, 4GyではIMC-2>IMC-3>IMC-4の順に細胞生存率が高かった。IMC-2: IMC-3間では有意差は認めなかったがIMC-2: IMC-4, IMC-3: IMC-4間で有意差を認めた (P<0.01もしくはP<0.001)。EGFR出現量と放射線感受性が相関することが示唆された。従ってEGFRが過剰発現している細胞ほど放射線感受性が低く, EGFR出現量が喉頭癌, 上顎癌の局所再発と有意に相関していた臨床結果を支持する結果が得られた。
  • 中澤 光博, 岩井 聡一, 松村 達志, 田村 啓史, 森賀 繁, 植草 康浩, Rifat HASINA, 作田 正義
    1998 年 24 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Lund (Jakobsson) の組織学的悪性度評価法を用い, 扁平上皮癌30例について一次治療前と再発時の組織学的悪性度を生検標本より求めた。外科療法群 (S群) 10例と放射線治療群 (R群) 20例に分け, Lund の8項目と総点数について, 両群の変化を比較した。悪性度総点数の増加した症例は, S群で40%, R群で75%であった。総点数の平均値の変化は, S群で0.5点 (18.4→18.8) (ns), R群で3.2点 (18.8→22.0) (p<0.05) となり, R群において大きな悪化が認められた。項目別に見ると, S群では有意に増加したものはなかったが, R群では appearance, nuclear differentiation および cellular response の3項目が有意に増加していた。Tumorhost relationship を示す4項目は, 両群ともにすべて増加していたが, R群において著明であった。治療後は, 宿主の組織の抵抗性が減弱することが示された。このような変化は, 再発腫瘍の治療にあたって考慮すべきであると考える。
  • 西嶌 渡, 竹生田 勝次, 君塚 幸喜, 古宇田 寛子, 鈴木 政美, 鈴木 政彦
    1998 年 24 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    en blok に郭清する根本的頸部郭清術に対して, 我々の施設では, 胸鎖乳突筋や副神経を温存する目的から, 郭清の対象となる脂肪塊を分割して郭清を行っている。この分割郭清に対する安全性について検討した。対象は, 頭頸部に原発した3例 (舌癌2例, 喉頭癌1例) のN2b扁平上皮癌症例患者で, 郭清の際に内頸静脈と副神経によって脂肪塊が3分割されてた症例である。計9個の脂肪塊を, リンパの流れに垂直の方向に5μの連続切片を作成し, リンパ管内のがん細胞の有無を追跡した。9個の脂肪塊から11個のリンパ節転移を認め, うち7個でリンパ節被膜に隣接したリンパ管内に癌細胞の侵襲を認めた。しかし, リンパ節から離れた部位におけるリンパ管内にはがん細胞の侵襲は認められなかった。このことは, 転移性リンパ節が認められた場合に, このリンパ節の被膜を損傷しなければ, そのリンパ節が含まれる脂肪塊を分割したとしても, がん細胞の播種の危険性がそれほど高くないことを示唆したものと思われた。
  • 藤枝 重治, 斎藤 等, 関 瑞恵, 都築 秀明, 須長 寛, 田中 信之, 野田 一郎, 杉本 千鶴
    1998 年 24 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CD40はB細胞上に存在し, T細胞上などのCD40-ligand (CD40L) と結合し, B細胞の増殖, クラススイッチを含む分化, 生存に関するシグナルが伝達される。さらにこのシグナルはアポトーシスに関連があるシグナルとされてきた。そこで今回B細胞以外にも頭頸部癌細胞株でCD40が存在しないかどうか, フローサイトメトリーを用いて検討してみた。IMC-2, IMC-3, KB, HTC/C3, CA-19.9の5つの細胞株の中で甲状腺癌由来のHTC/C3だけがCD40陽性であった。そこで抗CD40抗体を培養系に添加してCD40を刺激してみると, HTC/C3のコロニー形成が, 抗CD40抗体濃度依存性に抑制した。一方CD40陰性であった他の細胞株に抗CD40抗体を添加しても全く影響を及ぼさなかった。抗CD40抗体はHTC/C3に対する殺細胞効果はなかったが, Bcl-2を誘導するとともに, 抗Fas抗体によるアポトーシスを抑制した。さらにBcl-2のアンチセンスオリゴを導入すると, 抗CD40抗体の作用は解除された。つまり抗CD40抗体によるHTC/C3細胞増殖抑制は, Bcl-2のG1 arrest によるものであることが判明した。臨床的に成長がゆっくりな甲状腺癌由来の細胞にのみCD40が陽性であったことは, 非常に興味深いと思われた。
  • 新美 敦, 藤内 祝, 上田 実
    1998 年 24 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    放射線照射部位ヘオッセオインテグレーテッドインプラントを植立する際の問題点に関して多施設共同研究のデータを中心に文献的考察を行った。その結果, 放射線照射からインプラント植立までの期間は1年から2年が適切であること, 放射線照射線量が少なくともインプラント脱離のリスクは高まること, 高気圧酸素療法併用の効果は下顎では明らかでないことが示された。
  • 小村 健, 山下 知巳, 柳井 智恵, 竹内 洋介, 鈴木 晴彦, 嶋田 文之, 和田 勝則
    1998 年 24 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌における紡錘細胞癌の発生頻度は極めて低く, 自験例の4例は全舌癌症例の0.9%を占めるのみであった。2例は舌扁平上皮癌に対する放射線治療の既往があり, これらでは radiation related cancer の可能性が示唆された。生検で紡錘細胞癌と診断されたのは1例のみで, 診断に際しては臨床所見から本腫瘍を考慮した生検が必要である。臨床的には内向型発育を示すものが多いが, 組織学的には紡錘細胞癌の扁平上皮癌成分は浸潤性増殖が著明であった。頸部リンパ節および肺への転移頻度は高く, 扁平上皮癌成分とともに肉腫様成分も多くの転移巣で確認され, 生物学的悪性度は扁平上皮癌に比し高かった。治療の第一選択は外科的切除で, 術後照射も有効と考えられる。
  • 久保田 彰, 古川 まどか, 福島 啓文, 山下 浩介, 杉山 正人, 西海 智子, 矢野間 俊介, 加賀田 博子, 谷垣 裕二
    1998 年 24 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    がん告知が患者の人間関係, 心理状態, 生活状態, 身体状況のQOL4指標にどの様な影響を及ぼすかを検討するために, 未治療頭頸部がん患者の75例を対象に入院から退院まで2週おきにQOL調査 (FLIC) を行った。
    人間関係 (P=0.04), 心理状態 (P=0.003), 生活状態 (P=0.0001) は退院までに有意に改善した。さらに告知は患者の人間関係 (P=0.03) や, 心理状態 (P=0.03) を有意に改善することが判明した。
    人間関係, 心理状態に及ぼす告知の有無や他の諸因子の影響度を重回帰分析により解析した。その結果告知 (P=0.008) と手術 (P=0.040) が人間関係を有意に改善する因子であることが明らかになった。しかし心理状態では手術のみが有意な因子 (P=0.048) で, 患者の手術後の心理的落ち込みは大きく, 告知により手術の必要性を理解しても, 心理的負担は軽減できないことが明らかになった。
  • 大野 芳裕, 藤井 正人, 徳丸 裕, 今西 順久, 菅家 稔, 神崎 仁, 茂松 直之, 中山 俊威
    1998 年 24 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1997年にUICCより上咽頭癌に対する新病期分類 (新分類) が発表された。新分類では上咽頭に限局した腫瘍はT1で鼻腔・中咽頭進展がT2a, また副咽頭腔進展がT2b, 骨・副鼻腔浸潤がT3と定義されるため画像診断が必須となる。N分類では片側か両側転移で各々N1, N2と定義されN3は6cm以上か鎖骨上リンパ節転移となる。Stage 分類ではIV期はT4かN3またはM1に限られる。そこで, 1984年から1995年の間に慶應義塾大学病院を受診した上咽頭扁平上皮癌症例で, 初診時にCTまたはMRIを施行した30例について新分類を行い, その有用性をこれまでの分類 (旧分類) と比較検討した。その結果, 病期に関して新分類では早期により多く分類されたため旧分類では Stage III, IV例が多数を占めていたものが各 Stage に分散された。上咽頭癌は浸潤性発育を示すことが多く画像診断が重要であるためそれを加味した新分類は有用と思われた。
  • 勝野 哲, 石山 哲也, 坂口 正範, 宮下 浩一
    1998 年 24 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌 (T2N2bM0) の内頸動脈高位浸潤症例に対し, 沼田らが報告した対側外頸-中大脳動脈バイパス術による頸動脈血行再建を追試した。術後脳虚血合併症もなく, 患者は25ヶ月後の現在も非担癌生存中である。同術式は腫瘍摘出と血行再建を分割して行う術式であり, 手術侵襲の軽減, 再建血管の破錠回避, 腫瘍切除の根治性向上などの点から優れた術式であることを確認した。また同術式に頭蓋内内頸動脈クリッピング術を併用するなど若干の工夫を加えた。
  • 上田 和毅, 佐竹 文介, 吉積 隆, 宇留間 哲也
    1998 年 24 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    大腿皮弁は上腕皮弁の約1.7倍の厚みがあり, また, ややしなやかさに欠ける。この性状の違いが術後の機能に反映されるかどうかを検討した。舌癌半側切除後の欠損に対し, 前外側大腿皮弁を移植した7例と上腕皮弁を移植した10例 (内側5例, 後側4例, 外側1例) について, 術後6ヶ月を経た時点での機能評価を行った。両皮弁ともに会話機能評価 (広瀬案に基づく日本頭頸部腫瘍学会提唱法による) では十分な機能回復を示した。発語明瞭度は, 大久保らによる100音節リストで正しく発音された率で表わしたが, 上腕皮弁は36%~97%, 大腿皮弁は56%~92%とかなりのばらつきを見せたが, 平均すると両者とも80%弱であり, 差は認められなかった。ただし, 大腿皮弁移植例の方で異聴傾向が多彩であった。食物の口腔内貯留は約60%, 流涎は約30%, 固形物の嚥下障害は約30%と, 両群ともほぼ同じ頻度で自覚症状を認めた。
    結論として, 今回の検討の結果では, 舌半側切除例の再建に関しては, 移植組織としての上腕皮弁と大腿皮弁との間に機能的な差は見出せなかったということであり, 両者をいかに使い分けるべきかという点に関しては皮弁採取部の好みにより決めるべき問題と思われた。
  • 竹内 洋介, 鈴木 晴彦, 重原 岳雄, 小村 健, 嶋田 文之, 幡野 和男, 関谷 雄一, 戸川 貴史
    1998 年 24 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上咽頭癌18例に対して, 放射線・CDDP・5FU同時大量併用療法を施行し, その1次治療効果, 副作用, 転帰について検討した。1次治療効果: 原発巣と頸部を総合すると, 18例中CR2例, PR16例, 奏効率100%, CR率11%であった。原発巣のみでは, 奏効率100%, CR率28%であった。副作用: Grade 3, 4の白血球減少を78%に, また, Grade 3, 4の口内炎, 咽頭炎をそれぞれ83%, 89%と重症な骨髄抑制と口内炎, 咽頭炎を高率に認めた。転帰: 観察期間は6か月~45か月 (中央値23.5か月) で, 原病死2例 (いずれも原発巣), 担癌生存1例, 無病生存15例であった。再発は2例 (11%), 無再発生存は, 15例 (83%) であった。本法の短期的な治療成績は, ほぼ満足できるものの, 骨髄抑制や口内炎, 咽頭炎などの副作用に重症例が高率に認められるため, 治療方法の再検討が必要であると考えられた。
  • 野村 武史, 柴原 孝彦, 野間 弘康, 山根 源之, 横山 顕, 村松 太郎, 大森 泰
    1998 年 24 巻 1 号 p. 83-89
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔癌症例115例 (男性76例, 女性39例) ならびに対照121例 (男性69例, 女性52例) について喫煙, 飲酒歴を調査し, さらに対象の末梢血DNAから, アルデヒド脱水素酵素2 (ALDH2) の遺伝子型を解析した。喫煙率は口腔癌症例で男性84.2%, 女性35.9%と対照 (男性68.1%, 女性5.8%) にくらべ有意に高値を示した (p<0.05)。また飲酒率は口腔癌症例で男性77.7%, 女性35.9%と対照 (男性43.6%, 女性5.8%) にくらべ有意に高値を示した (p<0.05)。さらに, 喫煙指数 (pack-years) 50以上の高度喫煙群および飲酒指数 (sake index) 60以上の高度飲酒群は, 口腔癌症例が対照にくらべ有意に高値を示した (p<0.05)。また, 常習飲酒家の口腔癌症例ではALDH2欠損型の頻度は31.5%であり, 対照18.1%にくらべ高い傾向を示した。すなわち, 喫煙, 飲酒習慣と並び飲酒家のALDH2欠損者も口腔癌のリスクファクターである可能性が示唆された。
  • 古川 まどか, 久保田 彰, 谷垣 裕二, 山下 浩介, 杉山 正人, 西海 智子, 古川 政樹
    1998 年 24 巻 1 号 p. 90-96
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌の Stade IV症例の予後に影響を与える因子について検討した。当科において過去11年間に一次治療を施行した Stage IV症例179例を対象とし, その詳細について長期予後に注目して検討した。生存率は Kaplan-Meier 法を用いて算定し, 各群の検定には logrank 法を用いた。その結果, T分類では, 予後に有意な差はみられなかったが, N分類, M分類は予後を左右する因子と考えられた。さらに, 頸部リンパ節転移においては, 超音波画像で診断した浸潤の有無および程度も予後を反映することが示唆され, とくにN2症例の予後を決定する因子となりうると考えた。治療法では, 根治手術を施行した群が放射線治療群より予後が良好ではあったが, 頸部リンパ節転移の浸潤が診断されていた例では, 根治手術後の予後が不良であった。Stage IV症例では, 頸部リンパ節転移の有無および, その浸潤の有無と程度が予後を決定する重要な因子であると考えられた。
  • 藤井 隆, 佐藤 武男, 吉野 邦俊, 稲上 憲一, 長原 昌萬, 沖田 純, 桃原 実大, 西本 聡
    1998 年 24 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1979~94年に根治照射を施行した声門扁平上皮癌 stage I・II 536例のうち salvage 手術として部分切除術を行った症例 (A群) 35例について, 同時期に初回治療として部分切除術のみが行われた症例 (B群) 28例および他院で根治照射後再発の二次例に対して部分切除術が行われた症例 (C群) 10例と比較した。局所制御率はA群86%, B群86%, C群80%であり, 喉頭温存率は各々80%, 86%, 80%であった。5年累積粗生存率はA群84%, B群96%, C群90%であり, 死因特異的生存率は各々93%, 100%, 90%であった。カニューレ抜去までおよび経口摂取までの期間の中央値は各々A群9日・12日, B群8日・11日, C群13日・14日であった。A群・C群に1例ずつ甲状軟骨炎が生じたが, その他の術後合併症の頻度は各群同等であった。これらの結果より, 喉頭部分切除術が根治照射非制御例に対する salvage 手術としても, 有用で確実性の高い方法であることが示唆された。
  • 秋田 雄三, 神宮 賢一
    1998 年 24 巻 1 号 p. 104-108
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1973年10月から1997年6月までに福岡大学病院において眼球 (水晶体) を含む照射野で放射線治療が行われた患者について, 晩期障害としての白内障発生について検討した。対象となった61症例中17症例 (27.9%), 113眼球中25眼球 (22.1%) に白内障が発生した。25眼球中4眼球 (16%) は高度の視力障害のため手術が施行された。照射線量と発症時期のあいだには相関関係がみられ線量の多い方が早く発症していた。1回線量別では50%の患者に発症する場合, 1.5Gy以上の群の方がそれ未満の群に比べ有意差をもって少ない総線量で発症すると推定された。5年後に5%の患者に白内障を発症させる線量はTDF13 (95%信頼範囲11-14), 50%の患者に発症する線量はTDF21 (19-23), 95%の患者に発症する線量はTDF35 (31-39) と推定された。
  • 岸 豊子, 草間 幹夫, 星 健太郎, 名取 恵子, 松本 玲子, 酒井 英紀, 榎本 昭二, 倉林 亨
    1998 年 24 巻 1 号 p. 109-115
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1995年から96年の間に当科で下顎切除を含む手術を施行した口腔癌患者で, 術前に Dental CTプログラムによるX線CT検査を行った9症例について, 術前の画像診断と手術材料の組織学的所見を比較し検討を行った。単純X線写真で下顎骨吸収様式が平滑型を示した症例の吸収範囲, 吸収深度はDental CT画像とおおむね一致していたが, 虫喰型を示した症例では Dental CT画像による吸収範囲の方が広範囲であった。頬側または舌側の片側のみの歯槽部に限局した骨吸収症例では, 単純X線写真でその吸収像を確認する事ができなかったが Dental CT画像では吸収範囲, 吸収深度が明確に示された。さらに, Dental CT画像で示された骨吸収範囲, 吸収深度は組織学的所見とほとんどの症例で一致していた。以上の結果より, Dental CT画像は正確な骨吸収範囲を判定することができる手段であり, 顎骨切除方法を決定する際に大変有用と思われた。
  • 木村 幸紀, 柳澤 昭夫, 鎌田 信悦, 岡野 友宏
    1998 年 24 巻 1 号 p. 116-120
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌癌は頸部リンパ節転移の予知因子として筋層内浸潤の有無が重要であると報告してきた。今回, 筋層内浸潤部の組織像と頸部リンパ節転移との関連性を検索した。舌部分切除単独治療した筋層内浸潤のみられたpT1N0舌扁平上皮癌のリンパ節後発転移陽性10例と陰性10例を対象に, 筋層内の癌巣の浸潤様式, 組織分化度および角化様式について検討した。筋層内浸潤様式別転移率は, 滴下浸潤型: 47% (8/17), 癒合浸潤型: 67% (2/3) で有意差はなかった。組織分化度別では高分化型: 38% (5/13), 中分化型: 0% (0/1), 低分化型: 83% (5/6) であった。角化様式別では癌真珠形成型: 18% (2/11), 不全角化型: 89% (8/9) であった。また, 高分化型でも不全角化型のものは転移率100% (3/3) であった。よって, 筋層内浸潤様式とリンパ節転移の関連性はないが, 組織分化度が低分化型のもの, 高分化型でも角化傾向が弱く癌真珠を形成しない型にリンパ節転移が多いと言えた。
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