頭頸部腫瘍
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24 巻 , 3 号
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  • 西田 光男, 飯塚 忠彦
    1998 年 24 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Supraomohyoid Neck Dissection は口腔扁平上皮癌症例におき, 高頻度でリンパ節転移が認められるオトガイ下・顎下, および胸鎖乳突筋後縁より前方かつ肩甲舌骨筋より上方に位置する上中深頸部のリンパ節群のみを一塊切除する領域頸部郭清術である。胸鎖乳突筋, 副神経, 内頸静脈は温存する。一般的には選択的 (予防的) に適用されているが, 一部の症例では治療的にも実施されている。本術式は節外浸潤症例を除き, 頸部のリンパ組織が頸筋膜, 血管鞘により筋肉, 血管実質から隔絶されているという解剖により成立し, この fascia をリンパ組織とともに鋭的に切除すれば根治性を失わず, かつ筋肉, 神経, 血管の温存が可能で形態, 機能障害などの後遺症は最小限となる。しかし適応症例は厳選されねばならない。手術手技上, 上内深頸領域の郭清が難しく, 頭板状筋, 肩甲挙筋面から完全に郭清し, その郭清組織は同領域から副神経の下面を通して潜らせ前方へ運ばねばならない。
  • 吉野 邦俊, 佐藤 武男, 藤井 隆, 稲上 憲一, 長原 昌萬
    1998 年 24 巻 3 号 p. 297-303
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    両側頸部リンパ節転移に対する頸部郭清では, 各側について再分類した N-stage に応じて術式を選択する。我々が行っている術式は, N0, N1には supramohyoid neck dissection を行うが, 舌前方の癌やN1の転移部位や大きさによっては level IVも郭清範囲に人れている。N2a, N2b, N3では modified radical neck dissection またはRNDを原則としている。健側の予防的郭清の適応は, 深部浸潤傾向の強いT3, T4か, 舌前方下面の癌である。郭清の際の注意点は, 舌前方の癌ではとくに肩甲舌骨筋沿いの郭清, 舌骨直上で舌骨舌筋内側の舌静脈沿いリンパ節の取り残しがないようにすることである顎下部は患側では原発巣と一塊切除となるので問題ないが, 健側では顎舌骨筋の上面 (sublingual space) の郭清を注意して行う一内頸静脈は進展度の少ない一側は温存するようにするが, 両側切除がやむを得ない場合は, 少なくとも一側 (可能ならば右側) の静脈再建を行うのが好ましい。
  • 西尾 正道, 明神 美弥子, 川島 和之, 溝口 史樹, 鬼丸 力也, 田中 克彦, 浅野 勝士, 染川 幸裕
    1998 年 24 巻 3 号 p. 304-310
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌癌の組織内照射治療例を中心に, 術前照射後に舌原発巣切除と頸部郭清術を行なった手術症例も含めて, 舌癌の頸部リンパ節転移の問題を論じた。
    1978年から1995年の期間に舌扁平上皮癌一次症例229例を分析対象とした。181例は組織内照射を行い, 48例は術前照射後に手術療法を行った。頸部リンパ節転移の出現部位は, 顎下部, 上内深頸部が好発する結果であった。
    組織内照射例のリンパ節の治療は watching policy でも治療成績に変わりはなく, 予防的頸部郭清は不必要と考えられた。また組織内照射例の舌原発巣の合併症は, 組織内照射直後に頸部郭清術を行った症例に多く認められたが, 許容可能な合併症古発生率であった。死因の63%にN因子が関連しており, 頸部リンパ節転移の制御が最も予後因子として重要なことが示された。
  • 八尾 和雄, 高橋 廣臣, 岡本 牧人
    1998 年 24 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    これまでの上顎洞癌の治療方法は, 上顎全摘出術, 根治照射および多量の化学療法を行うことが一般的であった。しかしその結果は決して良いものでなかった。たとえ治癒したとしても前後逆に入れかえる患者のQOLは, 顔面の醜形, 機能障害により損なわれることが多いようであった。そこで我々は顔面形態を保存する画一的治療方法で上顎洞癌を治療することとした。1975年から1993年までにこの北里方式で治療した上顎洞癌症例は63例でこれらを臨床的に検討した。すべての症例は歯齦部切開で腫瘍摘出術がなされ, 同時に術前後に総量16Gyの放射線治療, また局所動注療法を行った。手術は可及的に肉眼で確認できる腫瘍は摘出し, 術後に細胞性免役を維持あるいは賦活するようにした。初診時および経過中のリンパ節転移はリンパ節摘出を行った。累積5年生存率は病期IIが100%, 病期IIIが93%, 病期IVが73%であった。
  • 齋藤 清, 吉田 純, 高橋 正克, 長谷川 隆, 福田 慶三
    1998 年 24 巻 3 号 p. 316-319
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭蓋底悪性腫瘍の25例に対して一塊切除術を行った。原発部位は上顎7例・眼窩6例・その他の鼻副鼻腔5例・聴器3例・その他4例で, 内11例は再発例であった。腫瘍が頭蓋底骨を破壊していない11例では硬膜外操作で頭蓋底骨切を行い, 頭蓋底骨を margin とし摘出した。6例で腫瘍は頭蓋底骨を破壊して硬膜に進展しており, 硬膜内から頭蓋底を切断し硬膜を margin として摘出した。8例では腫瘍が脳実質に進展していたため, 腫瘍進展のない部分で脳実質を切断し, 腫瘍周囲に正常脳実質を付けて硬膜や頭蓋底組織と共に一塊で摘出した。全症例の2年生存率・5年生存率は72%・47%であった。硬膜外切除例・硬膜合併切除例・脳実質合併切除例の2年生存率は各々81%・63%・71%で, 統計学的に有意差は認められなかった。予後不良因子を検討したところ, 有意に予後を悪くしていたのは上顎癌 (2年生存率50%) と海綿静脈洞全体への進展 (2年生存率33%) であった。
  • 岡本 美孝, 松崎 全成, 上條 篤, 荻野 純, 永関 慶重, 貫井 英明, 横溝 道範, 戸川 清
    1998 年 24 巻 3 号 p. 320-324
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    内頸動脈に浸潤する進行頭頸部癌に対しては, 根治を目指すならば内頸動脈を含む en bloc 切除が必要である。頭蓋外での内頸動脈切断については, 術前の Matas-PET あるいはSPECTにて良好な側副血行が確認出来た症例では, 頸部血行再建なしに一期的切除が, 重篤な脳神経症状の発現をみることなく安全に行いえた。しかし, 頸動脈管, S状静脈洞を含めた広範な中頭蓋窩底切除を施行した症例では, 術前評価で良好な側副血行路の存在が示唆されていたにもかかわらず, 術後広範な梗塞が出現した。一方, 同様な切除ではあるが, 頸動脈管切断前に頭蓋外一内のバイパス手術を施行した症例では, 特に合併症の出現は認めなかった。頭蓋底頸動脈管の切断については, 手術侵襲の大きさ, S状静脈洞を含めた静脈還流系の大きな変動等が関与し, 切断後の脳虚血の有無を前もって評価することは難しく, 積極的な血行再建術を考慮すべきと考えられる。
  • 横山 純吉, 志賀 清人, 西條 茂, 松本 恒, 小川 芳弘
    1998 年 24 巻 3 号 p. 325-333
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部進行癌36例に Seldinger 法により超選択的にCDDPを一週毎に動注し, 鎖骨下静脈より内頸静脈との合流部にカテーテルを挿入し Sodium Thiosulfate (STS) を投与する二経路動注療法を考按し, 抗腫瘍効果の増強と骨髄抑制や腎障害等の副作用軽減し治療期間を短縮し得る事を報告してきた。化学療法の最大の問題である抗癌剤耐性因子の発現のある腫瘍も, 抗癌剤の腫瘍内濃度を高め, 克服できた。[目的] 機能を温存しながら抗腫瘍効果の増強と全身的な副作用を軽減することにより, 治療期間の短縮と予後の改善 [方法] 1) CDDP 100mg/m2を一週毎に動注し, 同時にモル比200倍のSTSを腕頭静脈より投与する。2) 術前治療では2回目動注2週後に手術し, 根治治療では3回目動注より放射線治療を併用した。[結果] 抗腫瘍効CR26/36 (72%), PR10/36 (28%) 動注開始から手術まで平均 21±3 日であった。
  • 藤内 祝, 林 康司, 上田 実, 柳川 繁雄, 石垣 武男, 高橋 正克, 中島 務
    1998 年 24 巻 3 号 p. 334-340
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部悪性腫瘍の10例 (原発巣4例, リンパ節転移6例) の進展症例に対して温熱放射線化学療法を行い, 従来の温熱療法を併用しなかった症例に比べ良好な治療成績であった。病理組織診断は骨肉腫, 悪性線維性組織球腫, 扁平上皮癌, 腺癌である。温熱療法はRF誘電加温法の外部加温法と磁場誘導加温法の組織内加温法である。化学療法は非上皮性悪性腫瘍に対しては high-dose MTXを中心とし, 扁平上皮癌に対して low-dose CDDPを中心とした。放射線療法は外照射である。N3症例は術前治療として温熱放射線化学療法を行った。その結果, 原発巣に対する臨床効果はCRh: 1例, PRh: 2例, NCh: 1例であり, 2例生存 (最長44ヵ月) している。N3症例に対する臨床効果は6例全てPRhであったが, 術後の摘出物の病理組織学的効果では大星・下里分類のGr. III: 1例, Gr. II b: 3例, Gr. II a: 2例, と有効であり3例生存 (最長46ヵ月) している。このように特にN3症例に対する術前温熱放射線化学療法は従来の治療に比べきわめて有効であった。
  • 唐澤 久美子, 小島 菜穂子, 姫井 健吾, 兼安 祐子, 喜多 みどり, 大川 智彦, 石井 哲夫
    1998 年 24 巻 3 号 p. 341-346
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当科におけるIV期局所進行頭頸部癌に対する, Neo-adjuvant Chemotherapy (NAC) 及び同時併用化学療法併用の多分割照射法の成績を報告し, 難治の癌に対する機能・形態温存及び腫瘍制御の可能性を探った。対象症例は29例で, 年齢は34から77才, 男性28例, 女性1例, 原発部位は中咽頭14例, 下咽頭8例, 喉頭7例で, 全例扁平上皮癌であった。NACはシスプラチン (CDDP) と5フルオロウラシル (5FU) を原則とし, 同時併用化学療法としては低用量カルポプラチン (CBDCA) 等を用いた。放射線療法は一日二回で, 1回線量1.2-1.3Gyで総線量は72-78Gyとした。経過観察期間は3から45ヵ月, Kaplan-Maier 法による2年生存率は全体で42.0%, T4で43.8%であった。この成績は, 従来の放射線療法の治療成績と比較し良好であり, 難治癌に対する有望な戦略と考えられた。
  • 三浦 隆男, 岸本 誠司, 中谷 宏章, 齋藤 春雄
    1998 年 24 巻 3 号 p. 347-351
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    軟口蓋に加え, 側壁や舌根におよぶ中咽頭広範囲欠損の再建には, 遊離腹直筋皮弁が最も良好な術後機能が温存できることを報告してきた。この理由としては, 皮弁にボリュームがあり鼻咽腔を狭めに再建できること, さらに, 皮弁のもつ柔らかさにより残存軟口蓋などの動きが腹直筋皮弁に伝わりやすく, 二次的に皮弁自体がよく動くことも鼻咽腔閉鎖に役立っているためと考えた。
    さらに経過を観察していくと, 残存軟口蓋と腹直筋皮弁との縫合方法の相違により, 術後機能の推移に多少の差異がみられた。すなわち, 残存軟口蓋を腹直筋皮弁の遠位断端と縫合するよりも, 皮弁の一部を脱上皮した部分に残存軟口蓋を縫合するほうが, 良好な術後機能が維持できる傾向にあった。
  • 細田 超, 光嶋 勲, 畑 毅, 出口 博代, 片山 佳之
    1998 年 24 巻 3 号 p. 352-357
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌根, 中咽頭側壁欠損を遊離組織移植術で再建した18症例の術後嚥下機能を摂取食物形態, 水飲みテスト, Videofluorography により評価し, その再建術式を検討した。舌切除範囲は口腔舌を含め舌根1/2以上, 同側の舌骨上筋群, 口底が切除された。中咽頭側壁は舌切除または下顎枝切除に合併切除された。
    舌根1/2欠損10例は中咽頭側壁を合併切除しても前大腿皮弁や腹直筋皮弁再建により良好な嚥下機能が得られた。舌根2/3+中咽頭側壁欠損3例は前大腿皮弁で再建しても, 誤嚥が後遺した。舌が温存された中咽頭側壁欠損5例は残存粘膜の縫縮が可能な切除範囲でも遊離皮弁再建の方が術後嚥下機能は良好であった。術後嚥下機能は舌根切除範囲の拡大と共に低下した。その原因は再建舌根部の容積不足による口腔咽頭閉鎖不全と舌骨上筋群広範切除に伴う喉頭挙上障害と考えられた。今後, 再建術式の改良と誤嚥防止術の併施を図る必要がある。
  • 小村 健
    1998 年 24 巻 3 号 p. 358-364
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    中咽頭上壁・側壁側壁合併切除後の再建法とその術後機能について報告した。術式は中咽頭後壁切除縁より咽頭筋粘膜弁を形成, これを翻転し, 硬・軟口蓋断端に縫着し, 上・中咽頭の境界部を狭く形成する。さらに咽頭後壁断端と舌根とを縫縮し下部口峡を狭く形成し, 露出した筋や他の粘膜欠損部を皮弁で被覆する。中咽頭上壁1/2~2/3および側壁を合併切除した21例に本再建法を施行, 術後は鼻呼吸障害はなく, 鼻腔逆流も軽度であり, 誤嚥も少なく, また鼻咽腔閉鎖不全に起因する構音障害も許容範囲内であり, 本再建術は簡便で中咽頭の重要な機能の温存をはかる有効な方法と考えられた。
  • 西川 邦男
    1998 年 24 巻 3 号 p. 365-381
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭蓋底手術は, 頭蓋底に浸潤した頭頚部癌に対して, 癌の一塊切除と治療成績の向上を目的としている。われわれが施行している副鼻腔癌の前中頭蓋底手術の骨切り設定線は, 前頭蓋底骨は健側篩骨洞天蓋, 中頭蓋底骨は卵円孔を通り, 蝶形洞体部側面で前頭蓋底骨切りと連続する骨切りである。頭蓋内外合併到達法による頭蓋底手術30症例のなかで副鼻腔癌の前中頭蓋底手術14症例について, 術式と治療成績から海綿静脈洞浸潤症例の手術適応について検討したので報告する。海綿静脈洞への到達法は前床突起を削除後, 内頸動脈硬膜輪を切開し, 内頸動脈に沿って前外方より海綿静脈洞に進入, これを合併切除している。海綿静脈洞非浸潤症例8例のうち, 硬膜外操作切除できた7例のうち5例は非担癌生存である。一方, 海綿静脈洞浸潤症例6例は, 生存例3例, 死亡例3例である。生存例の中で119ヶ月と長期生存例は, 海綿静脈洞浸潤が前外側部に限局している症例であった。
  • 木股 敬裕, 内山 清貴, 海老原 敏, 岸本 誠司, 浅井 昌大, 斎川 雅久, 大山 和一郎, 羽田 達正, 林 隆一, 太田 洋二郎, ...
    1998 年 24 巻 3 号 p. 382-387
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    再建方法が進歩した今でも, 舌全摘術を施行すると術後に大きな機能障害を残すことが多い。当院にて舌全摘後に遊離組織移植による再建をした26例について術後の機能を検討した。平均年齢は54.6歳 (20~77) で, 平均観察期間は34カ月 (4~144) であった。喉頭挙上は4例に, 気管切開は1例を除いて全例に施行した。皮弁は腹直筋が21例で, その他として広背筋, 大腿, 前腕が移植されていた。
    術後8例に誤嚥または嚥下性肺炎を認め, 結果的に3例に喉頭全摘を, 3例に喉頭閉鎖を追加した。完全な喉頭温存が可能であった症例は16例 (61.5%) であった。食事内容は軟食が80.7%であり, 会話機能はある程度の会話ができるにとどまった。
    喉頭温存が不可能であった症例を検討すると, 皮弁の容量不足, 舌骨喉頭蓋切除症例における喉頭の下降, 広範囲な合併切除範囲のための再建の限界, 術前に合併していた脳機能障害などが考えられ, 今後の課題として残った。
  • 下郷 和雄
    1998 年 24 巻 3 号 p. 388-392
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    遊離舌の癌からの転移の形成は約半数の例で認められる事から, この癌の治療において頸部郭清術のはたす役割は極めて大きい。
    本稿では頸部郭清術のうち, 最も基本的な根本的頸部郭清術の術式を流れに沿って簡単に記した。術の流れの大略は, 皮切に始まり上方皮膚広頸筋弁の挙上飜転→上限の設定→前後方皮膚広頸筋弁の挙上飜転→下限の設定→後端の設定→深頸筋群からの標本の切離挙上→頸動脈鞘の処理→頤下三角と顎下三角の郭清→頸部郭清標本の切除→止血, 洗條→閉創である。私はこの手術に際して, 腫瘍に伴う変化を見逃す事のない様, また筋膜をきちんとつけて切除する事により少しでも安全域を確保できるようにとの考えから, メスを用いてできるだけ鋭的に切離を進める事を心掛けているので, 術中の各段階での写真を示してその操作の一端を紹介した。
  • 花沢 秀, 今野 昭義
    1998 年 24 巻 3 号 p. 393-402
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌口腔底再建後の構音能と咀嚼嚥下能を調べた。対象は1971年12月から25年間に秋田大学, 国立水戸病院耳鼻科で治療した舌癌51, 口腔底癌10, 下歯肉癌16例だった。再建は1985年以前は有茎皮弁, 以後は遊離皮弁を主に用いた。構音能は発語明瞭度 (語明度) と日常生活上の構音障害, 咀嚼嚥下能は食餌内容と摂食法を検討した。結果: (1)舌癌 舌半切後の構音能は前腕皮弁が最良で語明度は平均82%だった。舌2/3切除, 亜全摘の語明度は平均60.56%, 舌全摘は22から48%だった。舌半切後の咀嚼嚥下能は良好だったが, 舌亜全摘, 全摘では高度障害例もあった。(2)口腔底癌 語明度は切除範囲によりばらつきが大だった。全例経口摂取だったが7割はお粥, 軟食, 1割は流動食だった。(3)下歯肉癌 舌切除例の語明度は下顎再建の有無で差はないが, 舌切除無しでは下顎再建の有無で80.55%と差があった。下顎再建例の4割が普通食を摂取していた。
  • 藤本 保志, 長谷川 泰久, 中山 敏, 寺田 聡広, 奥村 耕司, 松塚 崇, 竹内 秀行, 松本 昇, 松浦 秀博
    1998 年 24 巻 3 号 p. 403-407
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    (目的) 口腔がん手術前後の加齢の影響の定量的解析と術前の予測。(対象と方法) 1994年9月から1997年11月までの口腔癌手術例42例。上食道口開大遅延時間T (M-UES) と%LE, 術後の誤嚥, 年齢の関係を検討した。(結果) 術後T (M-UES) は術前より有意に延長した。術後誤嚥を認める症例でより延長し, 加齢との有意な相関を認めた。術前T (M-UES) は加齢による変化は見られず, 術後の誤嚥, 術後T (M-UES) とも相関がなかった。術後に誤嚥を認める群では術前の%LEが低く, 術後T (M-UES) と有意な負の相関を示した。(結論) 術後嚥下機能への加齢の影響は嚥下反射の低下としてあらわれる。術前には明らかでない咽頭期の遅れも, 術後に顕在化する。嚥下能力に対する加齢の影響は術前から認められ, それを予測するパラメーターとして%LEが有用である。
  • 臼井 秀治, 下郷 和雄, 大岩 伊知郎
    1998 年 24 巻 3 号 p. 408-416
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎顎欠損症例に対する顎補綴の考え方を製作着手時期の早期化, 製作所要日数の短期化とともに, 腫瘍加療途上のいずれの時点においても組み込み得る顎補綴を行い, '81年から'98年までに340例の上顎顎補綴症例を経験した。うち軟口蓋欠損例は97例あり, 軟口蓋機能に大きく影響を及ぼさないと考えられる軟口蓋前端部欠損の1/4欠損を除いた25例を対象症例とした。プロテーゼの術後製作着手時期とその製作所要日数の検討とともに, アンケートによる会話機能の評価を行った。製作着手時期は, 術後3週以下が7例 (28%) で, 最短着手時間は13日後3例 (12%) であり, 製作所要日数は2-3日が17例 (68%) で, 最短日数は2日13例 (52%) であった。アンケートによるその機能評価は, 他覚的会話能が63%で自覚的会話能は50%であった。プロテーゼは装着され, 患者のQOLの向上に役立っているものと思われた。
  • 鹿野 真人, 長谷川 博, 桑畑 直史, 佐久間 仁, 大谷 巌
    1998 年 24 巻 3 号 p. 417-422
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    根治的頸部郭清術において, 重要となる郭清部位と神経保存のポイントについて述べた。舌癌において重要な領域である耳下腺下極リンパ節の郭清では, 下極の切離線を下顎後静脈と顔面神経下顎縁枝が耳下腺内で交差する高さとした切除を行いたい。胸鎖乳突筋を保存する場合, この筋の上端の裏面, 副神経の外側では環椎横突起を解剖学的指標として確実な郭清を行う。肩甲舌骨筋周囲には舌からの浅いリンパ流があり, 肩甲舌骨筋の外側, 舌骨下部の郭清を十分に行うべきである。
    顔面神経下顎縁枝は顎下部を弧状に走行する枝もあり, 麻痺防止にはこの枝の確認保存が重要となる。腕神経叢は肩甲上神経, 長胸神経が単独に走行する場合があり, 近くを併走する鎖骨上神経の切離の際には注意が必要である。郭清下縁のリンパ管の結紮切離では横隔神経, 迷走神経の切断の危険性がある。郭清外側の僧帽筋前縁から内頸静脈に組織を挙上し, 横隔, 迷走神経を側面から確認遊離した後にリンパ管組織を結紮切離することで神経損傷を防止している。
  • 行木 英生
    1998 年 24 巻 3 号 p. 423-428
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    各頭蓋底に浸潤した上顎癌の一塊切除と再建の術式をビデオで供覧し, 頭蓋底外科を導入した上顎癌の外科的治療において, その成績を向上させるポイントについて述べた. その第一は, 前および中頭蓋底に浸潤したT4の癌を原発部位とともに一塊として根治切除すること, 第二はそれにともなう硬膜, 頭蓋底, および顔面組織 (軟部組織と硬組織) の欠損によって生じたQOLの低下を改善するために, 硬膜と頭蓋底・顔面の再建を安全に行うこと, 第三は頭蓋内外の交通を完全に遮断して頭蓋内合併症の発生を予防することであり, 第四は上顎癌とりわけ頭蓋底への上顎進行癌の治療成績の向上のためには耳鼻咽喉科, 脳外科, 形成外科によるチームサージャリーが有効に機能することである。
  • 中山 敏, 長谷川 泰久, 藤本 保志, 竹内 秀行, 松浦 秀博
    1998 年 24 巻 3 号 p. 429-434
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去6年間に, 上顎洞癌 (T4N0) 拡大切除後の再建術を17例経験した。再建に用いた皮弁は, 腹直筋皮弁8例、前外側 (内側) 大腿皮弁2例, 前外側大腿皮弁と腹直筋皮弁1例, 腓骨付き腓骨皮弁6例であった。また, 腹直筋皮弁および前外側 (内側) 大腿皮弁による軟部組織再建例の5例に対して, 中顔面骨格の再構築を意図したチタンメッシュ埋入術を行った。チタンメッシュは, 軟部組織のみの再建の欠点を補うことができることが明らかになった。また腓骨より簡便さの点で優れている一方, 適応症例に制限があった。
  • 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 苦瓜 知彦, 保喜 克文, 三谷 浩樹, 内田 正興
    1998 年 24 巻 3 号 p. 435-439
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1973-1994年までの期間に再建術をおこなった頭頸部癌1693例のうち, 術後死を除く口腔癌再建例470例を研究対象に, 有茎皮弁と遊離皮弁を以下の観点で比較した。1) 皮弁壊死発生率: 壊死発生率はDP: 22%, PMMC: 16%, Free: 3%であり, 遊離皮弁の安全性が証明された。2) 唾液瘻発生率: 皮弁壊死症例を除き, 唾液瘻発生率を集計すると以下のとうりである。DP: 37%, PMMC: 15%, Free: 6%である。3) 術後経口摂取開始までの期間: この集計も皮弁壊死症例で再手術を要したものは除外し, 平均値で示した。DP: 48日, PMMC: 27日, Free: 14日であった。4) 入院期間: 初回手術 (DP皮弁の Delay も含む) から退院までの平均期間である。術後死は除外したが, 皮弁壊死症例は含めた。DP: 108日, PMMC: 49, Free: 31であった。5) 平均手術時間は遊離皮弁, PMMC, DPがそれぞれ7.4, 6.3, 6.7時間であった。6) 術後発語明瞭度は皮弁間に有意差は見られなかった。
  • 木西 實, 天津 睦郎, 牧野 邦彦, 毛利 光宏, 田原 真也
    1998 年 24 巻 3 号 p. 440-443
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌で喉頭とともに下咽頭・頸部食道を全周性に摘出した場合に食物通路の再建に遊離空腸移植を行うと同時に気管と移植空腸との間に瘻孔を作成する気管空腸瘻形成術を過去10年間に19例に実施し, 16例 (84%) で音声再建に成功した。2例は気管空腸瘻空腸側開口部の狭窄・閉鎖により不成功に終わり, 残りの1例は術後呼吸障害のため発声の機会が得られなかった。
    初発声は平均術後33日, 最長持続発声時間は平均11秒であった。気管空腸瘻発声では移植空腸の蠕動運動により生じた狭窄部が振動源となり, 同一発声中に約100Hzと300Hzの2種類の基本周波数がみられた。
    気管空腸瘻発声を行っている16例全例で誤嚥を認めなかった。これは食物通路から離れた空腸皺壁の深部に気管空腸瘻空腸側開口部が作成され, 気管空腸瘻上部と空腸漿膜の縫合が同部を絞扼しているものと考えられた。
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