頭頸部腫瘍
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25 巻 , 3 号
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  • 木西 實, 天津 睦郎, 田原 真也
    1999 年 25 巻 3 号 p. 389-393
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌で喉頭とともに下咽頭・頸部食道を全周性に摘出した場合に食物通路の再建に遊離空腸移植を行うと同時に気管と移植空腸との間に瘻孔を作成する気管空腸瘻形成術を20例に実施し, 16例 (80%) で音声再建に成功した。3例は気管空腸瘻空腸側開口部の狭窄・閉鎖により音声再建は不成功におわり, 残りの1例は術後呼吸障害のため発声の機会が得られなかった。発声は術後平均1カ月から開始でき, 持続発声時間は平均11秒であった。気管空腸瘻発声では移植空腸内に生じた狭窄部が振動源と考えられた。気管空腸瘻発声が可能となった16例のうち15例で誤嚥を認めなかった。低嚥下圧の移植空腸内の粘膜皺壁の深部に気管空腸瘻空腸側開口部が作成され, 移植空腸筋層の持続的収縮, 気管空腸瘻と移植空腸の接着の補強, および気管空腸瘻前壁の存在が同部を密着・閉鎖し, 誤嚥防止に役立っているものと考えられた。
  • 野崎 幹弘, 桜井 裕之, 佐々木 健司, 吉原 俊雄, 木田 亮記, 竹生田 勝次
    1999 年 25 巻 3 号 p. 394-398
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは咽喉食摘後の患者に対し, 新しい頚部食道・音声同時再建術を考案した。この方法は遊離空腸を二つのセグメントにわけ, 一つを頚部食道に, 他方を気管と再建食道との間のシャントに利用するものである。その形状より“elephant trunk shunt (ETS) 法”と名付けている。本稿においては現在までのETS法による頚部食道・音声同時再建の自験例を review するとともに, 種々の問題点に対して最近われわれが行っている本法施行上の注意点, 工夫について述べる。
  • 川原 英之, 立松 秀樹, 山高 浩一, 櫻井 孝志, 山本 貴章
    1999 年 25 巻 3 号 p. 399-405
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1989年から1998年の間に遊離回盲部移植法を利用した音声再建術 (tracheo-ileocecal shunt: TICシャント法) を15例施行した。会話機能評価基準による術後発声状況は excellent 5例, moderate 7例, poor 1例であった。主な術後合併症は移植腸管壊死1例, 消化管吻合部縫合不全1例, 静脈の kinking による血管再吻合1例などであった。TICシャント法は1) 回結腸動静脈の血管吻合が比較的容易である, 2) 回盲弁がシャントの逆流防止弁として作用する, 3) 術後の嚥下機能が良い, といった利点が認められ, 咽喉食摘後の音声再建手術の選択肢の一つとなり得ると考えられた。
  • 小村 健
    1999 年 25 巻 3 号 p. 406-412
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨の連続性が温存できるか否かは, 再建外科や歯科インプラントが進歩した今日においても, 術後の口腔機能に与える影響は大きい。下顎骨切除範囲は, 腫瘍原発部位, 組織型の他, X線, CT, MRI, 201T1-99mTC dual SPECTなどから, 総合的に下顎骨浸潤の有無, 範囲, 骨吸収様式, 下顎骨周囲進展を診断して設定する。原発性腫瘍では区域切除または半側切除を行う。下顎骨浸潤が疑われる例では辺縁切除, erosive type 浸潤例では辺縁切除, invasive type 浸潤例では区域切除あるいは半側切除を選択する。また放射線治療後再発例は区域切除または半側切除を行う。辺縁切除に際して骨切除部の骨膜は全周切除する。また後方進展例では mandibular swing approach を併用する。下顎骨周囲の深部断端には迅速凍結組織診で, 骨断端部には迅速擦過細胞診で切除の安全性を確認する。
  • 吉積 隆, 佐竹 文介, 宇留間 哲也, 香取 秀明, 鵜飼 潤, 上田 和毅
    1999 年 25 巻 3 号 p. 413-420
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    群馬県立がんセンターにおける頭頸部がん下顎切除症例を集計し, 切除範囲の設定, 骨再建の要否について検討した。過去24年間に当科で下顎骨切除を行った頭頸部がん症例は79例であった。対象疾患は, 下歯肉癌43例, 口腔底癌25例, 頬粘膜癌6例, 中咽頭癌5例であり, 5年累積生存率はそれぞれ41%, 50%, 33%, 0%であった。下顎切除法別では区域切除43例, 辺縁切除24例, 半切ないし亜全摘12例である。5年累積生存率はそれぞれ53%, 50%, 0%であった。原発巣再発は25例に認めたが骨断端再発が疑われたのは5例で, 進展例で軟部組織切除の設定範囲の拡大を考慮すべき結果であったが, 一方では辺縁切除後の骨断端再発はなく適応拡大の可能性が示唆された。1990年以降, 血管柄付き骨移植が区域切除10例, 辺縁切除1例に行われ良好な結果を得たが, 術後の咬合咀嚼機能は十分とはいえずさらに改善が必要と考えた。
  • 森 良之, 高戸 毅, 波利井 清紀
    1999 年 25 巻 3 号 p. 421-425
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    整形外科領域で発展してきた生体の骨形成反応を利用した仮骨延長法は, 近年, 顎顔面領域においても hemifacial microsomia や小下顎症の治療に臨床応用されるようになった。
    一方, 現在では口腔腫瘍切除後の下顎骨再建には, マイクロサージェリーによる遊離複合組織移植が第一選択とされる。しかし, 移植骨が短い場合や術後の瘢痕拘縮などにより口腔内スペースの狭小化が起こり, 咀嚼機能の改善が得られない場合, 下顎骨区域切除後の下顎骨欠損で移植床の吻合血管が存在しない場合, あるいは可動性を有する顎関節形成が必要な場合など, 咀嚼機能の回復は大変困難である。これらの下顎骨再建に, 骨延長術あるいは骨トランスポート法が有用であると考えられ, 最終的な義歯装着のための顎堤形成にまで適応範囲は広がっている。
  • 徳丸 裕, 藤井 正人, 大野 芳裕, 今西 順久, 菅家 稔, 冨田 俊樹, 茂松 直之, 久保 敦司, 神崎 仁, 犬山 征夫
    1999 年 25 巻 3 号 p. 426-432
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1997年に発表されたUICCのTNM分類第5版 (以下新分類) では上咽頭癌において大幅な改訂が行われた。今回我々は, 1980年から1996年に当科にて加療した上咽頭癌一次症例69例を対象に新分類を適用し, 以前の分類 (以下旧分類) との比較, 検討を行った。新分類では病期I, 9例, II, 25例, III, 16例, IV, 19例で, 旧分類ではそれぞれ, 5例, 4例, 14例, 46例であった。新分類では旧分類と比較し砺症例が down staging となり, 旧分類でみられた病期IVへの偏りが修正された。また予後の検討では, 新分類での病期が進むにつれて生存率が低下しており (5生率: I期87.5%, II期77.8%, III期50.0%, IV期47.4%), 旧分類に比べより的確に予後を示していた。上咽頭癌の新TNM分類では, その病期が予後を検討する上で有用であると考えられた。
  • 三橋 紀夫, 江原 威, 前林 勝也, 桜井 英幸, 秋元 哲夫, 早川 和重, 斎藤 吉弘, 黒崎 弘正, 新部 英男
    1999 年 25 巻 3 号 p. 433-437
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    UICCによって1997年に改定されたTNM分類 (新分類) の問題点を明らかにすべく, 当院にX線CTが導入された1980年から1998年までに放射線治療が施行された上咽頭癌77例のうち低分化型扁平上皮癌59例を対象として, 新分類と1987年TNM分類 (旧分類) とを比較検討し以下の結論を得た。X線CTやMRIによる評価が必須となったために, 古い症例の新分類への翻訳が不可能となった。旧分類でIV期に分類されていた症例がIIb期, III期, IVa期, IVb期, IVc期の5つに細分されたことで, IV期への症例の偏りが新分類では是正されたが, 依然としてIV期の中に治癒可能な症例が含まれている。N分類にリンパ節の高さの概念が導入されたが, 放射線治療が主体である上咽頭癌ではリンパ節の高さよりもリンパ節転移の大きさの方を重視すべきである。上咽頭腫瘍には, 進展様式や放射線感受性の異なる腫瘍が存在することから, 組織型や分化度を考慮にいれた病期分類が必要がある。
  • 晴山 雅人, 坂田 耕一, 玉川 光春, 大内 敦, 永倉 久泰, 志藤 光男, 斉藤 明男, 秋葉 英成, 朝倉 光司, 氷見 徹夫
    1999 年 25 巻 3 号 p. 438-441
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1988年1月より1995年9月までに, 放射線治療を施行した29名の上咽頭癌の患者を分析の対象とした。
    MRI及びCTを用いて, 第4版のUICC分類に基づいて stage 分類を行うと, 66%の患者がT4に分類された。T1-T3の7名中1名のみがT4では18名中5名が局所再発を起こした。第5版で分類すると, T1-T2の7名中1名のみがT3-T4では18名中5名が局所再発を起こした。しかし, T3とT4では局所再発の頻度に差がみられなかった。第5版では, 咽頭頭底筋膜を越えた浸潤がみられるか否かで, T2aとT2bに分類している。我々の症例でも, 咽頭頭底筋膜浸潤がみられなかった7例全例で局所制御が得られている。しかし, CTでは, 咽頭頭底筋膜浸潤が検出できず, よって第5版のT分類では, MRIが必須である。
    第4版のN分類では, N2cまたはN3の15名中6名に遠隔転移が発生したが, N1~N2bでは9名中1名に発生したのみであった。第5版のN分類では, N3の5名中4名に遠隔転移が発生した。
    第5版は, そのT分類に, CTやMRIにより検出された腫瘍の深部浸潤を導入しており, 第4版より合理的であり, よりよい予後因子として有望である。
  • 竹生田 勝次, 西嶌 渡, 古宇田 寛子, 君塚 幸喜
    1999 年 25 巻 3 号 p. 442-445
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌の新分類T3の条件として, 旧分類の片側喉頭固定以外に, 腫瘍径が4cmをこえる条件が独立して加えられた。両者を同等の局所進行度の条件と見なしてよいかどうか検討した。対象は1982年より1998年の16年間に経験した下咽頭癌手術例89例である。
    手術標本の肉眼的所見で腫瘍径が4cmをこえる症例は, 旧分類T2 36例のうち22例あり, 新分類T3とした。一方, 喉頭固定による旧分類T3は31例あり, これらも新分類T3である。T3喉頭固定例31例とT3最大径4cmをこえる症例22例について比較検討した。前者は梨状陥凹型で男性に多く, 後者は輪状後部型で性差がすくなく, 年齢は5歳若かった。
    5年累積生存率は前者33.4%, 後者50.4%で後者に予後良好の傾向が認められたが, 統計学的有意差はなかった。腫瘍最大径が4cmをこえる症例がT3に分類されても大きな矛盾はないと考える。
  • 長谷川 泰久, 松本 昇, 松浦 秀博, 中山 敏, 藤本 保志, 竹内 秀行, 菅沼 良規, 鈴木 幸一郎
    1999 年 25 巻 3 号 p. 446-452
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    新TNM分類で下咽頭癌はTカテゴリーと病期IVの細分化が変更された。その臨床的問題点と妥当性について検討した。1985年4月より1997年12月までに愛知県がんセンターにおいて治療を行った一次例100例の内, 再評価が可能な94例を対象とした。画像診断より腫瘍径と亜部位を再評価しTと病期を再分類した。18例, 19%でTが変更された。病期では5例, 5%が変更となった。手術例84例の5年生存率 (Kaplan-Meier 法) は新T2: 76%, T3: 38%, T4: 41%; 新病期II: 75%, III: 68%, IVA: 47%, IVB: 23%であった。Tカテゴリーの変更によりT2からT3への移行が多く, 生存率ではT2-T3の差が大きくT3-T4の差が少なくなった。病期については, リンパ節転移による進行癌が多い下咽頭癌では病期IVに種々の病態が含まれ, その細分化が臨床上望まれていたが, 今回の検討では妥当な新病期分類と思われた。
  • 藤林 孝司, 神田 重信, 大橋 靖, 佐々木 忠昭, 今井 裕, 後藤 聡
    1999 年 25 巻 3 号 p. 453-460
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    歯肉癌におけるT分類はT4の基準に問題があり, 解釈が分かれる。本論文ではUICC分類, 頭頸部分類, 下顎管分類, 洞底分類についてその妥当性を比較検討した。対象は下顎歯肉癌は24施設から集積した1187例で, 上顎歯肉および硬口蓋癌は単一施設の37例で, T別症例分布, 生存率, 多変量解析, 治療法選択などとの関係で解析した。結果はUICC分類では大多数がT4になり, あまりT分類の意味をなさない。頭頸部分類では分布や生存率で多少是正されるが不十分であり, 下顎管分類や洞底分類で大いに改善された。下顎歯肉癌の多変量解析から下顎管分類が表面的な腫瘍の拡がりがTを規定するというUICC分類の原則をよく反映しており, 骨吸収様式と程度の分析から下顎管分類が治療法選択上よい基準を示した。これら検索から下顎歯肉については下顎管分類が, 上顎歯肉, 硬口蓋では洞底分類がT分類法としてもっとも妥当なものと結論される。
  • 沼田 勉, 武藤 博之, 柴 啓介, 永田 博史, 今野 昭義
    1999 年 25 巻 3 号 p. 461-465
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1997年, UICCの大唾液腺TNM分類は改訂された。この新分類の妥当性を, 本邦の耳下腺癌TNM分類全登録症例1683症例を用いて検討した。はじめに, 腫瘍の最大径, 頸部リンパ節転移, 周囲組織への浸潤, 顔面神経麻痺などの臨床データをもとに, 新たにTNM分類を行った。つぎに, 予後の追跡可能であった1074症例の, TN分類別, 5年, 10年生存率を計算した。最後に, 新臨床病期別ごとの, 生存曲線を求めた。
    その結果, 新T分類に従った症例の分散は均一であり, 妥当な分類であると認められた。顔面神経麻痺症例をT4に統一したことで, これまでの亜分類の煩雑さから免れることができたことも評価される。一方, 臨床病期分類には大きな問題が認められた。Stage III に分類される症例が1683症例中9症例と非常に少なく, 結果的に生存側線の分離も悪いことが確認された。
  • 光嶋 勲, 稲川 喜一, 森口 隆彦, 細田 超, 秋定 健, 原田 保
    1999 年 25 巻 3 号 p. 466-470
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去10年間の頭頸部再建術は約300例であり, 島状皮弁40例に対し,マイクロサージャリーによる再建術は241例であった。主な再建材料の内訳は, 前大腿皮弁または大腿筋膜張筋皮弁 (TFL flap) (77 flaps), DIEP flap などの腹壁皮弁 (48 flaps), 橈側前腕皮弁 (19 flaps), シャム型大腿筋膜張筋―前外側大腿連合皮弁 (15 flaps),広背筋皮弁 (13 flaps), ソケイ皮弁(12 flaps) であった。また, 血管付き腸骨 (29 grafts), 腓骨 (11 grafts), 神経移植 (23 grafts), 大腿直筋 (12 grafts) も用いられ, これらは前外側大腿皮弁またはTFL flap に合併移植されたものが多かった。頭頸部再建の最近の傾向は再発癌の切除数が増え, 外側大腿回旋動静脈系を用いたキメラ型あるいは連合型移植による広範で複雑な再建がなされつつある。筋を最大限温存すべく腹直筋皮弁, 広背筋皮弁から腹壁穿通皮弁, 広背筋穿通皮弁に移行しつつある。0.7mm前後の血管吻合が可能となり頭頸部に有用な新たな組織 (部分耳介, 趾間皮弁, オトガイ下皮弁, 脂肪弁など) が移植されつつある。
  • 山本 有平, 佐々木 了, 関堂 充, 古川 洋志, 杉原 平樹, 福田 諭, 古田 康, 八木 克憲, 永橋 立望, 本間 明宏, 犬山 ...
    1999 年 25 巻 3 号 p. 471-475
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍の外科治療において, より高度な機能的及び整容的再建を目指し, 我々が行なってきた形成再建手技の創意工夫について報告した。1) 上顎再建: 頬・上顎部骨軟部組織再建では, 肋軟骨弁付き遊離腹直筋皮弁や肩甲骨弁及び肋骨弁付き遊離広背筋皮弁による maxillary buttress 再建の重要性が確認された。2) 舌再建: 神経付き遊離腹直筋皮弁を用いて, 舌及び舌骨上嚥下筋群の動的再建を試みた。舌亜全摘症例において, 残存筋群と移植筋の協調運動により, 良好な再建舌の高まりや動き, 舌骨・喉頭挙上が観察された。3) 上縦隔再建: 咽喉食摘, 気管広範切除及び頸・上縦隔郭清を必要とする浸潤癌症例に対し, 遊離空腸移植や血管吻合付加延長挙上胃管による頸・胸部食道再建, 前胸部筋膜皮弁を用いた縦隔気管孔作成, 腸間膜弁, 大網弁, 大胸筋弁等を利用した主要血管の被覆及び死腔の充填を行ない, 安全な術式の確立を目指した。
  • 亀井 譲, 鳥居 修平, 長谷川 隆, 堀田 由浩, 西関 修
    1999 年 25 巻 3 号 p. 476-481
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部再建に, 右胃大網動静脈からの胃壁枝を利用した胃壁付き大網弁を利用した。
    症例は4例で, 2例は胃壁を全層に採取して利用し, 2例は胃壁を漿膜筋層で採取して利用した。胃壁を全層で利用した症例は, 1例は頬粘膜扁平上皮癌で頬粘膜の欠損に胃壁を用いた。もう1例は歯肉癌の再発で胃壁を口腔底の欠損に用いた。またこの症例では, 右胃大網動静脈の遠位端に腓骨皮弁の腓骨動静脈を吻合し下顎骨および下口唇の再建も行った。胃壁を胃漿膜筋層で利用した症例は, 1例は脳腫瘍切除後の髄液痩, 1例は頭蓋底および眼窩再建後, 部分壊死により眼窩内壁から眼窩床の欠損が生じ, 鼻腔との交通が生じた症例であった。
    胃壁付き大網弁は, 大網の有する血管茎が長いという利点の他に粘膜の再建や, water-tight を得ることができ, さらに bridge flap としての利用もできるため有用であると思われた。
  • 木股 敬裕, 海老原 敏, 内山 清貴, 桜庭 実, 斎川 雅久, 林 隆一, 羽田 達正, 崎浜 教之, 海老原 充, 朝蔭 孝宏, 岸本 ...
    1999 年 25 巻 3 号 p. 482-488
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    咽頭欠損後の空腸移植に際し, 我々は, 空腸のどの部分でも縦切開が血行面で可能なことを確認した後, 簡便な移植方法を開発した。咽頭の欠損型を切上型, 水平型に分類した。吻合血管側に腸管膜側を対応させ腸管を設定した後, 切上型では切上部位の反対側に, 水平型では空腸の前方に縦切開を行い口径差をあわせて咽頭空腸吻合を行う。本術式を54症例に行った。切上型は26例で水平型は28例であった。口径差の最大は16cm, 縦切開の最長は8cmであった。切上型では耳管隆起部直下に及ぶもの, 水平型には舌喉頭全摘症例もあった。どの症例においても咽頭頸部食道は直線に近い形で再建された。5例 (9.2%) において口側に minor lekage を生じた。従来報告されてきた方法と比べ, 簡便であり, 頸部左右どちらの血管も選択可能で, またほとんどの咽頭欠損に対応でき非常に有用であると考えられた。
  • 西川 邦男, 冨永 進, 門田 伸也, 森下 常磐, 永田 基樹
    1999 年 25 巻 3 号 p. 489-505
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    肩甲下動静脈茎複合皮弁を用いて頭蓋顎顔面骨の硬性再建を行い, モアレ法を併用した術後顔面形態の検討から肩甲下動静脈茎複合皮弁の有用性を示した。上顎全摘出術および頭蓋内外合併到達法による前頭蓋底手術には角枝を温存した分割肩甲骨皮弁で, 前中頭蓋底拡大切除には肩甲骨皮弁と広背筋 (皮) 弁を複合させた肩甲下動静脈茎複合皮弁を用いて上顎再建を行った。分割肩甲骨皮弁による上顎再建は角枝により栄養される肩甲下角骨と骨枝により栄養される外側縁骨による眼窩下壁および頬部~顔面口蓋骨の同時骨再建である。前中頭蓋底手術では前述の上顎再建に加えて広背筋弁で頭蓋底再建を行った。一方, 下顎を切除した舌・口腔咽頭癌に肩甲骨皮弁による下顎硬性再建を施行した。2カ所の骨弁内骨切りの必要な下顎彎曲部再建では骨枝と角枝の二重血管茎とした。顎顔面硬性再建症例の術後長期の形態維持は良好であるので, QOLを考慮し積極的に硬性再建を行うべきである。
  • 井上 俊哉, 辻 裕之, 立川 拓也, 小椋 学, 泉川 雅彦, 山下 敏夫, 久徳 茂雄
    1999 年 25 巻 3 号 p. 506-512
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    眼窩内容を含む上顎拡大全摘術において, hemifacial dismasking 法にて皮切を行い, 下茎の肋軟骨付き遊離腹直筋皮弁にて上顎再建を行った。
    顔面に皮切をおかない本皮切は, 整容面だけでなく感染に対しても有効であった。また2本の肋軟骨を使用する硬性再建は, 加工も容易で, 形態的にも頬部の生理的隆起の再現を可能にした。
    当初は, 拡大皮弁部を用いて義眼床を一期的に再建していたので, 三次元的自由度の制約から, 筋体の容量過多に対してうまく対応できないケースが生じたが, 腹直筋の裏面に義眼床を植皮することにより, この問題を解決することができた。
  • 清川 兼輔, 田井 良明, 井上 要二郎, 矢永 博子, 力丸 英明, 森 一功, 中島 格
    1999 年 25 巻 3 号 p. 513-518
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    大胸筋皮弁の最大の問題点である皮島の血行の不安定さと到達距離の制限を解決し, 頭頚部再建における本 flap の有用性の再認識と適応範囲の拡大を行った。大胸筋皮弁の皮島内に第4肋間で乳輪乳頭の約2cm内側にある内胸動脈前肋間枝の穿通枝を含み, 第7肋骨の大胸筋下縁を越えない範囲内で皮島を採取することで, 部分壊死の発生率は71例中4例 (6%) に減少した。また, pedicle を血管柄のみとし鎖骨下のルートを通して移動することで flap の到達距離は Ariyan の原法より約8cm延長され, 眼窩下縁, 耳介上部, 中頭蓋底, 上咽頭にまで適応範囲が拡大された。
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