頭頸部腫瘍
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25 巻 , 1 号
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  • 田中 晋, 臼井 誠
    1999 年 25 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当科において過去12年間に治療を行った頭頸部領域原発の悪性リンパ腫一次症例19例についてその治療成績ならびに予後との相関も含めた臨床, 病理学的特徴について検討を行った。平均年齢は50.65歳, 19例中16例は非ホジキンリンパ腫 (NHL) で好発部位は歯肉, 歯槽部であった。病期分類では Stage I症例が19例中11例と最も多く, 6例にB症状を認めた。LSG分類によるNHLの病理組織分類では中悪性度群が大勢を占めた。治療法は Stage I, II症例では放射線治療単独もしくは放射線+化学療法, Stage III, IV症例では化学療法単独療法が施行された。全症例における一次治療に対する局所奏効率は81%, 4年生存率は38.5%であり, 進行期症例の予後は明らかに不良であった。今回の統計よりIPFなどの有用な予後因子に基づいた正確な病期診断ならびに寛解導入後の適切な維持療法の選択を行うことが良好な予後を得るために不可欠であると考えられた。
  • 永原 國彦, 森谷 季吉, 浅井 俊一郎, 駒田 一朗, 山崎 萬里子
    1999 年 25 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喉頭・気管や食道・大血管・縦隔などへの浸潤癌も, 積極的に治癒切除と機能再建を施行すべきである。扁平上皮癌や未分化転化癌の一部にも手術適応がある。この方針で治療した正中部浸潤甲状腺癌109名の10年累積生存率は80%であり, 気管を再建した71名では65%であった。73名に施行した縦隔切開術の合併症は瘻孔形成4名と血管破綻2名であり, 大血管再建7本の開存率は100%であった。また未分化転化癌17名の5年生存率は38%であった。なお気管や大血管壁, 神経などへの癌浸潤部の処理には手術顕微鏡を多用し, 微小血管・神経外科, 遊離移植などの手技が必須である。今後の課題としては, 放射性ヨードを取り込まない遠隔転移への対策, 扁平上皮癌や未分化癌における手術適応の確立や集学的治療法の改善などが挙げられる。
  • 西尾 正道, 明神 美弥子, 川島 和之, 溝口 史樹, 鬼丸 力也, 田中 克彦, 浅野 勝士, 染川 幸裕
    1999 年 25 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本報告ではゴールドグレイン (Au-198) 線源を用いて治療した中咽頭癌の治療成績を報告した。1983年から1997年の期間に治療した中咽頭扁平上皮癌一次症例98例のうち, ゴールドグレインを使用した34例 (一次治療27例, 再発治療7例) を分析対象とした。臨床病期ではT2症例が22例 (65%) と多かった。刺入部位は軟・硬口蓋や口蓋垂が主な部位であり, 使用方法は組織内照射32例 (94%), Mould 照射2例 (6%) であった。34例全例の一次効果はCR: 31 (88%), PR: 3 (12%) であった。局所制御は一次例で20/27 (74%) であり, T因子別ではT1: 3/3 (100%), T2: 16/19 (84%), T3: 1/5 (20%) であり, 再発例においては6/7 (86%) であった。全例の5年局所制御率は72%, 5年原病生存率は70%であった。
    また根治的一次治療例24例の5年局所制御率は80%, 5年原病生存率は84%であった。ゴールドグレインによる治療は局所制御率も良好で, 味覚や唾液腺の有害事象も軽微で済むことから, QOLを考慮すれば有効な治療法と考えられた。
  • 多田 雄一郎, 小池 修治, 笠島 直子, 稲村 博雄, 中村 正, 前田 邦彦, 青柳 優
    1999 年 25 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    MALTリンパ腫は1994年のREAL分類に正式に取り入れられた悪性リンパ腫のひとつで, 多くは消化管に発生し, 唾液腺に発生することは稀である。今回, 過去20年の唾液腺腫瘍362例の中に, MALTリンパ腫が含まれていなかったか否かを調べる目的で病理の再検討を行った。MALTリンパ腫を疑った8例11検体では, 診断には, HE染色標本の所見の他に, リンパ腫細胞の monoclonality を証明する目的で, 免疫組織染色, および免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成のPCRを用いた。この結果過去の診断名が変更された3症例, 4検体を含む5症例, 7検体がMALTリンパ腫と診断された。全症例がシェーグレン症候群を合併していた。予後は比較的良好であった。今後さらに症例を重ねて, 生物学的特性, 治療法, 予後の検討を行う必要があると考えられた。
  • 河田 了, 中井 茂, 福島 龍之, 平田 行宏, 久 育男, 村上 泰
    1999 年 25 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    最近10年間に経験した大唾液腺粘表皮癌症例11例について検討し, その適切な診断手順を考察した。一般に粘表皮癌の術前診断は難しく, 悪性度診断にいたってはほとんど不可能といってよい。画像診断 (CT, MRI, エコー) では, 高悪性型の場合, 悪性パターンを示すことが多いが, 低悪性型では良性パターンを示すものが多かった。穿刺吸引細胞診 (FNA) によって粘表皮癌と診断できた症例は11例中4例であったが, 悪性度まで診断できた症例は皆無であった。そこで, 最近では, 粘表皮癌と診断されたあるいは強く疑われた症例に対して, その悪性度を判定する目的で腫瘍摘出術を前提とした, 腫瘍生検 (open biopsy) を施行している。それにより悪性度が正しく診断されることによって, 初めて適切な手術方針が決定でき, 患者に顔面神経の処理等につき正しく説明できるだけでなく, 追加手術を必要とする症例もなくなった。
  • 影井 兼司, 清水 伸一, 橋本 井子, 西岡 健, 白土 博樹, 本間 明宏, 金子 正範, 大森 圭一, 宮坂 和男
    1999 年 25 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1980年から95年までに根治的放射線治療を行った中咽頭癌新鮮例127例の治療成績を分析した。127例は一次治療として局所および頸部に対して根治的放射線治療が行われた。ほぼ全例がコバルトγ線の1日1回照射の外照射で治療され, 1回線量2.5Gy週4回照射で標準的総線量は65ないし70Gyであった。本論文では, まず全体の治療成績を検討した。ついで, 口腔内乾燥症の軽減を目的したCTシミュレーターを用いた対側耳下腺をスペアーした照射法の有用性について検討した。原発病変が正中を越えず対側頸部リンパ節転移がない38症例に対してウエッジを用いた斜入二門照射を行ったが, 口腔内乾燥症が軽減でき, 局所・頸部制御率が劣ることなく, 有用な治療法と思われた。さらに, 力ルボプラチン週1回同時併用した29例と照射のみの92例の治療成績を比較検討したが, 両群間に生存率, 局所制御率, 頸部制御率に有意差は認めなかった。
  • 吉田 謙, 小泉 雅彦, 井上 武宏, 山崎 秀哉, 田中 英一, 手島 昭樹, 清水谷 公成, 古川 惣平, 渕端 孟, 服部 賢二, 井 ...
    1999 年 25 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    若年発症の早期舌癌に対する低線量率組織内照射を中心とした放射線単独による治療成績を検討した。若年者 (40歳未満) の治療成績は5年局所制御率, 疾患特異的生存率がそれぞれ78%, 80%であり, 40~64歳, 65歳以上の群と比較して有意差を認めなかった。
    患者因子, 腫瘍因子を抽出し単変量解析を行った。局所制御率については腫瘍の厚み (10mm以上) が, 所属リンパ節制御率については腫瘍の厚みと性別 (男性) が, 疾患特異的生存率については厚み, T分類と性別が予後不良因子として有意であった。
    また, 腫瘍型について, 硬結/浸潤型の方が表層/外向型より治療後3年以内における局所再発率が高かった。
  • 羽鳥 仁志, 大谷 直, 大橋 勝, 上條 竜太郎, 南雲 正男
    1999 年 25 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    cisplatin (CDDP), fluorouracil (5-FU) による舌由来扁平上皮癌細胞株NAのアポトーシス誘導機構へのカスパーゼの関与について, カスパーゼ阻害剤を用いて検討した。NA細胞への細胞障害性を検索した結果, 両抗癌剤はNA細胞に対して細胞傷害性を示したが, 5-FUによる細胞傷害性はカスパーゼ阻害剤添加により抑制された。また, DNA断片化の定量分析において, 5-FUによる細胞質中への断片化DNAの放出はカスパーゼ阻害剤によって抑制された。さらに初期アポトーシスの指標となる phosphatidylserine (PS) の表面化をフローサイトメトリーにて検討した結果, 5-FUによるPSの表面化はカスパーゼ8の阻害剤を添加することにより抑制された。以上の結果より5-FUによるNAのアポトーシス誘導機構において, カスパーゼ8を含むカスパーゼカスケードが関与していると思われた。
  • 森 士朗, 森川 秀広, 佐藤 敦
    1999 年 25 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは, これまで口腔扁平上皮癌 (SCC) の分化度, 浸潤様式, および腫瘍細胞におけるCD44, E-カドヘリン, ヘパラン硫酸グリコサミノグリカン, L-PHA結合糖鎖の発現様式をパラメーターとした悪性度指標が, 所属リンパ節転移を予測する上で有用であることを報告してきた。さらに1994年3月より, この悪性度指標を頸部郭清術 (ND) 等の施行に際し, 術前診断の一助として用いてきた。本研究では, この悪性度指標を術前診断に導入する前のSCC症例54例と導入後の症例53例について, NDの施行頻度, 転移の有無, 累積生存率, 死亡原因等について検討した。その結果, 上記悪性度指標の導入により, 術前診断の精度が向上し, より適切にNDの施行症例が選択されるようになり, 高悪性度群での転移死症例の減少および生存率の向上が認められた。
  • 藤田 幸弘, 鈴木 規子, 歌門 美枝, 斎藤 浩人, 山下 夕香里, 高橋 浩二, 道 健一, 川端 一嘉, 鎌田 信悦
    1999 年 25 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    中咽頭切除後に再建, 非再建例ともに鼻咽腔閉鎖機能不全による言語障害, 嚥下障害が生ずることがあり, リハビリテーションの対象となっている。これらの障害に対してわれわれは鼻咽腔部補綴を適用している。
    今回, 悪性腫瘍により中咽頭切除後の再建, 非再建例5症例に対して鼻咽腔部補綴を行い, 補綴物装着前後の発音機能, 嚥下機能について検討を行った。
    その結果, 5症例において鼻咽腔部補綴物装着により発音・嚥下機能の顕著な改善が得られ, 鼻咽腔部補綴の有効性が明らかとなった。また, 中咽頭切除症例の鼻咽腔部補綴装着後の成績を左右する因子として, 軟口蓋後縁の残存の有無, Passavant 隆起の有無, 他部位への切除の有無などが考えられた。
  • 藤内 祝, 不破 信和, 林 康司, 光藤 健司, 兼子 隆次, 上田 実
    1999 年 25 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは血管造影用カテーテルを改良したカテーテルを用いて, 口腔癌5例に対して浅側頭動脈より超選択的動注化学療法を術前治療 (CBDCA: 324.8±24.2mg, PEP: 32.1±5.2mg) として施行した。臨床効果はCR3例, PR2例であり, 摘出物の病理組織学的検討では, 大星・下里分類のGr. IIb: 2例, Gr. III: 3例ときわめて効果が高かった。また腫瘍切除前にCBDCAを注入し, 切除された腫瘍より白金の組織内濃度を計測したが, 従来の動注法による白金の組織内濃度より高い値であった。以上のように, この新しい超選択的動注法は直接腫瘍の栄養血管への抗癌剤の注入が可能になり, 口腔癌の新しい治療法となることが期待された。
  • 丹沢 秀樹, 鵜澤 一弘, 福田 正勝, 宮川 昌久, 椎葉 正史, 渡辺 俊英, 宮 恒男, 横江 秀隆
    1999 年 25 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    APC (adenomatous polyposis coli) 遺伝子と, 染色体上の共通欠失領域の異常を検索することにより, 口腔扁平上皮癌の悪性度を判定するDNA診断法を考案した。APC遺伝子についてはエクソン11のヘテロ接合性消失 (LOH, loss of heterozygosity) とエクソン8~15領域の点突然変異を検索した。染色体マイクロサテライト領域の異常状態の検索としては, 我々が報告した共通欠失領域 (2q37, 3p23, 5q31, 7q31.1, 9p21, 9p22.2-23, 11q23, 11q25, 13q14.3, 18q21.1, 22q24) におけるLOHを調べた。
    口腔扁平上皮癌の組織分化度, 微小転移の可能性をこの方法で評価し, 治療法を選択した。まだ, 観察期間は長くないが, 66症例中, 再発者はわずか3名であり, 3年累積生存率は従来が68%であるのに対し, 94%と有意に改善していた。
  • 日比野 祥敬, 藤本 雄大, 新美 敦, 藤内 祝, 上田 実
    1999 年 25 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨区域切除を施行し, 血管柄付自家骨移植による下顎骨再建およびオッセオインテグレーテッド・インプラントを用いた咬合の再建を行った8症例に対し, 術後の咀嚼機能の評価を行った。評価方法としてはデンタルプレスケール法, 低粘着性発色ガム法およびアンケート法を用いた。おのおのの評価方法より得られたスコアを原疾患の種類, 対合歯の状態, 舌切除の有無および下顎骨の切除範囲により分類し, 検討を行った。その結果, 原疾患が悪性腫瘍の症例, 下顎骨の切除範囲が下顎角を含む症例, 舌の切除を施行された症例などでは術後の咀嚼機能の回復が困難なことが示唆された。
  • 苦瓜 知彦, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 保喜 克文, 三谷 浩樹, 杉谷 巌, 吉本 世一, 米川 博之, 三上 康和, 三浦 弘規, 別 ...
    1999 年 25 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1991年から1994年の期間に癌研究会附属病院頭頸科で根治的治療を行なった中咽頭扁平上皮癌は207例であった。このうち121例には一次治療として放射線治療を中心とした保存的治療が行なわれた。一次治療後の局所再発は52例 (43.0%) にみられた。最終的な局所制御率はT1: 100%, T2: 77.7%, T3: 60.6%, T4: 11.1%で, 全体では69.5%であった。手術を中心とした外科的治療を行なった86例の局所制御率は74.2%であった。放射線治療後の再発はT3, T4の症例に頻度が高かったが, T2でも側壁型の下方進展型, 前壁型の喉頭蓋谷への進展が著明な症例にしばしばみられ, 上壁型ではT1, T2の表在性の腫瘍でも再発しやすい傾向があった。Stage 別の疾患特異的5年生存率は stage I: 88.9%, II: 82.2%, III: 73.1%, IV: 36.1%で全体では59.1%であった。
  • 浜川 裕之, 福住 雅洲, 包 揚, 谷岡 博昭, 佐藤 英光, 湯本 英二
    1999 年 25 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頸部リンパ節への微小転移を reverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR) 法により検出し, その信頼性を検討した。ケラチン (K) 13, K19, SCC抗原を, 微小転移の指標としての候補遺伝子とした。組織学的に転移を認めなかった141リンパ節中K13は16.3%, K19は63.1%, SCC抗原は22.7%に発現していた。準連続切片による形態学的観察では, 9リンパ節 (7.7%) に微小転移巣が確認された。K19はリンパ組織からの illegitimate gene expression や迷入唾液腺からの遺伝子発現があり, 頸部リンパ節転移の指標には適さないこと, また, K13とSCC抗原の共発現は微小転移の指標となることが示唆された。
  • 志賀 清人, 松浦 一登, 横山 純吉, 舘田 勝, 西條 茂, 高坂 知節
    1999 年 25 巻 1 号 p. 87-93
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    3種類の microsatellite marker を用いて下咽頭, 喉頭の扁平上皮癌における9p21および3p21領域の loss of heterozygosity (LOH) を検討した。下咽頭癌28例中評価可能であったのは15例でこのうち9例 (60%) に3pあるいは9pのLOHが認められた。LOHの有無と臨床的諸因子とを比較すると病期, 腫瘍径, リンパ節転移度, 組織学的分化度などとの相関はなかったが生存率曲線を検討するとLOH陽性例に再発死亡例が多く生存率が有意に低かった (p<0.01)。逆にLOH陰性例では再発死亡例はなくその予後は良好であった。喉頭癌47例中評価可能であったのは29例でこのうち15例 (52%) に3pあるいは9pのLOHが認められた。下咽頭癌症例と同様に臨床的諸因子との相関は認められず生存率曲線を検討するとLOH陽性例で生存率が有意に低かった (p<0.05)。また Stage I, IIの放射線治療例においてLOH陽性例が再発する頻度が高かった。
    今回の結果から9p21または3p21領域の遺伝子欠損が既存の因子とは独立した prognostic factor であることが考えられ生命予後ばかりではなく腫瘍の放射線抵抗性にも関与している可能性が示唆された。
  • 藤井 隆, 佐藤 武男, 吉野 邦俊, 稲上 憲一, 長原 昌萬, 桃原 実大, 寺田 友紀, 西本 聡
    1999 年 25 巻 1 号 p. 94-100
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    軟口蓋広範切除 (全層性欠損が軟口蓋全体の半分以上に及ぶ切除) を要した中咽頭側壁原発扁平上皮癌一次例7例に対し, 患側咽頭後壁粘膜断端と残存軟口蓋上咽頭面粘膜断端を順次縫合することにより筒状 (漏斗状) に上咽頭面を形成し遊離組織移植により中咽頭面を形成する再建方法を行い, 術後機能について検討した。会話機能評価基準は全例8点以上であり, 日本語100音節発語明瞭度は62~94%で, 5例は80%以上であった。破裂音から通鼻音への変換は1例で1音節のみであった。術後摂食機能は歯の問題がなければ全例常食が可能であった。誤嚥はたまにが3例, 鼻への逆流はたまにが2例のみであった。嚥下時のファイバースコープ所見では, 健側残存軟口蓋から側壁の動きにより漏斗状に狭く形成された耳管咽頭口から軟口蓋遊離縁までの間で鼻咽腔閉鎖がなされ, 全例 (6例) 牛乳の逆流は全く認められなかった。鼻呼吸障害・鼻閉感の訴えは全く認められなかった。
  • 高崎 宗太, 窪田 哲昭, 松井 和夫, 大橋 一正, 門倉 義幸, 春日 将夫
    1999 年 25 巻 1 号 p. 101-106
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去20年間に14例の頭頸部悪性黒色腫の治療を行った。このうち従来のDAV療法を主とした化学療法, 放射線照射, 手術を行った7例をみると, 腫瘍部位が充分なマージンを含めた一塊切除が可能な症例のみが長期生存を期待することができた。このことから我々は最近の11年間はインターフェロン (以下IFNと略す) の局注もしくは動注を中心とした治療を行った。IFNを投与した症例は7症例であり, IFNの局注の単独投与によるCRを5症例に, 動注によるPRを1症例にみとめた。このうちの3症例は9~11年の長期生存例となっている。またヌードマウス可移植性ヒト悪性黒色腫に対してIFNを局注しその抗腫瘍効果を組織学的に検討した。
  • 佐竹 文介, 古積 隆, 宇留間 哲也, 香取 秀明, 鵜飼 潤, 清水 幸夫, 矢島 靖巳
    1999 年 25 巻 1 号 p. 107-111
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部がんの予後不良因子としては, 種々の因子が考えられるが, 遠隔転移の出現は決定的な予後不良因子である。従来は肺転移に対しては主に, 姑息的な放射線治療や化学療法が行われていたが, その結果は惨めであった。群馬県立がんセンター頭頸科で11例の肺転移症例に対して切除手術が行われた。原発巣別では, 中咽頭癌3例, 喉頭癌3例, 甲状腺2例, 上顎洞, 下咽頭, 顎下腺各1例であた。組織型では, 高分化扁平上皮癌6例, 低分化扁平上皮癌2例, 腺様嚢胞癌2例, 乳頭癌1例であった。開胸手術が行われたのは, 6例で最近の5例は胸腔鏡による切除が行われた。胸腔鏡による手術は侵襲も少なく高齢者にも適し, 患者のQOLからも有用な手段と考えられた。手術後最長の生存期間は7年9カ月であった。頭頸部外科医の任務は経過観察中に切除可能な肺転移を診断することと思われた。
  • 兼安 祐子, 喜多 みどり, 小島 菜穂子, 姫井 健吾, 磯部 まどか, 唐澤 久美子, 福原 昇, 大川 智彦, 石井 哲夫
    1999 年 25 巻 1 号 p. 112-117
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1968~97年までに当科に登録された頭頸部悪性腫瘍1820例中, 38例の3部位以上の頭頸部重複癌は38例120部位であり, これらの重複部位は頭頸部, 食道, 胃, 肺の順に多かった。第1癌と第2癌の組み合わせは, 食道と頭頸部, 頭頸部と食道, 頭頸部と肺および頭頸部同士の順に多く, 第2癌と第3癌では頭頸部同士, 食道と頭頸部, 頭頸部と食道, 頭頸部と肝・胆管・膵, および大腸と頭頸部の順であった。第3癌からの5年生存率は13%であった。頭頸部癌診断時には, 上部消化管および肺を中心とした検査を行い, 積極的に同時重複癌の診断に努め, 治療法を検討すべきと考えられる。また外来経過観察中も定期的に上部消化管透視や panendoscopy, 胸部X線写真, SCCやシフラ等の腫瘍マーカーの測定を施行し, 原発巣の再発のみならず, 第2癌, 第3癌の発生を念頭におき重複癌の早期発見に努力すべきである。
  • 朝蔭 孝宏, 海老原 敏, 岸本 誠司, 浅井 昌大, 大山 和一郎, 斉川 雅久, 羽田 達正, 林 隆一, 鬼塚 哲郎, 木股 敬裕, ...
    1999 年 25 巻 1 号 p. 118-122
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    国立がんセンター頭頸科においては, 近年舌癌に対して手術を主体とした治療を施行してきた。今回その治療成績を検討し今後の治療に還元することを目的とし研究を行った。対象症例は1988年から1995年の間に一次治療を施行した舌扁平上皮癌241例とした。その結果5年累積生存率は66.8%ステージI, II, III, IVでは88.7%, 75.5%, 54.6%, 34.4%であった。5年累積局所制御率は81.6%であった。また頸部リンパ節再発は29.5%に認めた。舌深部の完全なる切除が局所制御率および生存率の向上につながると考えた。そして頸部郭清範囲, 病理組織学的転移部位および再発部位の検討を次なる課題と考えた。
  • 高橋 浩二, 宇山 理紗, 山崎 善純, 平野 薫, 山下 夕香里, 中村 篤, 道 健一, 佐野 司, 川端 一嘉, 吉本 世一, 三谷 ...
    1999 年 25 巻 1 号 p. 123-129
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれが行っている頭頸部腫瘍術後患者に対する嚥下機能訓練法を紹介するとともに飲み込み検査で評価した訓練中の嚥下機能の経時的変化とアンケートを用いて調査した嚥下機能に対する患者の主観評価について報告する。対象は透視検査で嚥下障害が確認された頭頸部腫瘍術後患者24名で, 飲み込み検査では水30ml, プリン5g, および粥5gを飲み切るまでの時間を計測した。機能訓練の効果と嚥下機能に対する満足度についてはアンケート表を用いて患者の主観評価を調査した。
    機能訓練期間平均13日間で, 飲み込み時間は水では30.7秒から8.5秒, プリンでは32.8秒から9.4秒, 粥では33.3秒から11.4秒と顕著に短縮した。
    機能訓練の効果については15名中13名が「非常に効果があった」と回答し, 訓練後の嚥下機能に対する満足度については15名中10名が70%以上の高い満足度を示した。
    以上の結果はわれわれが行っている嚥下機能訓練法の有効性を反映し, これらの方法が患者のQOLの向上にも十分役立つことを裏付けたものと考えられた。
  • 西川 邦男
    1999 年 25 巻 1 号 p. 130-147
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    肩甲骨皮弁による下顎再建症例に, 山本式の総義歯咀嚼機能判定表と dental prescale occluzer system による定量評価を併用した総合的評価を行った。術後咀嚼機能は, 下顎骨の硬性再建を施行し良好な骨癒合が得られた場合, 残存下顎骨 (残存歯) の程度に大きく関係した。すなわち, 再建下顎骨では咀嚼しておらず, 咬合中心やバランスは健側に偏位し, 残存歯にて咀嚼している。すなわち, 術後咀嚼機能は残存歯が多いほど良好である。
    術前後で残存歯の減少がない場合の咀嚼機能の経時的変化は, 術後早期において一時的に咬合接触面積および総咬合力が低下するが, 骨癒合による移植骨の安定, 局所浮腫の改善, 咀嚼練習とともに術前と同程度に回復し, 咀嚼機能はほぼ再獲得される。
    また, 嚥下第1相の舌根挙上が障害された場合, 患側での嚥下機能障害が咀嚼機能低下の原因のひとつとなると考えられた。
  • 金澤 丈治, 卜部 匡司, 久米 晃啓, 西野 宏, John MONAHAN, 小澤 敬也, 喜多村 健
    1999 年 25 巻 1 号 p. 148-152
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アデノ随伴ウイルス (AAV) は, パルボウイルス科デペンドウイルス属のウイルスで, 近年, 遺伝子治療のためのベクターに応用しようとする試みが活発になってきている。AAVベクターによる遺伝子導入では, 筋細胞や神経系細胞, 気道上皮細胞などで有用性が示されているが, 癌細胞を標的とした報告は少ない。
    今回, 私共は, AAVベクターを用いて頭頸部癌由来の細胞株NKO-1に対してLacZ遺伝子の導入を行った。LacZ遺伝子の発現効率は, ベクター量依存性に増加し, 細胞あたり2×105のベクターを感染させると80%を超える細胞で発現が得られた。このことはAAVベクターが頭頸部癌遺伝子治療へ応用可能であることを示唆している。
  • 田中 信之, 斎藤 等, 藤枝 重治, 大坪 俊雄, 杉本 千鶴, 都築 秀明, 須長 寛, 武藤 明
    1999 年 25 巻 1 号 p. 153-158
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    抗癌剤耐性は, 現在の癌化学療法を施行するうえで最も深刻な問題の一つである。CDDPは頭頸部癌において現在その中心的な役割を担っているが, 癌細胞がCDDP耐性を獲得することは, 癌化学療法の範囲をせばめるだけでなく患者の予後に重大な影響を与えることが予想される。今回, CDDP耐性頭頸部癌細胞株を樹立し, その耐性機序と耐性克服の可能性を検討した。CDDP耐性株では, 細胞内薬剤蓄積量の低下がみられ, これは, グルタチオンとMRPの協調したGS-Xポンプの高発現による機能亢進によるものと, DNA修復能の亢進によるものであった。これら二つの機序が, CDDP耐性の重要な因子になっていると考えられた。さらに, イソチオシアネート誘導体 (hITC) の併用により, 耐性克服の可能性が示唆された。
  • 庄司 和彦, 安里 亮, 金子 賢一, 平野 滋, 児嶋 久剛
    1999 年 25 巻 1 号 p. 159-162
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1988年1月から1997年6月に当科で初回手術を施行した甲状腺高分化癌391症例中, 術前に反回神経麻痺を認めなかった365症例を対象に, 術後の反回神経麻痺について検討した。術後反回神経麻痺をきたしたものは365例中39例 (10.7%) であった。術中に腫瘍との癒着を認めた症例は39例 (10.7%), 41側で, これらのうち反回神経を切除せざるをえなかったものは9側のみで, 32側 (78%) では鋭的剥離操作により反回神経を温存することができた。神経を温存した32側中23側では術直後より反回神経麻痺を認めず, 5側は一時的麻痺をきたしたが回復しており, 永久麻痺は4側のみであった。鋭的剥離操作により神経を保存した症例中87.5%で永久麻痺を回避できたことになる。甲状腺分化癌の手術治療では, 術前に麻痺がなければ術中反回神経との癒着を認めても鋭的剥離によって極力神経を温存すべきと考えられた。
  • 稲上 憲一, 佐藤 武男, 吉野 邦俊, 藤井 隆, 長原 昌萬, 桃原 実大
    1999 年 25 巻 1 号 p. 163-168
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1979年から'95年までの17年間に当科で根治治療した中咽頭扁平上皮癌の成績をもとに原発巣の治療指針を立てた。症例は後壁を除き舌根, 扁桃 (舌扁桃溝を含む), 軟口蓋~前口蓋弓の3つの部位に分けた。制御率算定の対象は153例で, それぞれ41例, 71例, 41例であった。局所制御率は舌根では照射T1 3/3 (100%), T2 7/8 (88%), T3 3/3 (100%), 手術T1 2/3 (67%), T2 10/10 (100%), T3 6/9 (67%)で, 扁桃では照射T1 8/8 (100%), T2 22/26 (85%) T3 7/11 (64%), 手術T1 4/4 (100%), T2 5/7 (71%), T3 6/11 (55%) であった。一方, 軟口蓋~前口蓋弓は照射T1 0/3 (0%), T2 8/18 (44%), T3 3/7 (43%), 手術はT1 6/7 (86%), T2 2/2 (100%) と原発巣が小さいにも関わらず照射による制御が不良であった。放射線治療に手術が重なると治療後の機能障害が大きくなることを考えれば舌根, 扁桃のT1, T2であれば照射を, T3以上であれば手術が第一選択に, 軟口蓋, 前口蓋弓は T stage に関わらず手術が第一選択になると考えた。
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