頭頸部腫瘍
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26 巻 , 3 号
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  • 藤枝 重治, 成田 憲彦, 津田 豪太, 須長 寛, 斎藤 等
    2000 年 26 巻 3 号 p. 411-416
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    進行舌癌の外科的治療では舌全摘・亜全摘を選択せざるえないが, その際喉頭を温存するかどうかは患者のQOLにとって極めて重要な問題である。可能であれば喉頭を温存したいところであるが, 術後の誤嚥や嚥下障害が生じると, 喉頭全摘よりもQOLは低下する。我々は舌全摘・亜全摘の際, 以下が喉頭温存可能な条件であると考えている。1) 患者が70歳以下であり, 高い知的レベルと会話に対する強い意欲があること。2) 喉頭蓋が温存でき, 再建材料と縫合が可能であること。3) 下顎の区域切除は併用しない症例であること。4) 喉頭は下顎直下まで挙上すること。
    一方, 下咽頭癌に対しては最近ステージの進んだ症例にも喉頭温存の適用が拡大されつつある。我々は, T2以下の症例で後壁型ないしは梨状陥凹型は, 喉頭を温存すべきと考えているが, 適応の限界に関しては今後の検討が必要と思われる。
    具体的にこれら2例の症例を呈示し, 治療方法, 経過について報告する。
  • 上田 吉生, 峯田 周幸, 向高 洋幸
    2000 年 26 巻 3 号 p. 417-421
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々は, 顔面神経麻痺動的再建術式の一つである側頭筋膜移行術を応用し, 中咽頭癌切除後の組織欠損に移植された遊離穿通皮弁と舌骨の吊り上げ術を試みた。
    舌骨はあらかじめ舌骨下筋群を切離して吊り上げておく。側頭筋中央部より少し後方で幅2~3cm, 長さ約15cmの側頭筋膜・帽状腱膜弁を挙上する。これを頬骨弓の裏面から下顎骨内側の外側咽頭隙を通るルートで頸部まで移行し, 舌骨と皮弁に縫合し吊り上げる。
    正中を越えて舌根部を切除した中咽頭癌4例, 舌癌5例に対して本術式を施行した。舌全摘の1例を除いて, 術後7~10日目で誤嚥もなく飲水が可能となった。この飲水開始時期は, 遊離皮弁のみで再建した症例群よりも早かった。言語もかなり明瞭であった。
    本術式は, 煩雑な手技を要せず簡単で穿通皮弁と健側舌根部の下垂を防止でき, また舌骨を患側後上方に挙上するため嚥下運動の補助に有効であると思われた。
  • 西野 宏
    2000 年 26 巻 3 号 p. 422-425
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    T1・2喉頭声門癌の一次治療は放射線治療が主体である。放射線治療後の局所再発が認められた場合, 救済手術としての喉頭全摘出術は癌の根治性の面では大変有効な術式である。しかし再発癌の進展状態により喉頭部分切除術を救済手術の術式として選択できると考える。適応としては1: 主な再発部位は一次治療時と同側, 2: 頸部リンパ節転移はない, 3: 声門上への進展は喉頭室の天蓋まで, 4: 声門下への進展は前方1/2では輪状軟骨上縁の高さまで, 5: 声門下への進展は後方1/2では存在しない, 6: 患側披裂部に進展を認めない, 7: 対側声帯への進展は声帯突起より前方にとどまる, 8: 声帯固定はない, 9: 甲状軟骨, 輪状軟骨への浸潤を認めない, 10: 甲状喉頭蓋靱帯から喉頭蓋前方への進展がないことがあげられる。喉頭皮膚瘻を形成し, 手術を終える。術後3カ月局所再発の有無を確認し, 再発がなければ二期的に喉頭皮膚瘻を閉鎖する。
  • 中山 明仁, 高橋 廣臣, 八尾 和雄, 稲木 勝英, 馬越 智浩, 永井 浩巳, 岡本 牧人
    2000 年 26 巻 3 号 p. 426-430
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喉頭亜全摘術 Crico-Hyoido-Epiglotto-Pexy の手術の実際と術後管理を提示する。本手術では甲状軟骨とその内容組織 (両披裂部を除く) が切除される。咽喉頭欠損部は舌骨と輪状軟骨を接合固定して再建する。早期または一部の進行期の喉頭癌に適応がある。当科では照射後再発例を中心に適応を考えている。手術施行時のコツと術後管理の詳細について報告する。
  • 中山 明仁, 高橋 廣臣, 八尾 和雄, 稲木 勝英, 馬越 智浩, 永井 浩巳, 岡本 牧人
    2000 年 26 巻 3 号 p. 431-435
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喉頭下咽頭垂直部分切除術 Supracricoid Hemilaryngopharyngectomy (SCHLP) の手術の実際と術後管理を提示する。本手術は患側の梨状陥凹を患側の甲状軟骨, 声帯, 披裂部と共に摘出した後, 咽喉頭欠損部を患側の甲状軟骨膜筋弁で再建する手法で, 限局した梨状陥凹型下咽頭癌に適応がある。本手術の適応, 手術手技, 術後管理の詳細について報告する。
  • 山本 有平, 関堂 充, 古川 洋志, 杉原 平樹, 福田 諭, 古田 康, 八木 克憲, 永橋 立望, 本間 明宏, 犬山 征夫
    2000 年 26 巻 3 号 p. 436-440
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは, 頬上顎部の骨性輪郭を支持する3つの zygomatico-, pterygo-, naso-maxillary buttresses (以下ZMB, PMB, NMB) の重要性に着目し, 中顔面悪性腫瘍切除後の上顎再建において, 症例に応じた maxillary buttresses の骨性再建を行なってきた。ここでは, われわれが開発した肋軟骨弁付き遊離腹直筋皮弁を用いたZMB再建の手術手技について報告する。本複合皮弁は, 肋間血管系と上下腹壁血管系の吻合を利用し, 深下腹壁動静脈を血管柄として第8肋間動静脈を含めて挙上する第8&9肋軟骨弁付き遊離腹直筋皮弁である。本再建法は, 血流を有する自家組織による中顔面軟部・骨性支持組織の一期的再建が可能で, 異物や遊離骨・軟骨移植を用いた再建に比べ, 合併症の出現が少ないことが期待され, また肋軟骨弁の形状は, 眼窩下壁から頬骨弓に及ぶ頬部輪郭の再現に適しており, 上顎再建において非常に有効な方法と考える。
  • 田原 真也, 中原 実, 天津 睦郎, 牧野 邦彦
    2000 年 26 巻 3 号 p. 441-445
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔内悪性腫瘍のため下顎骨区域切除が行われた場合の筆者らの再建方法を報告した。下顎骨前方の彎曲部の再建には, 骨弁内骨切りを安全に行える肩甲骨皮弁を用い, 下顎骨直線部の再建には腓骨皮弁を用いる。肩甲骨皮弁では骨弁を二重血管茎にできるため, 骨弁内骨切りが安全に行える。また厚く, 大きな皮弁が採取可能であること, 骨弁と皮弁の空間的位置の自由度が高いことなどの長所を有する。一方, 術中体位変換を要するため, 手術時間は長くなること, 骨弁の長さが15cmと制限されるなどの欠点がある。腓骨皮弁では皮弁は薄いが, あまり大きな皮弁は採れない, また皮弁と骨弁の位置的自由度は低い。骨弁は30cm程度まで長く採取可能である。骨皮弁採取を頭頸部癌摘出と同時進行できるため, 手術時間を短縮できる。これらの特徴を生かして組織欠損状態に合わせた再建法を選択している。
  • 森 良之, 須佐美 隆史, 松本 重之, 高戸 毅, 波利井 清紀
    2000 年 26 巻 3 号 p. 446-451
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔癌切除後の下顎骨再建には, 近年血管柄付き骨移植が行われるようになり, 審美的に良好な結果が得られるようになっている。しかし, 術後の瘢痕拘縮や咬合のずれ, 顎関節障害のため, 術前の咬合機能を温存することは難しい。そこで我々は, 術後の瘢痕拘縮により口腔内が狭くなった症例の咬合回復に, 骨形成と軟組織拡張を目的とした組織延長法を応用している。また, 骨移植による下顎骨即時再建には, マルチブラケット装置, 床副子による残存歯の咬合維持と, K-wire を用いた三点計測法による関節突起の位置決め法により, 残存骨片の位置保存を図っている。こうした方法は, 口腔内容積の拡大, 骨欠損部の正確な再建, 顎関節機能の温存に有用で, 良好な咬合機能の回復に役立っている。
  • 川口 浩司, 佐藤 淳一, 瀬戸 〓一, 坂井 陳作, 金城 孝
    2000 年 26 巻 3 号 p. 452-456
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔腫瘍切除後の口腔機能と顔貌を早期に確実に回復する目的で, われわれは口腔機能再建を目指している。そこで, 下顎の再建を行うにあたり, 肩甲骨, 肋骨, 腸骨, 腓骨を骨形態計測学的に検討した結果, その再建に最も適した移植骨として腸骨を選択し実施している。すなわち, 1. 移植骨は下顎骨の形態や骨量に類似した腸骨で行う, 2. 移植骨の被覆皮弁は薄く嵩張らないもので行う, 3. 骨移植は可能な限り一期的に行う, 4. プレートのみでの再建は行わない, などを原則としている。50例の血管柄付腸骨 (以下, VIC) 移植を行い, この骨移植の最大の利点である骨と一緒に多くの軟組織を移植できたことより, 良好な口腔機能回復が得られた。
  • 戸村 則昭
    2000 年 26 巻 3 号 p. 457-461
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍の頭蓋底部浸潤および翼口蓋窩の腫瘍描出能のCTとMRIとの比較について筆者の検討から記述した。特に中頭蓋窩や後頭蓋窩ではMRIがその描出に優れており, perineural extension の描出にMRIが優れている。また翼口蓋窩への腫瘍の存在診断にもMRIはCTを凌駕している。舌癌の放射線治療後のMRI所見について, 筆者の行った検討では, T2強調像で低信号を示した病変は, non-viable な腫瘍組織か腫瘍細胞の完全に消失した組織であり, T2強調像の有用性を示した。頭頸部腫瘍における皮弁再建術後の再発腫瘍の診断におけるMRIと201Tl-SPECTの有用性についても述べた。特に, MRIと201Tl-SPECTの重ね合わせのイメージはその早期診断に有用である。
  • 井上 登美夫, 中曽根 良樹, 遠藤 啓吾, 二宮 洋, 鎌田 英男, 古屋 信彦
    2000 年 26 巻 3 号 p. 462-467
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    FDG-PET検査は広く悪性腫瘍の診断法として有用であるが, 頭頸部領域の悪性腫瘍についても例外ではない。扁平上皮癌を中心とした頭頸部悪性腫瘍への集積は, 他の領域の腫瘍より高い傾向があり, 我々の施設ではSUV4前後が良性病変と悪性病変の境界であった。FDG-PETはリンパ節転移の検索にも有用であり, 我々の施設での検出率は93%であった。また, 近年の装置はFDG-PETの全身イメージングが可能であり, 頭頸部腫瘍のFDG-PET検査に新たな臨床上の役割がでてきた。すなわち, (1) 遠隔転移の診断, (2) 原発不明の頸部リンパ節転移症例における原発巣検索, (3) 頭頸部腫瘍患者の second primary tumor の検索といった頭頸部以外の病巣検索を行うことである。PET検査はFDG以外のトレーサの開発も行われており, さらに診断精度の高い検査法となる潜在能力を有している。
  • 横山 純吉, 橋本 省, 小岩 哲夫, 小川 武則, 志賀 清人, 西條 茂
    2000 年 26 巻 3 号 p. 468-475
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    予後不良の下咽頭進行癌に機能温存と予後の改善を目的に, 大腿又は浅側頭動脈経由より超選択的にCDDPを動注し, 同時に鎖骨下静脈より Sodium Thiosulfate (STS) を投与する超選択的動注療法を施行した。[目的] 機能温存などQOL向上と予後の改善 [対象] 手術不能例などの下咽頭進行癌の12例。病期はIV期が10例 (N3症例が8例), III期が2例 [方法] (1) CDDP 150mg/m2を動注し, 同時にモル比200倍のSTSを鎖骨下静脈より点滴する。(2) 1週後, 同様に動注する。3回目から放射線治療を開始した。治療終了後画像で評価した。[結果] 抗腫瘍効果CR8/12, PR4/12。動注回数は平均4.7回であった。治療後経口摂取可能例は10例, 2例は経管栄養であった。構音良好例が9例, 高度の嗅声を伴う症例が3例であった。死因は皮膚・肺などの多発転移で, 生存率は約50%であった。
  • 永橋 立望, 福田 諭, 本間 明宏, 八木 克憲, 古田 康, 犬山 征夫, 西岡 健, 白土 博樹
    2000 年 26 巻 3 号 p. 476-482
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1990年11月より下咽頭癌一次症例32例に対しCBDCAないしCDDPの放射線同時併用療法を行い検討を加えた。治療方法はCBDCA 100mg/m2を週1回ないしCDDP 4mg/m2を週4回, 照射日に一致して点滴静注し, 照射は2.5Gy/fr週4回行い40Gyで評価し, 手術か65Gyまで続行するかを決定した。対象症例での累積5年粗生存率は55.7%であった。同時併用療法にては, 好中球減少, 血小板減少, 粘膜炎の grade 3の副反応が出現したが, 重症例は認めなかった。予後因子としては, 病理学的リンパ節転移の個数のみがp<0.05にて統計学的有意差を認めた。
    同時併用療法群を historical control としての放射線単独手術療法群 (1988~90) と比較したところ, 5年累積粗生存率にて統計学的有意差を認めた (p<0.05) が, 遠隔転移発生率や累積喉頭温存率では統計学的有意差を認めなかった。
  • 毛利 光宏, 木西 實, 天津 睦郎
    2000 年 26 巻 3 号 p. 483-488
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1988年から1997年までの10年間に神戸大学医学部耳鼻咽喉科で治療した下咽頭扁平上皮癌新鮮例134例を検討し, 治療成績の現状と当科で行っている治療成績, QOL向上のための工夫について紹介した。
    134例中根治手術を行ったのは105例 (78%) であり, 残る29例では手術不能あるいは患者の拒否により放射線治療, 化学療法を行っていた。根治手術施行例の5年累積生存率は38.3%, 非施行例は19.3%で, 全体では34%であった。手術例の主な原病死因は遠隔転移, 局所・頸部再発であった。
    治療成績向上のために, 当科では1988年以来咽後リンパ節の郭清を77例に行い, 13例 (17%) に転移を認めた。N2cに高い転移率を認めたがN0でも10%に認め, 現在は全手術症例に行っている。
    QOL向上のためには, 喉摘後の音声再建として気管食道瘻あるいは気管食道瘻形成術を行い良好な結果を得ている。
  • 藤井 隆, 佐藤 武男, 吉野 邦俊, 上村 裕和, 栗田 智之, 寺田 友紀
    2000 年 26 巻 3 号 p. 489-496
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1989-98年の下咽頭扁平上皮癌未治療根治例184例 (Stage I 7, II 26, III 42, IV 109) を対象に, 再発および死因を分析し生存率向上を妨げている原因を検討し, QOLを考慮した治療方針について報告した。5年粗生存率 (死因特異的生存率) は32% (49%) と依然として不良であった。特に全症例の60%を占めるpN2b・pN2c・pN3症例の予後が著しく不良であり, 主な非制御部位は頸部と遠隔転移であった。手術単独群に比べ術後化学療法群・術後照射群では, 統計学的有意差はないものの5年生存率・平均生存期間ともに向上がみられたことから, 今後はpN2b・pN2c・pN3症例に対しては術後化学療法や術後照射の併用が必要であることが示唆された。また, T1・T2症例ではN2・N3でも頸部郭清術後に原発巣に根治照射 (頸部には術後照射) を行うことにより喉頭温存・非担癌生存例があり, 選択された症例ではQOLを考慮した治療法になりうると考えられた。
  • 不破 信和
    2000 年 26 巻 3 号 p. 497-503
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部局所進行癌に対する放射線治療成績改善のために抗癌剤との併用療法を行った。一つは上咽頭癌に対する放射線治療と抗癌剤 (CDDP, 5FU) との交替療法である。症例36例で5年粗生存率, および5年無病生存率は各々約80%, 70%であった。この成績は現在までに報告されている他の化学療法併用例より良好であり, 交替療法の有用性を示すものと思われる。もう一つの方法は選択的持続動注療法と放射線治療との同時併用である。抗癌剤としてはCBDCAを用いた。その用量制限因子は好中球減少であり, 至適投与量はAUC8と推測された。局所制御率は舌動脈からの動注療法例 (舌癌, 舌根部癌) が他の動注療法例より有意に良好であった。将来的に進行舌, 舌根部癌例は手術療法に替わり得るものと思われる。
  • 中溝 宗永, 横島 一彦, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 苦瓜 知彦
    2000 年 26 巻 3 号 p. 504-508
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    両側転移を伴う主な頭頸部癌の, 手術主体の治療を行う際の対応を考察するため, 10年間の病理学的両側転移症例の治療成績を検討した。喉頭癌 (16例, 全症例の4.3%, 以下同様) の5年粗生存率は31%であり, 他の癌と比較すると予後良好で, 根治を目指せる症例が多かった。下咽頭癌 (32例, 19%) の5年粗生存率は19%で, 総転移個数が6個以上の症例と, 5個以下の症例では, 生存率に有意差を認めた。また従来の adluvant chemotherapy は無効と思われ, 新たな方法の開発が必要と考えられた。中咽頭癌 (16例, 13%) は, 他癌と比較すると予後不良 (5年粗生存率13%) であったが, 臨床的両側転移症例で, 術前治療奏効群の中に, 根治治療を目指せる症例があった。舌癌 (16例, 4.3%) の5年粗生存率は19%であり, 臨床的・病理学的に明らかな両側転移症例では, 2年以内の生存しか得られず, 手術適応には熟考を要した。また健側の最低位転移レベルがIII以下の症例でも長期生存はなかった。
  • 岡本 美孝, 松崎 全成, 荻野 純, 茶薗 英明, 中澤 勉, 遠藤 周一郎, 島田 貴信, 堀越 徹, 貫井 英明
    2000 年 26 巻 3 号 p. 509-513
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    内頸動脈に浸潤する進行頭頸部癌に対しては, 根治を目指すならば内頸動脈を含む en bloc 切除が重要である。頭蓋外でのバイパス手術は血行の良好な筋皮弁で被覆することで, 合併症を防ぎ安全に行い得る。しかし, 内頸動脈末梢側に縫い代が取れない場合には, 頭蓋外-頭蓋内バイパス手術が必要となる。Matas-PET などにより良好な側副血行が確認出来ても, 広範な頭蓋底切除のように, 侵襲が大きく, 術後の血行動態が大きく変化する可能性がある場合には, 術前の一時的な内頸動脈の遮断は, 術後の血行評価には不十分である。頭蓋外-頭蓋内バイパス術自体の安全性を高めるために, 2段階バイパス手術の有効性について述べた。
  • 吉澤 明孝, 吉澤 孝之
    2000 年 26 巻 3 号 p. 514-518
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部進行癌に対する対応は, 耳鼻科, 頭頸科未標榜病院においては, コミュニケーションの難しさ, 出血, 創処置, 臭気など困難な点が多い。それらを紹介元の頭頸科医師らの協力と種々の連携体制と, 職員一同によるチーム医療体制によって, 現在では, (1) 緩和ケア, (2) 化学療法, (3) 術前など栄養全身管理, (4) 放射線通院, (5) 小手術, (6) 在宅医療まで, 不安なく紹介を受けられるようになった。しかし, 管理者からすると職員の精神衛生管理に気を配る必要があり, 怠ると患者, 家族に不合理になることを忘れてはならない。
  • 関 健次, 岡野 友宏
    2000 年 26 巻 3 号 p. 519-524
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部がん患者の術後機能の回復には, 通常義歯が用いられるが, この義歯の代わりあるいは義歯の安定のために顎骨内インプラントを応用することで, よりすぐれた術後機能の回復を計ることが可能となる。しかし, 頭頸部がん患者の場合, 顎骨が切除されたり骨移植が行われたりし, 決して顎骨内インプラントが行いやすい環境ではない。このような患者の場合, X線CTの再構成画像を応用することにより, フィクスチャー埋入部位の決定や顎骨形態の正確な把握することが可能となり, また, 専用のソフトウエアを用いることでフィクスチャー埋入のシミュレーションを行うことも可能となる。このように, X線CTを用いることで, 顎骨内インプラントを埋入するために顎骨形態の把握が正確に行えることが示唆された。
  • 木下 靭彦, 横矢 重俊, 水谷 成孝, 水沼 秀之, 井上 聡, 天笠 光雄, 工藤 啓吾, 長山 勝, 岡部 貞夫, 戸塚 靖則, 古田 ...
    2000 年 26 巻 3 号 p. 525-530
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ポリ-L-乳酸メッシュと自家骨髄海綿骨細片による顎骨再建の有用性とインプラントの応用の可能性について報告した。
    対象例は7施設で治療された41例で, 悪性腫瘍が19例, 良性腫瘍が22例であった。顎骨切除法は辺縁切除が16例, 区域切除が23例, 半側切除が2例であった。一次再建は23例, 二次再建は18例であった。治療成績は著効が19例 (46.3%), 有効が13例(31.7%), 無効が9例 (22.0%) であった。無効9例中6例は局所感染によるもので, そのうち4例は顎骨と軟組織の再建を同時に行ったものであった。このような症例を除くと成功率は86.5%であった。最長5年の観察期間でPLLAメッシュに起因する異常は認められない。また, 4例において, 骨再生部に人工歯根が埋入され, 良好な骨接合が得られた。結論的にPLLAメッシュとPCBM移植の併用は顎骨再生およびインプラントにとって有用であることが示唆された。
  • 佐藤 淳一, 林 和喜, 川口 浩司, 安元 信也, 金村 弘成, 福島 豊, 金井 郁代, 坂井 陳作, 金城 孝, 瀬戸 〓一
    2000 年 26 巻 3 号 p. 531-537
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨の再建には, 骨の高さ, 厚さ, 幅から腸骨が最も適している事をすでに報告している。そこで今回は口腔機能再建を血管柄付遊離腸骨移植とインプラント義歯にて行ったので報告する。
    欠損様式では片側区域切除8例, 両側区域切除5例, 半側をこえた切除2例であった。これらのインプラントの内訳は, ブローネマルク・マークII46本, ブローネマルク・スタンダード10本, ITIボーンフィット7本, 中空シリンダー2本であった。これらの患者で, インプラント義歯と従来の義歯を装着した時では, インプラント義歯装着時の方が咀嚼能力は改善する傾向にあったが, 会話明瞭度については改善傾向を示さなかった。2本のインプラントは初期に骨接合が得られず除去したが, 他の63本は良好に機能し, 良好な骨接合が得られ, 最長で7年を経過している。
  • 又賀 泉, 石原 修, 小林 英三郎
    2000 年 26 巻 3 号 p. 538-543
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1992年11月より導入した血管柄付き腓骨皮弁により, 口腔腫瘍切除後再建顎骨に骨内インプラントを埋入した8例について臨床的に検討した。再建部位は, 下顎7例, 上顎歯肉1例である。顎骨欠損は下顎骨区域切除後が5例, 下顎骨亜全摘, 下顎骨半側切除および上顎部分切除後がそれぞれ1例で, 再建時すべて腓骨に1か所から4か所の骨切りを行いチタンミニプレートで固定した。このミニプレートはインプラントの埋入時に口腔内より除去が可能で, 埋入前に予想した部位に埋入できた。インプラントの埋入時期は, 再建と同時に埋入 (一次埋入) されたものが2例で, 6例は再建後6か月以上経過後に二次的に埋入し (二次埋入), 合計41本が埋入された。再建と同時に埋入した2症例のうち1例において埋入された5本ののインプラント中3本が脱落し, 再度埋入を行った。上部構造体は, 2例において術者可撤式義歯を, 4例は患者可撤式義歯を製作した。埋入後インプラントが撤去されたものは一次埋入を行った1例のみで, インプラント生着率は92.7%であった。血管柄付き腓骨皮弁は広範囲顎骨欠損の再建に有用で, 腓骨はインプラントの埋入に適切な骨であることが確認された。
  • 藤内 祝, 岡崎 恭宏, 中井 英貴, 光藤 健司, 新美 敦, 林 康司, 上田 実, 高橋 正克, 中島 務, 中山 敏, 鳥居 修平, ...
    2000 年 26 巻 3 号 p. 544-550
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域の悪性腫瘍の切除などにより顎, 顔面に広範囲の欠損を生じた患者に対してインプラントを用いた顔面エピテーゼを12例経験し, エピテーゼの脱落の有無患者のエピテーゼに対する満足度 (最高点を100とした平均値) についてを検討した。その結果, 埋入されたフィクスチャーは合計39本であり, 脱落したフィクスチャーは2本のみで生着率は94.9%であった。エピテーゼの自然脱落はみられなかった。継発症はわずかに軽度の皮膚炎が2例にみられたのみであった。部位別で満足度は眼窩部は86.7, 耳介部が66.0, 鼻部40.0であり, 眼窩部おいては高い満足度が得られたが, 鼻部では低い値であった。また眼窩部エピテーゼの3例は従来型のエピテーゼからインプラント型のエピテーゼに交換した症例であり, 特に高い満足度が得られた。
  • 松井 義郎, 大野 康亮, 道 健一
    2000 年 26 巻 3 号 p. 551-556
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究はインプラントを用いて治療を行った口腔腫瘍術後患者の機能を咀嚼機能の面から評価, インプラント治療によって得られる機能回復の程度と本治療法の抱えている今後の課題を明らかにすることを目的とした。
    検討対象は, 昭和大学歯学部第一口腔外科学教室, あるいはドイツ・ハノーバー医科大学歯学部口腔顎顔面外科にてインプラント治療を受けた口腔腫瘍術後患者, あるいは一般の歯の欠損患者である。これらの患者の術後機能を「山本の咬度表」をはじめとする主観的評価法, および「低粘着性発色ガム法」,「デンタルプレスケール」を用いた客観的機能評価法により検索した。
    その結果, (1) 客観評価によると, 一部の患者の機能は健常人と同等であった。(2) 下顎切除例では下顎の連続性の回復が重要であった。(3) 舌下神経切除例の機能は比較的低かった, (4) 患者の主観評価と客観的評価の結果は必ずしも一致しなかった。
    以上の結果より, インプラント治療により得られる機能回復の程度は症例により大きく異なるため, 患者および術者双方がその意義をよく認識した上で, 治療に入ることが重要と考えられた。
  • 上村 裕和, 藤井 隆, 吉野 邦俊, 佐藤 武男, 宮原 裕, 福田 多介彦
    2000 年 26 巻 3 号 p. 557-566
    発行日: 2000/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヘリカルCTは, X線源の回転と患者の装置内での移動が同時に行われるために短時間にボリュームデータを得ることができるという特徴を有する. データは通常の軸位断, MPR表示法および3-D表示法で見ることが可能である。最近のヘリカルCTとソフトウェアを用いれば, 解剖学的構造や病変を詳細に評価可能である。
    今回我々はヘリカルCTの利点と限界を知る目的で喉頭癌摘出標本とMPR画像, 3-D画像を比較評価した。ヘリカルCTスキャニングにより腫瘍進展を評価することを考える場合には, 3-D画像にはモーションアーチファクトや幻影を表示したり, 微小病変の表現が困難であるといった問題がある。したがって, ヘリカルCT施行前に患者に対する十分な説明を行っておくことやMPR画像の情報を考慮した3-D画像の使用が必要であると思われた。
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