頭頸部腫瘍
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27 巻 , 3 号
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  • 齋藤 清
    2001 年 27 巻 3 号 p. 573-578
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    開頭術ではベットの上体を15~30°上げ, 頭部をヘッドピンで固定する。頭蓋底まで開頭した方が術中の脳圧排は少ないが, 悪性腫瘍では腫瘍進展範囲は避けて開頭する。硬膜内操作の時には脳保護に留意し, 脳ヘラでの圧排は最小限とし数分毎に解除する。静脈の走行には個人差が大きい。術中に架橋静脈など重要な静脈を損傷したり圧迫しないように注意する。硬膜欠損は筋膜などで大きめに修復し, 硬膜外に死腔を作らなように硬膜を骨縁に丁寧に吊上げる。鼻副鼻腔とは血行のある組織で遮断する。
    多科合同手術では術前の症例検討が最も大切であり, 病変の摘出範囲, 体位, 皮切部位, 手術手順, 再建方法, 予定手術時間, 必要手術機器について決定する。頭蓋底手術は一般の脳神経外科手術とは色々な点で異るため, 脳神経外科医の理解を得る必要がある。また, 全身が術野になるため, ルートの確保や麻酔器の位置などで麻酔医の協力も必要である。
  • 丹生 健一, 菅沢 正, 中尾 一成, 持木 将人, 弓削 忠, 川原 信隆, 朝戸 裕貴, 多久嶋 亮彦, Takeshi WATANAB ...
    2001 年 27 巻 3 号 p. 579-583
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年の脳神経外科学と再建外科学の進歩の恩恵を享け, 頭蓋底に浸潤した頭頸部腫瘍に対して頭蓋内・頭蓋外の両方からのアプローチによって腫瘍を一塊に切除する「頭蓋底手術」の合併症が激減し, 本邦でも急速に普及してきた。症例数の蓄積に伴い, 現在は技術的な切除限界の検討から, 予後からみた手術適応と後遺症や合併症を考慮した術式の検討をする段階に来た。とは言え, 頭蓋底手術は現在行われている頭頸部癌の手術の中で, 依然として最も challenging な手術であることも事実である。本稿では頭蓋底手術の中で基本的な術式である前頭蓋底手術について, 東京大学で行っている手術の実際を解説する。
  • 中川 尚志, 名取 良弘, 熊本 芳彦, 小宮山 荘太郎
    2001 年 27 巻 3 号 p. 585-590
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当科では側頭骨悪性腫瘍に対して広範に腫瘍摘出をはかる側頭骨亜全摘を行っている。中耳進展例は原則として側頭骨亜全摘の適応と考えている。しかしながら, (1) 内頸動脈に沿って錐体尖端へ進展した例, (2) 硬膜浸潤例, (3) 転移症例など予後不良が予測される症例は保存的治療を選択している。腫瘍の進展範囲は治療前のCT, MRIを用いて決定する。摘出範囲は腫瘍組織周辺の健常部を含めることが原則である。乳突洞後部から削開し, 中耳内側壁を切除側につけ, 前庭, 内耳道, 蝸牛, 頸静脈孔, 内頸動脈管を開放する。側頭開頭を行い, 中頭蓋側から脈管を明視下におきながら骨切りを行う。出血が多く処理が難しい関節包から頸静脈孔周囲の軟部組織は, 最後に充分に視野を確保して切除する。
  • 苦瓜 知彦, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 保喜 克文, 三谷 浩樹, 吉本 世一, 米川 博之, 三浦 弘規, 別府 武
    2001 年 27 巻 3 号 p. 591-594
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口唇・下顎・舌正中切開による上咽頭癌切除術の実際について述べた。この術式は下口唇, 下顎骨, 舌を喉頭蓋の基部まで正確に正中で切開し, 上咽頭に対する良好な視野を得る方法である。同時に頸部からの操作で, 内頸動脈を上方まで剥離しておくことにより, 安全な上咽頭癌の一塊切除が可能となる。上咽頭の欠損は遊離前腕皮弁で再建し, 咽頭と頸部の交通を確実に遮断する。この術式の利点は舌を正中で切開するため, 舌下神経や舌神経の損傷の危険がなく, 術後の機能障害が少ないことである。上咽頭癌に対して手術がおこなわれることは決して多くないが, 遊離皮弁による再建手術の定着と画像f診断の急速な進歩によって, 以前より安全で確実な手術が可能となってきている。解剖学的に到達の困難な上咽頭に対しては, さまざまな方向からのアプローチが報告されているが, この術式も有用な手術法の一つと考えられる。
  • 小村 健
    2001 年 27 巻 3 号 p. 595-600
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    内頸静脈, 胸鎖乳突筋, 副神経のいずれか1組織以上を保存し, かつ level I~Vまでの全頸部を郭清する保存的頸部郭清術の適応は, 一般的にはN (-) 側頸部に対する予防的郭清であるが, N (+) 側の治療的郭清にも用いられる。MRND type Iは level IIに癒着性リンパ節がなくかつ level Vにも転移を認めない症例, MRND type IIは level II~IVに癒着性リンパ節を認めず, かつ level Vに転移を認めない症例, MRND type IIIは高悪性癌の level Iのみの転移例が適応と考えられる。これらの適応に準じて症例を厳選すれば, 治療的郭清例でも満足すべき頸部制御率がえられる。術後, 保存した組織の完全な機能については疑問が残るが, その多くは丁寧で愛護的な手術操作により解決しうるものと考えられる。
  • 大関 悟, 前田 顕之, 鈴木 幸一郎, 本田 武司, 長田 哲次, 吉川 博政
    2001 年 27 巻 3 号 p. 601-606
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    肩甲舌骨筋上頸部郭清術 (Supraomohyoid Neck Dissection, 以下SOHND) は口腔癌症例においてリンパ節の転移が高頻度にみられるオトガイ下・顎下, 上, 中内深頸部 (レベルI, II, III) のリンパ節を郭清する部分的 (領域) 頸部郭清術である。狭い術野で胸鎖乳突筋や内頸静脈, 副神経を温存した郭清を行うため, 手術手技には術者, 助手共に熟練を要する。一般的には転移のない症例 (側) において選択的 (予防的) 郭清術として行われることが多いが, 顎下部に限局した転移症例にも適用が可能であると考えられる。上内, 中内深頸領域への転移例, 節外浸潤症例, 複数領域転移例は本術式の適応外である。
    本論文では, 根治性を失わず en-bloc の郭清を行うための術式, 特に顎二腹筋後腹部と上, 中内深頸部の後方断端の処置について述べ, 口腔癌に対するSOHNDの適応について考察した。
  • 沼田 勉, 花沢 豊行, 柴 啓介, 仲野 公一, 武藤 博之, 永田 博史, 寺田 修久, 今野 昭義
    2001 年 27 巻 3 号 p. 607-611
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    腫瘍あるいはリンパ節による浸潤が患側の総頸動脈のみに留まり, 頸動脈分岐部より上方が温存できる頭頸部癌症例, あるいはその術中に総頸動脈の破裂を起こし緊急に血行再建を要する症例においては, 外頸動脈同士を直接端々吻合する対側外頸-外頸動脈バイパス術を用いて患側内頸動脈血流を再建することができる。本術式の最も良い適応は, 喉頭癌, 下咽頭癌, 甲状腺癌症例で喉頭全摘が必要とされる症例である。頸動脈分岐部が比較的低い位置にあり, 外頸動脈が長いことが望ましい。吻合が完成したところで総頸動脈を頸動脈分岐部より近位で切断する。血流は, 健側の外頸動脈から患側の外頸動脈遠位端に入り, これを逆流して頸動脈分岐部を通過し, 患側内頸動脈に入る。本術式を, 55歳男性の下咽頭癌術中の頸動脈破裂に対する頸動脈血行再建において行い, 神経学的合併症を認めず, 術後良好なバイパス血流を認めた。
  • 桐田 忠昭, 山中 康嗣, 今井 裕一郎, 下岡 尚史, 大儀 和彦, 杉村 正仁
    2001 年 27 巻 3 号 p. 613-618
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    進展舌癌において, 従来から行われてきた拡大切除について見直し, 術前治療効果を考慮した原発巣切除法の選択と臓器, 機能温存の可能性について検討を行った。43例の切除可能進展舌癌症例に対し, 術前放射線化学同時併用療法施行後, 従来の切除法にて手術を行ない, 術前治療効果と組織学的効果について検討した。術前治療による臨床効果と組織学的効果との関連では, 下里分類 Grade II b以上の効果を得るには, 85%以上の縮小率が必要であり, また, 85%以上の縮小率が得られた症例では, それ以外のものに比べ, 平面的にも深部的にも腫瘍残存範囲や残存率が低く, 残存していても中央部浅層にのみ限局して残存する傾向が認められた。そのため, これらの症例には, 進行癌においても拡大切除を回避し, 切除範囲を縮小し, 形態と機能温存を目指した縮小手術が可能であることが示唆された。
  • 保喜 克文, 苦瓜 知彦, 川端 一嘉, 三谷 浩樹, 吉本 世一, 鎌田 信悦
    2001 年 27 巻 3 号 p. 619-625
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    中咽頭癌における機能温存を外科の立場から検討した。根治手術例85例において側壁型では局所再発が43例中5例と局所制御率が高く, 一方上壁型で11例中3例, 前壁型で26例中10例に局所再発を認めた。原病死の割合は側壁型43例中6例, 上壁型11例中2例, 前壁型26例中15例と, T3, T4がほとんどだった前壁型で治癒率が低かった。側壁型, 上壁型では側壁から軟口蓋1/2以下の切除であれば嚥下機能, 会話機能は良好であったが, 広範切除になるに従い機能低下は避けられなかった。機能温存には鼻咽腔閉鎖機能を反映する Blowing ratio が20%以上になる再建が必要であると考えられた。前壁型では進行癌が多く喉頭が保存出来たのは26例中8例であった。そのうち舌根T2症例ではほぼ機能を損なわずに切除が可能であって, T3T4でも症例によっては喉頭保存が可能であったように, 喉頭保存は症例ごとに十分検討する必要がある。
  • 西尾 正道, 明神 美弥子, 西山 典明, 白井 敬祐, 田中 克彦, 堂坂 善弘, 浅野 勝士
    2001 年 27 巻 3 号 p. 627-633
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1980年から1999年までの20年間に国立札幌病院放射線科で治療した中咽頭扁平上皮癌123例を分析した。全症例の36.5%に重複癌が合併していたため, 全例の5年累積生存率は47%, 5年原病生存率は65%であった。原発巣に関する治療においては, 照射単独治療が64例 (52%) で, 37例に小線源を併用した。照射と化学療法を併用した症例は33例 (27%) で, 82%はCDDPの中等量の投与が行われていた。術前照射後に手術したのは26例 (21%) であった。
    臨床病期別の5年原病生存率は, 1期: 100%, 2期: 85%, 3期: 63%, 4期: 53%であった。治療法別では, 比較的早期の症例が含まれる照射を主体として治療した97例の生存率は72%であり, 術前照射後に手術した26例では44%であった。また照射後に再発した41例は, 救済手術を中心として治療し, 45%の5年原病生存率が得られた。原発巣に対して一次治療で手術した26例と救済手術例26例を合わせると, 最終的な切除率は42%であった。また進行症例で cis-platinum (CDDP) を使用した chemoradiation の症例の5年原病生存率は70%であり, 今後に期待が持たれた。
  • 坂田 耕一, 晴山 雅人, 染谷 正則, 永倉 久泰, 大内 敦, 氷見 徹夫
    2001 年 27 巻 3 号 p. 635-638
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    放射線治療の立場からの現在の喉頭癌の治療の課題は, 声門癌のT2症例の治療成績の更なる向上, 声門上癌やT3, T4の声門癌症例の放射線治療による治癒症例を少しでも増やすことである。
    近年, 放射線治療成績を向上させる手段として注目されている方法としては,【1】多分割照射,【2】抗癌剤の併用が挙げられている。
    我々は, T1, T2期声帯癌に対して, 局所制御率向上のため, accelerated hyperfractionation (AHF) 照射を施行しており, conventional fractionation (CF) に比べ, 局所制御率の改善がみられている。
    化学療法の併用としては, 近年, 同時併用が試みられる傾向にある。
    また, 喉頭癌治療を担当する耳鼻科と放射線科の緊密な連携が, 喉頭温存を念頭のおいた適切な治療法の選択には, 重要であると思われる。
  • 太田 一郎, 家根 旦有, 幸 和恵, 金田 宏和, 細井 裕司, 宮原 裕
    2001 年 27 巻 3 号 p. 639-643
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれはこれまでに, 癌抑制遺伝子p53に異常があれば, 放射線, 抗癌剤および温熱に対して治療抵抗性を示すことからp53が癌治療の先行指標として重要であることを報告してきた。そこで, 変異したp53タンパク質の構造を正常に戻し機能を回復すれば, 治療に対する感受性は高められ癌治療効果は向上すると考えた。結果は, 変異型p53を持つ舌癌由来細胞株において, グリセロールはp53タンパク質の機能を正常に戻す (化学シャペロン様効果) ことによって放射線およびシスプラチン (CDDP) によるp53依存性のアポトーシスを誘導することを in vitro および in vivo で明らかにした。以上のことから, グリセロールは遺伝子を直接操作せずにp53タンパク質の機能のみを回復させることによって放射線および抗癌剤感受性を高める新しい治療方法と考える。
  • 藤枝 重治, 成田 憲彦, 杉本 千鶴, 都築 秀明, 須長 寛, 伊藤 聡久, 木村 有一, 井川 秀樹, 山本 英之, 田中 信之, 野 ...
    2001 年 27 巻 3 号 p. 645-650
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    G-CSFレセプター (G-CSFR) の発現は, 正常上皮, 肥厚上皮, 異形上皮, 扁平上皮癌の順に発現率が増加した。口腔・中咽頭扁平上皮癌においてG-CSFRを持つ癌細胞を認める癌患者は有意に予後が悪く, 独立した予後因子であった。頭頸部癌細胞株においてrG-CSF刺激は浸潤能を亢進させた。その機序は, JAK1のリン酸化に引き続くMT-MMPの発現増強とIV型コラゲナーゼ活性の亢進であった。これはG-CSFRの遺伝子導入によっても確認した。DNAアレーの解析よりp38MAP kinase 系を経た核内転写因子の増強による可能性が高いと推測された。頭頸部癌細胞株のおけるG-CSFRのアイソフォームに特色はなかったが, G-CSFRの細胞内ドメイン一部を欠損させた変異発現ベクターは, rG-CSF刺激によるMT-MMPの発現増強を抑制し, Dominant negative による遺伝子治療の可能性が示唆された。
  • 岡本 正人, 大江 剛, 押川 哲也, 西川 英知, 古市 幸子, 田野 智之, Sharif Uddin Ahmed, 吉田 秀夫, 佐藤 ...
    2001 年 27 巻 3 号 p. 651-657
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Toll-like recetor (TLR) 4遺伝子発現と免疫療法剤 (OK-432およびその活性成分OK-PSA) の効果との関連につき検討した。OK-PSAの抗腫瘍免疫活性はTLR4の発現に依存して発揮される事が示された。OK-432局所投与された口腔癌患者の血清中IFN-γ上昇と末梢血単核球におけるTLR4とその co-factor MD2発現に関連性が認められた。さらに, 抗癌剤 Taxol および Taxotere がTLR4/MD2を介してNFκB活性化シグナルが伝達される事が明らかになった。菌体由来免疫療法剤の効果発現にTLR4/MD2シグナル伝達が重要である事, さらに抗癌剤でもTLR4/MD2を介したシグナルが伝わるものがある事が示唆された。
  • 吉崎 智一, 前川 謙一, 金泉 秀典, 丸山 裕美子, 白井 明子, 古川 仭
    2001 年 27 巻 3 号 p. 659-662
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頸部リンパ節転移は舌癌の予後を左右する重要な因子である。基底膜の破壊に必須と考えられているMMP2はMT1-MMPにより活性化される。また, TIMP2はMMP2の阻害物質として発見されたが, 適量ではむしろMMP2活性化の方向に働くとされる。
    舌癌切除標本を用いた検索ではこれらの酵素の発現とMMP2活性化率, TIMP2発現とMMP2活性化率に正の相関があることが判明した。MMP2, MT1-MMP, TIMP2いずれの発現も, N因子, 臨床病期, 局所再発および遠隔転移出現と相関した。多変量解析ではTIMP2が有意なハザードとして残った。
    OSC-19細胞を移植し, BB-2516を150mg/kg/day投与すると, 有意に頸部リンパ節転移が抑制され生存期間の延長も認められた。腫瘍形成部におけるMMP2活性化は有意に抑制されていた。
  • 小村 健, 鈴木 晴彦, 竹内 洋介, 原田 浩之, 幡野 和男, 戸川 貴史
    2001 年 27 巻 3 号 p. 663-669
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎部の扁平上皮癌に対する術前CBDCA同時併用加速多分割照射療法の有用性について検討した。本法による28例の臨床効果はCR率17.9%, good PR・CR率32.1%であり, 組織学的効果は Grade III・IV率28.6%であった。また上顎切除後の一次局所制御率は85.7%であった。本法の治療成績もほぼ満足しうるものであり, かつ組織学的効果も確保されていたことから, 本術前療法は201Tl SPECTなどの応用による厳密な術前治療効果の評価によりCR例や good PR例では縮小手術の可能性をもたらし, 術後の形態・機能温存に有用と考えられた。
  • 兵頭 政光, 小林 丈二, 山形 和彦, 森 敏裕
    2001 年 27 巻 3 号 p. 671-677
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔および中咽頭癌切除再建後の嚥下および構音機能に関し、嚥下圧検査および発語明瞭度から検討を行った。嚥下圧は口蓋切除後には軟口蓋圧がわずかに低下したが、義顎を装用することでほぼ正常に回復した。中咽頭側壁切除では軟口蓋から中咽頭の圧が低下した。舌半側切除および亜全摘では、術後早期には正常の嚥下圧が得られる例が多かったが、経時的には術後の皮弁萎縮により嚥下圧が低下した。また、中咽頭と下咽頭での圧の同時発生や嚥下反射に先立つ口腔内の小刻みな舌運動を示す所見も認められたが、経過とともに改善傾向を示した。構音機能では口蓋切除後には発語明瞭度は著しく低下したが、口蓋欠損部を義顎により閉鎖すると改善した。中咽頭側壁切除後には軟口蓋音の障害が認められた。舌半側切除後には構音機能はあまり障害されないのに対し、亜全摘では声門音以外のすべての音の障害が高度であった。
  • 木股 敬裕, 内山 清貴, 桜庭 実, 海老原 敏, 大山 和一郎, 羽田 達正, 林 隆一, 朝蔭 孝宏, 鬼塚 哲郎, 小室 哲, 大田 ...
    2001 年 27 巻 3 号 p. 679-684
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去20年間に, 当科における上顎を中心とした即次再建は41症例である。上顎癌が28例, 口腔癌9例, 上顎肉腫2例, 顔面皮膚癌1例, 鼻腔癌1例であり, T分類ではT3が3例, T4が13例, 再発T4が25例であった。観察期間は平均26.8ヶ月で, 原病死が25例, 他病死2例, 担癌生存5例, 非担癌生存9例であった。再建を要する上顎広範囲切除症例の生命的予後は厳しく, 簡便な術式と複雑な術式との使い分けが今後の課題として残った。
    一方, 上顎全摘後の無歯顎または少数歯残存症例において, 簡便なスリット型口蓋形成術を行った。その方法は, 皮弁を移植する際に口蓋正中部は閉鎖せず, 上顎へスリット状の交通を形成する。術後の顎義歯に突起部を作成し, 形成したスリット部に挿入する形となる。本方法を8症例に施行し, 7症例に術後の機能評価を行った。結果は, 従来の顎義歯と同等の安定性が得られ, 摂食会話機能でも良好な結果が得られた。
  • 中山 敏, 鳥居 修平, 亀井 譲, 鳥山 和宏, 兵藤 伊久夫, 長谷川 泰久, 藤本 保志, 松浦 秀博, 藤内 祝, 岡崎 恭宏, 重 ...
    2001 年 27 巻 3 号 p. 685-690
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    一般的に口蓋欠損を皮弁で閉鎖すると, 皮弁の下垂によって義歯装着が困難となると言われるが, 鼻への水漏れや顎義歯を脱着する心理的負担を軽減できる利点がある。われわれは, 上顎部悪性腫瘍切除後の口蓋欠損を遊離皮弁を用いて閉鎖し, さらに義歯を装着できる口蓋再建に取り組んだ。10例に対して軟部組織のみの遊離皮弁移植にチタンメッシュによる硬組織再建を行い, 口蓋皮弁の下垂を予防する術式と, 8例に血管柄付き腓骨による歯槽骨再建を行った。それぞれの義歯装着率は40%, 50%であり, 軟部組織のみの遊離皮弁移植の場合の義歯装着率 (16.7%) に比して良好な結果を得た。軟部組織のみの遊離皮弁とチタンメッシュによる硬組織再建法は, 義歯装着に有用な方法と考えられた。血管柄付き腓骨による口蓋再建は義歯装着に有用で, 咀嚼機能の向上に寄与し, 高次な再建法と考えられた。
  • 川口 浩司, 佐藤 淳一, 野村 隆祥, 林 和喜, 飯田 尚紀, 金村 弘成, 佐合 賢治, 瀬戸 皖一, 松浦 正朗, 坂井 陳作, 山 ...
    2001 年 27 巻 3 号 p. 691-697
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当科における口蓋部を中心とした腫瘍切除に伴う再建, 補綴の方針を示す。(1) 硬口蓋, 歯槽部および軟口蓋前縁のみの欠損は, bulky な皮弁による再建は行わず, 義顎補綴を優先させる。(2) 広汎な軟口蓋を含む欠損は, 軟口蓋を血管柄付き遊離皮弁 (+骨付き) で再建し, 顎補綴のための欠損を残す。(3) 義顎は, 天蓋開放で軽量型とする。この原則に従い, 機能再建および補綴法を検討し施行している。また, 今回演者は簡便に術後機能を評価する方法として, OPS: Oral Performance Status を発案した。(結果) 1) 硬口蓋のみの欠損は, 義顎により良好な物理的閉鎖が得られ, ほとんどの患者で社会復帰も可能であった。2) 軟口蓋を含む欠損は, 皮弁で再建した上に義顎によって閉鎖しているが, 特に広汎な軟口蓋欠損症例では, 嚥下障害が残り, 十分な満足度は得られなかった。
  • 下郷 和雄, 臼井 秀治, 大岩 伊知郎
    2001 年 27 巻 3 号 p. 699-706
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎腫瘍切除後の歯槽―硬口蓋や軟口蓋部欠損に対する機能的再建には歯科補綴的手法が極めて有用である。
    1981年7月から2000年12月の19年6ヶ月の間に著者らは上顎顎欠損465例および軟口蓋欠損159例 (重複あり), 合計481例の経験をした。上顎硬口蓋, 軟口蓋欠損面積のそれぞれに対する大略比率による区分では, 上顎硬口蓋欠損で1/6 14%, 2/6 20%, 3/6 48%, 4/6 12%, 6/6 2%, 軟口蓋欠損で1/4 25%, 2/4 13%, 3/4 2%, 4/4 4%であった。
    切除後から義顎装着までの期間は初期の例を除くと平均30日で, この中には術後1週で装用できたものが3例, 術後2週が60例, 3週が92例あり, これらで全体の43%を占めていた。また顎補綴治療開始から装着までの日数は2日が238例, 3日が73例で, これらは全体の86%を占め, ほとんどの例で作製された義顎は装用されており, それによる機能改善は患者に認識されていることから, 歯槽―硬口蓋欠損では切除手術直後には義顎による補填治療が有効で, 二次的に上顎再建手術を行い, 義歯もしくは人工歯根インプラントが適応であろうと考えている。軟口蓋欠損では補綴的機能再建が第一選択であると考えている。
  • 中里 龍彦, 玉川 芳春, 星野 正行, 佐藤 仁, 泉澤 充, 東海林 理, 坂巻 公男
    2001 年 27 巻 3 号 p. 707-712
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CTによる頸部リンパ節転移の診断には多彩なクライテリアがあるが, 水平断像のみの画像ではサイズや形態の評価においてUS, MRIに比較し, 限界がある。しかし, リンパ節の性状評価とともに, 原発巣からのリンパ流路の知識は診断に重要であり, さらに正確な局在診断もUS施行時や治療法の選択の上で必要である。近年発達した single helical CTや multidetector-row CTでは多方向裁断面再構成画像が高分解能で作成でき, リンパ節の正確な局在の把握に有利である。また, 内部構造の異常の検出およびMPRやVR, MIPを利用した3D画像によるサイズの計測が転移リンパ節の診断に有益で, 今後利用される診断法と考えられる。
  • 小島 和行, 安陪 等思, 早渕 尚文, 中島 格
    2001 年 27 巻 3 号 p. 713-716
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌のリンパ節転移において被膜外浸潤の有無は予後に重要な影響をおよぼす因子であるが, その画像所見について詳細に検討された報告は少ない。我々はMRIを用いてリンパ節の最大径, STIR法でのリンパ節周囲高信号領域の有無, 中心壊死の有無につき病理学的に被膜外浸潤あり (以下被膜外 (+)) と診断された群と被膜外浸潤なし (以下被膜外 (-)) とされた群について比較検討した。リンパ節の最大径の検討では被膜外 (+) 群が統計学的に有意に大きかった。また, 被膜外 (-) とする大きさの最大基準値は31.1mmであり, これより大きいものは被膜外浸潤の可能性が高いと思われた。STIR法でのリンパ節周囲高信号領域は統計学的に有意に被膜外浸潤 (+) 群に認められ, STIR法でのリンパ節周囲高信号領域の存在も被膜外浸潤の診断に有用と思われた。中心壊死については被膜外浸潤の診断には必ずしも有用ではないと思われた。
  • 古川 まどか, 久保田 彰, 古川 政樹
    2001 年 27 巻 3 号 p. 717-725
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌の頸部リンパ節転移を超音波断層法で診断し, 明らかな転移所見がない頸部に対する予防的な治療が必要なのかどうかを検討した。過去9年間, 当科では超音波断層法を用いて頸部転移を診断し, その結果N0と判定した症例の両側頸部, および, 片側性の転移症例で頸部転移なしと判断した側の頸部には予防的な意味での治療は施行しない方針で頭頸部癌治療を行ってきた。舌・口腔底癌, 下咽頭癌, 喉頭癌にわけて臨床経過, 予後を詳細に検討した結果, 予防治療を施行しなかった頸部におけるリンパ節転移の制御が不良なために死亡した症例はなかった。舌癌, 下咽頭癌では, 後発頸部リンパ節転移が認められたが, 頸部のみに後発リンパ節転移をきたした症例では, 超音波断層法を用いて再発を早期に診断することにより救済可能であった。以上より, 明らかな転移がない頸部に対する予防的な治療は, 厳重な経過観察の体制があれば必ずしも必要ではないことが判明した。
  • 湯浅 賢治, 筑井 徹, 河津 俊幸, 中野 敏明, 國武 直信, 中村 和正, 神田 重信
    2001 年 27 巻 3 号 p. 727-731
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔癌の頸部リンパ節転移を診断する上で, 超音波パワードプラ法の有用性について, 超音波Bモード法と比較検討を行った。
    対象は79例の口腔扁平上皮癌患者から得られた126個の転移リンパ節および249個の非転移リンパ節であった。これらのリンパ節の超音波Bモード画像を単独で読影した場合と超音波パワードプラ画像を併用した場合の診断能 (sensitivity, specificity) を求め, 両者の診断能をリンパ節の大きさ毎に比較検討を行った。なお, リンパ節の大きさは超音波画像上での短径を指標として3グループに分類した。
    各大きさにおいて, 超音波パワードプラ法を併用して読影した場合が sensitivity は有意に高く, specificity には有意差はなかった。
    上記結果より, 超音波パワードプラ法は診断能を向上させると考えられた。
  • 西山 謹司, 藤井 隆, 吉野 邦俊
    2001 年 27 巻 3 号 p. 733-737
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌の治療において, 機能温存を目指す放射線治療の果たす役割は, まず根治的放射線治療の適応の範囲を拡大することと, 感受性試験ともなる術前治療を行い, その有効例で手術を回避することである。大阪府立成人病センターでの2年局所制御率はT1, T2でそれぞれ71%, 62%と高率でありかつ他の報告でもほぼ同等の結果が報告されていることから, 現在ではT1-2が根治的放射線治療の適応であることはコンセンサスが得られている。この結果を踏まえてわれわれは進行した頸部リンパ節転移を有しても原発巣が限局していれば, 頸部リンパ節郭清ののちに原発巣に根治的照射を行っている。喉頭温存を目的とした術前照射は制御率も低く, 合併症も多い。そのため術前化学放射線治療や術前導入化学療法など新たな工夫が試みられている。その著効例には根治的照射が施行され, 一定の成果が得られつつある。
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