頭頸部腫瘍
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28 巻 , 1 号
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  • 吉野 邦俊, 藤井 隆, 上村 裕和, 栗田 智之, 赤羽 誉, 佐伯 暢生, 佐藤 武男
    2002 年 28 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1979-98年の20年間に, 当科において水平部切を施行した19例 (52-78歳, 平均64, 歳照射の既往4例) を対象とした。原発巣再発は一例も認められていない。カニューレ留置期間は平均29日 (10-92日), 経口摂取開始までの期間は平均34日 (12-108日) であった。両期間の最長例は披裂部の切除例であった。長期的な経過観察において, 造影X線上, 少量の誤嚥が57% (4/7) にみられたが, 白血球数, 胸部X線の変化は認められなかった。死亡11例の死因の36% (4例) は呼吸器関係であった。その内1例 (78歳, 心機能障害) は高度誤嚥による肺炎のため術後72日目に死亡した例であり, 慎重な適応の必要性が示唆された。5年粗生存率, 死因特異的生存率は各々77%, 100%で, 照射群 (81例) と有意差は認められなかった。水平部切は喉頭機能温存が可能であると同時に局所制御, 根治性の点からも有用な術式である。
  • 大西 洋, 栗山 健吾, 小宮山 貴史, 荒木 力, 岡本 美孝
    2002 年 28 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上咽頭癌根治照射30例の治療成績をまとめた。局所効果は全体でCR87%, PR13%であった。5年生存率は, 全体で58%, III期63%, IV期48%, 病理組織 type Iで17%, type II, IIIで73%であった。予後因子は単変量解析ではPS (0, 1で良好), N分類 (N3は不良), 組織型 (type II, IIIで良好), 治療効果 (CR症例で良好) であった。多変量解析ではPS, 組織型であった。病理組織では, type Iは局所制御が困難で, type I, IIIでは局所はほとんど制御されるが遠隔転移が多かった。生検は広範囲に数カ所から採取した上で, 病理組織学的に角化型, 非角化型, 混合型に分けて対処する事が病態や治療戦略を考える上で有用であると考えた。
  • 鬼塚 哲郎, 海老原 敏, 大山 和一郎, 斉川 雅久, 羽田 達正, 林 隆一, 朝蔭 孝宏, 小室 哲, 木股 敬裕, 内山 清貴, 桜 ...
    2002 年 28 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当院の1982年から1995年の中咽頭側壁扁平上皮癌83例の治療成績は治療方針の変更により5年原発巣制御率69%, 疾患特異的5年生存率59%と向上した。T1, T2ではサルベージ手術まで含めると良好な原発巣制御が得られた。ただしT3の内向性, 潰瘍型で周辺部位に大きく広がるものは手術治療にても根治困難であった。これらに対しては放射線同時化学療法の導入も必要と考えられた。5年累積粗生存率については49%と依然悪く重複癌の生存率への影響が考えられ, 重複癌への一層の注意が必要であるとともに症例ごとに Quality of life を低下させない治療選択も必要と考えられた。
  • 安達 朝幸, 林 隆一, 斎川 雅久, 羽田 達正, 朝蔭 孝宏, 鬼塚 哲郎, 小室 哲, 大山 和一郎, 海老原 敏
    2002 年 28 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    国立がんセンター頭頸部外科において1982年から1997年までに術前治療なく原発巣切除および頸部郭清を行った梨状陥凹癌96例を対象に, 健側頸部転移率とこれに関連する因子について検討を行った。健側頸部転移は (1) 両側頸部郭清症例で健側に組織学的リンパ節転移を認めた, もしくは (2) 初回再発部位が健側頸部であった症例を陽性とした。96例中31例 (32%) に健側頸部転移を認めた。T分類別ではT1: 0%, T2: 18%, T3: 37%, T4: 32%, N分類別ではN0: 12%, N1: 13%, N2a: 17%, N2b: 39%, N2c: 100%, N3: 75%の健側転移率であった。T1, T2およびT3でも患側の組織学的リンパ節転移が1個までであれば健側転移率は低く, 健側の頸部郭清は施行しなくてもよい可能性があると考えられた。原発巣が正中を越えて進展していた症例では越えないものにくらべ有意に高い健側転移率を認めた。
  • 田部 哲也, 北原 哲, 甲能 直幸, 田村 悦代, 村田 保博, 唐帆 健浩, 木原 圭一, 村川 哲也, 兵頭 義浩
    2002 年 28 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    放射線治療後のrT1声門癌8症例に対するレーザー手術の治療成績を検討した。放射線治療時 (初診時)のT分類はT1a 1例, T1b 3例, T23例, 不明1例であった。再発までの期間は7ケ月~7年 (平均25ケ月) で, 再発時のT分類はrT1a 5例, rT1b 3例であった。3例は腫瘍が残存し喉頭全摘出術を行い, うち1例が2年後に原病死した。他の5例は19ケ月~93ケ月 (平均4年) 経過観察し腫瘍の再発はない。レーザー手術による喉頭保存率は, 全体で63% (5/8), 初診時T1で50% (2/4), T2で66% (2/3), またrT1aで80% (4/5), rT1bで33% (1/3) であった。合併症は前頸部皮下膿瘍 (保存的治療で軽快) を1例に認めたが他に重篤なものはなかった。放射線治療後のrT1声門癌はレーザー手術の適応となる。ただし, レーザー手術による喉頭保存率を向上させるためには, 症例ごとに切除範囲を慎重に設定する必要がある。
  • 羽田 達正, 海老原 敏, 斎川 雅久, 林 隆一, 鬼塚 哲郎, 小室 哲, 朝蔭 孝宏, 大山 和一郎, 池田 恢
    2002 年 28 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1980~1994年に初回治療したT2声門扁平上皮癌71例を対象に, 治療法 (照射, 部切, 全摘) による局所制御率, 再発時治療法, 喉頭温存率, 声の質, 予後を検討しT2声門癌の治療方針を報告した。全体の死因特異的5年生存率は90%と良好であったが, 喉頭温存率は59%であった。部切の局所制御率, 喉頭温存率はともに84%で, 照射のそれ (47%, 58%) より良好であったが, 声の質は照射による制御例が良好であった。照射非制御例の喉頭温存率 (部切の適応) は21%と低く, 多くは全摘せざるを得なかった。声門下進展の診断は重要で, 広範な声門下進展 (輪状甲状膜浸潤) は最初から全摘の適応と考えられた。治療方針の決定は, これらの情報を正確に患者に伝え, 患者自身の選択に委ねられるべきと考えられた。
  • 緒方 憲久, 小山田 幸夫, 湯本 英二
    2002 年 28 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当教室では喉頭摘出後の代用音声として1999年4月よりボイスプロステーシスを用いた気管食道瘻発声 (以下TEシャント発声) を採用している。2001年4月まで, 喉頭癌患者の男性19例に一期的に装着を行った。会話能力の評価では良好群11例 (57.9%), 可能群4例 (21.0%), 不良群4例 (21.0%), 不能群0例であった。良好群では発声持続時間が10秒以上とその発声の質の高さも明らかになった。当科ではボイスプロステーシスとして当初はプロボックス2を使用していたが, 1年前からグロニンゲンーボイスボタンを使用している。これまでのところ, 両者間で会話能力上, 有意な差は認めなかった。合併症を検討してみると8例 (42.0%) に13件が認められたが, いずれも救済されている。
  • 高野 正行, 柿澤 卓, 高崎 義人, 瀬田 修一, 野間 弘康, 矢島 安朝, 野村 幸恵
    2002 年 28 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    最近5年間に当科に来院した口腔前癌病変およびその一部に微小な早期癌の発生が疑われる口腔粘膜病変の計90症例を対象として, ヨード・トルイジンブルーによる粘膜染色テストの結果から病変を4グループに分類して切除標本による病理組織学的診断と比較検討した。
    上皮異形成が中等度以下のものは, グループ1 (ともに陰性) では85.7%だが, グループ4 (ともに陽性) では12.0%のみであった。一方グループ4では88.0%が扁平上皮癌, 早期浸潤癌または上皮内癌または高度上皮性異形成であったのに対し, グループ1では14.3%に過ぎなかった。sensitivity はヨード単独で50.0%, トルイジンブルー単独で84.6%, 併用では88.0%であった。specificity はヨードで86.1%, トルイジンブルーでは84.4%, 併用で85.7%であった。本法は上皮性異形成の範囲確定や腫瘍の発見のみでなく, その染色結果をもとにした臨床分類により口腔前癌病変の癌化にいたるレベル分けに有用なものと考える。
  • 木戸 幸恵, 野口 誠, 宮崎 晃亘, 金城 尚典, 永井 格, 米倉 宣幸, 久保田 裕美, 竹村 佳奈子, 小浜 源郁
    2002 年 28 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    顎口腔領域悪性腫瘍の臨床病理学的所見の特徴を明らかにすることを目的として, 本研究を行った。
    888例の悪性腫瘍症例を対象とした。平均年齢は60.0歳, 男女比は2.3:1で, 大半 (84.7%) は扁平上皮癌であった。紹介医別では70.5%は歯科からの紹介 (直接来院も含む) であった。
    口腔扁平上皮癌一次症例481例の主訴は, 腫瘤形成: 58.8%, 疼痛: 22.5%であった。癌浸潤様式4D型では疼痛を主訴とする症例が最も多く, 約半数であった (45.2%)。臨床視診型 (鷲津分類, 1973年) は潰瘍型, 肉芽型が多かった。白斑型, びらん型は, 腫瘍径が40mm以上の症例は少なく, これらは, 口腔扁平上皮癌の非進展例に特徴的な所見であることが示唆された。
  • 太田 嘉英, 唐木田 一成, 青木 隆幸, 山崎 浩史, 森 祐介, 中戸川 倫子, 大鶴 光信, 長村 義之, 槻木 恵一
    2002 年 28 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌部分切除を行う症例に対し, 特に深部サージカル・マージンを客観的に設定するためのプロトコールを作成し検証した。浸潤範囲を検索するための術前超音波診断を行う際に, 舌正中に23G注射針を刺入することにより基準点を設定し, 超音波画像における腫瘍描出範囲を切除時に補正した。本プロトコールでは手指の感覚のみに頼ることなく腫瘍浸潤範囲の検索とマージン設定が行われるため, 1. マージン, 特に深部マージン設定において術者による差が生じない。2. 術前療法が奏効した場合においても最大進展時におけるマージン設定を確実に行うことができる, という利点が挙げられる。対象症例75例 (T1N0M0, T2N0M0) のうち病理組織学的に断端に腫瘍浸潤を認めた症例は1例もなかった。また局所再発は2例のみで本プロトコールの有用性が示唆された。
  • 朝蔭 孝宏, 海老原 敏, 斉川 雅久, 羽田 達正, 林 隆一, 崎浜 教之, 海老原 充, 山崎 光男, 鵜久森 徹, 吉田 聖, 木股 ...
    2002 年 28 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    国立がんセンター頭頸部外科における舌部分切除例142例について検討し, 口内法による舌部分切除例の治療成績を明らかにするとともに pull-through 法の適応について考察した。口内法による舌部分切除術施行例130例の累積生存率は81%だった。口内法による舌部分切除術施行例のうち局所再発例は13例に認め, そのうち舌根再発は4例, 口腔底再発は5例であった。これら9例は pull-through 法での切除により再発を避けることが出来た可能性があると考えた。pull-through 法12例のうち深部再発例は1例のみであった。
    以上のことから舌部分切除症例のなかで舌根および口腔底へ深部浸潤する症例は pull-through 法のよい適応となると考えた。その他, 大半の舌部分切除術は口内法で充分に施行可能と考えた。
  • 金城 尚典, 野口 誠, 木戸 幸恵, 宮崎 晃亘, 久保田 裕美, 竹村 佳奈子, 小浜 源郁
    2002 年 28 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は口腔進行癌における縮小手術の適用症例を明らかにするために, 過去25年間に当科で加療した進行癌194例の治療成績と予後因子について解析した。対象症例の臨床病期別内訳は Stage III: 84例, Stage IV: 110例であった。
    全症例の5年累積生存率 (以下5生率) は63.9% (Stage III: 80.2%, IV: 52.1%) であった。癌浸潤様式と術前療法効果からみた5生率は低~中度浸潤癌の有効例は76.9%, 無効例は74.3%でともに良好であったのに対し, 高度浸潤癌では有効例: 64.7%, 無効例: 31.0%であった。単変量解析で有意差を認めた因子はT分類, N分類, 臨床病期, 発育様式, G分類, 癌浸潤様式であった。Cox の比例ハザードモデルで独立した予後因子はT分類, N分類, 癌浸潤様式であった。
    低~中度浸潤癌の術前療法有効例に対し縮小手術の適用が可能と考えた。
  • 朝蔭 孝宏, 海老原 敏, 大山 和一郎, 斉川 雅久, 羽田 達正, 林 隆一, 小室 哲, 安達 朝幸, 飯塚 雄志, 鵜久森 徹, 吉 ...
    2002 年 28 巻 1 号 p. 68-74
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌癌405例 (70歳未満341例, 70歳以上64例) を対象として, 両群を比較し高齢者舌癌の臨床像を検討した。70歳以上の症例では治療に影響を及ぼしうる既往歴を有する患者は76%と多かった。また70歳以上の症例の死因では他病死 (40%), 他癌死 (23%) が多くを占めた。しかしながら, 年齢による症例の分布, 術式の適応を含めた治療の概要, 死因特異的生存率に差を認めなかった。舌癌治療の選択においては実際の年齢だけでなく, 基礎疾患の有無, 患者や家族の希望, 社会的背景を念頭においた判断が重要と考えた。
  • 山崎 浩史, 太田 嘉英, 唐木田 一成, 青木 隆幸, 中戸川 倫子, 森 裕介, 大鶴 光信, 槻木 恵一
    2002 年 28 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    東海大学口腔外科にて1992年4月より2001年3月までの9年間に経験した高カルシウム (Ca) 血症を呈した口腔扁平上皮癌症例26例について検討した。症例は男性16例, 女性10例で平均61.7歳であった。原発部位は, 舌19例, 頬粘膜4例, 歯肉2例, 口底1例, 軟口蓋1例であった。初診時の病期はI期2例, II期6例, III期0例, IV期18例であったが, MAHはすべて進行癌あるいは末期癌の状態で発症した。積極的にMAHの治療を行わなかった症例では, MAH発症から死亡までの期間が平均17.4日であったのに対し, ペプロマイシン (PEP), エルカトニン, ビスフォスフォネートを用いて治療を行った症例では, 平均32.7日であった。PEPを投与した症例は男性6例, 女性6例の計12例であった。そのうち血清 Ca 値が1.0mg/dl 以上低下したのは7例であった。PEPの高Ca血症に対する薬剤として有用である可能性が示唆された。
  • 寺尾 保信, 内田 育宏
    2002 年 28 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌における下顎骨拡大切除術では, 口腔内, 皮膚の lining だけでなく, 咀嚼筋, 頬部脂肪体などの軟部組織が一塊に切除されることが多い。下顎再建を行なう際, 骨と lining だけの再建では軟部組織の欠損を残し, これが顔貌の変形や, 移植骨の感染, 露出の原因となる。下顎再建時に軟部組織を同時移植することにより下顔面の顔貌の再建と術後感染, 瘻孔形成の予防を試みた。血管柄付遊離骨皮弁移植による下顎再建20例のうち, 13例の腓骨皮弁で再建した症例は軟部組織の再建に second flap の合併移植を行なった。肩甲骨皮弁で再建した6例は大きな皮弁の一部を denude して軟部組織の再建を行った。1例に肋軟骨付腹直筋皮弁を移植し下顎と舌の再建を行った。良好な顔貌の再建, 感染の予防と共に, 移植骨周囲の死腔に脂肪組織を充填することにより十分な開口が可能になり, より高いレベルのQOLが得られた。
  • 中澤 勉, 松崎 全成, 茶薗 英明, 遠藤 周一郎, 荻野 純, 上野 武彦, 岡本 美孝
    2002 年 28 巻 1 号 p. 86-91
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    以前より舌切除後再建の機能については嚥下機能や構音機能について多施設で検討されてきた。今回我々は, 舌機能と共に非侵襲的な脳活動の画像化の新しい方法として数年前から始められた functional MRI (f-MRI) を用いて検討した。f-MRIは, 脳賦活時に静脈の deoxy-ヘモグロビンの絶対的・相対的含有量の低下に伴い, 賦活領域のMRIの信号強度が増すといった原理を応用したものである。嚥下機能は, T3・4症例では舌・喉頭運動が高度に障害されていた。構音機能は, 症例により様々であった。f-MRI検査では, 舌運動において, T3・4症例では健側の運動野のみの描出が認められ, T2症例では半切してあるにもかかわらず, 両側の描出が認められた。味覚についてはいずれの症例も健側のみの描出で, 中咽頭の味覚を反映していない結果であった。
  • 山城 正司, 小林 明子, 小林 淳二, 鈴木 鉄夫, 長澤 宏和, 石井 純一, 岩城 博, 吉増 秀實, 長谷川 和樹, 天笠 光雄
    2002 年 28 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    再建舌が咀嚼機能に及ぼす影響を検討する目的で, 術後1年以上経過した, Eichner 分類のA群に相当する舌口底再建例7例の機能評価を行い, 咬合状態, 舌の運動機能, 感覚障害との関連を比較検討した。咀嚼機能は低粘性発色ガム法 (咀嚼値) と, 山本の咬度表に基づいたアンケート法による評価を行った。咬合状態の評価はオクルーザルプレスケール法により, 咬合接触面積と最大咬合圧を測定した。舌の機能評価としては, 舌の随意運動機能評価, 感覚 (感受能検査, 温覚検査) の評価を行った。発色ガム法と, アンケート法による結果は一致していなかった。舌口底再建例咀嚼値は, 健常者に比べ有意に低下していたが, 咬合状態との関連は明らかではなかった。舌の随意運動機能が高いものが, また再建舌の感覚回復の良好なもので, 咀嚼値が高い傾向にあった。咀嚼機能の回復のためには, 咬合の再建のみならず, 舌の運動機能, 感覚も重要であると考えられた。
  • 黒川 英雄, 山下 善弘, 武田 忍, 村田 朋之, 中村 貴司, 高橋 哲
    2002 年 28 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Stage I, II舌癌における予防的頸部郭清術の適応基準を明らかにすることを目的として検討を行った。1985年から1996年までに当科で外科療法のみを行った Stage I・30例, Stage II・20例を対象とした。後発頸部リンパ節転移は7例 (14.0%) に認められた。多変量解析により後発頸部リンパ節転移の危険因子は原発巣の深さと分化度で, 5年生存率が有意に低下していた。したがって, Stage I, II舌癌において予防的頸部郭清術は原発巣の深さが4mm以上で中等度分化型の症例が適応と考えられた。
  • 足利 雄一, 鄭 漢忠, 小野 貢伸, 戸塚 靖則, 山下 知巳, 北田 秀昭, 牧野 修治郎, 山崎 裕, 野谷 健一
    2002 年 28 巻 1 号 p. 104-107
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口底扁平上皮癌N0症例のうち, 原発巣が制御された53例を対象に頸部に対する処置法を検討した。性別は男性48例, 女性5例で, 平均年齢は60.3歳であった。T分類はT1: 14例, T2: 35例, T3: 4例であった。初回治療法は手術単独: 29例, 放射線単独: 7例, 手術放射線併用: 14例, 手術化学療法併用: 3例であり, 16例に予防的頸部郭清術 (以下END) が行われた。ENDを施行した16例中2例, 治療的頸部郭清術 (以下TND) を施行した37例中8例に病理組織学的転移を認めた。潜在的なリンパ節転移の頻度は18.9%であった。初回治療法別およびT分類別での後発転移の発現頻度には差はみられなかった。転移レベルは1例を除きいずれもレベルIIIまでの転移であった。END施行群とTND施行群の5年累積生存率はそれぞれ73.1%, 66.9%であった。以上から, 今回検討した限りでは, 口底扁平上皮癌N0症例に関しては初回治療時にあえて頸部郭清術を行う必要はないものと考えられた。
  • 木原 圭一, 甲能 直幸, 田部 哲也, 北原 哲, 小須田 茂
    2002 年 28 巻 1 号 p. 108-113
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    臨床的にリンパ節転移を認めない口腔癌に対し, 頸部郭清術を行うことは意見の分かれる所である。口腔癌症例に対する治療において所属リンパ節転移の評価は重要である。これまでに報告された触診, 画像診断などにおける検出率は90%前後と報告されている。しかしながらこれが病理組織的に陽性を示す転移巣の検出となると50%前後の検出率となる。今回我々は臨床的にリンパ節転移を認めない口腔癌に対しセンチネルリンパ節を術前, 術中に検出した。使用したコロイドは99mTc-Tin colloid (スズコロイド) で, 腫瘍周囲に注入し, 2時間後にセンチネルリンパ節に集積が認められた。4症例に対し行ったが, 全症例センチネルリンパ節を検索できた。この部位を病理学的に調べることにより微小転移リンパ節を術前に同定し, 転移の有無によって頸部郭清を行うか否かを決定することができる可能性を示唆した。
  • 湯川 尚哉, 辻 裕之, 岩井 大, 南野 雅之, 小椋 学, 宮本 真, 山下 敏夫, 笹井 邦彦
    2002 年 28 巻 1 号 p. 114-118
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頸部郭清術術後に肩関節の運動障害, 感覚障害を認めることが多く, 副神経の温存に対する有用性については以前より報告されてきたが, 頸神経の温存に対する重要性, 頸神経の役割については不明な点が多い。当教室はさらなる術後のQOLの向上を得るために, 厳格に適応を考慮し症例に応じて副神経のみならず頸神経を温存する術式を行ってきた。評価可能であった副神経, 頸神経を温存した19症例, 副神経温存, 頸神経切断した6症例, 副神経, 頸神経を切断した10症例を対象とし, 頸部郭清術術後の肩関節の屈曲, 伸展, 外転における可動域検査, 僧帽筋の徒手筋力測定, 自覚的症状のアンケート調査等を施行した。副神経のみならず頸神経を温存することにより, さらに術後の僧帽筋の運動機能が温存され, 上肢の可動域の制限が軽減される結果が得られた。症例に応じて副神経, 頸神経を温存することにより術後のQOLの向上が期待できると考えられた。
  • 小松崎 靖, 杉浦 夏樹, 越智 健太郎, 岩武 博也, 堤 康一朗, 肥塚 泉
    2002 年 28 巻 1 号 p. 119-124
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    原発不明頸部転移癌11例についてその転帰, 予後について臨床的検討を加えた。未治療例1例を除く10例に対して, 一次治療として頸部郭清術を施行した。術後補助療法として化学療法を8例に, また放射線療法を1例に施行し, 手術単独であった症例は1例のみであった。経過途中で原発巣の判明した症例は5例で, 初診時から平均22か月で原発巣が判明した。遠隔転移は5例中2例に認めた。不明のまま経過した症例は6例で, 未治療例1例を除く5症例は, その後経過中に全例が局所再発を来し (再発までの平均期間は8.4か月), また4例が遠隔転移を来した。10例全体の5年生存率は38.4%であった。5年生存率は原発不明例20.0%, 原発部位判明例66.7%であったが, 両者の生存率に有意差は認められなかった。治療については手術療法を主体とすべきであるが, 術後補助療法については更なる検討を重ねる必要があると思われた。
  • 服部 賢二, 中川 崇, 岩田 伸子, 猪原 秀典, 久保 武
    2002 年 28 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    手術により摘出し起源神経を同定し得た頸部神経原性腫瘍6症例, および文献的に評価可能であった23例でCT, MRI画像を比較し, 起源神経と頸部大血管との特徴的位置関係について検討を行った。発生部位は, 副咽頭間隙を含む上深頸部が22例, 中, 下深頸部が7例であった。また, 迷走神経由来が15例, 交感神経幹由来が11例, 舌下神経由来が3例であった。
    良性の頸部神経原性腫瘍では腫瘤以外の症状に乏しく, 摘出後神経脱落症状を示すことから術前の起源神経の同定が, 術後機能あるいはインフォームドコンセントの点で問題となる。迷走神経起源は内頸静脈と総頸あるいは内頸動脈との離開が腫瘍を中心として90°以上あり, 交感神経幹起源腫瘍ではこれらの動静脈間は90°未満の離開で動静脈は前外方に偏位していた。舌下神経起源腫瘍は動静脈間に離開なくこれらを後方に圧排していた。起源神経により画像上特徴的な所見を有し, 術前の鑑別診断に有用と考えられた。
  • 松田 洋一, 千々和 圭一, 伊藤 信輔, 中島 格
    2002 年 28 巻 1 号 p. 131-136
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    外耳道癌は頭頸部癌の中では比較的稀な疾患である。本報告では1981年から, 2000年までの20年間, 当院で取り扱った外耳道癌23例についての治療成績を検討した。年齢は43歳から85歳 (平均67歳), 組織型は扁平上皮癌が17例, 腺様嚢胞癌が3例, 腺扁平上皮癌, 基底細胞癌, 未分化癌が各1例ずつであった。全ての症例を Arriaga らのTNM分類に準じて分類した。T分類ではT1が8例, T2が3例, T3が6例, T4が6例で, 治療前5例に頸部リンパ節に転移を認めた。治療成績は Kaplan-Meier 法による累積3年生存率で検討した。全症例の治療成績は55%で, T別ではT1, T2で100%, T3で50%, T4で0%と進行症例ほど不良であった。原病死は全て原発巣死で10例であり, 全体の43%を占めた。外耳道癌の治療成績向上には原発巣の制御をいかに行うかが重要と考えられた。
  • 篠原 尚吾, 山本 悦生, 田辺 牧人, 藤原 敬三, 渡辺 太志, 菊地 正弘
    2002 年 28 巻 1 号 p. 137-142
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺乳頭癌の中で被膜外進展のあるpT4症例は再発や, 遠隔転移の多いことで知られている。今回我々は当科で手術加療を行った甲状腺乳頭癌pT4症例の治療成績を術後のサイログロブリン値 (Tg値) を用いて評価し, 若干の知見を得たので報告する。対象は過去14年間に当科で手術加療を行った, 甲状腺乳頭癌pT4症例43例である。甲状腺に対する術式は全摘36例, 他が7例であり, 合併切除器官は, 反回神経が29例, 気管が19例, 咽頭収縮筋や食道筋層16例, 他が7例であった。予後は, 平均観察期間7年3ケ月で, Kaplan-Meier 法による累積5年, 10年疾患特異的生存率はいずれも97.1%と良好であったが, 全摘した36例中, 術後Tg値の陰性化した症例は18例しかなかった。このことから, 甲状腺乳頭癌pT4症例では全摘したつもりでも, どこかに甲状腺組織が残存している症例が多いことが判った。
  • 杉谷 巌, 吉本 世一, 三谷 浩樹, 保喜 克文, 苦瓜 知彦, 川端 一嘉, 鎌田 信悦, 柳澤 昭夫
    2002 年 28 巻 1 号 p. 143-147
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺乳頭癌は予後因子を統計学的に解析することにより, 癌死高危険度群と低危険度群に分類することができる。癌専門病院である当科における独自の癌死危険度分類を考案した。1976~1998年の初取り扱い乳頭癌症例 (微小癌を除く) は604例で, うち原病死は32例であった (疾患特異的10年生存率94.0%, 平均観察期間10.7年)。多変数解析の結果, 年齢50歳以上では遠隔転移, 腺外浸潤, 3cm以上のリンパ節転移が, 年齢50歳未満では遠隔転移が有意な予後不良因子であった。各症例につき予後不良因子を1つでも有するものを高危険度群に, 全く有さないものを低危険度群に分類すると, 低危険度群が498例 (82.5%), 高危険度群が106例 (18.5%)で, 疾患特異的10年生存率はそれぞれ99.3%, 68.9%と有意差を認め, この癌死危険度分類は当科の症例の予後予測に大変有用であった。
  • 大森 孝一, 山下 勝, 岸本 正直, 辻 智子
    2002 年 28 巻 1 号 p. 148-152
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    原発性上皮小体機能亢進症を10例経験した。年齢は37才~72才, 男性1例, 女性9例。臨床症状は高Ca血症8例 (無症状7例, 精神症状1例), 嗄声1例, 咽喉頭異常感1例。病理診断は腺腫9例, 過形成1例。腺腫での術前局在診断は超音波6/9例, CT8/8例, MIBIシンチ9/9例的中した。超音波で非的中の3例のうち2例に甲状腺疾患を合併していた。特異な臨床症状の2例を示す。症例 (50才, 女性)。2年間に反回神経麻痺を2回繰り返し回復。術中, 右反回神経が喉頭に入る直前で神経裏面に癒着した腫瘍を認めこれを鋭的に切除。病理診断は腺腫。術後反回神経麻痺はない。症例 (59才, 女性)。他院精神科にて妄想性障害で3年間治療されていた。高Ca血症を指摘され当院を受診。画像検査で甲状腺右葉の下方に腫瘤を認め, 摘出術を施行した。病理診断は腺腫。術後2ケ月で幻覚, 妄想は消失した。
  • 若島 純一, 浅野 勝士, 染川 幸裕, 大黒 慎二, 平 篤史
    2002 年 28 巻 1 号 p. 153-159
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭蓋内ならびに頭蓋外にかけ大きく進展した三叉神経鞘腫の3例に対し手術治療を行った。3例中2例は第2枝由来と考えられ, うち1例は zygomatic infratemporal approach と transmaxillary approach にて, 他の1例はさらに眼窩にも進展し視力低下をきたしており, 眼窩外側壁の骨切りを加えた orbitozygomatic infratemporal approach と transmaxillary approach により全摘出した。第3枝由来の1例は, 側頭下窩, 副咽頭腔, 中耳, 外耳に進展しており infratemporal approach, transmandibular approach, および顕微鏡下の耳科手術手技を用いて全摘出した。中頭蓋窩から, 症状の出現しにくい側頭下窩方向へ進展する第2, 第3枝由来の三叉神経鞘腫は, 診断時にすでに複数の間隙に進展している事が多いため, 画像診断により正確な進展範囲を把握し, 美容的, 機能的な面を配慮した個々の症例に適した手術 approach を選択する事が重要である。
  • 横島 一彦, 中溝 宗永, 粉川 隆行, 中嶋 博史, 矢嶋 裕徳
    2002 年 28 巻 1 号 p. 160-163
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌治療の進歩のためには, 根治治療の発展とともに, 治癒が不可能になった患者の終末期を有意義なものにする努力が重要であると思われる。そこで, 当院で診療した後に原病死した頭頸部癌78症例の最終時の入院治療について検討し, 死の臨床の問題点を明らかにしようとした。
    全死亡症例の82%の症例が当院で最期をむかえており, 平均71日間もの入院治療を要していた。また, それらの患者の治療内容を医学的にのみ考えると, 28%の症例はその時点での入院を避けることができたと思われた。さらに, 最終時の入院治療内容は, 死の受容や家族・社会の支援の程度により著しい差異を生じることが明らかになった。
    今後, 我々が理想とする入院期間の短縮や近医での終末期治療を可能にするためには, 余命の告知を含めた現状の開示方法の工夫や社会的, 心理的側面を含めた支援体制の整備を計る必要があると考えられた。
  • 新部 譲, 唐澤 克之, 貝津 俊英, 宮下 久夫, 中村 弦, 鈴木 政彦, 鵜澤 正道, 田中 良明
    2002 年 28 巻 1 号 p. 165-169
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    今回, 当院での下咽頭癌に対する多分割放射線治療初期成績を検討した。1996年~2000年12月までの間に多分割法で根治的放射線治療を施行した16例を対象とした。平均年齢65歳 (52~84), 性別は全例男性。
    病期分類はI期2例, II期5例, III期3例, IV期6例であった。病理組織型は全て扁平上皮癌であった。放射線治療は4MVX線にて1.2Gy/fr, 2fr/dayで, 咽頭ならびに頸部に照射し, shrinking field 法を用いて平均総線量72Gy (66~79.2) 施行した。照射終了時点での下咽頭局所の照射効果はCR 13例 (81.3%), PR 3例 (18.7%) であった。2年生存率, 2年局所制御率はそれぞれ69.9%, 63.6%であった。今回の検討では, 多分割法による下咽頭癌の治療成績は比較的良好であり, 有用な治療法となる可能性が示唆された。
  • 赤井畑 喜久子, 鹿野 真人, 佐藤 久志, 松塚 崇, 宍戸 文男, 大谷 巌
    2002 年 28 巻 1 号 p. 170-177
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当院では, 直線加速器更新により, Micro-multileaf collimator (m3) を使用した定位放射線照射 (STI) が可能となった。今回, 当科で, 神経原性の鼻副鼻腔悪面生腫瘍3例に対してSTIを施行したのでその結果を報告する。
    3例の病理組織診断は, 嗅神経芽細胞腫1例, 嗅神経芽細胞腫疑い1例, 神経原性悪性腫瘍1例であった。1例で頭蓋底骨の一部消失が認められたが, 他の2例は頭蓋底骨への浸潤は認められなかった。2例にSRS (定位手術的照射) を施行し, 1例にはSRT (定位放射線治療) を施行した。治療効果は全例で腫瘍が消失し, 再発は認められていない。また, 全例で重篤な障害は認められなかった。
    鼻副鼻腔神経原性悪性腫瘍に対する定位放射線照射の根治性や安全性が示唆されたが, さらに長期にわたる治療効果や, 副作用についての観察が必要である。
  • 寺原 敦朗, 中川 恵一, 多湖 正夫, 青木 幸昌, 大友 邦
    2002 年 28 巻 1 号 p. 178-185
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部は複雑な形態をしているため, 単純な照射法では線量が不均一になりやすい。また, critical organ に制限されて思うような線量分布が得られないことも多い。当施設では, 比較的簡単な方法で線量分布の改善を試みているので, 報告する。
    頭頸部の広い範囲に対する照射によく用いられる左右対向2門照射では, 上下や前後方向に線量の不均一性が避けられず, 平均22%, 10.8Gyの差が生じていた。左右に前方からの照射を加え, wedge filter を用いることで, その不均一性を11.6%, 5.5Gyまで減少可能であった。前方照射野で耳下腺を spare することにより, 耳下腺線量の低下も可能であった。また, C-arm型ライナックを用いた3次元原体照射を用いることにより, ビームの入射方向の自由度が増し, critical organ を避けながら target に比較的均一な高線量を照射することが可能となった。
  • 姫井 健吾, 勝井 邦彰, 吉田 敦史, 武本 充広, 小林 満, 黒田 昌宏, 佐藤 健吾, 馬場 義美, 平木 祥夫
    2002 年 28 巻 1 号 p. 186-191
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    サイバーナイフはロボットとLINACを組み合わせた定位放射線治療装置であり, 頭頸部腫瘍に対して治療を行うことができる。2000年6月から2001年1月までに治療した頭頸部腫瘍18例を対象に検討した。年齢は中央値64歳であった。症例は再発例, 手術困難例および外部照射後の追加照射例であった。原発部位は頭蓋底腫瘍4例, 上咽頭癌3例, 副鼻腔癌2例, 鼻腔腫瘍2例, 涙腺腫瘍1例, 中咽頭癌1例, 口腔底腫瘍1例, 頬粘膜癌1例, 頸部リンパ節転移3例であった。治療線量は辺縁線量で12-38Gyであった。奏功率 (CR+PR) は44.4%, 局所コンロトール率 (CR+PR+NC) は77.8%であった。有害反応はNCI-CTC Version 2.0で評価し grade 3を2例で認めた。進行, 再発例で通常の外部照射が困難な頭頸部腫瘍に対し限局した照射は有害反応を軽減することができ, またQOLを保つ治療として有用であると考えられた。
  • 溝江 純悦, 辻井 博彦, 今野 正義, 海老原 敏
    2002 年 28 巻 1 号 p. 192-197
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    放医研で行われている頭頸部悪性腫瘍に対する重粒子線 (炭素イオン) 治療において, 1997年4月から2000年8月までに治療された101例中, 腺癌13例, 腺様嚢胞癌16例, 乳頭状腺癌8例の計37例を対象にした途中解析を行った。性別は腺癌で男性11例女性2例, 腺様嚢胞癌で男性6例女性10例, 乳頭状腺癌で男性4例女性4例であった。年齢は腺癌で平均60才, 腺様嚢胞癌で52才, 乳頭状腺癌で69才であった。標的体積の大きさは, 腺癌で平均206ml, 腺様嚢胞癌で210ml, 乳頭状腺癌で253mlであった。炭素イオンは57.6GyE/16回/4週間で35例が照射され, また64.0GyE/16回/4週間で2例が照射されたが, 急性期反応は重篤なものはなく, 全例が予定どおり終了した。腺癌13例の3年局所制御率は91%, 3年生存率は74%であり, 16例の腺様嚢胞癌ではそれぞれ100%と54%, また8例の乳頭状腺癌ではそれぞれ83%と38%である。照射後に遠隔転移が発生し生存率の低下の主因となっている。
  • 能勢 隆之, 小泉 雅彦, 西山 謹司, 吉田 謙, 井上 俊彦
    2002 年 28 巻 1 号 p. 198-204
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々は中咽頭癌の局所制御の向上と外照射による合併症の低減とを目指して, 1993年6月から高線量率組織内照射を実施している。1997年12月までは大阪大学, 以後2001年2月までに大阪成人病センターにて当治療法を実施した46人47部位について, 2001年10月1日に解析を行った。5年局所制御率は85.1%, 救済を含む病因特異的生存率は84.5%, 粗生存率は62.6%, 一過性潰瘍が38.3%であった。8年間の経験において, 刺入方法, 線量投与法, 線量スケジュールのそれぞれに変遷があった。刺入方法と線量スケジュールが統一された96年以前の17部位と, それ以後の30部位とについて, 局所制御率は, 変更前群が, 4年で70.3%, 変更後の群が92.7%と改善の傾向にある (p=0.10)。当センターで, 組織内照射を開始する以前の, 外照射による中咽頭癌5年局所制御率66%に比べて20%近い向上が見られる。海外の低線量率組織内照射の成績と比べてもほぼ同等であった。中咽頭癌に対する高線量率組織内照射によって, 顕著に良好な局所制御率を達成できた。
  • 湯田 厚司, 立松 正規, 石永 一, 原田 輝彦, 間島 雄一
    2002 年 28 巻 1 号 p. 205-210
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1989年から1999年の早期頭頸部癌に対する根治照射後に, 遅発性気道狭窄をきたした7例を検討した。対象は54歳から77歳の男性6例, 女性1例であった。内訳は喉頭癌声門型T1a, T1b各1例, T2; 3例, 声門下T2; 1例, 原発不明癌1例であった。照射終了からの期間は3ケ月から3年11ケ月 (中央値7ケ月) であった。線源はすべて60Coで, ライナックは1例もなかった。照射線量は60Gy3例, 70Gy4例であった。1例は1側の声帯運動障害を伴い計4回の再燃を来たした。3例で気管切開を行い, 両側声帯運動障害が主因であった。同期間に根治照射をした喉頭癌90例をコントロールとして, 背景, 治療方法, 粘膜反応性を比較した。その結果, 照射線源 (60Co), 線量, 頸部手術, 使用鎮痛薬と使用時期, 粘膜炎の出現時期, 照射中の喉頭浮腫が危険因子としてあげられ, 特に照射中の粘膜炎の出現時期と程度が重要と考えられた。
  • 筑井 徹, 湯浅 賢治, 神田 重信, 中村 和正, 長田 哲次, 平木 昭光
    2002 年 28 巻 1 号 p. 211-217
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頸部郭清術後の摘出リンパ節 (転移64個, 非転移102個) の術前照射前後の超音波ドップラ画像をもちいて, 血流パターンを評価した。従来より辺縁型, 無信号型は, 転移を示唆し, リンパ門型は, 非転移を示唆するとされる。最近の研究で, リンパ門型のうち血流欠損部位および圧排された血流を有する異常リンパ門型は, 微少転移を示唆する所見とされている。今回, 辺縁型, 無信号型, 異常リンパ門型を転移を示唆する所見として鑑別すると, 照射前後で, 感度は72%から86%に, 特異度は64%から89%と改善された。
    照射後は, 正常リンパ組織内の微少血管描出能の改善されることにより, 非転移リンパ節においては, 無信号型に描出される率が減少したこと, 異常リンパ門型を呈する転移リンパ節の検出率の向上したことが, 診断能の向上に寄与したと考えられた。
  • 仙波 治, 長原 昌萬, 宮崎 信雄, 足達 治, 福田 和泰, 渡邊 雄介
    2002 年 28 巻 1 号 p. 219-225
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    2000年6月までの3年3カ月間に当科で初回治療した頭頸部癌患者で, 少量ネダプラチン併用放射線療法を行った21症例 (22部位) について検討した。症例は咽頭癌と喉頭癌で本治療で根治可能と考えた症例や, 高齢や合併症などのための手術不能例や手術拒否例とした。症例は32才から83才で男性16例, 女性5例であった。病期別では77.3%が進行癌であった。上顎洞未分化癌症例を除くすべてが扁平上皮癌であった。扁平上皮癌21部位を検討すると, 原発部位21部位すべてに治療終了時に臨床的または病理学的にCRとなったが, 4例に再発を認めた。転移リンパ節では14部位のうち11部位 (78.6%) がCRであった。頸部リンパ節の再発はCRと判断された下咽頭癌N3と喉頭癌N0に照射野外より出現した。この結果から, 今後症例を重ね治療成績を評価し, この療法で機能温存やQOLを高める治療が可能かどうか検討したい。
  • 井上 斉, 木田 亮紀, 鈴木 衛, 吉田 知之, 古阪 徹, 遠藤 壮平, 中井 孝尚
    2002 年 28 巻 1 号 p. 226-230
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喉頭癌T2症例に対し3施設共同でCBDCA放射線同時併用療法を施行した。対象は平成10年5月から平成12年4月までに登録を行った喉頭癌T2未治療症例34例で, 全症例男性, 平均年齢は64.4歳であった。CBDCAの一回投与量はAUC=1.5もしくは2.0として, 週一回を4週間投与することとした。放射線照射量は一回2Gyを原則として総線量は60Gyを目標とした。効果判定可能症例の29例中CRは25例でCR率は86.2%であった。喉頭保存率は25例で効果判定可能症例29例中の86.2%に上った。投与量別のCR率はAUC=1.5で81.8%, AUC=2.0で88.9%であった。血液毒性において grade3の白血球減少が認められたのは3例で, 血小板減少については grade3以上の副作用は認められなかった。今回行った検討でAUC=2.0により決定された投与量は至適投与量と考えられ, CBDCA放射線同時併用療法は喉頭癌T2症例において有効な治療と考えられた。
  • 明神 美弥子, 西尾 正道, 西山 典明, 白井 敬祐, 田中 克彦
    2002 年 28 巻 1 号 p. 231-236
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌手術可能例 (Stage II-IV) を対象として, Cisplatin (CDDP) 単剤による化学放射線治療の第2相試験 (non-randomized) を行なった。原病生存率および喉頭温存率の改善を目的として, 中咽頭癌11例 (前壁8, 後壁3), 下咽頭癌19例, および声門上部癌12例の計42例が1992年5月から1999年6月までに登録された。T3-4が21例 (50%), Stage III-IVが33例 (79%) であった。観察期間中央値は42ヶ月であった。治療成績の評価のため, 照射単独 (±計画手術) のコントロール群をこの研究開始前の10年間の症例から得て, matched pair analysis を施行した。治療方法は, 66Gy/30F/7.5 weeks の放射線治療期間に2 cycle のCDDP (20mg/m24日間, 4週間隔) を投与するものであった。5年原病生存率81%, 5年喉頭温存率63%であり, いずれもコントロール群より統計学的有意に優れていた。
    中等量CDDPを併用した化学放射線治療の結果, 原病生存率および喉頭温存率のいずれもが改善される可能性が示唆された。
  • 立川 拓也, 岩井 大, 辻 裕之, 南野 雅之, 山本 高士, 湯川 尚哉, 井上 俊哉, 山下 敏夫
    2002 年 28 巻 1 号 p. 237-242
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    III, IV期頭頸部扁平上皮癌症例31例に対して, 5FU先行FC療法に放射線治療を併用する化学放射線療法 (chemoradio therapy, 以下CRT) を施行した。CRTを施行した全症例の奏効率は88.9%, CR率は33.3%であった。CR率は低かったが, CRTでCRの得られた症例の臨床経過は良好であった。一方PRの得られた症例に関してはCRTと手術を併用することで良好な臨床経過が得られるものと考えられた。手術を併用することで無病生存率は61.3%, 再発率は17.4%であった。
    CR症例に対しては手術を回避する方向で, PR症例に対しては手術との併用が必要と考えられた。これが局所制御率, ひいては生存率の向上させるものと考えている。
    有害事象は口内炎, 血液毒性, 皮膚炎であったが, いずれの症例も特別の処置は必要せずに軽快した。
  • 石田 晃弘, 小池 修治, 那須 隆, 多田 雄一郎, 中村 正, 青柳 優, 細矢 貴亮
    2002 年 28 巻 1 号 p. 243-247
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    平成10年11月より平成13年3月までの間に当科にて超選択的二経路動注化学療法を施行した頭頸部悪性腫瘍37例 (177回) の副作用, 合併症について検討した。軽度のものも含めると骨髄抑制についてはヘモグロビンの低下を62.2%, 白血球減少を43.2%, 血小板減少を8.1%に認めた。消化器症状については悪心, 嘔吐を57.1%, 粘膜障害を21.6%に認めた。いずれも Grade 4の障害を呈した症例は認めなかった。腎障害, 聴力障害は全例で認められなかった。重篤な合併症による脱落例は4例あり, DIC1例, 脳梗塞1例, 反回神経麻痺1例, 敗血症1例であった。合併症予防のため, 当科では様々な予防対策をとっているが, 頭蓋内進展例や気道周囲に対して施行する際は, 細心の注意と厳重な管理が必要であると考えられた。
  • 野本 幸男, 鹿野 真人, 渡邉 睦, 松井 隆道, 鈴木 茂憲, 大谷 巌
    2002 年 28 巻 1 号 p. 248-252
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当科にて超選択的シスプラチン (CDDP) 動注療法を施行した頭頸部癌症例60例を対象に本治療法に伴う有害事象について集計, 検討した。CDDPの1回投与量は80~100mg/m2とし, 1週間間隔で繰り返し施行した。CDDP動注投与後にチオ硫酸ナトリウムを点滴静注投与し, またステロイドをカテーテルから動注投与した。有害事象は大きく全身性と局所性とに分類し, 前者については日本癌治療学会の判定基準に従い有害事象の程度を判定した。Grade 2以上の全身性有害事象は食思不振27例, 白血球減少17例, 悪心・嘔吐12例, クレアチニンクリアランスの低下4例, 貧血4例, 血小板減少3例の順であった。一方, 局所性有害事象は10例で認められ, その内訳は術後上顎腐骨形成3例, 術後創縫合不全2例, 顔面神経麻痺1例, 致死的な合併症に至った舌半側壊死1例, 脳梗塞疑い2例, 脱毛1例であった。
  • 藤内 祝, 林 康司, 重富 俊雄, 光藤 健司, 福井 敬文, 福原 広和, 山本 憲幸, 西川 雅也, 石垣 武男, 不破 信和, 上田 ...
    2002 年 28 巻 1 号 p. 253-258
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Stage III, IVの38例の口腔癌患者に対して浅側頭動脈よりの超選択的動注法を用いた術前放射線化学療法を施行した。化学療法はCBDCA: 460mg/m2, 放射線治療は40Gyを連日併用で4週間行い, 後に根治手術を施行した。カテーテル挿入率は89.4%であり, 挿入が不可能であった症例は舌動脈と顔面動脈との長い共同幹などが原因であった。重篤な合併症はみられなかった。臨床効果はCRが9例 (26.5%), PRが25例 (73.5%) であった。原発巣の摘出物の病理効果は grade III, IVが10例 (29.4%), grade IIbが23例 (67.6%), grade IIaが2例 (5.8%) であった。経過観察期間は8ケ月から最高63ケ月であり, 平均35ケ月であった。予後は5年累積生存率は67.8%と高い値であった。浅側頭動脈からの超選択的動注療法は連日の放射線との併用療法が可能であり, また合併症も少なく, 有用性が期待できた。
  • 成田 憲彦, 大坪 俊雄, 野田 一郎, 井川 秀樹, 徳力 雅治, 斎藤 武久, 斎藤 等
    2002 年 28 巻 1 号 p. 259-263
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    cDNAアレイは近年急速に発達している分野であり, 数百から数千以上の遺伝子発現を解析することができる手法である。
    今回我々はヒト上顎癌細胞株IMC-3における低pH条件下での温熱刺激による遺伝子発現の変化を, cDNAアレイを用いて解析した。さらにRT-PCRを行いその結果を検証した。低pH条件下での温熱刺激で18種の遺伝子の発現が増加していた。これらの中にはアポトーシスに関連する遺伝子と同様に, 細胞周期制御やシグナル伝達に関係する遺伝子が含まれていた。
    低pHの条件は温熱による細胞死誘導を増感させる効果があるが, 今回発現の変化が観察された遺伝子群がこの増感効果に関係がある可能性が示唆された。
  • 品川 泰弘, 川又 均, 表原 文江, 中城 公一, 今井 裕, 藤林 孝司, 藤盛 孝博
    2002 年 28 巻 1 号 p. 264-268
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    p53標的遺伝子群の転写活性化を指標に抗癌剤感受性を検索するシステムを構築した。p53遺伝子に変異を有する頭頸部癌培養細胞であるHSG (Asn30Ser) とTYS (Asp281His) にp53標的遺伝子 (p21waf1, BAX, MDM2) プロモーターを含むレポーターを導入し, 抗癌剤 (アドリアマイシン, 5-フルオロウラシル, シスプラチン) 処理による各標的遺伝子の活性化を検討した。抗癌剤処理により, HSG細胞においてはいずれの標的遺伝子も活性化されなかったが, TYSにおいてはp21waf1遺伝子の転写活性が著明に上昇した。また, 両細胞において抗癌剤処理の有無に関らずBAX遺伝子は転写活性化されなかった。TYS由来p53は, DNA障害に際しp21waf1の発現を誘導することにより細胞周期を止めるが, アポトーシスは誘導しないような変異であると考えられる. このように多様なp53機能異常の検索は, 個々の患者に対する治療法 (特に化学療法) の決定に重要な指標となりうると考えられる。
  • 畠山 博充, 古田 康, 本間 明宏, 折舘 伸彦, 鈴木 清護, 永橋 立望, 八木 克憲, 犬山 征夫, 福田 諭, 山崎 健一, 楠崎 ...
    2002 年 28 巻 1 号 p. 269-274
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎癌症例の正常鼻粘膜組織, 異形成上皮, 癌組織における遺伝子発現変化について, 既知遺伝子約1000種類からなるcDNAマイクロアレイを用いて解析を行った。癌病変で亢進または抑制されていた遺伝子の多くは, 異形成上皮において既に同様の発現変化が生じていた。さらに癌化のステップにおいて特異的に発現が亢進している遺伝子を3つ (Humig, Diubiquitin, Stat-1) 同定した。
  • 渡辺 尚彦, 奥野 敬一郎, 佐久間 貴章, 野口 和広, 調所 廣之, 松本 学
    2002 年 28 巻 1 号 p. 275-280
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎洞悪性腫瘍の放射線治療後, 10年以上の潜伏期を経て, 発生した悪性腫瘍の2例を経験した。一次癌は症例1では不明だが上顎癌が推測された。症例2は上顎癌を当院で治療していた。二次癌は症例1では, 副咽頭間隙の悪性組織球腫であり, 症例2は上顎洞の紡錘細胞肉腫と診断された。悪性腫瘍治療後の放射線誘発癌の確信度分類から, 症例2は確信度A, 症例1は確信度B以上であった。共に放射線誘発癌の可能性が強く考えられた。治療は共に拡大手術が原則と考えられ, 症例1には根治的頸部郭清術, 症例2には数回腫瘍摘出術を行った。予後は症例1は非担癌生存中, 症例2は頭蓋内浸潤から腫瘍死に至った。予後を左右したのは, 腫瘍の占拠部位と組織型が考えられた。放射線誘発癌の確率は1%以下と考えられるが, 放射線治療の晩期障害にも認識を深めるべきと考えた。
  • 奥野 敬一郎, 野口 和広, 徳丸 岳志, 佐久間 貴章, 渡辺 尚彦, 調所 廣之
    2002 年 28 巻 1 号 p. 281-286
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鼻・副鼻腔領域悪性腫瘍は発生部位では上顎洞原発がほとんどを占め, 病理組織学的分類では扁平上皮癌がほとんどを占める。移行上皮癌は, 鼻・副鼻腔領域においては稀である。
    当科において, 上顎洞移行上皮癌の3症例を経験したので報告した。2例は原発癌で, 1例は膀胱癌からの転移であった。
    上顎洞原発の2例はT3症例で眼球を含む拡大上顎全摘出術を施行した。症例1は根治手術の遅れから転移を生じ不幸な転帰をとった。症例2は三者併用療法にて良好な結果を得た。
    膀胱癌からの転移の1例は試験開洞時一期的に全摘したが, 全身転移により不幸な転帰をとった。膀胱移行上皮癌の上顎洞転移は極めて稀で, 経路として血行性転移が考えられた。
  • 渡辺 尚彦, 難波 玄, 大田 民樹
    2002 年 28 巻 1 号 p. 287-292
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    68歳女性の蝶形骨洞軟骨腫を報告した。患者は3か月前からの視力障害で、昭和大学病院を受診した。CT検査で石灰化を伴う腫瘍性病変を蝶形骨洞に認めた。MRIT1強調像では低信号でモザイク様であった。生検で軟骨腫と診断された。患者の体力, 一般状態, 腫瘍の占拠部位などから, 経鼻中隔的に被膜下摘出術を行った。術中, 被膜を通して視神経を同定, 温存じながら腫瘍を摘出した。術後, 重篤な合併症は認めなかった。術後8年間再発を認めていない。
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