頭頸部腫瘍
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28 巻 , 3 号
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  • 吉積 隆, 吉川 嘉一郎, 平尾 隆, 海老原 充, 佐竹 文介
    2002 年 28 巻 3 号 p. 473-478
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    舌癌進行例の術後補助療法を考慮する因子を探るため病期III, IV手術症例112例を対象に局所再発例を中心に検討した。死因特異的5年累積生存率はIII期 (82例) 75.1%, IV期 (30例) 47.8%であった。局所再発は37例にみられ (原発巣20例, 頸部17例), 初回再発が遠隔転移であった症例は3例のみであった。再発時治療による健存例は原発巣再発例で2例, 頸部再発例で5例と救済率は不良であった。制御失敗部位としては原発巣切除における顎下部 (口腔底方向) および中咽頭部, 頸部での顎下, 上中深頸と咽頭後部である。この結果から術後補助療法として放射線治療を考慮した場合は supraomohyoid に重点を置くべきで, 対象は局所再発率からT4症例, 潰瘍型あるいは腫瘤潰瘍混合型のT3症例とすべきと考えた。
  • 西野 宏, 篠崎 剛, 藤澤 嘉朗, 石川 和宏, 田中 秀隆, 阿部 弘一, 市村 恵一
    2002 年 28 巻 3 号 p. 479-483
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1987年1月から2001年12月までに手術を施行した stage III/IV舌癌は36例 (stage III 18例, stage IV18例) であった。無病生存率 (Kaplan-Meier 法) は1年: 80%, 2年: 76%, 5年: 76%であった。再発は11例に認め, いずれも stage IV であった。再発および転移の部位は局所2例, 頸部リンパ節4例, 頸動脈間隙4例, 肺1例であった。頸部リンパ節再発と頸動脈間隙再発は術後1年以内の早期に認めた。頸部リンパ節再発に対し頸部郭清術を施行したが制御できず全例原病死した。また患側の頸動脈間隙再発を切除・再建18例中4例 (20%) に認めた。全例切除不能であり3例に化学放射線治療をおこなったが制御できず, 未治療の1例とともに原病死した。表在性の病変でも原発部位が正中にかかる場合や切除・再建術の対象となる場合には対側頸部リンパ節転移を認めなくても supraomohyoid neck dissection が必要と考えられた。切除・再建術の場合では頸動脈間隙再発を防ぐ切除方法や術後照射などの術後治療が必要と考えられた。
  • 藤井 隆, 吉野 邦俊, 上村 裕和, 栗田 智之, 赤羽 誉, 佐伯 暢生, 佐藤 武男
    2002 年 28 巻 3 号 p. 484-488
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1987~1999年の舌扁平上皮癌未治療根治手術例 (術後 stage III・IV) のうち術前化学療法施行12例を除外した術前無治療例65例を対象とした。再発例24例の再発好発部位は下顎角部 (副咽頭) 10例と頸部リンパ節10例であり, 頸部再発のハイリスク因子は癌の浸潤増殖様式とpN病期であった。pN2b以上 (複数個の転移リンパ節症例) 38例では下顎角部再発のリスクが高く (下顎角部再発10例中9例), 生存率も有意に低下 (死因特異的5年生存率が50%以下) することから, 術後補助療法の適応であると考えられた。術後補助療法としては, 下顎角部を含む術後照射が望ましいと考えられた。健側リンパ節転移陰性例の頸部再発は手術単独でも18例中1例のみであったことから, 健側下頸部の照射野は省略できる可能性が示唆された。
  • 長谷川 泰久, 藤本 保志, 寺田 聡広, 兵藤 伊久夫, 後藤 満雄, 不破 信和
    2002 年 28 巻 3 号 p. 489-495
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    進行舌癌手術例を解析し, 再発と予後に関与する因子について Cox 比例ハザード法にて検討を加えた。
    検討した88例は病期III: 45例, IV: 43例であり, Kaplan-Meier 法によるそれぞれの疾患特異的および無再発5年生存率は病期III: 67%, 61%, IV: 44%, 32%であり, III+IVでは56%, 48%であった。
    後発転移は10例 (11%) にあり, 6例 (60%) が頸部郭清術により制御された。局所および頸部再発例は28例 (32%) にあり, 26例 (92%) が原病死した。遠隔転移が8例, 9%に認められた。
    性, 年齢, cT, リンパ節数, レベル, リンパ節径, 術後化療, 術後照射を変量として用い, Cox 比例ハザードモデルによる多変量解析を行った。再発と予後ともに関与する有意な因子は総リンパ節転移数があった。
    後発転移については術後の早期診断と頸部郭清術により制御が可能であるが, 局所・頸部再発と遠隔転移をいかに最小限に抑えるか課題となる。多発リンパ節転移例に対する癌微小転移や残存の診断法と治療手段の検討が必要とされる。
  • 浅井 昌大
    2002 年 28 巻 3 号 p. 496-499
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部進行癌の切除では再建手術は必須であるが, 手術時間の延長, 出血量増加, 採取部位の機能低下などをきたす。癌治療ではQOLの維持が大きな目標であり, 術後機能を保ちながら侵襲を最小とするバランスが良い手術を選択する必要がある。再建手術の侵襲を最小とするには, さまざまな再建手術の工夫が求められるが, 同時に切除側にもより侵襲を少なくして安全に行えるような手術手技が求められる。術前に十分な全身的, 局所的な機能, 予後の判断を行いそれにふさわしい再建手術を選択することも求められている。
    術前に腫瘍の進展範囲を正確に診断し, 安全域に対する知識, 切除範囲と切除法の決定, 術前機能評価と切除後の機能の予測, 全身状態の評価と手術侵襲の評価などが必要である。手術時には, 手技の確実性のほか, 気管切開の回避, 神経保存も必要である。また併用療法としての化学療法や放射線療法を最小とすることも求められる。
  • 吉本 世一, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 苦瓜 知彦, 保喜 克文, 三谷 浩樹, 米川 博之, 三浦 弘規, 別府 武, 福島 啓文
    2002 年 28 巻 3 号 p. 500-505
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    低侵襲な治療が望まれる近年の流れの中で, 当科の手術治療における工夫や注意点を挙げた。また今後の低侵襲手術の適応を考えるために, 遊離皮弁再建症例の合併症率や, 切除や再建を縮小せざるを得なかった高齢者の手術治療結果を検討した。その結果当科での2001年12月までの遊離皮弁再建症例全1,843例中, 全体の合併症率は24.3%, さらにその中で皮弁の全壊死率は2.7%であった。また80歳以上の高齢者で手術治療を中心に行ったものは85例あり, その中で遊離皮弁再建症例は15例あったが全例皮弁は生着した。高齢者は術後に重篤な合併症を起こす危険性があるが, 必要以上に再建手術を縮小すると創部の合併症や機能低下をきたすこともあることが示唆された。
  • 清川 兼輔, 田井 良明, 田中 真輔, 井上 要二郎
    2002 年 28 巻 3 号 p. 506-510
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨の区域切除を伴う頭頸部悪性腫瘍切除の欠損に対し, 従来の方法とは全く異なる新しい再生医学的下顎再建法を開発した。手術方法は, 切除された下顎骨の皮質骨のみを熱処理してトレイとし, その内腔に腸骨海綿骨 (骨髄) を充填してその周囲を大胸筋皮弁の筋体の部分で全周性にくるむ方法である。本法は, 最小限の手術浸襲と手術時間でほぼ元通りの下顎再建が行える非常に合理的で有用な方法である。
  • 光嶋 勲, 難波 祐三郎, 筒井 哲也, 高橋 義雄, 伊藤 聖子, 菅原 利男, 松村 智弘, 細田 超
    2002 年 28 巻 3 号 p. 511-515
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去12年間の頭頸部再建術は約365例であり, 島状皮弁48例に対し, マイクロサージャリーによる再建術は300例であった。主な再建材料の内訳は, 有茎移植組織は, 顔面神経麻痺の再建としての側頭筋移行, 再発癌に対する拡大型広背筋皮弁が主であった。遊離組織移植は, 前大腿皮弁または大腿筋膜張筋皮弁 (TFL flap) (89 flaps), DIEP flap などの腹壁皮弁 (48 flaps), 橈側前腕皮弁 (28 flaps), シャム型大腿筋膜張筋―前外側大腿連合皮弁 (18 flaps) などであった。また, 皮弁採取部の筋, 主要動脈を最大限温存すべく腹直筋皮弁, 広背筋皮弁, 橈側前腕皮弁から腹壁穿通枝皮弁, 広背筋穿通枝皮弁, 橈骨動脈穿通枝皮弁, 上腕皮弁などの穿通枝皮弁に移行しつつある。時に特殊な例では大伏在静脈皮弁を用いる。さらに最近は0.7mm前後の血管吻合 (supermicrosurgery) が可能となり頭頸部に有用な新たな組織 (部分耳介による眼瞼や気管全周性欠損の再建, 趾間皮弁による口角部再建, オトガイ下皮弁による口唇部再建, 腹部脂肪弁による顔面陥凹変形再建など) 移植による再建がなされつつある。
  • 田中 克己, 村上 隆一, 藤井 徹, 横内 哲博, 崎浜 教之, 小林 俊光
    2002 年 28 巻 3 号 p. 516-524
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍切除後の再建には, 種々の再建法が用いられている。機能的あるいは整容的な回復を目指すことは重要であるものの, また, その再建は可能な限り低侵襲なものであるべきと考えられる。著者らはこのような問題に対して, 適応可能な症例に対しては積極的に遊離鼠径皮弁を適用している。過去11年間に施行された頭頸部腫瘍切除後の一期的再建症例235皮弁のなかで, 遊離鼠径皮弁は59皮弁が使用されていた。本皮弁は栄養血管である浅腸骨回旋動脈の径が細く, また, 血管柄が短いといった問題点はあるものの, 体毛の有無にも影響されにくく, 組織量の調節も可能といった長所がある。なかでも皮弁採取部に関しての機能的あるいは整容的な障害はほとんどみられないといった最大の利点より, 低侵襲な治療を目指すうえで有用な再建法のひとつであると考えられた。
  • 内山 清貴, 木股 敬裕, 桜庭 実, 海老原 敏, 林 隆一, 朝陰 孝弘, 波利井 清紀, 中塚 貴志
    2002 年 28 巻 3 号 p. 525-530
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部再建の目指すところは, 創傷治癒が遷延することなく, 摂食・会話などの術後機能をできるだけ維持することにあるが, 患者の負担軽減も重要な課題である。この目的で, われわれは以下の点において工夫している。1) 手術時間の短縮と出血量の減少を目指す目的で, 腫瘍の切除と同時に挙上が可能な皮弁を第一選択としている。2) 皮弁採取部の犠牲を少なくする目的で腹直筋皮弁, 前外側大腿皮弁では筋体採取量を必要最小限にとどめている。3) 術後の呼吸器やせん妄などの全身合併症を防ぐため早期の離床を図っている。4) 主要血管への感染予防のため, 局所の膿瘍などの合併症を早期に発見するよう努めている。これらの工夫において得られた結果を当施設で行っている入院治療の流れとともに報告した。
  • 加賀美 芳和, 今井 敦, 伊藤 芳紀, 角 美奈子, 池田 恢, 大山 和一郎
    2002 年 28 巻 3 号 p. 531-534
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当院での放射線治療 (±頸部郭清) を一次治療として行った下咽頭梨下窩癌N2例について retrospective に検討した。対象となったN2例は31例であった。年齢は40歳から74歳 (中央値64歳) であった。T分類はT1: 4例, T2: 11例, T3: 11例, T4:5例であった。N2例の5年, 10年生存率はそれぞれ38.7%, 34.4%だった。頸部リンパ節に対しては放射線治療のみで一次治療を終了した例が15例あり, 頸部郭清が施行された例が16例あった。リンパ節制御は放射線治療では26.7% (4/15), 頸部リンパ節郭清によるものが68.8% (11/16) であった。一次治療後の局所制御率 (原発部および頸部リンパ節) は29.0%であり, 救済治療により局所制御がされたものを含むと45.0%であった。
    選択されたT1, 2例では比較的高い喉頭温存率が得られて, 標準治療である手術に匹敵する治療方法であることが示唆される。T3例に関してもT2例とほぼ同様の制御率を示し選択によっては放射線治療先行の治療の可能性があることが示唆される。
  • 西山 謹司, 上村 裕和, 藤井 隆, 吉野 邦俊
    2002 年 28 巻 3 号 p. 535-540
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    梨状陥凹癌 (PSC) でNステージは最も重要な予後因子であり, 特にN2PSCは予後不良であるため咽喉頭切除によるQOL低下の妥当性をめぐってこのシンポジウムが企画された。1980-1998年までに当院放射線治療科に登録されたPSC, 根治照射例23例, 術後照射例16例を対象に放射線治療の役割を検討した。根治照射群でT1-2の10年原発巣制御率は74.5%と良好であった。術後照射群のN2bの5年粗生存率は43%であり, これは手術単独が主体であったpN2bの28%と比較して良い傾向を示し, N2PSCの頸部リンパ節に対しては郭清と術後照射が必須である。T1-2の放射線治療による高い制御率を背景にT1-2N (+) の9症例で頸部郭清後に原発巣は照射で対処し喉頭を温存した。その結果, 原発巣再発は1例のみであり, 5年喉頭温存率は75%と高率であった。N (+) であってもT1-2であれば, 原発巣は放射線治療で頸部リンパ節転移は郭清による分離治療の可能性がある。
  • 上村 裕和, 吉野 邦俊, 藤井 隆, 栗田 智之, 赤羽 誉, 佐伯 暢生, 西山 謹司, 佐藤 武男
    2002 年 28 巻 3 号 p. 541-546
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1989~98年のN2-3梨状陥凹扁平上皮癌未治療根治例80例 (T1 5, T2 21, T3 28, T4 26) を対象として予後の向上, QOLを考慮した治療方針に関して検討を行い報告した。5年粗生存率は手術単独群 (24.1%) と術後照射 (53.4%) の間で有意差は認めなかったものの (p=0.087), 予後改善の傾向を認めた。主な非制御部位は頸部と遠隔転移であったが, 手術単独群に比較して照射群では頸部再発率の減少が認められた。これらのことから術後照射が予後向上, 頸部の制御率向上に貢献するものと考えられた。
    また, 頸部郭清術後に頸部に対して術後照射, 原発巣に対して根治照射を行ったT1-2N2-3 10例 (T15, T25) に関しても検討したところ, 8例の頸部制御, 6例の喉頭温存・非担癌生存が確認され, 選択された症例ではQOLを考慮した治療法になりうると考えられた。
  • 晴山 雅人, 中田 健生, 大内 敦, 坂田 耕一, 永倉 久泰, 染谷 正則, 氷見 徹夫, 西尾 正道, 明神 美弥子, 朝倉 光司
    2002 年 28 巻 3 号 p. 547-551
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1983年から1998年間での15年間に札幌医科大学放射線科において93例の下咽頭癌に対して放射線治療を行った。亜部位別生存率では梨状陥凹の治療成績が最も不良であった。また, 頸部リンパ節転移陽性群およびIV期の生存率は統計学的に不良であった。従って, 今回のテーマであるN2梨状陥凹は治癒の可能性があるが, 最も予後が不良な病期と考えられる。国立札幌病院の症例を加えN2梨状陥凹癌49例で検討した。11例 (22.4%) に重複癌を認めた。病巣進展Tにおける生存率は進行度が進むにつれ治療成績は不良であった。Tが早ければ, 原発巣は照射で根治が可能なこと, 頸部リンパ節転移は郭清術が必要であった。40Gy時点における腫瘍縮小効果と生存率を検討しところ, 良好群は不良群より生存率も良好であったが, 統計的有意差は認めなかった。
  • 保喜 克文, 川端 一嘉, 苦瓜 知彦, 三谷 浩樹, 吉本 世一, 米川 博之, 三浦 弘規, 鎌田 信悦
    2002 年 28 巻 3 号 p. 552-556
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    N2梨状陥凹癌に対するに治療に関して, 手術例は1983年から1997年の一次例60例と根治照射例は1978年から1999年の一次例35例を対象に検討した。手術例において転移リンパ節の個数により予後に大きな差がでており, 5年生存率は4個以下の症例が60%で5個以上の症例は13%であった。T2からT4でリンパ節転移が4個以下の場合, 根治手術により50%を越える生存率が得られた。一方根治照射例ではT1の原発制御は認められたがT2からT4で1年以内の再発および残存が多く, 特にT3, T4では十分な局所制御は出来なかった。結果として, T2-T4では治療の第1選択は根治手術であり, リンパ節転移の個数によっては予後が著しく低下していることを考慮して放射線療法および化学療法による喉頭温存を考える必要がある。T1では根治照射による原発制御が期待できる。
  • 宮本 享, 佐藤 徹, 山田 圭介, 菊田 健一郎, 橋本 信夫
    2002 年 28 巻 3 号 p. 557-562
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍の治療において脳神経外科が必要とされるのは, 主に頸動脈の遮断可否についての判断や微小血管吻合である。
    ます, ウイリス動脈輪を介した頭蓋内側副血行路の発達の程度をMRAで予め判定しておく。遮断の可否を正確に評価するには Balloon test occlusion (BTO) を行う。balloon catheter を用いて内頸動脈を一時遮断し臨床症状・脳波・体性感覚誘発電位・stump pressure をモニターし, 脳血流測定を行う。臨床的にBTOが tolerable で脳血流低下がない場合には血行再建は不要であり, BTOが tolerable だが脳血流が低下する場合には頭皮動脈を用いた low flow bypass が, BTOが intolerable な場合には radial artery を用いた頸動脈一中大脳動脈間の high flow bypass graft が行われる。
    遊離空腸移植による食道再建では遊離空腸片を採取し動脈端から heparinized saline を注入し遊離空腸片を洗浄する。遊離空腸片を食道摘出断端に部分的に吻合し, まず静脈を内頸静脈に端側吻合し次いで動脈吻合を行う。
    微小血管吻合は動物実験による十分なトレーニング, 見込み操作・ブラインドな操作を避けた確実な操作, 出血で妨げられないドライな術野が必須であり, 周到さと忍耐力が要るのは外科のどの分野とも同じである。
  • 丹黒 章, 吉野 茂文, 安部 俊弘, 林 秀知, 上野 隆, 佐藤 智充, 岡 正朗
    2002 年 28 巻 3 号 p. 563-567
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    リンパ節郭清を伴う開胸開腹食道切除術により, 食道癌の治療成績は向上してきたが治療による合併症も多く, 手術死亡も少なくない。非開胸食道抜去術は低侵襲ではあるが, 盲目的操作による出血や臓器損傷が多く, 本手技を縦隔鏡下に行うことにより, 食道剥離操作を直視下に観察できるため臓器, 血管, 神経の損傷もなく, 低侵襲で安全な画期的術式となった。また, 従来は不可能であったリンパ節のサンプリングも直視下に行えるため正確なステージングが可能となる。転移が見つかった場合でも郭清術を伴う開胸手術への移行は容易であり, 転移が限局するものでは郭清による根治手術も可能である。本手技を用いて根治術を安全に行うためには縦隔内の解剖を熟知し, 機器や手技にさらなる改良を加える必要がある。しかし, 従来の開胸手術に比べ非常に低侵襲下に根治性をも実現できる可能性をもっている。
  • 中川 勝裕, 安光 勉
    2002 年 28 巻 3 号 p. 568-572
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    肺癌リンパ節転移の術前評価を縦隔鏡検査で行ってきた。1000例の縦隔リンパ節転移陽性率は249例 (25%) で, 右側腺癌の陽性率が41%と高値であった。縦隔鏡正診率は全縦隔領域で右側91%, 左側85%であった。転移リンパ節レベル数別の予後は5年生存率で2レベル以上転移例が特に不良であった。手技をビデオ供覧した。初回2例は容易に挿入, 剥離し生検できた。再縦隔鏡2例は強度の線維性癒着のため慎重な剥離を要した。以上より縦隔鏡検査は組織学的にリンパ節転移を把握でき, 予後の推測にも有用な手技であると考えられた。
  • 田畑 泰彦
    2002 年 28 巻 3 号 p. 573-579
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    細胞を利用して生体組織・臓器の再生を行う治療学的な試みが再生医療である。この実現には再生現象に関する細胞の基礎生物医学研究と細胞による生体組織の再生が誘導できる場を構築するための医工学技術, 方法論 (ティッシュエンジニアリング) が必要である。再生の場を構築するために生体材料が利用されている。その主な役割は, 細胞の増殖・分化のための足場材料, 隔離膜材料, および細胞増殖因子の生物活性発現のためのDDS材料である。この中で, 細胞増殖因子の徐放化を用いた生体組織の再生誘導について具体例を示しながら, 再生医療におけるティッシュエンジニアリングの重要性に言及する。
  • 湯本 英二, 緒方 憲久, 小畑 敦
    2002 年 28 巻 3 号 p. 580-586
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上咽頭, 副咽頭腔上半および外頭蓋底は顔面頭蓋の深部に位置するために, 正常組織の傷害なしに外科的に到達することは困難である。著者らは, この領域に発生する種々の病変に対して, 下顎を側方で離断する経翼突法を用いてきた。対象は, 上咽頭癌8名, 上咽頭へ進展した中咽頭癌8名, 転移性副咽頭腔癌2名, 悪性髄膜腫1名, 頸静脈孔に進入した神経鞘腫2名, 脊索腫と内頸動脈瘤が各1名の計23名であった。全例とも局所再発はなかった。術後合併症として, 上咽頭癌根治照射後例で下顎離断部の感染をきたし外科的に感染創を掻爬した。同じ例で開口障害をきたした。上咽頭悪性多形腺腫例で術後瘻孔を生じたが保存的治療で閉鎖した。顔面神経下顎縁枝は術後一過性麻痺をきたしたが, 2~3ヶ月以内に全例とも回復した。これらの病変に対するアプローチは病変の広がりと性状に応じて選択すべきであり, ときには複数のアプローチを組み合わせることが必要となる。
  • 藤本 保志, 長谷川 泰久
    2002 年 28 巻 3 号 p. 587-592
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上咽頭, 翼口蓋窩, 側頭下窩への正面からのアプローチとして上顎洞を顔面皮膚とともに飜転し, 視野をうる術式 (上顎スイング法) を報告する。
    症例1: 60歳男性, 上咽頭粘表皮癌・放射線化学療法後残存。遊離前腕皮弁により上咽頭粘膜欠損部を再建し内頸動脈も被覆した。症例2: 44歳男性, 側頭下窩血管線維腫。側頭窩進展もあり, 頭皮冠状切開を組み合わせて視野を拡大した。症例3: 47歳男性, 側頭下窩三叉神経鞘腫。腫瘍を明視下におき, 三叉神経を温存して被膜下摘出が可能であった。
    本アプローチは顔面の硬性組織を温存できるため立体的構築をくずさないこと, 広く確実な視野が得られ, 外側方からのアプローチにくらべて, 迅速に到達可能であることである。一方, 顔面に皮切がはいることが欠点である。単独では下方では中咽頭, 外側方で側頭窩の視野は不足するが必要に応じてほかのアプローチとの併用も可能である。
  • 石川 紀彦, 岸本 誠司
    2002 年 28 巻 3 号 p. 593-596
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    顔面深部のなかで上咽頭, 斜台部といった中央の病変に対するアプローチ法として Le Fort I osteotomy 法が選択肢としてあげられる。このアプローチ法では, 両側の鼻腔, 副鼻腔, 上咽頭, 斜台, 翼口蓋窩の広い術野が得られる。また, 術後の合併症, 機能障害も少なく, 美容的にも満足すべきものである。
  • 今井 啓介, 小宗 弘幸, 野町 健, 藤本 卓也, 藤井 美樹
    2002 年 28 巻 3 号 p. 597-601
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭蓋顔面及び頭蓋底に対するアプローチは数多く報告され, 前頭蓋底へのアプローチでは十分な視野が得られることが可能になった。しかしながら, 中頭蓋深部や中顔面深部へのアプローチは顔面神経を保護しながらかつトンネル操作ではない十分な操作空間をえる方法は少ない。これらの問題点を解決し, 前頭蓋, 中頭蓋, 上中顔面深部を同時に十分な術野を得ることを目的に考案されたのが Dismasking Flap である。その後, 頭蓋顔面腫瘍, 多発性顔面外傷に応用され, 変法も学会等で報告されるようになった。我々も, これまで13例に対して Dismasking Flap をアプローチ法として試みてきた。合併症は13例すべてにおいて認められたが, 一過性のもので自然回復した。内訳は, 兎眼13例, 眼瞼下垂4例, 眼輪筋麻痺13例, 上眼窩神経領域の知覚麻痺13例であった。その基本的手術手技と術後の経過について報告する。
  • 今西 順久, 行木 英生
    2002 年 28 巻 3 号 p. 602-611
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    いわゆる高位副咽頭間隙に存在する腫瘍で特に頭蓋底に進展している場合には, 下方ないし側方からのアプローチでは腫瘍の頭側すなわち頭蓋底面の術野の展開に制約がある。我々の行っている側頭開頭による経中頭蓋窩法と側頭下窩アプローチ変法との複合法である combined middle cranial fossa and infratemporal fossa approach について, その手術手技を解説した。長所はまず内外頭蓋底を明視下におくことで腫瘍周囲の血管神経に対する手術操作を上方から安全に遂行できることにある。基本術式では頸部に皮切を加えず, 下顎骨, 顔面神経も温存されるが, 必要に応じて頸部への皮切延長, 下顎骨離断を追加して術野を拡張することも可能である。硬膜欠損の再建, 腫瘍摘出後の死腔充填に頭蓋骨膜-側頭筋弁が利用できる。主に高位副咽頭間隙, 翼口蓋窩, 側頭下窩に発生もしくは進展した良性腫瘍が本法のよい適応であるが, 頭蓋底進展例のみならず上咽頭, 鼻腔, 蝶形洞, 上顎洞への進展例にも応用可能である。
  • 小林 俊光, 千葉 敏彦, 佐藤 利徳, 川瀬 哲明, 崎浜 教之, 志賀 清人
    2002 年 28 巻 3 号 p. 612-616
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    側頭骨原発悪性腫瘍自体は比較的稀であるが, 乳様突起に接した耳下腺腫瘍, 頸部リンパ節転移などの病変を含めれば側頭骨の取り扱いを必要とする病変の頻度は少なくない。したがって, 側頭骨の解剖と取り扱いに関する基本を習得しておくことは頭頸部外科医にとって, きわめて重要といえる。
    本パネルでは, 正常耳や良性疾患を例に側頭骨解剖を解説した後に, 外耳道癌進展例ならびに耳下腺癌切除における側頭骨の取り扱いを供覧した。
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