頭頸部腫瘍
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29 巻 , 1 号
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  • 木股 敬裕, 桜庭 実, 菱沼 茂之, 海老原 敏, 大山 和一郎, 林 隆一, 鬼塚 哲郎, 小室 哲, 朝蔭 孝宏, 中塚 貴志, 波利 ...
    2003 年 29 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    中咽頭前壁癌切除後の切除範囲の分類と行なわれた再建方法, 喉頭温存の評価, 術後の摂食会話機能評価をおこなった。前壁癌切除症例の62例を選択した。切除範囲をI型 (舌根部切), II型 (舌根半切), III型 (舌根亜全摘から全摘), IV型 (舌根切除+口部舌切除) に分類した。I型10例, II型17例, III型22例, IV型13例で, 喉頭蓋の合併切除症例は16例, 水平喉頭部分切除術は5例であった。再建方法はI, II型では一次縫合または頸部皮弁が多く, III, IV型型になると遊離皮弁による再建が増えた。完全喉頭温存率 (気管孔閉鎖+経口摂取可能) では, I型80%, II型94%, III型77%, IV型69%であり, 水平喉頭部分切除を施行した5症例の完全喉頭温存は不可能であった。術後機能評価ではI, II型で良好な機能の温存が認められたが, III型になるとばらつきが生じ, 特に術後照射の影響を強く受けていた。
  • 石川 和宏, 西野 宏, 市村 恵一
    2003 年 29 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎洞悪性腫瘍局所再発例の救済手術について検討した。1978年から1998年までの期間に当科で入院加療を行った上顎洞悪性腫瘍症例は78例で, 12例に局所再発を認めた。その中で救済手術を行った症例は8例であった。手術回数は11回で, 内訳は口腔前庭からのアプローチのみで腫瘍を切除したものが6例, 顔面皮切を併用したものが5例であった。平均観察期間32カ月での転帰は, 1例は再発なく生存しており, 2例が局所制御不能のため原病死, 2例が遠隔転移のため死亡, 1例は他因死であった。残る2例は追跡不能であった。救済手術で局所制御できなかった部位は眼窩先端部, 破裂孔であった。一方, 手術をしなかった症例4例はいずれも14カ月以内に原病死している。当科で三者併用療法を行った症例でも, 原病死する例は少なくはないものの, 救済手術によって生存期間の延長が期待できると考えられる。
  • 持木 将人, 菅澤 正, 中尾 一成, 弓削 忠, 坂本 幸士, 安藤 瑞生
    2003 年 29 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下咽頭扁平上皮癌102例を対象とし, その予後因子を検討した。全体の5年累積生存率は35.1%であった。Stage 因子では Stage IとIIIの間, Stage IIIとIVAの間, Stage IVBとIVCの間で有意に予後は不良となった。T因子ではT-stage がすすむごとに予後は不良となるものの, 有意差はなかった。N因子ではN0とN1, N1とN2cの間で有意に予後は不良となった。pN因子ではpN=2と, pN=3の間で有意に予後は不良となった。一方で, N0症例のうちpN=0では82.4%であるものの, pN (+) では50.0%と有意に予後不良であった。また, pN=0症例のうちN0では82.4%であるもののN (+) では16.7%と有意に予後不良であった。以上により, N0やpN=0症例の中にも予後不良例が存在し, その術後治療の実施基準を再考する必要があると考えられた。
  • 鬼塚 哲郎, 海老原 敏, 大山 和一郎, 斉川 雅久, 羽田 達正, 林 隆一, 朝蔭 孝宏, 小室 哲, 浅井 昌大
    2003 年 29 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当院において1994年から1999年に喉頭垂直部分切除術を施行した58例について70歳以上の17例を高齢者としてそれ以下と治療成績, 入院期間, 合併症について比較検討した。70歳以上においても声門癌の5年原発巣制御率はT1, T2では82%であり, 入院期間は術後平均20日と70歳未満と差がなく大きな合併症もみられなかった。喉頭垂直部分切除術は高齢者にも安全な術式であると考えられるが, 患者自身に喉頭温存希望があること, 術後の嚥下リハビリに対応できる術式などに対する理解力と全身状態が備わっていることが必要と考えられた。
  • 鈴木 政彦, 宮下 久夫, 中村 弦, 笹村 佳美, 鵜澤 正道, 唐沢 克之, 新部 譲
    2003 年 29 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1980年1月から2002年3月までの間に当科で治療をおこなった上咽頭癌一次例についてその治療成績と傾向について検討した。46例が治療をおこない, stage Iが2例, stage IIがAB合わせて7例, stage IIIが12例, stage IVAからIVCまで25例と進行癌が多かった。全体の生存率は53.4%であった。傾向として, N分類でN3の症例が遠隔転移を生じやすく, N3に対する有効な補助化学療法の重要性が示唆された。局所再発例に対しても放射線治療を追加することによって治癒をみた例もあり, 再照射が有効と考えられた。しかし神経障害などの合併症に十分注意が必要と考えられた。
  • 小村 健, 原田 浩之, 島本 裕彰, 竹内 洋介, 林崎 勝武
    2003 年 29 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌新鮮例549例を対象として, 局所再発例に対する救済手術の検討を行った。一次治療法別局所再発率は放治群: 17.0%, 手術群: 8.8%であった。局所再発例に対して, 原則的に放治群には手術を, 手術群には放治, 化療を選択した。局所再発例に対する救済手術施行率は56.9%であり, 救済手術による局所再制御率は82.9%, 2年無病生存率は70.7%であった。救済手術施行例の予後には再発までの期間が大きく関与し, 一次治療, 再発時の stage も関与する可能性が高かった。局所再発例では再発時の腫瘍進展範囲の正確な把握が初回治療時にもまして重要であり, 手術適応は放治群では高いが手術群は一部の限局性再発に限られると考えられた。
  • 黒川 英雄, 山下 善弘, 松本 忍, 中村 貴司, 高橋 哲
    2003 年 29 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1993年から1999年までに外科的切除を主体とした舌扁平上皮癌83例を対象とし, その治療成績に影響する危険因子を検討することを目的とした。全体の5年累積生存率は75.4%であった。Coxの比例ハザードモデルによる多変量解析では, 頸部リンパ節転移のみが5年累積生存率に影響する危険因子であった。したがって, 舌扁平上皮癌の治療成績を向上するためには, 頸部リンパ節転移の制御, とくに頸部再発を最小限に抑えるかが課題と考えられ, 予防的頸部郭清術を考慮した治療法選択の基準の確立および手術後の補助療法の検討が必要と考えられた。
  • 生田 稔, 原田 浩之, 中島 雄介, 茂木 世紀, 島本 裕彰, 石畝 亘, 有川 稔多加, 小村 健
    2003 年 29 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    原発性下顎骨中心性扁平上皮癌7例の臨床病理学的検討を行なった。年齢は49歳から79歳で, 性別は男性4例, 女性3例であった。N分類 (1997, UICC) はNO: 4例, N1: 1例, N2a: 1例, N2b: 1例であった。初回治療法は手術3例, 放射線+手術4例で, 原発巣切除法は下顎骨区域切除4例, 下顎骨半側切除3例であった。なお, 全例に頸部郭清術を併施していた。最終的に原発巣が制御されたのは6例で, そのうち1例に遠隔転移を認めた。病理組織学的には, 全例下歯槽神経血管束への腫瘍浸潤を認め, 6例で下顎骨周囲の筋組織への腫瘍浸潤を認めた。また, 4例で頸部リンパ節転移を認めた。以上より, 原発性下顎骨中心性扁平上皮癌の治療においては, 周囲軟組織の進展範囲を正確に診断し, 十分な安全域を設定した切除が必要であり, 頸部郭清術を併施すべきと考えられた。
  • 丸岡 靖史, 安藤 智博, 星野 真, 三宮 慶邦, 扇内 秀樹
    2003 年 29 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    今回1980年から2000年までに東京女子医科大学歯科口腔外科で治療を行った舌癌N0症例を対象に検討を行った。原発巣の治療法は外科療法主体は52%で, 放射線療法主体が48%であった。当科ではN0の頸部リンパ節は watching policy のもとで, 予防的頸部郭清術は施行していない。頸部転移を認めた場合には根治的全頸部郭清術を主に施行した。原発巣再発は25例であったが, 20例が制御できた。頸部リンパ節転移は34例 (32%) に認め, 原病死は12例であった。T分類別の頸部転移はT1で4/46例 (8%), T2で21/48例 (45%), T3, T4では9/15例 (60%) であった。原発巣再発を伴わない後発頸部転移症例22例では, 頸部再発は3例で, その中の1例は救済されており頸部制御率は91%であった。頸部転移遠位レベルでは, レベルIからIIIまでが30例 (88%) で, レベルIVは4例であった。
  • 留守 卓也, 工藤 典代, 笹村 佳美, 沼田 勉
    2003 年 29 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    嚢胞状リンパ管腫は乳幼児にみられる脈管系の奇形である。現在その治療はOK-432による硬化療法 (以降, 硬化療法と略) が一般的であり, 当科でも第一選択の治療として硬化療法を行っている。1996年以降, 平均年齢3歳0か月, 男児5例女児4例, 計9例の嚢胞状リンパ管腫を経験し, うち7例に対し硬化療法を第一選択とした。7例中3例には術後ICUにて人工呼吸管理を行った。2例について治療経過を詳述した。1例は初診時1か月の男児で感冒罹患後に頸部腫脹の急速増大をきたし1回の硬化療法で軽快した例である。もう1例は咽頭正中部を越える巨大な頸部腫脹を呈した1歳女児であり, 複数回の硬化療法を要した例である。これらの経験から, 特に乳幼児では, 術後の発熱・腫脹のため慎重な呼吸や栄養の管理が必要であるが, 硬化療法は乳幼児に対しても簡便で有効な第一選択の治療であると考えられた。
  • 中城 公一, 新谷 悟, 大西 詔子, 寺門 永顕, 浜川 裕之
    2003 年 29 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔癌の重要な予後因子である頸部リンパ節転移の有無を正確に把握することは治療法の選択, 特に頸部郭清術の必要性などを判断するためには必要不可欠である。われわれはこれまでに口腔癌の頸部リンパ節微小転移診断の有用性について報告してきた。今回, われわれは口腔悪性腫瘍患者に対して核医学的検出法によるセンチネルリンパ節生検を行い, 微小転移診断を術中迅速診断として応用することを試みた。臨床的に頸部リンパ節転移が認められないN0症例10例を対象とし, 99mTc-Tin colloid および色素を用いてセンチネルリンパ節を同定, 摘出した。摘出したリンパ節を半切し, 一方は準連続切片を用いた病理組織学的診断法で, もう一方はリアルタイム定量化RT-PCRを用いた遺伝子診断法で微小転移の有無を評価した。以上の方法で10例中3例に術前に診断できなかったセンチネルリンパ節への転移を検出し得た。
  • 杉谷 巌, 三浦 弘規, 米川 博之, 吉本 世一, 三谷 浩樹, 保喜 克文, 苦瓜 知彦, 川端 一嘉, 鎌田 信悦, 柳澤 昭夫
    2003 年 29 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    先に, 甲状腺乳頭癌において3cm以上の大きなリンパ節転移 (CN3) は, 特に50歳以上の患者で重要な予後不良因子となることを報告した。今回, 乳頭癌604例を対象に, そのリンパ節転移の意義に関してさらに詳細に検討した。CN3の disease specific survival に対する risk 比は年齢50歳以上で5.3と有意に高く, CN3ありの60例中20例が原病死していた。遠隔転移死が12例, リンパ節再発の繰り返しによる死亡が4例であった。一方, 病理組織学的リンパ節転移5個以上 (PN5) の症例では disease free survival に対する risk 比が年齢50歳未満で3.5と有意に高かった。50歳未満でPN5ありの115例中18例16%でリンパ節再発がみられた。リンパ節転移の大きさは特に高齢者で, 遠隔転移や局所再発の繰り返しに伴う低分化化による癌死危険度と関連し, リンパ節転移の数は特に若年者で, リンパ管侵襲の程度を反映しリンパ節再発率と関連することがわかった。
  • 湯川 尚哉, 辻 裕之, 岩井 大, 永田 基樹, 小椋 学, 宮本 真, 竹村 博一, 山下 敏夫, 笹井 邦彦
    2003 年 29 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当教室では, 術後のQOLの向上を考慮し, 近年頸部郭清術の際, 症例に応じて頸神経を温存する術式を行ってきた。しかしながら, 頸神経の詳細な役割については不明な点が多い。今回, 23例に対し術中神経刺激を行うことにより頸神経の運動機能を検討し, また検査しえた術後1ヶ月の19例と, 術後1年以降の28例に対し肩周囲の感覚機能について評価し, 頸神経の役割, 温存の意義について検討を行ったので報告する。術中の電気刺激による検討では, 副神経刺激では全症例で僧帽筋の収縮を認めたが, 頸神経刺激では全症例に筋の収縮は見られなかった。術後の肩甲部の感覚機能における検討では, 頸神経温存により感覚機能が保存され, 頸神経は, 知覚神経としての機能を有するものと推察された。また長期に観察すれば, 頸神経切断例においても, 感覚機能が改善する可能性が推察された。
  • 古田 康, 永橋 立望, 本間 明宏, 折舘 伸彦, 目須田 康, 西澤 典子, 関堂 充, 山本 有平, 奥芝 俊一, 福田 諭
    2003 年 29 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喉頭全摘後の音声再建法として, 長期に留置可能であり交換も容易な Groningen voice prosthesis または Provox IIをT-Eシャントとして用いる方法が本邦においても普及し, さらに遊離空腸再建症例にも試みられている。我々は遊離空腸再建症例において Groningen voice prosthesis を一期的にT-Eシャントとして挿入する方法を6症例において試みた。広瀬の会話機能評価基準に従い評価すると, 8~9点の excellent レベルが5例, 7点の moderate レベルが1例であり, おおむね良好な発声が可能であった。本法の利点は移植した空腸に操作が加わらず安全であること, 退院時までには発声ができるようになり早期の社会復帰が可能であることが挙げられる。但し, 頸部食道まで浸潤している症例においては二期的T-Jシャント作成を考慮する。Voice prosthesis の改良により, 今後普及する方法と思われる。
  • 亀井 譲, 鳥居 修平, 中山 敏, 藤内 祝, 長谷川 隆
    2003 年 29 巻 1 号 p. 86-90
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    一般に, 下咽頭腫瘍における遊離空腸移植を除く口腔咽頭再建では, 皮弁, 筋皮弁による再建が多い。今回われわれは, 下咽頭癌における遊離空腸移植を除いた症例で, 皮膚成分を用いない口腔咽頭再建を経験したので報告するとともに考察を加えて報告する。
    用いた皮弁は, 空腸5例, 胃壁3例, 腹膜3例であった。空腸を用いた再建では, 咽頭皮膚瘻3例, 口腔底再建1例, 頬粘膜の再建1例であった。胃壁は頬粘膜の再建1例, 口腔底再建1例, 口蓋再建1例であった。腹膜は口腔底に2例, 頬粘膜1例に用いた。
    腹膜を用いた2例で, 腹膜は脱落して瘢痕治癒した。空腸による再建例は全て経過良好であった。胃壁を用いた再建では, 2例において胃酸の分泌により潰瘍ができたが, 放射線照射により1例は治癒した。
    粘膜を用いた再建は, 工夫次第で皮膚成分を用いた再建より, 有用な再建法になり得ると考えられた。
  • 安里 亮, 田中 信三, 大森 孝一, 庄司 和彦, 平塚 康之, 宮田 耕志, 永田 智也, 伊藤 壽一
    2003 年 29 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々は口腔咽頭癌切除後の欠損部の再建に皮膚成分のない胸鎖乳突筋弁を使用した5例を経験した。その内訳は口腔底癌初回例3例, 口腔底癌再発1例, 舌癌咽頭再発1例であった。全例, 頸部郭清術を施行したが, 重篤な感染は認められず, 軽度の局所感染を認めた2例も保存的治療で治癒した。長期経過観察した4例中, 1例で反対側のリンパ節に再発したが, 再手術後はコントロールされている。術後照射している症例はあるものの原発巣・あるいは患側のリンパ節の再発はなく原発巣の切除や郭清範囲に問題はなかったまた術後の嚥下障害や構音障害はなく胸鎖乳突筋弁による再建が限られているが, 症例を選べば簡便で有用な再建法である。
  • 松浦 一登, 志賀 清人, 鈴木 秀明, 千葉 敏彦, 高橋 悦, 古川 正幸, 佐藤 敦
    2003 年 29 巻 1 号 p. 98-103
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    【対象と方法】pull-through 法による切除を行った口腔癌症例のうち, 顎二腹筋弁を用いて口腔底再建を行った9症例を検討の対象とした。本法では, 保存的頸部郭清術を行った際に顎二腹筋表面の fascia を温存し, 腫瘍切除後に顎二腹筋を下顎骨下縁に引き上げ, 下顎骨下縁の骨膜及び周囲組織に縫合して口腔底を形成した。更に舌尖を形成し, 口内の創部は raw surface とした。術後言語機能評価は広瀬法, 摂食機能評価は藤野法を用いた。【結果】全例唾液瘻は生じず, 術後約10日にて経口摂取可能で, 誤嚥は認めなかった。摂食・構語機能は全例 excellent であった。1例に再発を来し, 遊離組織移植術を要した。【結論】本法は症例により有用であるが, より一層の機能改善には, 口腔底部のしなやかさを得る工夫が必要である。また本術式後の再発に対しては遊離組織移植を要し, 症例によっては対応に苦慮することがある。
  • 大岩 伊知郎, 下郷 和雄, 梅村 昌宏, 藤原 成祥, 大重 日出男, 臼井 秀治
    2003 年 29 巻 1 号 p. 104-110
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下顎骨区域切除に伴う再建手術の目標は咬合の再構築による咀嚼機能を含めた早期の機能回復にある。下顎欠損に伴う粘膜歯肉欠損に対して咀嚼粘膜類似の被覆軟組織を獲得すべく, 粘膜上皮再建を行わない下顎再建を試みた。6例の下顎区域切除後の即時再建に適応し5例で通常の義歯が装用され, 機能回復が得られている。移植骨は, 深腸骨回旋動静脈を血管柄とする腸骨を用い残存粘膜を移植骨切断端に縫着する。舌側の軟組織欠損量に応じて, 腹斜筋の筋体を調整し補填に充てる。移植骨と粘膜断端の縫合糸を利用し, 場合によってはアテロコラーゲン膜を露出骨面に置いてタイオーバーを行う。術後7~10日でタイオーバーを除去し, 露出骨面の肉芽増生を待って早ければ数日後に義歯を装用させる。二次修正術や, 特殊な手枝を用いることなく通常の義歯により咬合の再構築が可能で, 皮弁採取を伴わないことから採取部の障害も少なく有用な方法と考えられる。
  • 江口 友美, 浜口 裕弘, 古郷 幹彦
    2003 年 29 巻 1 号 p. 111-117
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    これまで, 口腔癌に対する治療成績の向上が注目されてきたと同時に, 患者のQOL向上への社会的要求も高まってきた。上顎癌を除く口腔癌患者39例に対し, 術後6か月以上経過時に, 発語明瞭度および会話明瞭度を測定し, 原発部位, 舌切除範囲, 再建方法などとの関わりについて検討した。
    1. 原発部位と構音機能との関係は, 頬粘膜癌, 歯肉癌, 舌癌, 口底癌の順に発語明瞭度, 会話明瞭度とも低下し, 構音別では母音 (u音), 歯茎音, 軟口蓋音において著明であった。
    2. 舌切除範囲と構音機能との関係は, 半側切除, 両側前方切除, 舌亜全摘の順に発語明瞭度, 会話明瞭度とも有意に低下し, 構音別で分類した母音 (a音, u音, o音), 子音 (歯茎音, 軟口蓋音, 両唇音) のいずれにおいても同様であった。
    3. 舌癌, 口底癌において, 皮弁 (前腕皮弁), 筋皮弁 (大胸筋皮弁, 腹直筋皮弁) による再建法の違いと構音機能の関係については, 有意差を認めなかった。
  • 小林 慎, 小野塚 直也, 久我 俊彦, 笹田 大敬, 小林 恒, 松原 篤
    2003 年 29 巻 1 号 p. 118-123
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本論文では口腔咽頭と食道の同時性重複癌の7症例に対し著者らが施行した5種類の再建術式を紹介する。口腔底切除がなされた2例には遊離空腸パッチを用いた口腔底再建術を選択し, 食道は大弯側胃管を用いて再建した。咽頭喉頭切除と食道全摘がなされた4症例中3例は小弯側反転胃管により全食道と高位の咽頭までを同時に再建した。残りの一例は遊離空腸と胃管を組み合わせて一期的に再建した。喉摘後の音声再建を希望する患者には遊離回盲部と挙上胃管を吻合する方法を選択した。以上の経験より, 食道癌との同時手術における頭頸部再建には次の方法が有用と考える。口腔底の再建には術後の舌の運動制限がなく, 口腔乾燥を来さない遊離空腸パッチ移植が適している。また, 小弯側反転胃管を使用することで高位の咽頭までを一本の胃管で再建することが可能で手術時間も短縮できる。さらに遊離回盲部と挙上胃管を同時に併用すれば音声再建も可能となる。
  • 中谷 宏章, Kasumi HIGASHIYAMA, 中平 光彦, 浜田 昌史, Shunji TAKEUCHI, 竹田 泰三
    2003 年 29 巻 1 号 p. 124-129
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過去20年間に当科で治療を行った耳下腺悪性腫瘍46例中, 顔面神経全切除後に神経移植術を行った4症例の麻痺経過を観察し, 移植手術の有効性について検討した。その結果, 麻痺の回復は4例中3例に, 術後6カ月以上を経て認められた。回復例の最終的な表情運動は40点法にて20点弱であった。安静時の筋緊張や閉眼運動の回復は比較的良好であったが, イーと歯を見せる運動の回復は不良であった。放射線照射は麻痺回復を遅らせる可能性が示唆されたが, 最終的な回復程度にはあまり影響しないと考えられた。
  • 柏 克彦, 小林 誠一郎, 木村 裕明, 林 正康, 斎藤 篤志
    2003 年 29 巻 1 号 p. 130-139
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    遊離血管柄付き腓腹神経と筋膜皮弁との複合には, 浅腓腹動静脈や腓骨動静脈を栄養血管とする報告が見られる。われわれは解剖学的検討から, 腓腹筋からの穿通血管と腓腹神経伴行血管との吻合を確認した上で, これを血管柄とする神経付き筋膜皮弁を臨床的に応用した。また, 現在ではその血管柄として, 浅腓腹動静脈と腓腹筋穿通枝のいずれかを術中に選択する方法を用いている。
    本複合皮弁を悪性腫瘍による顔面神経合併切除例5症例に用いた。3例で腓腹筋穿通枝を, 2例で浅腓腹動静脈を血管柄とした遊離移植を行ったが, 皮弁挙上時の所見では, 神経片, 筋膜皮弁何れの血流も良好で, 全ての症例で皮弁の生着を得た。十分な経過観察期間を有する症例では, 表情筋の回復が確認された。
    本複合皮弁は, 顔面神経合併切除後の再建に有用であり, 腓腹筋からの穿通血管の利用はその挙上における選択枝を拡大するものと考える。
  • 中山 敏, 高橋 正克, 斉藤 清, 内木 幹人, 亀井 譲, 鳥山 和宏, 鳥居 修平, 中島 務
    2003 年 29 巻 1 号 p. 140-145
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは側頭骨亜全摘を行った側頭骨悪性腫瘍5例に対し, 顔面神経動的再建を行った。側頭骨亜全摘術を要する悪性腫瘍切除例は, 比較的稀でしかも予後不良であり, 顔面神経動的再建を行いその結果について述べた報告は少ない。神経移植と遊離皮弁移植を用いた再建法と神経血管柄付き筋肉移植を用いた再建法の術式を報告し, 顔面神経機能の回復について述べた。その結果, 顔面神経機能は25~50%程度回復することがわかった。
  • 田中 信三, 安里 亮, 平塚 康之, 藤木 暢也, 伊藤 壽一
    2003 年 29 巻 1 号 p. 146-150
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌摘出手術において反回神経合併切除後の嗄声を予防する目的で切除側の喉頭内に神経筋を移植する手術を8例に行った。切除側の甲状軟骨下角を切離して甲状軟骨板を飜転・挙上し, 約1×2cm大の胸骨舌骨筋を頸神経罠が付いたまま甲状披裂筋の外方に挿入し縫合・固定した。高齢男性の1例に喉頭浮腫が生じた。術直後から移植側の声帯は傍正中から正中に位置し声帯萎縮なく良好な音声が維持された。最長16ケ月の観察で, 声帯萎縮が生じた例や音声や音声機能が明らかに悪化した例はなかった。本手術は, 反回神経合併切除時の嗄声を予防するのに有用であると考えられた。
  • 永田 靖, 青木 徹哉, 溝脇 尚志, 高山 賢二, 光森 通英, 矢野 慎輔, 平岡 真寛, 安里 亮, 田中 信三
    2003 年 29 巻 1 号 p. 151-158
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    目的: 頭頸部腫瘍に対する強度変調放射線治療 (IMRT) の初期経験を通じて, 特にその治療計画結果と精度管理について検討した。
    対象と方法: 平成13年9月よりIMRTの頭頸部腫瘍への臨床応用を開始した。治療計画装置はCADPLAN-Heliosを用い, 照射方法は Dynamic MLC法を用いた。治療計画結果の精度管理には, 複数のファントムに対して実際の照射条件で照射を行い, その照射線量をフィルム法と線量計を用いて実測して計画線量と比較した。
    結果: 上咽頭癌3例の治療計画と精度管理を評価した。立案した治療計画は全例7門照射であったが, 照射角度は症例別に決定した。照射線量は66-76Gyで初期2症例は通常外照射と併用した。治療計画には各症例で各々10時間以上を要したが, 腫瘍内線量の均一性の確保と脊髄等のリスク臓器の線量低下が可能であった。また, 実際の治療計画のファントムを用いた実験測定結果においても, 照射線量は計画線量と比較しておおむね5%以内の精度が保たれた。
    結論: 頭頸部腫瘍に対するIMRTにおいては, 臨床上で有意義な線量分布が作成可能であり, 精度管理も許容可能範囲であった。
  • 小林 雅夫, 兼平 千裕, 加藤 孝邦, 青柳 裕
    2003 年 29 巻 1 号 p. 159-165
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鼻前庭扁平上皮癌5例に小線源治療主体の放射線治療を施行した。鼻前庭に限局した3例には外部照射40Gy後に鼻腔内へ1cm径, 2cm長のアプリケータを挿入し, 18-20Gy/4frの高線量率腔内照射 (1例ではさらにAuグレインによる組織内照射を追加) を行った。鼻唇溝皮膚に浸潤した2例には外部照射50-60Gy後に30-40Gy/3-4日の低線量率組織内照射を施行した。1年2ケ月で他癌死 (肺癌) した1例を除くと全例 (7年8ケ月, 7年2ケ月, 2年6ケ月, 4ケ月) とも無病生存であった。重篤な晩期有害事象は認めなかった。T1-2N0鼻前庭扁平上皮癌に対しては, 小線源治療を主体とした放射線治療で高い局所制御率が得られ, 美容の面でも優れていた。鼻前庭に限局した病変には組織内照射と比べてより侵襲が少なく, 外来で治療可能な高線量率腔内照射が適していると思われた。
  • 久保田 彰, 古川 まどか, 河野 敏朗, 山下 浩介, 杉山 正人
    2003 年 29 巻 1 号 p. 166-172
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    前治療のない頭頸部進行扁平上皮癌の放射線治療の40例 (stage III: 6例, IV: 34例, resectable: 26例, unresectable: 10例, inoperable: 4例) に外来で Nedaplatin を80mg/m2で4週ごとに6コースと, UFTEは400mg/日を1年間連日投与の adjuvant chemotherapy を行った。Grade 3以上の毒性は白血球減少で23.1%に, 血小板減少は7.7%に認めた。胃潰瘍で1例が死亡した。計画どおりに施行できたのは25例 (62.5%) であった。2年生存率は stage IIIが100%, IVは61.1%で, 2年 progression free survival (PFS) は stage IIIは83.3%, IVは46.1%であった。放射線のCRの12/14例 (85.7%) と, PRの14/22例 (63.6%) で, adjuvant chemotherapy 中も放射線の効果が持続した。これらの放射線の効果が持続したPRの2年PFSは81.3%とCRの81.8%と差を認めなかった。遠隔転移は2.5%に認めた。本療法は外来投与可能で遠隔転移の抑制が期待できる。
  • 戸川 貴史, 油井 信春, 幡野 和男, 竹内 洋介, 林崎 勝武, 小村 健
    2003 年 29 巻 1 号 p. 173-177
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上咽頭腫瘍が疑われた54症例に対し, 3検出器回転型ガンマカメラにより201Tl SPECTを行い, 臨床的有用性を評価した。治療前は54例中53例 (上咽頭がん50例, 悪性黒色腫1例, lymphoid hyperplasia 2例) で陽性であった。上咽頭がん50例中48例では治療後の評価が可能であった。治療直後における201Tl SPECTとMRI, CTの効果判定が一致したものは26例 (ともにCR 15例, ともにPR 11例) であった。これに対し, 一致しなかったものは22例であり, これらはすべて201Tl SPECTがCRであったのに対し, MRI, CTはPRであった。さらにこの22例中16例において経過をみていくとその後のMRI, CTでは6~33カ月 (平均13ヶ月) 後に腫瘤影が消失した。再発転移は8例において治療終了9~69ヶ月 (平均24ヶ月) 後に出現したが, 201Tl SPECTでは8例10部位の再発転移巣をすべて陽性にとらえることができた。以上の結果より201Tl SPECTは上咽頭腫瘍の初回診断, 治療効果判定および再発・転移巣診断において極めて有用であることが明らかになった。
  • 金村 弘成, 近藤 壽郎, 濱田 良樹, 中島 敏文, 関谷 秀樹, 伊藤 耕, 佐藤 淳一, 瀬戸 皖一
    2003 年 29 巻 1 号 p. 178-185
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔癌患者に対する67Gaシンチグラフィーの診断学的有用性について検討した。
    対象は口腔癌患者の新鮮例55名である。原発腫瘍, 頸部リンパ節転移, 遠隔転移または重複癌に対する診断精度, 病巣の大きさと診断精度との関係, 病巣の大きさと67Ga集積の強さとの関係, 読影時の問題点について調査した。
    その結果, 原発腫瘍, 頸部リンパ節転移, 遠隔転移または重複癌に対する感度はそれぞれ44.2%, 28.6%, 25.0%であった。67Gaシンチグラフィーは初期病変の検出には不向きと思われた。67Ga集積の強さと病巣の大きさとの関連性については結論に至らなかった。67Gaシンチグラフィーの読影は, 局在診断における信頼性が低いこと, 生理的集積があること, 非特異的に集積することが問題であった。
  • 家根 旦有, 江本 美枝, 岡本 英之, 幸 和恵, 細井 裕司, 宮原 裕
    2003 年 29 巻 1 号 p. 186-190
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    原発性副甲状腺機能亢進症における99mTc-MIBIシンチの局在診断の有用性について, 超音波検査, CTと比較検討した。対象はMIBIシンチを行い手術治療を施行した原発性副甲状腺機能亢進症14名で, 男性4名 (38-70歳, 平均47歳), 女性10名 (29-80歳, 平均57歳) であった。MIBIの検出率は12/14 (85.7%), 超音波11/14 (78.5%), CT7/14 (50%) で, MIBIと超音波を組み合わせることによって検出率は13/14 (92.8%) に上昇した。MIBIで検出可能な最小重量は300mgで, 異所性の副甲状腺腺腫はMIBIでのみ検出が可能であった。超音波は甲状腺周囲の局所診断に優れ, MIBIは異所性診断に優れていた。原発性副甲状腺機能亢進症の局在診断にはMIBIと超音波検査の組み合わせが相補的で検出率も高く, 効率的で経済的な方法と考えられる。
  • 嘉田 真平, 林 正彦, 岡沢 秀彦
    2003 年 29 巻 1 号 p. 191-196
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部悪性腫瘍患者への全身18FDG-PET検査の有用性を検討した。当院では2年間に全身FDG-PETを54件45例に施行した。原発巣やリンパ節転移に関して, FDG-PETのみの診断能力とCT・MRI・診察所見のFDG-PET以外の検査を用いた従来の診断能力とを比較し検討した。FDG-PET診断の原発巣に対する感度は90%・特異度は93%であり, FDG-PET以外の診断では感度は95%・特異度は100%であった。リンパ節転移に対するFDG-PET診断の感度は90%・特異度は84%, FDG-PET以外の診断では感度は72%・特異度は80%であった。リンパ節転移に対する診断はFDG-PETが優れていた。しかし, FDG-PETでの診断では, 炎症に集積し偽陽性となることや, 早期の喉頭癌や食道癌などの薄い腫瘍では集積せず偽陰性となる点に注意が必要である。FDG-PETは他の診断と組み合わせることでほとんどの症例で的確な診断ができたが, FDG-PETを用い定期的に経過観察することでさらに正確な診断が期待できる。
  • 原田 耕志, 板東 高志, 吉田 秀夫, 佐藤 光信
    2003 年 29 巻 1 号 p. 197-204
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    植物アルカロイドであるセファランチンのヒト口腔扁平上皮癌細胞 (B88) に対する浸潤抑制機構の解析を行った。B88細胞をセファランチン (20μg/ml) で処理すると著明な増殖抑制効果が見られ, この際p27Kip1蛋白ならびにmRNAの発現誘導と, サイクリンE, Skp2ならびにc-Mycの発現減弱が見られた。さらにセファランチンはボイデンチャンバーにてB88細胞のマイグレーションを抑制し, アウトグロースをも阻害した。またセファランチン処理B88細胞において, E-カドヘリン, インテグリンα5, maspin の発現増強と, Tiam1, MTA1の発現減弱が認められた。以上より, セファランチンはB88細胞においてp27Kip1をmRNAならびに蛋白レベルにて発現誘導し, 増殖抑制作用を発揮するとともに, 浸潤・転移関連遺伝子や細胞接着因子の発現増強を介して浸潤抑制作用を発現している可能性が示唆された。
  • 成田 憲彦, 藤枝 重治, 杉本 千鶴, 井川 秀樹, 木村 有一, 大坪 俊雄, 斎藤 等
    2003 年 29 巻 1 号 p. 205-209
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    リコンビナント顆粒球刺激因子 (rG-CSF) は, JAK1のリン酸化に引き続いて生じるMT-MMPの発現増加と, IV型コラゲナーゼ活性の亢進によつて頭頸部癌細胞株の浸潤能を亢進させる。今回我々は, G-CSFレセプター (G-CSFR) 細胞内ドメインの3'側一部を欠損させた deletion mutant を作成し, JAK1などの下流へのシグナル伝達に関与するG-CSFRの内部機構について解析した。またこれにより作成されたG-CSFRの dominant negative form を頭頸部癌細胞G-CSFR (完全長) 発現株に遺伝子導入し強制発現させることで, rG-CSF刺激による癌細胞の浸潤能亢進を抑制させた。このことから今回作成したG-CSFR dominant negative はG-CSFによる癌浸潤能亢進作用を抑制する可能性があり, 頭頸部癌の遺伝子治療への応用の可能性が示唆された。
  • 新谷 悟, 李 春男, 三原 真理子, 中城 公一, 浜川 裕之
    2003 年 29 巻 1 号 p. 210-216
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    細胞周期制御因子 p27KIP1 の発現低下が, 癌の発生や悪性度と関連することが報告されてきた。p27KIP1 の発現低下には, Skp2 とJab1 による蛋白分解が重要な役割を果たす。本研究では, Skp2, Jab1 と p27KIP1 の発現ならびに臨床病理学的因子との関連を検討した。
    口腔癌75例を対象とし, p27KIP1, Skp2 および Jab1 の発現を検討した。Skp2 ならびに Jab1 の発現とp27KIP1 の発現は逆相関していた。臨床病理学的因子との関係では, p27KIP1 の発現低下例, Skp2 ならびに Jab1 の過剰発現例で, 頸部リンパ節転移が有意に多く認められ, 有意に予後不良であった。Skp2 ならびに Jab1 の発現は p27KIP1 の発現低下と関連し, これらの制御因子の異常が口腔癌の進展に関与していると考えられた。
  • 橋元 亘, 篠原 文明, 高橋 正任, 越後 成志
    2003 年 29 巻 1 号 p. 217-223
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々はヒト末梢血単核球をIL-18とIL-2とで刺激培養することにより, ヒトでの抗腫瘍効果について検討した。末梢血単核球をIL-18 (500ng/ml) とIL-2 (30U/ml) とで培養し, 細胞表面マーカーの変化を検討したところ, NK細胞 (CD56-CD161-CD3-細胞) の著明な増加と培養上清中に多量のIFN-γ産生が認められた。次に, このIL-2とIL-18とで活性化された単核球と腫瘍細胞とを共培養したところ, 標的細胞に効率良く細胞死を誘導することが明らかになり, さらに腫瘍細胞に効率良くカスパーゼ活性の増強が誘導され, 舌扁平上皮癌細胞株に対して, 効率良くアポトーシスを誘導できることが明らかになった。以上の結果は舌癌を含む頭頸部腫瘍に対する, IL-18の免疫療法の可能性を強く示唆するものであり, 今後のさらなる研究が期待される。
  • 波多野 尚樹, 里見 貴史, 渡邊 裕之, 千葉 博茂
    2003 年 29 巻 1 号 p. 224-229
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔癌患者の予後と癌間質 Fibronectin (FN) の発現との関係は, 当科の現在までの研究では癌間質側の産生するFN陽性症例が陰性症例に比べて有意に予後良好であることがわかっている。
    そこで今回, われわれはマウス扁平上皮癌である Gsq-1 を用いて, 担癌マウスに免疫療法剤である Lentinan (LNT) とFNを投与し併用効果を検討した。方法として, C3H/He マウスの大腿部筋肉内に2×105 cells の Gsq-1 癌細胞を移植し, 以下の3群に分けて検討した。1) Control 群, 2) LNT群, 3) LNT+FN群とした。薬剤は移植後10日目よりLNT (1.0mg/kg) を連日12日間腹腔内投与した。またFN (50μg/1回) は, LNT投与期間中3回 (計150μg) 腫瘍周囲に局所投与した。各群とも経時的に腫瘍体積を求め, 抗腫瘍効果を比較検討した。その結果, LNT+FN投与群において明らかな抗腫瘍効果が認められた。
  • 執行 寛, 野中 聡, 片山 昭公, 高原 幹, 荻野 武, 今田 正信, 林 達哉, 原渕 保明
    2003 年 29 巻 1 号 p. 230-234
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    誘導型一酸化窒素合成酵素 (iNOS) は主にマクロファージなどの免疫系の細胞に含有され, 炎症機転に伴い発現誘導される。iNOS生成は他のアイソフォームである神経型NOSや内皮型NOSに比べ約100倍のNO合成能を有する。したがって, iNOS発現誘導による過剰なNO生成は正常細胞のDNAを傷害し突然変異を誘導するなど癌の発生に深く関与すると考えられている。今回, 筆者らは初回治療を行った喉頭癌63例を対象にiNOSの発現を免疫組織学的に同定し, 臨床像, 病理組織像および予後との関連性について検討した。63例中36例 (57.1%) の癌組織においてiNOS陽性であった。放射線単独療法後の局所再発例ではiNOSスコアが有意に高値を示した。また, iNOS陽性例は陰性例と比べて有意に生存率が低かった。以上よりiNOSの発現が早期喉頭癌における局所再発や予後を推測する一つの因子となりえる可能性が示唆された。
  • 田中 徳昭, 吉岡 秀郎, 竹田 宗弘, 岡内 豊美, 久島 潔, 古郷 幹彦
    2003 年 29 巻 1 号 p. 235-239
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    81歳の女性の口腔底癌症例に対して患者および家族の希望を優先し TS-1 の単独投与による治療を行った。TS-1 の投与は3週間連続投与, 2週間休薬を1クールとし, 1クール目は80mg/body/dayで投与を行い, 2クール目以降は40mg/body/dayでの投与を行った。腫瘍は投与開始14日目には縮小を認め, 1クール目終了時には肉眼的に腫瘍は完全に消失した。3クール目終了時にはCTにても腫瘍の消失が認められ, CRと考えられた。CRが得られてから4ケ月が経過した現在も TS-1 の投与を継続しており腫瘍の再発は認められていない。
    TS-1 投与による副作用としては Grade 1 の白血球減少, 好中球減少および Grade 2 の血色素減少を認めたが休薬により回復を認め, 特に加療は必要としなかった。
    TS-1 単独投与による治療は本症例のような進行頭頸部癌に対しても有用な治療法の一つであると考えられた。
  • 篠崎 剛, 石川 和宏, 西野 宏, 市村 恵一
    2003 年 29 巻 1 号 p. 240-245
    発行日: 2003/03/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    前立腺癌患者は骨転移例が多いことで知られるが, その主な部位は腰椎, 胸椎, 骨盤であり, 頭頸部領域への転移は極めて稀である。今回下顎骨転移から発見された前立腺癌症例を経験したので, その経過について報告する。症例は65歳男性で左耳下部の腫脹, 開口障害を主訴に来院した。耳下部の腫瘤と左上内深頸領域にリンパ節の腫脹を認めた。当初耳下腺腫瘍が疑われたが画像では左下顎枝から関節突起にかけて中心に骨硬化像を伴う腫瘤を認め, 上内深頸領域に腫瘤を2箇所認めた。咽喉頭, 鼻副鼻腔に原発部位を認めなかった。腫瘤に対し開放生検を行った。病理組織は腺癌であった。原発部位の検索で前立腺内に腫瘍を認め, また多発性の骨転移, 腫瘍マーカーの高値から前立腺癌の下顎骨転移と判断した。抗アンドロゲン製剤とLH-RH皮下注射による治療を開始した。原発巣及び耳下部の腫瘤は著明な縮小を認めた。現在腫瘍マーカーは正常化し, 経過良好である。
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