頭頸部腫瘍
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29 巻 , 3 号
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  • 山下 弘幸
    2003 年 29 巻 3 号 p. 411-414
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当院は平成11年10月より内視鏡下甲状腺・副甲状腺切除を開始し, 現在まで副甲状腺腫3例 (1例は同時に甲状腺切除施行) と良性甲状腺腫71例を経験した。当初は前胸部あるいは腋窩からのアプローチ, あるいは片葉切除が必要な症例に対しては顎下部から行っていた。しかし, それらのアプローチでは広範囲の皮下剥離や長時間の手術に伴う侵襲性や器具にかかる費用など無視できない問題があった。平成12年9月より, 顎下部からの原法 (つりあげと小切開と2つのポートより施行) を改良し, 小切開創 (3cm) のみでの甲状腺片葉切除術を開始し, 53例を経験した。顎下部の創より上甲状腺動静脈を切断後, 内視鏡補助下で甲状腺峡部の切断および外側の剥離を行い, 甲状腺を創外に引き出し, 直視下に反回神経を確認, ベリー靭帯を処理し, 甲状腺片葉切除を行なう。平均腫瘍径は33mm, 年齢は平均33歳, 手術時間は平均57分, 出血量は平均25gであった。術中, 術後の合併症は2例に一過性反回神経麻痺を認めた。我々の方法は, 前頸筋を切断することなく最小範囲の皮下剥離で手術が可能であり, 手術時間も短く低侵襲で美容的に満足できた。
  • 中谷 宏章
    2003 年 29 巻 3 号 p. 415-420
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年, 甲状腺・副甲状腺疾患に対して頸部内視鏡手術が行われるようになっているが, 耳鼻咽喉科ではほとんど行われていない。頸部内視鏡手術は美容面を除くと不利な点が多く, 試み難い手術である。今回, 我々の経験した側頸嚢胞を題材として, はじめて内視鏡手術を行う耳鼻咽喉科医がどのような点に注意して手術を行うべきかを検討した。
  • 片岡 英幸, 北野 博也, 木下 隆, 平野 正満
    2003 年 29 巻 3 号 p. 421-427
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    われわれは, 頸部に切開をおかず整容的に優れた完全内視鏡下頸部手術を行ってきた。頸部から離れた位置からアプローチするため, 鎖骨近傍も含めて頸部に傷跡が残らない。患者の希望に合わせて下着に隠れた所に切開をおくことができる。しかし, 手術手技が特殊で煩雑な点が多く腹腔鏡手術で確立されてきたような内視鏡外科手術の手術手技を修得する必要がある。手術手技のトレーニングでは能力, 技能に応じた練習を行う。初級から上級コースに分けて豊富な練習内容を取り入れ取り組みやすいように工夫する。実際の手術は術者, 助手, カメラ助手の3名で行う。それぞれの役割について, 術者は手術の進行すべてにおいて責任があり, 手術全体に注意をはらう必要がある。助手の役割は術野の確保と術者の介助である。カメラ助手は術者の眼の代わりをしていることを常に意識することが重要である。
  • 中山 敏, 北野 博也, 長谷川 泰久, 鳥居 修平
    2003 年 29 巻 3 号 p. 428-433
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1992年4月から2003年4月の間, 433例の頭頸部癌の再建を行い, 穿通枝皮弁 (94皮弁) や穿通枝に基づいた各種の複合皮弁 (105皮弁) を含む様々な種類の遊離皮弁を用いてきた。われわれの皮弁挙上の特徴は, メスを用いた穿通血管の追跡剥離であり, 術式を紹介する。合併症発生率は初回再建群より再発再建群で高く, また通常の遊離皮弁移植より複合皮弁を用いた場合に高かった。合併症発生の観点から, 複合皮弁や穿通枝皮弁の頭頸部再建における役割, 適応について考察する。
  • 青 雅一, 宇野 欽哉, 前田 学, 中川 文夫, 中島 智子, 宮原 孝和, 斎藤 龍介
    2003 年 29 巻 3 号 p. 434-440
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年マイクロサージャリーの進歩とともにより侵襲が少ない皮弁が求められるようになり, 穿通枝皮弁 (perforator flap) の概念が生まれ, 急速な発展を遂げている。もっとも代表的な穿通枝皮弁のひとつである前外側大腿皮弁は頭頸部腫瘍切除後の再建材料としてきわめて有用な皮弁であり, 皮弁採取部の犠牲も最小限である。しかし, 血管柄の解剖学的変異がきわめて多彩であるため, 皮弁採取の手技はいまだに困難であるとされている。外側大腿回旋動脈系の詳細な解剖について述べるとともに, 低侵襲でかつ, 安全で確実な皮弁採取法についても報告した。
  • 光嶋 勲, 藤津 美佐子, 筒井 哲也, 高橋 義雄, 難波 祐三郎, 菅原 利男, 佐々木 朗
    2003 年 29 巻 3 号 p. 441-444
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    現在多用されている筋皮弁・筋膜皮弁から筋・筋膜を除去し, 筋間穿通血管または筋間中隔穿通血管のみを茎としても広範囲の皮弁が生着する。穿通血管を茎とするこのような穿通枝皮弁は0.8mm前後の微細血管吻合技術の確立によって短血管茎の遊離皮弁としても臨床応用されつつある。本皮弁の分類は穿通血管の解剖学的な位置によって筋内穿通枝皮弁, (筋間・腱間) 中隔穿通枝皮弁, 骨・軟骨膜間穿通枝皮弁などに分類できる。頭頸部再建に有用な穿通枝皮弁としては, 橈骨動脈穿通枝皮弁, 胸背動脈穿通枝皮弁, 深下腹壁動脈穿通枝皮弁, 浅腸骨回旋動脈穿通枝皮弁, 前外側大腿皮弁, 大腿筋膜張筋穿通枝皮弁, 大殿動脈穿通枝皮弁などがある。穿通枝皮弁の特徴は,“主要な動脈, 筋の犠牲がない。皮弁挙上が短時間で終了する。thin flap にでき易い。皮弁採取部を自由に選択できる。穿通枝の解剖学的な位置に変異がある。”などである。
  • 吉崎 智一, 田中 房江, 志賀 英明, 古川 仭, 真田 順一郎, 寺山 昇, 松井 修
    2003 年 29 巻 3 号 p. 445-449
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    放射線同時併用超選択的動注化学療法を施行した80人の頭頸部がん患者についてその効果を検討した。CR51人 (64%), PR22人 (28%) と全体の奏効率は92%であった。部位別では中咽頭, 下咽頭, 喉頭が奏効率, 臓器温存率, 無病生存率とも優れていた。Grade II以上の副作用は約半数に白血球減少, 4分の1に貧血, 4分の3に粘膜炎を認めた。また, 一例は血管造影中に脳梗塞を起こし, 集中治療室にての治療を必要とした。壊死を伴う高度の粘膜炎は6例にみられた。本治療法は頭頸部進行がんの臓器温存治療として有効性の高い治療法であるが, 反面, 重篤な副作用が起こることがあり, 適応には十分注意する必要がある。
  • 本間 明宏, 古田 康, 牛越 聡, 鈴木 章之, 永橋 立望, 畠山 博充, 浅野 剛, 西岡 健, 白土 博樹, 福田 諭
    2003 年 29 巻 3 号 p. 450-456
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Robbins の原法にほぼ準じて大量シスプラチン (100~120mg/m2) の超選択的動注療法と照射の同時併用療法を切除不能, 手術拒否の進行癌新鮮例44例に対して行った。原発巣のCRが38.6%, PRが56.8%, 奏効率は95.4%で, 原発巣の progression free survival (2年) は全体で66.9%, 新しいUICC分類のT4b例でも57%が得られた。しかし粗生存率 (2年) は全体で52.4%であった。有害事象は, 脳神経麻痺, 菌血症などの合併症が出現する場合はあったが, 粘膜炎を含めて概ね許容範囲のものと考えられた。局所に集中的に大量のシスプラチンを投与できる超選択的動注療法は非常に効果の高い治療法であり, 切除不能例でも治癒を期待できる方法であるが, 今後は長期の治療成績, 晩期の合併症を明らかにし, 適応を確立していくことが必要である。
  • 志賀 清人, 横山 純吉, 舘田 勝, 西條 茂, 吉田 文明, 橋本 省, 小林 俊光
    2003 年 29 巻 3 号 p. 457-462
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍の超選択的動注化学療法について, われわれの経験した172例の結果と成績を検討した。一次治療例の扁平上皮癌症例は主に術前治療として超選択的動注化学療法を用い手術を行った動注・手術群と, 放射線治療と併用を行った動注・根治照射群に分類される。それぞれの5年生存率を検討したところ, 動注・手術群と臓器・機能温存目的の動注・根治照射群の成績はほぼ同等であり, また手術不能進行例の動注・根治照射群でも特にN3症例の治癒率の向上が認められた。種々の合併症が認められたが, 致死的な喉頭・咽頭浮腫, 肺合併症の出現には十分留意する必要があると考えられた。また脳梗塞が5例に合併したが, うち3例は神経症状が残存した。頭頸部腫瘍の治療に際し安全かつ効果的な超選択的動注化学療法の使用法について考察する。
  • 今井 茂樹, 業天 真之, 梶原 康正, 粟飯原 輝人, 秋定 健, 原田 保
    2003 年 29 巻 3 号 p. 463-467
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    上顎癌・上咽頭癌を除く初発頭頸部扁平上皮癌症例110例にシスプラチン・カルボプラチンを用いた放射線療法併用超選択的動注療法を施行した。経過観察が可能であった79症例 (stage III 18例, stage IV 50例) の治療成績は奏功率 89.9% (CR 82.2%, PR 7.6%, NC 6.4%, PD 3.7%) であった。5年生存率は53例中22例が生存し, 粗生存率41.5% (舌37.5%, 喉頭64.2%, 中咽頭46.2%, 下咽頭22.2%) であった。死因は腫瘍死23例 (遠隔転移死13例), 他病死8例であった。副作用は骨髄抑制によるものが多く, 一過性の意識障害が5例 (4.5%) に, 声帯麻痺・浮腫が5例 (4.5%) に出現した。臓器温存率は81.0%であった。本法は原発巣に対する奏功率が高く, 5年生存率は他の治療法に遜色なかった。副作用・合併症は比較的軽微で, 臓器温存率は著明に高く, 患者のQOLの向上に寄与したと考えられる。
  • 脇坂 尚宏, 室野 重之, 堀川 利之, 吉崎 智一, 古川 仭
    2003 年 29 巻 3 号 p. 468-472
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌における遠隔転移は血行性およびリンパ行性転移が主なもので, その予後不良の一因である。マトリックス・メタロプロテイナーゼ (MMPs) は, 細胞外マトリックス (ECM) および基底膜を分解し腫瘍細胞の浸潤遊走に寄与する。一方, 血管新生因子は血管内皮細胞の増殖, 遊走, 分化を誘導し, 腫瘍血管新生を促進する。頭頸部癌においてもこれらの因子の発現と遠隔転移さらに予後との関連が指摘されている。EBV関連腫瘍蛋白である潜在膜蛋白-1 (LMP1) は潜在感染において発現し, 上咽頭癌の半数以上の症例において同定されている。我々は上咽頭癌組織標本において免疫組織化学的に浸潤因子, 血管新生因子の発現と転移との関連性を示唆する結果を得た。さらにLMP1とこれらの因子の発現との関連について有意義な知見を得たので報告する。
  • 河島 光彦
    2003 年 29 巻 3 号 p. 473-479
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    全国16施設を対象に, 上咽頭癌放射線治療例における化学療法の併用法と予後に関する調査を行った。385例が集積され, 生存分析可能例は360例であった。Stage Iでは63%が放射線治療単独であったが, Stage II-IV では80%以上で化学療法が併用されていた。組織型が角化型であることが独立した予後不良因子で, 特に頭頸部再発が非角化型に比べて有意に不良であった。5年粗生存率は非角化型ではI/II/III/IV期でそれぞれ89%/83%/61%/48%で, 角化型全体では49%であった。非角化型IV期症例において, シスプラチンを含む抗癌剤の同時併用による無再発率の有意な向上を認めた。
  • 谷垣 裕二, 三上 康和, 持松 いづみ, 佃 守
    2003 年 29 巻 3 号 p. 480-486
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌の予後因子である遠隔転移に対して, EBMに基づいて予防治療が行われていることは少ない。遠隔転移に対する予防治療について, 1) いつ行い, いつまで行うか2) どのような症例に対して行うか3) どのような治療を行うか 以上について, 当院で一次治療を施行した頭頸部癌患者で病変の消失した501例と文献を参考に検討した。結果は, 開始時期として一次治療後の有効例の報告が多く, 治療期間は根治治療後少なくとも6ケ月以上で, 1年6ケ月~2年程度までが有効と考えられた。治療対象はN2以上の症例で, 特にリンパ節転移が複数個存在する症例や節外浸潤している症例は, 積極的に行うべきである。治療内容は full dose 治療が原則で, 治療脱落者を少なくすることが大切である。現在当科で維持療法として施行しているTS-1内服は, 再発例がなく有効な治療と考えられる。副作用が強く, 厳密な外来管理を必要とするためこの点が今後の課題となろう。また, 遠隔転移を予防する治療として一次治療も重要となる。当科で行ってきたNACに照射又は手術を加えた治療と化学療法と放射線の同時併用療法を比較すると後者の治療のほうが局所再発率, 遠隔転移率とも低く, 予後についても改善を認めており, 遠隔転移の予防には維持療法だけでなく, 一次治療による局所コントロールを向上させることが大切である。
  • 白砂 兼光
    2003 年 29 巻 3 号 p. 487-492
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々は口腔癌の浸潤・転移抑制療法を目指して, 口腔癌浸潤の分子機構を解析してきた。特に, 上皮成長因子 (EGF) により口腔癌の浸潤が著明に促進され, その促進効果をデキサメサゾン (DEX) が抑制することに注目し, この系を用いて, 研究を進めてきた。本紙はその概要を紹介したものである。EGFは転写因子AP-1の活性化を誘導し, マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP)-1や-9, ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベター (uPA) などのプロテアーゼ発現とuPA受容体 (uPAR) 発現を促進することにより口腔癌細胞のマトリゲルへの浸潤を著明に促進する。一方, デキサメサゾンやAP-1 decoy はEGF処理によって誘導される上記の促進活性を抑制する。uPARは上記のプロテアーゼの活性化のみならず, lamellipodia 形成に関与しており, EGFは lamellipodia 形成や細胞遊走をも強く促進する。EGF処理によって誘導される細胞遊走はuPARアンチセンスによって阻害された。以上の結果から, AP-1やuPARが口腔癌の浸潤・転移抑制療法の分子標的となり得ることが示唆された。
  • 東 雅之, 佐藤 光信
    2003 年 29 巻 3 号 p. 493-498
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    口腔癌細胞へのNF-κBの構成的抑制因子である変異型IκB-α cDNAの導入により, 口腔癌細胞はヌードマウスでの腫瘍原性において著しい低下を示した。この造腫瘍性の低下は遺伝子導入癌細胞からのIL-1α, IL-6, IL-8, VEGF産生の抑制に起因していることが示唆された。一方, 口腔癌細胞は放射線や5-FUによりIL-6やIL-8の明らかな産生誘導が認められたが, 遺伝子導入癌細胞においてはそれらの産生誘導の有意な抑制がみられた。したがって, 変異型IκB-α cDNAの導入は口腔癌細胞の腫瘍原性を低下させるのみならず, 放射線や抗癌剤に対する感受性を増強させることが確認された。以上の結果より, NF-κBの抑制は口腔癌治療の成績向上に寄与する可能性が示唆された。
  • 成田 憲彦, 藤枝 重治
    2003 年 29 巻 3 号 p. 499-504
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    癌の治療を困難にしている要因として, 腫瘍の内部低pHによる放射線・抗癌剤抵抗性があげられる。低pH条件下での温熱感受性の増感効果 (温熱のpH効果) は, 固形癌治療において有力な治療法として期待され, 最近複数の条件の組み合わせによる治療の増感効果が検討されている。またその際発現する分子に着目した分子標的増感・治療の研究も急激に進んでいる。今回我々は histon deacetylase 3 (HDAC3) が, 頭頸部癌細胞株において温熱治療に対する抵抗性に深く関与することを見出した。HDAC3を抑制すれば, 温熱のみならず, 放射線などその他の治療においてもそのアポトーシス誘導を増強できることが判明し, HDAC3をターゲットとした頭頸部癌における分子標的治療の可能性が示唆された。
  • 吉本 世一, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 苦瓜 知彦, 三谷 浩樹, 米川 博之, 三浦 弘規, 別府 武, 福島 啓文, 佐々木 徹
    2003 年 29 巻 3 号 p. 505-509
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1990年1月から1999年12月までの頭頸部管腔癌患者 (扁平上皮癌) 計2297例のうち, 頭頸部癌の治療時および治療後2000年12月までに重複癌を認めたものは258例 (11.2%) あった。重複部位は多いものから順に, 食道, 頭頸部, 胃, 肺であった。同時重複食道癌は81例あったが, 下咽頭癌の13.7%に初診時食道癌を合併していた。そのなかで20例が治療として喉頭全摘を含む同時手術が施行されていたが, 開胸して縦隔を郭清したものは気管断端の壊死が生じる頻度がやや高くなり, それを防ぐために甲状腺を気管に付着させたままで保存する術式や, 敢えて異時手術とする場合を紹介した。
  • 藤井 隆, 吉野 邦俊, 上村 裕和, 栗田 智之, 赤羽 誉, 佐伯 暢生, 藤 久仁親, 鈴木 基之, 宇和 伸浩, 佐藤 武男
    2003 年 29 巻 3 号 p. 510-514
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    下咽頭扁平上皮癌根治治療例179例を対象に, 重複食道癌36例 (下咽頭癌診断前5例, 治療時点17例, 治療後14例) について検討した。下咽頭癌治療時点でルゴール色素法併用内視鏡検査を用いたスクリーニング検査により17% (15/89) に食道癌が見つかり, そのうち87% (13/15) は表在癌であった。内視鏡下粘膜切除が施行された早期癌症例 (6例) では食道癌死がみられなかったことから, 色素法併用内視鏡検査を用いたスクリーニングの必要性と有用性が示唆された。術前内視鏡挿入不可能な場合には食道造影で異常所見がなければ術後早期に内視鏡検査を行うことにより, 進行癌として発見されたのは1例のみであった。根治治療後に色素法併用内視鏡検査を用いたフォローアップで4例の食道癌が発見されたが, 早期癌2例はスクリーニング間隔が2年以内, 進行癌2例は3年以上であったことからフォローアップ検査の間隔は2年以内が望ましいと考えられた。
  • 西尾 正道, 明神 美弥子, 西山 典明, 田口 大志, 高木 克, 田中 克彦, 浅野 勝士
    2003 年 29 巻 3 号 p. 515-520
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1974年から2001年の期間に放射線治療を行なった頭頸部癌2144例のうち, 313例 (313/2144=14.6%) が多重癌を有していた。2重複癌例は79%で, 21%は3重複癌以上を有しており, 総部位数は691部位であった。初発頭頸部癌の原発部位別頻度は, 口腔: 107/603=17.7%, 上咽頭癌: 7/117=6.0%, 中咽頭癌: 63/257=24.5%, 下咽頭癌: 65/200=32.5%, 喉頭癌: 114/558=20.4%, 鼻・副鼻腔: 16/327=4.9%であった。多重癌の組合せ部位は, 食道癌, 頭頸部癌, 肺癌, 胃癌が高頻度であった。多重癌313例のうち, 初発が頭頸部癌であった症例は233例で, その頭頸部癌発生からの累積生存率は5年: 52%, 10年: 30%であり, 原病生存率は5年: 82%, 10年: 78%であった。治療領域が重複する多重癌例では, 治療上の制約を受けることが多く, 今後は多重癌の発生も念頭においた治療が望まれる。
  • 2003 年 29 巻 3 号 p. e1
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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