薬史学雑誌
Online ISSN : 2435-7529
Print ISSN : 0285-2314
ISSN-L : 0285-2314
最新号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 田中 英道
    2023 年 58 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
  • 山本 美智子
    2023 年 58 巻 2 号 p. 78-86
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
  • 小曽戸 洋
    2023 年 58 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
    柴田承桂(1849-1911)は尾張藩医 永坂周二の次男で,同じ尾張藩医 柴田承慶(1794-1868)の養嗣子となった.実兄の永坂石埭(1845-1924)も医師ではあるが,漢学者・文人として著名である.従来承桂の肖像とされる写真は石埭のものである可能性が高い.承桂の長男は桂太,桂太の子は承二,承桂の次男は雄次,その子は南雄.みな著名人である.薬学関係の知人には熊沢善庵(1845-1906),飯盛挺造(1851-1916),下山順一郎(1853-1912),丹波敬三(1854-1927),大井玄洞(1855-1930),丹羽藤吉郎(1856-1930)らがいた.交友との共著共訳も多い.承桂は東京の幸国寺に分骨埋葬.下山の墓は東京の常泉寺にあり,承桂の兄で漢文の巧みな石埭が墓碑文を撰んだ.下山の像は東大・東薬・犬山にある.丹波とは親交を示す承桂自筆書簡が残っている.丹波の像は東薬に,墓は多磨霊園にあり,最近複数の子孫から多くの遺品が東薬に寄贈された.「生薬学」の造語者である大井の像は江戸川橋公園に,墓は万福寺に現存している.
  • 榊原 統子, 田村 浩司, 松本 和男
    2023 年 58 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
    目的:21 世紀に入ってから20年間の日本における医薬品開発の変遷について,国内発新薬(国内オリジン)を中心に,日本国内で承認された医薬品を調査することでまとめた.方法:調査には,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「新医薬品の承認品目一覧」を用いて新有効成分含有医薬品(新薬)を抽出した.PMDA の未公開期間については日本医薬情報センター作成の「医療用医薬品添付文書 XML」および新薬承認審査報告書データベース「日本の新薬」を用いた.次いで,各品目の審査報告書,インタビューフォーム等の資料を参照し,各品目のオリジンを調査し,モダリティを分類した. 結果・考察:国内発売数の年代推移において,国内オリジンは 1990 年代から減少の一途を辿っていたが,2010 年代に入るとその傾向が見られなくなった.また,依然として低分子医薬品が大半を占めていることに変わりはないが,2005 年を皮切りに,抗体医薬品をはじめとする国内オリジンの高分子バイオ医薬品が徐々に増加してきた.近年の医薬品の売上高ランキングでも,がん治療薬を中心とした,高価なバイオテクノロジー応用医薬品が上位を占めており,対象患者数が多い「ブロックバスター」新薬は過去のものとなりつつある.日本が後れを取っていた国産の高分子バイオ医薬品も徐々に増加しており,2001 年からの 20 年間は,低分子のケミカルから高分子のバイオ医薬品およびマルチモダリティへとシフトしてきた時代と言えよう.
  • 友原 啓介, 田中 尚輝, 吉田 耕平, 長谷川 直人, 足立 伊佐雄, 野瀬 健
    2023 年 58 巻 2 号 p. 100-109
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
    目的:筆者らは,センテンスとセンテンスを英語らしく書き連ねるための英語ライティングの技法を考案した.これをもとにした学部生向け英語ライティング教材・科目を開発するに当たって,ライティング技法を例示・演習するための英文素材が必要となった.そこで,薬史を題材とした英文素材を活用して教材を開発し,その有用性を検討することとした. 方法:薬史に関わる図書『Molecules That Changed the World』(K. C. Nicolaou,T. Montagnon 著)を英文素材として選定し,同書の Chapter 13 Penicillin と Chapter 31 Vancomycin,および Chapter 16 Vitamin B12の英文を抜粋・引用して再構成し,新規の英語ライティング教材を開発し,その意義を評価・考察した. 結果:同書の英文は,センテンスとセンテンスを英語らしく書き連ねるための英語ライティング技法を例示・演習するための素材として最適であった.また,アンケート調査より,文理の専攻にかかわらず多くの学部学生が,薬史の物語に興味を持って効果的に英語ライティングを学習できたことが示された. 結論:コンパクトにまとめられた薬史のビッグストーリーは,内容に統一性があり,また適度にサイエンティフィックであるため,広く学習者の関心を引きつけ,英語ライティングの技法の例示・演習のための素材として有効に利用できる.
  • 柳沢 清久
    2023 年 58 巻 2 号 p. 110-127
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
    目的:わが国市場で,流通している Passiflora の基原植物はおおむね P. incarnata と想定される.しかし一部にP. edulisが混在している可能性が報告された.P. incarnataは鎮静剤として最もよく知られている種である.それはブラジルをはじめ北米南部,中米から南部にかけて分布している.そして西欧では,古くから植物療法に使われてきた.一方,P. edulis は多くの国で,食用果実として栽培され,ブラジルは世界最大の原産国である.また薬用として,近年のブラジル薬局方の FB5(2010)および FB6(2019)に収載されている.さらにそれには,P. alata も収載されている.ブラジルでは,P. alata が古くから鎮静剤,抗不安薬の植物療法に使われてきた.そこで今回は FB1(1929)~FB6(2019)に収載された Passiflora の規格・試験法の変遷について調査した.さらに近年,2000 年以降,Passiflora に関する海外の学術文献を抽出し,P. edulis,P. alata の植物化学成分,生物学的活性効果について調査を行った.そして両種が P. incarnata と同様の生物学的活性効果を発揮できる可能性,さらに代替品の可能性について考察した. 方法:1)FB1(1929)~FB6(2019)に収載された P. edulis および P. alata を基原とした Passiflora の規格・試験法の変遷の調査を行った.2)近年,2000 年以降の,P. incarnata,P. edulis,P. alata を基原植物としたPassiflora に関する海外の学術文献を抽出した.そして P. edulis,P. alata の植物化学成分組成に関して,両種間における違い,分析化学技術の進歩による変遷,生物学的活性効果への影響について,検証を行った. 結果:1)FB5(2010),FB6(2019)では,従来の P. alata と新たな P. edulis を基原植物とした 2 種のPassiflora が収載された.その規格・試験法の調査から,両種間における化学的成分組成に大きな違いあることがわかった.P. edulis のフラボノイド成分組成の複雑さに対して,P. alata が単純であることがわかった.また P. alata は,P. edulis よりもサポニンを多く含んでいることもわかった.2)近年,2000 年以降のPassiflora に関する海外の学術文献から,定性分析結果として,P. edulis,P. alata などの Passiflora sp. には,幅広い種類のフラボノイドが観察された.P. edulis は P. alata の約 2 倍のフラボノイドを含有し,それに比例して,約 2 倍の抗酸化活性を有することが示された.P. edulis は P. alata よりもフラボノイド成分組成が複雑である.UPLC-IM-MS は UPLC-MS プロダクトスペクトルに直交した断面解析により,異性体ペアの検出を含めて,その複雑さを明確化した.P. alata は P. edulis のフラボノイド成分組成プロファイルよりも単純であるが,サポニンを多く含有している. 結論:P. edulis と P. alata の両種は P. incarnata と同様に,豊富なフラボノイド(ポリフェノール)などの生物活性物質の存在により,抗酸化活性などの生物学的活性を示している.両種は鎮静剤,抗不安薬などの植物療法の他に,フラボノイド(ポリフェノール)などの抗酸化物質の重要な供給源となり,天然のフィトケミカルの供給源として,今後,展開していく可能性が考えられる.そして両種について,成分的,薬理的観点から,P. incarnata の代替品として,医薬品,健康食品への配合の可能性を検証することが,今後の課題と考える.
  • 杉村 啓治
    2023 年 58 巻 2 号 p. 128-136
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
    目的:江戸時代では,各藩に専属の医師団(御懸かり医師)が存在し,藩主一族の治療や施薬に従事していた.しかしながら,彼等が使用した常備薬の品名や対象者についての実態は不明であった.その解明をするために美濃国苗木藩の史料を用いて具体的に述べたい. 方法:苗木藩の史料「御家方御薬帳」(天保2年)の全文を解読・考察することで,他藩では不詳である実態を明らかにし,藩医師団の勤務内容(医薬品の管理・活用)を示したい. 結果:苗木藩では,藩主一族の専用薬として5種類の漢方薬が常備薬として管理・運用されており,使用薬品名,使用年月,使用目的,薬品の分量,管理責任者・医師名が正確に記録されており,大変貴重な内容であった. 結論:「御家方御薬帳」の開始された時期は天保2年(1831)であるが,それまでの記録も記載されており,寛政3年(1791)から明治2年(1869)までの内容であった.上記の結果から,当時の医師は薬剤師と獣医師の役割を兼ねていたことが明らかになった.藩常備薬は御用医師により厳正・適正に管理されていた.苗木藩の常備薬は(1)息命丹(2)延寿丹(3)赤龍丹(小児薬)(4)呼吸丹(5)奇応丸(小児薬)の5種類であった.
  • 五位野 政彦
    2023 年 58 巻 2 号 p. 137-147
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
    明治時代の病院薬局および病院薬剤師に関する報告は複数ある(堀岡/鶴岡:1971,1977,堀口:2008).本報告ではこの時代に活動していた「東京病院薬剤師協議会」についての調査結果を報告する. 方法として次の資料を文献調査した:「薬剤誌」「薬学雑誌」「ファルマシア」「創立八十周年記念日本薬剤師会史(1973)」「東京都公文書館資料」「国立国会図書館デジタルコレクション公開資料」 東京病院薬剤師協議会(協議会)は明治29(1896)年に,丹羽藤吉郎により創設された.協議会会員は東京市内の病院薬剤師であった.協議会は年数回イベント,講演,会合を実施した.丹羽はこの協議会で病院薬剤師の連携および近代薬学の知識と技術を高めた.
  • 赤木 佳寿子, 市川 厚
    2023 年 58 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
    日仏薬学会(SFJP)はパリ大学薬学部クボヴィエ教授の元への留学生を主体に1972年に創立され50周年を迎えた.SFJP は日仏の薬学研究者・薬剤師の交流を促し,両国間の学術・文化の進歩発展に尽くしてきた.その原動力はフランスの薬学教育・研究,薬剤師職業に関する講演会と討論会にあったことを示す. 講演会の演題のキーワードから本会50年間の活動は大きく3時代に分類できる: 1)1972 年~フランスの薬学・病院薬剤師事情,医薬品品質管理を導入し日本の薬学,医療事情の改善に努めた.2)1999年~バイオ医薬製品と臨床応用の課題,グローバルな製薬産業のあり方,薬学教育6年制樹立に際しフランスの教育システムを参考に議論された.3)2013 年~日仏研究者交流が盛んになり,薬学研究,教育,薬剤師の新しい職能,病院薬剤師活動についての講演・議論があった.
  • 2023 年 58 巻 2 号 p. 153-154
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top