魚類学雑誌
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20 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 千田 哲資
    1973 年 20 巻 3 号 p. 135-144
    発行日: 1973/12/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    メイチダイ属魚類は南支那海南部では重要なトロール対象魚種のひとつであり, 専らメイチダイGymnocranius griseus (Temminck and Schlegel) より成る. 筆者は1971年10月にボルネオ島サラワク沖海域で別の型のメイチダイ属の魚約45個体を得た.その後, 同じ魚をマレイ半島東岸沖でも再三見出し, またオーストラリヤ北西岸沖からの標本も入手した.メイチダイとの比較, 文献の検討を通じ, この魚を新種とし, オナガメイチダイG.elongatusと命名した.Bleeker (1877) のG.griseusは本種である.本種の最大の特徴は尾鰭中央の鰭条が眼径よりも短かいことで, それだけで既知のすべての同属魚種と区別できる.体高が比較的低い, 眼前骨幅が狭い, 頭蓋骨幅が広い, 大孔が正三角形に近いことなども特徴をなす.なお南支那海南部のメイチダイは生時頬に数条の青色波状線を有し, この点でサザナミダイG.robinsoni (=G.ruppelli) と同定すべきかもしれない.しかし, 固定後は通常その特徴が消える.さらに上述の両学名をG.griseusの異名とする研究者もあることなどから, 本報告でも暫定的に後者を採用した.
  • 尼岡 邦夫
    1973 年 20 巻 3 号 p. 145-156
    発行日: 1973/12/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1954年から1967年の間に, 南日本および日本の南西海域から稚魚網と底曳網で採集、された15個体のニホンダルマガレイArnoglossus japonicus Hubbsの後期仔魚 (体長20.0~46.9mm) および稚魚 (43.5~59.5mm) を調べ成育にともなう形態変化を記述した。本種は体長約46mmのとき眼が移動しだすが, この体長はダルマガレイ科の中ではむしろ大きい方である。本種の変態期の仔魚は, 吻の上部に短い背鰭第1棘とその直後にある著しく伸長したむち状の第2棘を持ち, さらにその後縁に7本に分枝した膜状物をそなえることで特徴づけられている.第1棘は変態中期に完全に消失するのに対し, 第2棘は変態中期直前に最大となり, その後急激に短縮することから, 後者は浮遊器官として重要な投割をはたしていると考えられる。鼻孔と嗅器官の発育程度は変態初期の後期仔魚の発育段階を調べるのに有効な形質である.また, これらの器官は浮遊生活中の後期仔魚期では十分に発達していないが, 底生生活に移る稚魚期に入って完成する.この時期には口・歯などの摂餌器官も急激に成長する.
  • 富永 義昭, 安田 富士郎
    1973 年 20 巻 3 号 p. 157-162
    発行日: 1973/12/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    レンテンヤッコは原産地がハワイのCentropyge fisheri Snyderとは異なる種類であることが判明した.レンテンヤッコの学名にはHolacanthus interruptus (Tanaka) を用いるのが妥当である.レンテンヤッコの完模式標本を再査したほか他の標本も調べ, 個体変異, 成長に伴う変化, 生時の色彩, 地理的分布などを明らかにした.
  • 工藤 重治, 黒沢 団, 国峯 一声, 信沢 邦宏, 小林 茂
    1973 年 20 巻 3 号 p. 163-177
    発行日: 1973/12/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    IPN症のニジマス稚魚における膵・肝両組織の組織病理学的および細胞病理学的変化を観察した.
    膵臓外分泌部の腺房細胞における細胞質の変性の程度は各々の細胞によって一様でないが, その形態的変化としてミエリン像を有するライソゾームの出現, チモーゲン顆粒の崩壊, 粗面小胞体の脱リボソーム, 集団をなすウィルス粒子の出現, ミエリン像を有する電子密度の高い物質塊やウィルス粒子および細胞小器官などを含むチトリゾーム (光顕的には細胞内封入体に一致する) の出現, 雲絮状物質を含む明調なチモーゲン顆粒の出現, ミエリン像を有する物質塊の細胞外放出などがある.さらに, 特に細胞変性や壊死の顕著な膵組織では腺房細胞の核濃縮, 細胞間腔における細胞破片や変性した細胞小器官の散在もみられる.
    肝細胞においても細胞質の変性によって出現した構造体はチモーゲン顆粒に関する所見を除けば腺房細胞に殆んど同様である.しかし, 同一個体内でも肝組織の細胞変性や壊死の程度は膵組織に比べて遙かに小さく, 膵組織内に腺房細胞の識別ができないほどに壊死している部域が現われて初めて肝組織に細胞質の変性や壊死した肝細胞が目立つようになる.このような場合には肝細胞内に著しい脂肪滴の増加がみられる.
    IPN症の膵・肝両組織にはマクロファージやその他の遊走細胞の著しい浸潤がある.これらの細胞やKupfFer氏星細胞にもライソゾームの増加やチトリゾームまたはファゴライソゾームの出現がある.
    大多数のウィルス粒子は集団をなして, ライソゾーム, チトリゾームおよびファゴライソゾーム内に存在し, この中でウィルス粒子の輪郭が不明瞭になり, 微細顆粒状物質の出現や電子密度の高いミエリン像を有する物質塊の増加などを伴いながら消化される過程を示す所見がある、このウィルス粒子の形態は外見的に六角形ないし円形輪郭で被膜はなく, 大きさは50~60mμ, 平均直径54.3mμ である、このウィルスは恐らくIPNウィルスで, 形態学的にレオウィルス群に属すると思われる1また, ウィルス粒子の存在する部域にしばしぼ平均約60mμ と28mμ の太さの棒状体がそれぞれ数本平行一または不規則に互に交錯して存在する. この棒状体の末端は丸味を呈し, その横断面は円形でその中央部が明調で管状構造にみえる.
  • Clifford R. Johnson
    1973 年 20 巻 3 号 p. 178
    発行日: 1973/12/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    海産魚の多くで骨格の異常形成が知られているが, クインスランドのMoreton湾にすむコチ類, Platycephalus indicusP.fuscusでも, 総数の3%あまりに異常な成骨現象が認められた.これらの種類の標準体長30cm台のものでは, 前頭部を形成する額骨・前額骨・中篩骨・鼻骨および涙骨 (眼前骨) が膨大しており・その状態は, P.indicusよりP.fuscusの方が著しかった.このような異常現象のために眼窩は少し狭くなり, 前上顎骨が短縮していた.なお, 体長10cmのP.fuscusにも同様な現象が見られた.この骨格の異常現象は年令の増加や成長と関連しており, 行動や生活は正常であるがその起因は現在のところ不明である.
  • 千田 哲資
    1973 年 20 巻 3 号 p. 179-181
    発行日: 1973/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    Some ichthyologists of recent years in Japan have described the number of anal fin rays of the salmonoid fish, Salangichthys microdon as 14-20 or 16-20.However, the actual number observed for the fish caught in Takahashi Estuary of Okayama Prefecture and the northern Ise Bay was 24-29, agreeing well with the range given by the authors of former years including the original description (Bleeker, 1860).
  • 中務 康生
    1973 年 20 巻 3 号 p. 182-184
    発行日: 1973/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    Tumors protruding polypously on the surface of'the body encapsulated with the fibrous components in the subcutaneous tissues were found in the hibuna (Carassius auratus).Histologically the tumor is composed of elongate cells with fibers and shows interlacing pattern.and the nuclei are arranged in palisade.This tumor might arise from the peripheral nerve in the subcutaneous tissue.
  • 細川 和子
    1973 年 20 巻 3 号 p. 185-188
    発行日: 1973/12/15
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    The formation of the ovarian wall in Oryzias latipes was observed by electron microscope.At three days after hatching, the ovarian lumen was not found.But at nine days after hatching, the ovarian lumen was formed by separation of the ovarian wall from the peripheral cell layers of the ovarian stroma.At 20 days after hatching.a few microvilli of the inner cells of the ovarian wall began to form.
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