体盤幅1mmと5mmのアラスカカスベ
Bathyraja aleuticaの胚のパラフィン連続切片を作成し, それらの組織発生を調べた.材料は, 1982年に東部ベーリング海大陸斜面の海底域からトロール網によって漁獲された卵殻内より採集されたもので, 主として, 始原生殖細胞の出現部位とリンパ組織の発達を観察した.体盤幅1mmの胚で, 神経管, 脊索, 体節, 原始腸管, 中胚葉側板などが観察されたが, 器官形成はまだ行われていなかった.始原生殖細胞は, 体壁中胚葉及び内胚葉と内臓中胚葉の間にある間葉に存在していることが分かった.一方, 体盤幅5mmの胚では, 形成過程にある多くの内臓諸器官がみられた.始原生殖細胞は, 前段階の部位には認められず, 生殖隆起表層内に集合していた.二対の胸腺原基は咽頭域に存在しており, リンパ球で充満していた.また, 多数の未熟な血液細胞からなる脾臓原基と思われる小型の組織が認められた.
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