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36 巻 , 2 号
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  • 小早川 みどり
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 155-186
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    ナマズ科魚類はユーラシア大陸に広く分布するが, これまでに知られている9属のうち, ナマズ属Silumsは, 特に分布が広い.本属については分布が広いため標本の入手が容易でないこともあり, 系統分類学的な研究はまだなされておらず, 属の再検討を行ったHaig (1950) と中国産の種の再検討を行ったChen (1977) の研究があるにすぎない.したがって本属にはこれまでに何種が記載されているかも明確ではなかった.また, 本属は下顎の髪の数によってSilums属とParasilums属に分けられていたが, Haig (1950) およびChen (1977) はいくっかの種で下顎の髪の数には種内変異が認められ, 属の特徴とするに値しないことを指摘している.本研究では, 1新種を含む17種を有効な種と認め, S. bedfordi ReganはS. asotus Linnaeusの同物異名とし, S. goae HaigはOmpok属とした.また, 新種S. torrentisを記載した.これら17種の外部形態を, 12種については解剖学的にも比較し, 分岐分類法によって系統関係を推定した.その結果, 本属をSilurusParasilumsに分けるのは妥当ではなく, Pamsilurusは前者の同物異名であると認めた.さらにいくつかの形態的特徴により, 本属は大きく2っの種群に分けられることがわかり, cochinchinensis種群, glanis種群と名づけた.cochinchimnsis種群はglanis種群の稚魚的な特徴を維持していた.これら2っの種群は, 例外はあるものの, 分布からもその有効性が確かめられた.これら2っの種群は属に相当するとも考えられるが, 今後ナマズ科の他の属との比較を行った上で検討すべきであろう.
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  • 町田 吉彦
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 187-189
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    伊豆・小笠原海溝の水深5, 160mから得られた1個体の標本 (標準体長498mm) にもとづき, アシロ科のフクメンイタチウオ属の新種Bassozetus levistomatusソコフクメンイタチウオを記載した.本属には10種が知られているが, 本種は前鋤骨に歯帯がなく, 口腔上皮で覆われていることで全ての既知種と異なる.また, 基鯉骨中央部に歯帯がないことでもB. zenkevitchi (フクメンイタチウオ) を除く他種と区別できる.さらに, 本種は胸鰭鰭条数が29本と多いことで23-24本のフクメンイタチウオと異なり, 同様に, 第1鯉弓の発達した鯉耙数が11本と少ないことで15-18本のフクメンイタチウオと異なる.
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  • 谷津 明彦, 中村 泉
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 190-195
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    南太平洋の亜南極域から表層流し網, 中層および着底トロールにより得られた17個体の標本に基づき, シマガツオ科の新属新種Xenobrama microlepisを記載した.本属はシマガツオ科の他の属からは以下の点で区別される.左右の下顎の腹縁は互いに接する, 鰐細は太く短い, 胸鰭基部下方は狭い, 腹鰭間隔は広い (体幅の約半分, ほぼ眼径に等しい), 脊椎骨数49-51, 縦列鱗数83以上.本種は南太平洋の南緯38-54度, 西経79-176度に広く分布するが, 表層流し網の漁獲はシマガツオ属Bramaに比べ稀である.
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  • John E. Randall, Linda J. McCarthy
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 196-199
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ペルシャ湾のサウジァラビァ沿岸で採集された2個体の標本に基づいて, 新種Solea stanolandiを記載した.本種は同属の他種から背鰭条数57-59, 臀鰭条数46, 側線直走部の有孔鱗数104-106, 体長が体高の2.45-2.5倍であること, および有眼側の胸鰭に1黒色斑があり, 無眼側の胸鰭にも1小黒斑があることにより識別される.
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  • 仲谷 一宏
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 200-207
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Apristunes sibogae (Weber, 1913) はインドネシァ, マカッサル海峡で採集された1個体の雌若小標本に基づいて記載された.近年著者は本種の知られている唯一の標本でもある完模式標本を調査し, 当該標本は現在全体が極めてもろくなって壊れやすく, しかも収縮変形が著しいことを知った.本種については, Weber (1913) の簡単な原記載以後, 何回か模式標本の記載がなされているが, これらはいずれも収縮し, 変形した状態をそのまま記載しており, 種の特徴が誤って述べられている.極めて脆弱な状態にある模式標本およびその不十分で誤った記載を考えると, 近い将来本種の正確な特徴が失われてしまう恐れが強い.そこで, Weberの測定値と現在の測定値を比較し, 収縮率を求めることにより, 本種の完模式標本を復元し, 再記載することを試みた.その結果, A. sibogaeは短い吻, 短い腹部, 後方に始まる第1背鰭, 第2背鰭よりかなり小さい第1背鰭, 歯数, 腹椎骨数などの形質で日本のヘラザメA. platyrhynchusに極めて近似しているが, 両眼間隔, 第2背鰭と臀鰭の位置関係などに差異がみられ, これらは現在のところ種的な差異と判断された.
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  • 山岡 耕作, 西山 勝, 谷口 順彦
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 208-219
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    東シナ海, 日向灘, 土佐湾産マエソ属魚類, マエソ南方型, 北方型, ワニエソ, トカゲエソの3種4分類群について, 12酵素及び1非酵素蛋白の電気泳動像を検出し, それらの間の遺伝的分化の程度を調べた.23遺伝子座の対立遺伝子頻度を推定した.その内の8遺伝子座で, マエソ南方型と北方型の間に完全な遺伝子の置換が認められた.両者間の遺伝的距離 (D) は0.5582となり, マエソ南方型と北方型は別種であることが強く示唆された.マエソ南方型は東シナ海の他に, 黒潮の流れに沿った日向灘, 足摺岬沖にも生息することが本研究によって明らかとなった.
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  • 宗宮 弘明
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 220-226
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    モルミルス科魚類(Mormyridae)の3種(Marcuseniusisidori, M.longianalisGnathonemus petersii)はその眼に網膜タペータム(retinal tapetum)を持つことが明らかとなった.網膜タペータムを構成する反射物質の主成分はグアニンであり, その量はMarcusenius属で, 網膜1cm2あたり約2mgであった.グアニンは色素上皮細胞の中に小反射板として存在する.反射板はその結晶形状からブロック状と針状の2種に分けられた.以上のことから, Mormyridaeは薄明環境において, その微量な光を有効に利用できることが推定された.また, これらの網膜の特徴を既往の文献に従って他のナギナタナマズ亜目(Notopteroidei)のものと比較した.その結果, 同亜目は次の2群に大別された.第1群はHiodontidaeからなり, 第2群はMormyridae, Notopteridae, Gymnarchidaeからなるグループであった.第1群に属するHiodon(Hiodontidae)は, タペータムの主成分が尿酸(uric acid)で, 今のところ尿酸型のタペータムを持つ唯一の硬骨魚類である.第2群に属する魚類は相互によく似た網膜形質を持つ.このことから, Noto-pteridaeとGymnarchidaeは, その眼に尿酸型ではなく, Mormyridaeと同様のグアニン型タペータムを持つ可能性が示唆される.
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  • Amita Moitra, Onkar N. Singh, Jyoti S.D. Munshi
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 227-231
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    ドジョウの一種の腸呼吸管を, 粘液分泌上皮の性質を主眼にして研究した.粘液細胞は強PAS陽性で, 1mm2当りの数は食道粘液層で733個, 腸管球では531個, 腸および直腸の粘液層で223と540個であった.消化管の呼吸節は, 完全に中性粘液物質を欠き, 消化管全体にわたって酸性粘液物質の方が卓越している.副呼吸器官の空気-血液径路は, 2.6μmほどで, 他の魚類における空気呼吸器官よりも大きな値であった.
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  • 岩水 正志, 板沢 靖男
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 232-251
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ブリの全身血管系と体側筋の構築を記載した.心臓の洞房弁は両端が心房の心筋束と連続しており, 心房収縮時には筋収縮により両側に引かれて閉じると考えられる.入鰓弁動脈は鰓弁列とは反対方向に入鰓動脈から分出し, 出鰓弁動脈の基部と噛み合った後, 入鰓動脈を迂回して鰓弁に達する.正中背大動脈の前端付近の管内には, 後方への血流を部分的に斜めにさえぎる形の上下1対の帯状の突起が内壁から突出し, そこから分出する腹腔-腸間膜動脈への血液の分流を助けるものと思われる.体節血管はすべて末梢まで動・静脈が密接に並走する複線配列を示す.この型の体節血管の複線化を経て, マグロ類の祖先は皮膚血管と熱交換性奇網を発達させたものと考える.各筋節は深部を除き筋隔と平行な隔壁によって4分節されており, そのため体側筋が4倍数の筋節で構成されているように見える.
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  • Amrendra N. Yadav, B. R. Singh
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 252-259
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    河口域に生息する空気呼吸ハゼPseudapocryptes lon-ceolotusの鰓は, O2摂取のために特化した器官の発達によって退縮している.第一鰓弓においては, 外側の半鰓は内側の半鰓に比べて鰓弁の長さが約1/2に退縮している.鰓弁の片側に生ずる二次鰓弁の数は少ない (27.6枚/mm).鰓面積と体重を両対数グラフにプロットすると, 傾きに統計的有意差のある2本の直線が得られ, その傾きは体重6gまでの魚については0.924, 体重8g以上の魚については0.405であった.
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  • Roland Bauchot, Monique Diagne, Jean-Marc Ridet, Marie-Louise Bauchot
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 260-266
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ツバサハゼはハゼ亜目魚類の中では水陸両生性のトビハゼ類Peripphthalmusと同等に最も高い大脳化指数を示すものの一つである.この高い大脳化は山の急流に順応したためだと説明できる.ツバサハゼの脳形態はスズキ目の典型であり, 小脳の形態と大きさを除けばハゼ亜目の他の種に似ている.脳構造の量的分析では嗅覚中枢は大きい.他のハゼ亜目のものに較べて視覚中枢は小さく, 小脳は2倍以上大きい.ツバサハゼの中脳被蓋と延髄の脳構成はハゼ亜目の典型を示すが, 脳全体は一般的なハゼ亜目の構成ではない.それは生息環境への高度な生物学的順応により小脳がそれに対応した大きさを示すからである.
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  • 佐々木 邦夫, 細谷 誠一, 渡辺 晋
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 267-269
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    西部大西洋産のニベ科魚類Leiostomus xonthurusの1個体 (体長67.3mm) が東京湾で採集された.本種は西部大西洋に固有な種なので, 今回採集された標本は船舶のバラスト・タンクに入って運ばれた可能性が高い.バラスト水に原因すると思われる西部大西洋からインド・西太平洋への沿岸魚の移入の報告は, 本例が初めてである.
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  • 千田 哲資, Muhammad Husni Amarullah
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 270-274
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    脊椎が5箇所で大きく湾曲しているイヌノシタ (推定標準体長225mm) が大阪の主婦により発見された.1番目の湾曲は躯幹部 (第7・8脊椎骨間) にあり, 殆ど直角に曲がり, 他は尾部にあり, 波長に対して14-25%の波高をもつ滑らかなサインカーブを描いている.ある脊椎骨が湾曲上のどの位置にあるかに応じて, 1) 椎体の背側と腹側の相対的な長さ, 2) 神経棘と血管棘の相対的な長さ, 3) 両棘の屈曲方向が変化し, 結果として, 1) 椎体の関節面の体軸に対する角度が次々に変化して各椎体が円孤の一部をなし, 2) 体の背腹外郭は蛇行せず, 3) 隣接する神経棘または血管棘の先端の間隔が比較的均一に保たれている.この標本は, 韓国のトロール船が黄海で漁獲し, 諫早市の水産加工会社が頭部・尾部先端・内臓・有眼側の皮を除去して冷凍品として販売したものである.冷凍イヌノシタは1982年9月以降同社の主要製品のひとつで, 現在までに総計420トン, 約800万尾を出荷しているが, この度の脊椎異常が, 消費者よりの報告の最初の例である.
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  • 朝日田 卓, 井田 齊
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 275-280
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    日本産ドチザメ科魚類2種の核型をair-drying法により分析し, DNA量を顕微分光濃度計を用いて測定した.また, トラザメ科2種のDNA量も同様に測定した.ホシザメMustelus manazoの核型は2n=68, 中部一次中部着糸型染色体 (M-SM) =44, 次端部一端部着糸型染色体 (ST-A) =24, 腕数 (FN) =112, DNA量=9.3pg/ce11であり, ドチザメTriakis scylliaでは, 2n=72, M-SM=36, ST-A=36, FN=108, DNA量=9.8pg/cellであった.ヤモリザメGaleus eastmaniおよびニホンヤモリザメGaleus nipponensisのDNA量はそれぞれ11.0, 11.1pg/cellであった.核型とDNA量の検討の結果, ドチザメ科魚類は, トラザメ科魚類より特化したグループであると判断された.
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  • 後藤 晃
    36 巻 (1989 - 1990) 2 号 p. 281-284
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1984年5-6月に, 北海道南部の流渓川と戸切地川において雄による卵保護が認められたエゾハナカジカの産卵巣を11箇見いだし, そのうちの5巣から保護雄を除去した.その後2日毎に産卵巣の観察を行ない, 保護雄の有無による卵の生存率の違いを調べた.雄のいる巣ではいずれの場合にも卵は高い生存率を保ち, 孵化に至った.これに対して, 雄を除去した巣では卵の生存率が急激に減少し, 5巣とも孵化前に全滅した.卵の減少の原因は, 主に水生菌の感染による死亡, 捕食および酸素不足による死亡であると推定された.以上の結果から, 本種の雄の卵保護行動は上述した死亡要因によってもたらされる卵の生存率の低下を防ぐうえで極めて有効な役割を果していると考えられる.
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