耳鼻咽喉科免疫アレルギー
Online ISSN : 2185-5900
Print ISSN : 0913-0691
ISSN-L : 2185-5900
31 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
  • 西村 剛志, 加納 里志, 佐久間 直子, 佐野 大佑, 小松 正規, 折舘 伸彦
    2013 年 31 巻 4 号 p. 237-246
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌患者に対する治療方針を決定する場合,現時点で免疫療法が第一選択の方針となることは極めて稀であるが,手術,放射線治療,化学療法との組み合わせで上乗せ効果を期待できる可能性がある。近年開発の著しい分子標的治療薬にも免疫学的知見が反映されており今後の飛躍的な治療成績の向上もあり得る。Biological response modifier (BRM) 製剤,養子免疫療法,ワクチン療法など現在利用可能と考えられる免疫療法と機序につき簡便に概説した。
原著
  • 植原 元晴, 安部 裕介
    2013 年 31 巻 4 号 p. 247-251
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    アレルギーのペプチド免疫療法においては,HLA型を考慮したT細胞エピトープを選ぶことが重要となるが,全てのHLA型に対応することは困難である。今回我々は,シラカンバ花粉症患者の免疫療法を目的として,シラカンバ花粉のメジャーアレルゲンBet v1の全配列を3分割し10残基オーバーラップさせた長鎖合成ペプチドを作成した。このペプチドは理論上ほぼすべてのT細胞エピトープを含んでいるが,Bet v1の立体構造とは大きく異なっていることからIgEエピトープはほぼ含まれないものと予想される。
    そこでまず,3つのペプチドの好塩基球活性化能を評価するためにBATを行った。Bet v1に対しては患者全例で陽性となったが,3つの合成ペプチドには全ての患者において反応を示さなかった。またイムノCAP特異的IgE抑制試験で,3つのペプチドのIgE結合活性が低下していることを確認した。さらにALSTでは,2つのペプチドで反応を示す患者がみられたため,それらペプチドはT細胞刺激能を有するものと推測された。。
    これらのことより,この3つのペプチドの混合物をシラカンバ花粉症の免疫療法に用いることにより,安全で有効な抗原となりうる可能性が示唆された。
  • 宮部 はるか, 川島 佳代子
    2013 年 31 巻 4 号 p. 253-256
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    56歳,男性。豆乳摂取後に口腔アレルギー症候群,アナフィラキシー症状を呈し救急搬送された。血清特異的IgE検査でシラカンバ花粉がクラス3,大豆はクラス2であった。prick-to-prick testにて豆乳,豆腐で陽性,またシラカンバの主要抗原であるBet v1が陽性,そのホモログである大豆の主要抗原Glym4が陽性であり,これらの交差反応により発症した豆乳による口腔アレルギー症候群 (oral allergy syndrome; OAS) であると示唆された。豆乳アレルギーの本邦での報告例は全例が花粉症を有しており,豆腐の摂取でアレルギーの既往がない例が多い。また大豆特異的IgE陽性率が低く,診断にはprick-to-prick testが有用である。花粉症の近年の花粉症の増加,健康ブームにより豆乳による口腔アレルギー症候群は今後増加することが予想され,耳鼻咽喉科領域の症状を呈することも多く,注意が必要である。
  • 村嶋 智明, 内藤 健晴, 齊藤 正治, 伊藤 周史, 三村 英也
    2013 年 31 巻 4 号 p. 257-265
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    通年性アレルギー性鼻炎における咽喉頭症状,睡眠障害についての検討はそれほど多くない。今回,我々は,通年性アレルギー性鼻炎の咳嗽,咽喉頭異常感,後鼻漏および睡眠障害の臨床的特徴を明確にするために,これらの症状および所見を調査するとともに,抗ヒスタミン薬の有効性についても検討を行った。藤田保健衛生大学病院およびその関連施設を受診した通年性アレルギー性鼻炎患者28名を対象とし,全例にベポタスチンベシル酸塩を4週間経口投与した。症状および所見はアレルギー症状日記と調査票を用いて検討した。鼻の3大症状,鼻腔内所見および咳嗽では投与2週後および4週後で投与前と比較して有意にその重症度の低下を示した。咽喉頭異常感は投与4週後で投与前と比較して有意にその重症度が低下した。後鼻漏および披裂部の異常所見では,その頻度が低下する傾向を示した。後鼻漏,咳嗽および咽喉頭異常感の間では,咳嗽および咽喉頭異常感においてのみ有意な関連性を示した。今回,通年性アレルギー性鼻炎で観察された咳嗽および咽喉頭異常感は通年性喉頭アレルギーのあまい診断基準に概ね合致することから,後鼻漏による症状というより喉頭アレルギーの関与が推察された。また,睡眠障害についても抗ヒスタミン薬の投与で4週後に有意に改善した。
feedback
Top