耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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33 巻, 3 号
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総説
  • 鈴木 正宣, 渡部 昌, 中丸 裕爾, 高木 大, 加納 里志, 本間 あや, 畠山 鎮次, 福田 諭
    2015 年 33 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    ジャーナル フリー
    ユビキチン化修飾は真核生物に広く存在するタンパク質翻訳後修飾の一つであり,多岐にわたる細胞機能を制御する。ユビキチン化修飾系の異常を原因とする疾患も数多く知られており,耳鼻咽喉科領域においても内耳や鼻粘膜の環境恒常性や,自己免疫・炎症性疾患や悪性疾患の病態に関連していることが報告されている。
    標的タンパク質へのユビキチンの共有結合は,ユビキチン活性化酵素(E1),ユビキチン連結酵素(E2),ユビキチンリガーゼ(E3)の3 つの酵素群が担っている。この中でもE3 は基質の特異性を決定する酵素であり,その機能と標的である基質を明らかにすることは,さまざまな疾患の病態解明において重要な課題となっている。耳鼻科領域の疾患において,ユビキチン修飾系についての研究は始まったばかりであり,今後,病態の解明,検査法の確立や新規治療法の開発につながる可能性を秘めている。
原著
  • 鈴木 祐輔, 太田 伸男, 倉上 和也, 古川 孝俊, 千田 邦明, 八鍬 修一, 新川 智佳子, 高橋 裕一, 岡本 美孝, 欠畑 誠治
    2015 年 33 巻 3 号 p. 193-200
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/25
    ジャーナル フリー
    鼻噴霧用ステロイド薬は,鼻アレルギー診療ガイドラインにおいて花粉症治療の中心的な薬剤として推奨されている。しかし初期療法としての鼻噴霧用ステロイド薬と,抗ヒスタミン薬を中心とした併用療法の効果について比較した報告は少ない。今回我々は,スギ花粉症患者20 例を鼻噴霧用ステロイド薬(デキサメタゾンシペシル酸エステル)群(DX-CP 群)6 例と,第二世代抗ヒスタミン薬(オロパタジン塩酸塩)にモンテルカストを追加併用した抗ヒ+抗LT 薬群14 例に分け,治療効果につき検討を行った。検討項目は鼻症状,JRQLQ No.1 によるアンケートおよび鼻腔洗浄液のeosinophil cationic protein (ECP) と血管内皮細胞増殖因子(VEGF) の濃度とした。
    DX-CP 群では飛散ピーク期と飛散終期の鼻症状スコアの上昇を抑え,鼻閉症状では有意にスコアを減少させた。抗ヒ+抗LT 薬群では飛散ピーク期に症状スコアが上昇したが抗LT 薬を併用した飛散終期にはスコアが低下した。QOL スコアではDX-CP 群の飛散ピーク期において抗ヒ+抗LT 薬群に比べ有意にスコアを抑えた。鼻腔洗浄液中のECP 値, VEGF 値はDX-CP 群ではシーズンを通じて値の上昇を抑えた。
    よってDX-CP は抗ヒスタミン薬や抗LT 薬と同様に季節性アレルギー性鼻炎に対する初期療法薬として非常に有用であると考えられた。
臨床ノート
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