耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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ISSN-L : 2185-5900
34 巻 , 4 号
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総説
  • 吉川 衛
    2016 年 34 巻 4 号 p. 203-209
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/28
    ジャーナル フリー

    慢性副鼻腔炎において,従来の治療を行っても再発を繰り返す難治性の病態が指摘されており,好酸球性副鼻腔炎と呼ばれている。そのため,本邦では好酸球浸潤をもとに病態を分類している。一方,欧米では,鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis with nasal polyp: CRSwNP)は予後が悪く,鼻茸を伴わない慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis without nasal polyp: CRSsNP)は予後が良いとされているため,鼻茸の有無を基準とした分類が行われている。このような普遍性と簡便さを追求した分類方法はまだ途上であり,その病態についての研究を行ったり,個々の病態に応じた的確な治療を模索したりする際には,分類の問題点を理解したうえで活用する必要がある。近年,多くの疾患で分子病態の違いに基づくエンドタイプという概念が普及し,2016年には,14種類のバイオマーカーのクラスター解析に基づいた,慢性副鼻腔炎のエンドタイプが世界で初めて報告された。興味深いことに,どのエンドタイプにも鼻茸を伴う症例と伴わない症例が混在していた。すなわち,CRSwNPの病態が一様ではないことはもちろんだが,予後良好としてこれまであまり注目されてこなかったCRSsNPにも多様な病態が存在することを示している。将来的には,このようなエンドタイプ分類に術後の予後評価を加味して,どのようなエンドタイプが難治性の病態なのかを解明することが望まれる。

  • 高橋 秀行, 坂倉 浩一, 近松 一朗
    2016 年 34 巻 4 号 p. 211-219
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/28
    ジャーナル フリー

    腫瘍組織には癌細胞だけでなく線維芽細胞,血管内皮細胞,免疫細胞等の多数の間質細胞が存在し,癌の進展に関与している。なかでも癌関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts: CAFs)はcell-to-cell contactや様々な液性因子の産生を介して癌細胞の増殖や転移に影響を及ぼしている細胞として,近年注目されている。

    CAFsは正常線維芽細胞,bone marrow derived mesenchymal stem cellsやbone marrow derived hematopoietic stem cells等の骨髄由来細胞,上皮細胞や血管内皮細胞等,多様な起源を持つheterogeneousな集団である。CAFsは癌細胞の増殖促進,血管新生の促進,癌細胞の脈管浸潤促進,免疫応答の制御等を通じて癌の進展に有利な微小環境を構築することがわかってきており,頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)におけるCAFsの機能や特徴についても解析が進んでいる。また,HNSCCをはじめ肺癌や大腸癌等,様々な癌種においてCAFsの浸潤が予後と相関することが報告されている。こうした知見を基に,CAFsの制御による癌の治療戦略についても検討が行われている。本稿では,癌微小環境におけるCAFsの特徴や機能,CAFsをターゲットとした治療戦略について概説する。

症例報告
  • 都築 建三, 橋本 健吾, 池田 ゆうき, 阪上 雅史
    2016 年 34 巻 4 号 p. 221-224
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/28
    ジャーナル フリー

    標準化スギ花粉エキス(シダトレン®)を用いた舌下免疫療法(sublingual immunotherapy: SLIT)の初回投与後に副反応を生じた症例を報告する。46歳女性。主訴は鼻汁,鼻閉。既往歴に食物アレルギー,気管支喘息(最近5年間発作なく呼吸機能正常),慢性副鼻腔炎(術後)があった。SLITの適応は,当院のリウマチ・膠原病内科および皮膚科コンサルトして慎重に決定した。スギ花粉非飛散期に入院して副反応に対する準備の上SLIT導入した。初回投与日の全身状態は良好であった。規定のプロトコール通り,シダトレン®(40 JAU/0.2 mL)を医師が初回投与した。アレルゲン曝露2~5分後に,皮膚・粘膜症状(頸部~頬部),消化器症状(口腔咽喉頭違和感),呼吸器症状(息苦しさ),循環器症状(血圧低下)を呈した。意識障害はなかった。過去に経験した食物アレルギーに伴うアナフィラキシーよりも軽度であったが,これらの反応はアナフィラキシー(グレード3)と考えられた。水うがい,β2受容体刺激薬吸入を行い,アレルゲン曝露の30分後にはこれらの症状は消失した。増量期は入院してプロトコール通りの投与量で行った。2日目以降は,アナフィラキシー反応は認めなかった。維持期となり退院した。SLIT開始から1年経過した現在,副反応を認めず維持療法を継続中である。アレルギー疾患合併症例においては,SLITの導入は慎重な判断と副反応に対する厳重な監督下で行う必要があると考えられた。

臨床ノート
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