ペリオスチンは気管支喘息やアレルギー性鼻炎,慢性副鼻腔炎といった気道炎症性疾患の病変部において強く発現している事が報告されている細胞外マトリックスタンパク質の一種である。ペリオスチンは組織の線維化,好酸球遊走能や粘液分泌増強作用を有することから,気管支喘息や慢性副鼻腔炎をはじめとする気道炎症性疾患の発症や増悪化に寄与することが推察され,注目されている因子でもある。血清中ペリオスチン値が喘息患者において,アレルギー性炎症や好酸球性炎症を反映するバイオマーカーとしての有用性を持つ事が報告されて以来,アレルギー性炎症性疾患の発症や遷延化に寄与する因子として臨床研究が活発化している。本因子の産生に関しては線維芽細胞を対象にいくつかの検討が行われているものの,上皮細胞からのペリオスチンの産生・分泌機構やそのメカニズムについての報告は少ない。気道において上皮細胞,特に杯細胞がより多くのペリオスチンを産生し,気道の線維化やリモデリングの促進に寄与している可能性が示唆されている。また,その産生経路にはJAK/STAT6, MEK/ERK1/2の経路が関与している事が報告されている。本稿では,気道炎症性疾患におけるペリオスチンの役割や,上皮細胞における産生・分泌機構やメカニズムについてこれまでに報告されている事を中心に述べる。
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